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3章 お爺ちゃんと古代の導き
105.お爺ちゃんと孫⑦
攻撃手段は概ね割れた。
天井の影を集めての全体攻撃は、基本的に大ダメージを与えた後に行われる。
通常攻撃は基本的に二種類。
凝視攻撃と対象を絞っての圧縮した乱打(最大4人)
凝視攻撃はスキルツリーを閲覧され、自身に不利なものがあるとヘイトを剥がし、そのターンは攻撃をしなくなるというものだ。だが次のターンには普通に手を出されていることから、忘れっぽいものだと思われる。
乱打は序盤に打ち込まれた影の拳。
これらを弾く、または打ち消す事でエネミーにダメージが入る仕組みだ。
撃ち漏らした場合は壁を伝って天井に帰っていくことから、これらが唯一向こうへダメージを通す手段の一つだった。
その他には近づいての光魔法(今回は巻物)が一番効果的だろうか?
ただし高確率でカウンターを貰う。
それが影を薄くさせてのバインドタッチだ。
私が初見に食らった攻撃だね。
当初は取り込まれるものだと思ったけど、そうじゃなかったみたいだ。
私が一度それを喰らい、それで1ターン行動を停止させられた。
食らったのが私じゃ無ければとっくにパーティは崩壊していた事だろう。
私はダメージソースになり得ないからね。
巻物を使うよりも、乱打を確実に打ち消す方が相手へのダメージが多いんだ。だから最初こそ検証のために動いたが、無理をする必要はないとわかってからはサポートに回ることにした。
凝視攻撃の時、前に出る役目だ。
ちなみにスルーされない場合、次に繰り出される乱打攻撃が一点集中型になる。
これをされると非常に厄介で、対応できるのは霊装を纏ったマリンだけだった。
ジキンさんはもとより、オクト君やケンタ君、金狼氏は手も足も出ないと受け切ったマリンを見て溢す。
流石はスピードタイプだと称賛を受けていた。それほどの速射で飛んでくる。
あとは作業のようにダメージを与えていくだけだ。
長期戦になるが、種が割れてしまえば怖いものは何もない。
途中何かエネミーが叫んでいたが、特に欲しい情報ではなかったので倒してしまう。
戦闘時間は1時間以上。
フィニッシュはジキンさんが与えた。
ほぼ死体殴りに近いものだったが、面目躍如は果たしたと満足気味だ。
今回に至っては、メンバーが誰か一人でも掛けていたらクリアは難しかっただろう。
金狼氏は元より、ケンタ君、オクト君、マリンはダメージソースになっていた。
ジキンさんは息子さんやお孫さんの焚き付け役として存在し、私は結局何もしてない。憶測を空振りしまくっただけ。
そう言おうとしたら全員からジト目で見られた。
酷いなぁ。結局『影踏み』の使い所はなかったんだから、活躍してないも一緒じゃないか。
結局今回は何も得られずに終わったか。
そんな風に思っていると、戦闘フィールドの壁の一部が壊れて、奥へ続く竪穴となった。
奥には小さな小部屋。
パーティメンバーにはそれぞれアナウンスが聞こえ、私には聞こえなかった。
何か得られた?
でも私にはそれらしいものは……いや、その小部屋そのものにスクリーンショットが反応する。
『門は開かれた。旅人よ、我が一族の秘宝を求めし者よ。これより道のりはより過酷を極める。ゆめゆめ忘れることなかれ』
ただの忠告だった。
──だが同時に耳元へアナウンスがなる。
ポーン!
[真シークレットクエスト:古代人の行方(空)を開始しますか?]
YES/NO
「これは……」
「どうした、爺ちゃん?」
様子のおかしい私にケンタ君が話しかけてくる。
果たしてこれに別ギルドの彼を巻き込んでしまっていいものだろうか?
「……いや、なんでもない」
「怪しいなー、その顔は自分だけユニークなスキル当てたって顔だぜ?」
ズバリと言い当てられた。
やはりジキンさんの一族。鋭い!
「ハヤテさん、またシークレットクエストでも踏み抜いたんですか?」
「なんでこの人はバラすんだろうね」
「いや、明らかにキョドりすぎですもん。そんなもの、僕じゃなくたって見抜くに決まってる」
ジキンさんは流石に見抜いてくるよね。というか私はキョドってないよ、相変わらず失礼な人だな。
「お義父さん、また爆弾情報の類ですか?」
「まぁ、そうだね。古代人の行方って真シークレットクエストが出た。しかも空限定だ。誰か一緒に進めてくれる人」
挙手を求めるように聞いたら全員が一斉に知らん顔をする。
首をそらして聞こえないフリをされたのだ。
「酷いんだ。聞いておいて、話したら無視するなんて」
「いや、ユニークも大概にしろってレベルだったし、それって一度固定組んだら終わるまで出らんねぇ奴だろ? その場のノリで決めていいもんじゃねぇよ」
若いのになかなかしっかりしてる子だね。
「お爺ちゃん、ケンタ君の反応は普通だから。私だって聞かれたら悩むよ?」
「そうなの? じゃあ即答してくれたスズキさんは太っ腹だったんだね」
「まって、今何て?」
「スズキさん?」
マリンの質問になんのことだろうと首を横に倒す。全く該当案件が出てこない。
「いやいや、そこじゃなくて。前にも受けたことあるの? その類のクエスト」
マリンの声がいつにも増して真に迫っていて怖い。
「うん。それこそファストリアの地下水路の奥でね。ちなみに私が古代語を読めるのはそのクエストを達成したからだよ。スズキさんは残念ながら該当者に選ばれなかったけど、付き合ってくれて嬉しかったなぁ」
「待ってください、お義父さん。それってもしかしなくても、あの未来兵器群の入手先ですか?」
未来兵器?
ああ、なんかすごいの貰ったよね。
結局私は丸投げして落ちてしまったが、あの後オクト君が上手いこと処理してくれたと聞いてるから知っていても当たり前か。
「うん、そうだよ」
「そういうことは先に言ってくださいよ。僕たち『精錬の騎士』はいつでも協力しますよ?」
「俺たち『漆黒の帝』もだ。だよな、ケンタ?」
「そんな簡単に乗って大丈夫なのかよ、親父ぃ」
「馬鹿野郎、こいつに乗り損ねたら俺は悔し涙で枕を濡らすぞ?」
「ここまで必死な親父は初めて見るぜ」
「そうかな? こいつは昔っからこういう奴だぞ? 普段大物ぶってる癖して妙なところでケチくさいんだ」
「じいじが言うと説得力があるぜ」
「はっはっは。ケンタはこういう大人になるなよ?」
「頼まれたって遠慮願うよ」
うぇって顔をしながら今まで慕っていた父親を見つめる息子。
代わりに信頼を得たジキンさんは嬉しそうだ。
「お爺ちゃん、私は出来ることなら手伝いたいけど、まだ遠慮したいかな」
「無理はしなくていいよ。行きたい人たちで行ってくるから、マリンは自分の冒険を優先させなさい」
「うん、ありがとう」
まったく、現金な人達だね。
まぁ協力してくれるっていうんだし、アテにしようか。
帰り道はやけにあっさりと外に出た。
小部屋の奥から戦闘フィールドに戻った筈なのに、なぜか入り口まで戻された。
うん、まあゲームの仕様上そういうものなのだろうね。
そう思うことにした。
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