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2章 お爺ちゃんとクラン
086.お爺ちゃんとチェインアタック②
オクト君とパープルの協力もあって、ランクE迄にはすぐにかけ上がれた。
ちなみにこのポイントは一定数たまるとランクアップができますと出てくるが、途中でどれだけ貯まったのかを見ることは出来ないようだ。
運営としてもそればかりに終始してほしくないという考えなのだろう。
しかし次のEからDに上がるまでは10000を提示され、その量に頭が痛くなってくる。
ランクCに至るまでにあと二回以上この数字以上も上げていかなきゃいけないなんて。今から頭が痛いよ。
「お疲れ様です、お義父さん。すっかりバインドはモノにできたようですね」
「お陰様でね。しかし今から次を考えると頭が痛くなってしまうよ」
「それだけ大変ってことなんです。でもチェインアタックを知らない人はもっと大変ですよ?」
「確かにそうだね。その上で連撃回数を増やせていければ良いんだけど」
「そればかりはパーティメンバー次第です。もう少しやられていかれますか? 僕たちはまだ時間に余裕がありますし」
チラリとオクト君がパープルを見る。
見られた彼女はまだ時間は平気だよとうなずいた。
とてもありがたいけど、さすがに悪いよ。
私は二人の協力を断ることにした。
「いや、やめておこう。いい加減に疲れてきたのもあるし、あとは探偵さんと暇を見て進めていくよ」
ふと顔を上げると彼は待っていたよとばかりに片手を上げて振り返った。
いちいち様になるんだ、この人。
「そうですか、それは残念です。ではパープル、クランに戻って仕事の続きでもしようか」
「そうね。お父さん、いい息抜きになったわ。また呼んでくれたらいつでも駆けつけるから!」
なんだい、君達も息抜きをしてたんじゃないないか。
帰る娘達を見送り、親友へと振り返る。
「さて、探偵さん」
「そうだね。我々は我々のしたいことをするとしよう」
探偵帽を目深くかぶり、彼は目を光らせた。
それから私達が何かをしたとすればエネミーを目標としたサッカーである。
お前ボールな、と単的に言われたボール型エネミーがかわいそうに思えるかもしれないが、あいつらは放っておくと勝手に増えたり仲間を呼んでくるんだもの、自分の身は自分で守らないとね。
ただし今回はチェインアタックをあまり意図せずに完全に遊びでやっている。
オクト君から言わせれば無駄の極みかもしれないね。
でも彼もエネミーの立ち位置に気がついたようだ。
「探偵さん、やはりこのエネミーは……」
「うん、君も気がついたか少年。私も蹴り飛ばしたり踏んづけたりして気がついたよ。この子達、とあるスキルの成長を促してるようにしか思えない」
「やはりそうですか。実は私にも成長途中のスキルがめでたく解放されました」
「お、どんなのです?」
「はい。空をめぐる能力であるスカイウォークです。これが今オープンされました」
「能力は読んで字の如くですか?」
「はい。息を止めてる間中、スタミナ関係せずに空に足場を作り続けるものです。上位版の空歩ですよ、これは!」
私は今では息咳切って空へと駆け上がれ、上昇気流にも乗れるようになれました。
「だろうね。私はマーシャルアーツ派生のキックから空を駆ける『瞬歩』なるものを派生させた。これの本質は壁を蹴り上げながら敵のフィールドも自分のフィールドに持ち込むことかもしれない」
「面白いですね。しかし手を使わないと思ったらマーシャルアーツだったとは! 足癖の悪さはコミックを彷彿とさせますね
「違うよ」
「ではなんと?」
「手はいざという時に秘密道具を出すのに使うので、基本戦闘は足だよ、少年」
「なるほど。ではここらでチェインアタックの検証を進めていきますか?」
「そうだね。技の鍛錬はいつの日も大事だ。特に自分の武器となる!」
「乾坤ッ!」
「──一擲!」
掛け声はコミック版の少年探偵アキカゼとその仲間が連携を取る時の為のものだ。意味は大博打に出るときの四字熟語で、アキカゼ達がそれほどまで追い詰められる相手に対しての礼儀の言葉らしい。
よくぞ私をここまで追い詰めた。だがこれだけがアキカゼハヤテの全てだとおもうなよ! と、時には大博打に出るスタイルもあった。
少年探偵アキカゼはそれまではどんな難事件でも華麗に解決してみせる強者の姿しか描かれていなかったから。
だからこそ私を含む読者の多くはこの言葉の意味をあまりよく知らずとも使う。
こんな風にコンビネーションを組むときになんかね。
探偵さんの蹴り上げたボール型が宙を舞い1HIT!
