【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

文字の大きさ
123 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

105.お爺ちゃんと孫⑦


 攻撃手段は概ね割れた。
 天井の影を集めての全体攻撃は、基本的に大ダメージを与えた後に行われる。
 通常攻撃は基本的に二種類。

 凝視攻撃と対象を絞っての圧縮した乱打(最大4人)

 凝視攻撃はスキルツリーを閲覧され、自身に不利なものがあるとヘイトを剥がし、そのターンは攻撃をしなくなるというものだ。だが次のターンには普通に手を出されていることから、忘れっぽいものだと思われる。
 乱打は序盤に打ち込まれた影の拳。
 これらを弾く、または打ち消す事でエネミーにダメージが入る仕組みだ。
 撃ち漏らした場合は壁を伝って天井に帰っていくことから、これらが唯一向こうへダメージを通す手段の一つだった。

 その他には近づいての光魔法(今回は巻物)が一番効果的だろうか?
 ただし高確率でカウンターを貰う。
 それが影を薄くさせてのバインドタッチだ。
 私が初見に食らった攻撃だね。
 当初は取り込まれるものだと思ったけど、そうじゃなかったみたいだ。
 私が一度それを喰らい、それで1ターン行動を停止させられた。

 食らったのが私じゃ無ければとっくにパーティは崩壊していた事だろう。
 私はダメージソースになり得ないからね。
 巻物を使うよりも、乱打を確実に打ち消す方が相手へのダメージが多いんだ。だから最初こそ検証のために動いたが、無理をする必要はないとわかってからはサポートに回ることにした。
 凝視攻撃の時、前に出る役目だ。
 ちなみにスルーされない場合、次に繰り出される乱打攻撃が一点集中型になる。
 これをされると非常に厄介で、対応できるのは霊装を纏ったマリンだけだった。
 ジキンさんはもとより、オクト君やケンタ君、金狼氏は手も足も出ないと受け切ったマリンを見て溢す。
 流石はスピードタイプだと称賛を受けていた。それほどの速射で飛んでくる。
 
 あとは作業のようにダメージを与えていくだけだ。
 長期戦になるが、種が割れてしまえば怖いものは何もない。
 途中何かエネミーが叫んでいたが、特に欲しい情報ではなかったので倒してしまう。

 戦闘時間は1時間以上。
 フィニッシュはジキンさんが与えた。
 ほぼ死体殴りに近いものだったが、面目躍如は果たしたと満足気味だ。
 
 今回に至っては、メンバーが誰か一人でも掛けていたらクリアは難しかっただろう。

 金狼氏は元より、ケンタ君、オクト君、マリンはダメージソースになっていた。
 ジキンさんは息子さんやお孫さんの焚き付け役として存在し、私は結局何もしてない。憶測を空振りしまくっただけ。

 そう言おうとしたら全員からジト目で見られた。
 酷いなぁ。結局『影踏み』の使い所はなかったんだから、活躍してないも一緒じゃないか。



 結局今回は何も得られずに終わったか。
 そんな風に思っていると、戦闘フィールドの壁の一部が壊れて、奥へ続く竪穴となった。

 奥には小さな小部屋。
 パーティメンバーにはそれぞれアナウンスが聞こえ、私には聞こえなかった。

 何か得られた?
 でも私にはそれらしいものは……いや、その小部屋そのものにスクリーンショットが反応する。


『門は開かれた。旅人よ、我が一族の秘宝を求めし者よ。これより道のりはより過酷を極める。ゆめゆめ忘れることなかれ』


 ただの忠告だった。
 ──だが同時に耳元へアナウンスがなる。


 ポーン!
[真シークレットクエスト:古代人の行方(空)を開始しますか?]
 YES/NO



「これは……」

「どうした、爺ちゃん?」


 様子のおかしい私にケンタ君が話しかけてくる。
 果たしてこれに別ギルドの彼を巻き込んでしまっていいものだろうか?


「……いや、なんでもない」

「怪しいなー、その顔は自分だけユニークなスキル当てたって顔だぜ?」


 ズバリと言い当てられた。
 やはりジキンさんの一族。鋭い!


「ハヤテさん、またシークレットクエストでも踏み抜いたんですか?」

「なんでこの人はバラすんだろうね」

「いや、明らかにキョドりすぎですもん。そんなもの、僕じゃなくたって見抜くに決まってる」


 ジキンさんは流石に見抜いてくるよね。というか私はキョドってないよ、相変わらず失礼な人だな。


「お義父さん、また爆弾情報の類ですか?」

「まぁ、そうだね。古代人の行方って真シークレットクエストが出た。しかも空限定だ。誰か一緒に進めてくれる人」


 挙手を求めるように聞いたら全員が一斉に知らん顔をする。
 首をそらして聞こえないフリをされたのだ。


「酷いんだ。聞いておいて、話したら無視するなんて」

「いや、ユニークも大概にしろってレベルだったし、それって一度固定組んだら終わるまで出らんねぇ奴だろ? その場のノリで決めていいもんじゃねぇよ」


 若いのになかなかしっかりしてる子だね。


「お爺ちゃん、ケンタ君の反応は普通だから。私だって聞かれたら悩むよ?」

「そうなの? じゃあ即答してくれたスズキさんは太っ腹だったんだね」

「まって、今何て?」

「スズキさん?」


 マリンの質問になんのことだろうと首を横に倒す。全く該当案件が出てこない。


「いやいや、そこじゃなくて。前にも受けたことあるの? その類のクエスト」


 マリンの声がいつにも増して真に迫っていて怖い。


「うん。それこそファストリアの地下水路の奥でね。ちなみに私が古代語を読めるのはそのクエストを達成したからだよ。スズキさんは残念ながら該当者に選ばれなかったけど、付き合ってくれて嬉しかったなぁ」

「待ってください、お義父さん。それってもしかしなくても、あの未来兵器群の入手先ですか?」


 未来兵器?
 ああ、なんかすごいの貰ったよね。
 結局私は丸投げして落ちてしまったが、あの後オクト君が上手いこと処理してくれたと聞いてるから知っていても当たり前か。
 

「うん、そうだよ」

「そういうことは先に言ってくださいよ。僕たち『精錬の騎士』はいつでも協力しますよ?」

「俺たち『漆黒の帝』もだ。だよな、ケンタ?」

「そんな簡単に乗って大丈夫なのかよ、親父ぃ」

「馬鹿野郎、こいつに乗り損ねたら俺は悔し涙で枕を濡らすぞ?」

「ここまで必死な親父は初めて見るぜ」

「そうかな? こいつは昔っからこういう奴だぞ? 普段大物ぶってる癖して妙なところでケチくさいんだ」

「じいじが言うと説得力があるぜ」

「はっはっは。ケンタはこういう大人になるなよ?」

「頼まれたって遠慮願うよ」


 うぇって顔をしながら今まで慕っていた父親を見つめる息子。
 代わりに信頼を得たジキンさんは嬉しそうだ。


「お爺ちゃん、私は出来ることなら手伝いたいけど、まだ遠慮したいかな」

「無理はしなくていいよ。行きたい人たちで行ってくるから、マリンは自分の冒険を優先させなさい」

「うん、ありがとう」


 まったく、現金な人達だね。
 まぁ協力してくれるっていうんだし、アテにしようか。

 帰り道はやけにあっさりと外に出た。
 小部屋の奥から戦闘フィールドに戻った筈なのに、なぜか入り口まで戻された。

 うん、まあゲームの仕様上そういうものなのだろうね。
 そう思うことにした。
感想 1,316

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無実の罪で謹慎中ですが、静かな暮らしが快適なので戻る気はありません

けろ
恋愛
王太子妃候補だった伯爵令嬢エレシア・ヴァレンティスは、ある日突然、身に覚えのない疑いをかけられ、婚約破棄と無期限謹慎を言い渡される。 外出禁止。職務停止。干渉禁止。 誰がどう見ても理不尽な処分――のはずだった。 けれどエレシアは、その命令を前にして気づいてしまう。 誰にも呼ばれない。誰にも期待されない。誰にも干渉されない。 それは、前世で決して手に入らなかった“静かな時間”そのものだと。 こうして始まった、誰にも邪魔されない穏やかな謹慎生活。 一方その頃、彼女を切り捨てた王城では、思わぬ方向へ事態が転がり始めて――? これは、無実の罪で閉じ込められた令嬢が、皮肉にも理想の生活を手に入れてしまう物語。 叫ばず、争わず、ただ静かに距離を取ることで完成する、異色の婚約破棄ざまぁです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。