それを真横から壁に叩きつけるように私がオーバードライブシュートで2HIT!
そこへどこからか駆けてきた探偵さんが膝を突き上げてフィールドの壁に突き上げて3HIT!
ここまでにバインドアタックは一切してない。
どれもエネミーに攻撃を一切させない行動を意識した。
つまり相手に行動させないことこそがチェインアタックの真骨頂なのだと私や探偵さんは思い至っていたのだと。
2人で3HIT以上を考えるなとオクト君は言う。
けれどそうではなく、むしろ積極的に狙っていくのがこのゲームの楽しみ方なのかもしれないと私は思った。
だってスキルはこんなにも自由なのだから。
「少年、次は何をしたい?」
「そうですね。探偵さん、空の上にご興味はおありですか?」
「はい。空の大海に人は誰しも憧れるものです。コミック3巻のセリフを抜粋しました。似てました?」
「それをそこで言うから台無しですよ」
「はっはっは! 君と僕の仲じゃないか」
探偵さんは快活に笑い飛ばし、私は疲れた笑みを貼り付ける。
永井君は昔から調子に乗せると人を振り回す。
そんな永井君を連れて行った先はマナの大木の麓。
樹上3000メートルの場所。
頂上まではまだまだ先。
出だしは良かったんですけど、途中でスタミナが切れたようで、私の方を恨みがましく睨みつけながら声をかけてきました。
「少年、いきなりこんな無理難題を突きつけてどういうつもりだい? こちとら始め立ての初心者だよ? 何でもかんでも君と同じポテンシャルを求めないで欲しいね。聞いたよ、君、ここで相当ヤンチャしてるそうじゃない? それに付き合わされる人の身も考えなさい!」
私と同じ景色を見ながらバテていた。
そのお言葉、さっきの君にお返しするよとばかりにジト目でかえしておく。
しかしやっぱり無理だったか。呼吸系のスキルなしでマナの大木に登らせるのは……どざえもんさんですら垂直移動持ってなくてアレでしたし。
「探偵さんならいけるとおもってたんですが」
「無茶言わないで! スキルの育ってる君と比べられちゃ敵わないよ。戦闘にだったらいくらでも付き合うから」
「じゃあそれで」
「すこぶる不服そうだね?」
「気のせいですよ。頼りにさせて貰ってます。ちなみに私はここから落ちても死なないけど、探偵さんはどうです?」
「ここから大地へショートカットさせようと言うのかね、君は」
「はっはっは。冗談ですよ」
少し舌打ちしまして、永井君の手伝いました。
スタミナをすこぶる消費したであろう彼は、街に戻るなりマンゴードリンクを飲み干していました。
やっぱり彼はマリンと似たような動き回るタイプみたいだ。
永井君の回復を待ちながら私は、ランクをEからDまで上げるのに全力を出すのだった。
チェインアタックを意識したらあっという間だったよ。
永井君もノリノリで蹴り飛ばしてたしね。
家族やマリンが今の彼を見たらどう思うだろう?
だって彼、役に入り込みすぎると興奮しだす変人ですし。
さて、今日の私のログインもこれでおしまい。
明日は久しぶりにジキンさんでも誘って桜町の朝の散歩もしてもいいかな?
そんな風に考えながらログアウトする。
永井君の参入でますます私のAWO生活に張りが出てきたぞぉ!
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