167 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き
144.お爺ちゃんと秘境探索
しおりを挟む
「くらいなさい、フラッシュ!」
ジキンさんが構えたオモチャの銃口から極光が溢れ出し、動き出したシャドウ型が一斉に怯んだ。それを私が影踏みで固めてる間にスズキさんの繰り出した槍が右足で踏んでいた個体を、左足で踏み固めていた個体を探偵さんの拳が打ち貫いた。
「なんだかんだ有能だよね、少年」
「ですです。シャドウ型は魔法か魔法付与以外で倒すのは難しいと聞いてたんですけど」
「現に私はジキンさんと倒してる訳ですが?」
「そう言えばそうでした。アレ?」
「実は影踏みって言っておきながら手で触れても固められたりして?」
「それは試してませんでした。試す価値はありそうだ」
「ちょっとぉ、ここは僕の腕の見せ所なんですけどぉ?」
躍り出る私と追撃する探偵さんとスズキさん。後ろの方で何やらジキンさんがぼやいてますが無視無視。
その結果、面白い検証が確認できていた。
「やばいですね、これ」
「うん。まさかフェイク★で生み出した分身にも本人と同様のパッシヴが乗るとは……少年に限って言えばこのフェイク★ってとんでもなく有能なのでは?」
そうなのだ。使いどころの分からないフェイク★を使ってヘイトを集めつつ、シャドウ型/ハウンドを右手左手左足でヤケクソ気味に固定したら普通に撃破出来てしまった。
完全に尻尾をだらんと垂らしてやる気を失ったジキンさんが見てられないくらいに落ち込んでいる。元気出してくださいよ、気持ち悪い。落ち込んでるジキンさんなんてらしくないですよ?
それに出番を奪ったなんて人聞きが悪過ぎる。むしろ自分の物理攻撃の出番を増やしてあげたんだと言ったら立ち直った。
やっぱり演技だったかとみんなで笑い合う。
「とは言ってもフェイク★はあと二回しか使えませんし、巻物があるだけ活躍の機会があるジキンさんの出番がなくなることはないんですよね」
「そう言えばそうだった。なんで僕は落ち込んでたんだろう」
「ハヤテさんて行動が煽りに近いので、それでじゃないですか? 僕もハヤテさんを見習ってあれこれ試行錯誤してるうちにどんどん前にいかれて焦っちゃうことよくありますもん」
ジキンさんの独り言にスズキさんが合わせてあげていた。その優しさが余計にこの人を調子付けるんですけどね。
まあ放っといてうじうじされても迷惑ですのでナイスと言っておきましょうか。
「シャドウ型の対策はなんとかなったけど、いったいこの地域は何なんだろうね」
「それを紐解くのが君のスキルにあると思っているんだけど?」
「古代語ですか?」
「うん。誰も知らない密林に、エネミーの巣窟。絶対何か隠されてるって探偵の勘がビンビン疼くんだよ」
探偵さんはそう言うけど、別に探偵じゃなくっても解明できそうな勘ですよね。
「サブマスターは何か嗅ぎ取れませんか? こう、匂いで」
「そうやって僕を犬扱いする」
「犬のじいじは犬だよ? 大丈夫? ボケてない?」
「いちいちあなたは癪に触る言い方をしますね!」
さっき慰めていたものとは思えない煽り。これにはジキンさんも堪らず反論し出す。なんだかんだと仲が良い証拠です。
「冗談はさておき、お客さんが現れましたよ」
「え、どこです?」
スズキさんは気づいて無かったか。
私の目視にはありありと写っているのに。
もしかしてとスクリーンショットを構えて、切り取ると突如として巨体が私たちの眼前に現れた。
[シャドウ型/ジャイアントの情報を獲得しました]
耐久:10000/10000
戦闘行動:???、???、???
弱点:???
特効:光属性
状態:隠密
「ジキンさん、フラッシュをお願いします!」
「言われなくともセットしてます」
抜き打ちしながら放つフラッシュの巻物だったが、大した足止めもできずに影の巨人は動きだす。
ここに来てから戦闘フィールドに入る描写が無いからおかしいとはずっと思っていた。もしかしたらここって……ずっと戦闘フィールドだった?
エネミーが尽きない限り終わることのない戦闘フィールド。
この謎がどこに由来してるか判明しない限り、私達が生きて帰れる事は無いだろう。
散り散りに散会しつつ、巨人の攻撃を回避していく。
ミラージュの尽きた私とジキンさんはフラッシュと影踏みを駆使しながら巨人達にダメージを与えていく方針で動いている。
それでも驚異の耐久力に私達はなす術もなく全滅した。
そして全員で話し合った結果、時期尚早である事を確信してそのままログアウトした。
ジキンさんが構えたオモチャの銃口から極光が溢れ出し、動き出したシャドウ型が一斉に怯んだ。それを私が影踏みで固めてる間にスズキさんの繰り出した槍が右足で踏んでいた個体を、左足で踏み固めていた個体を探偵さんの拳が打ち貫いた。
「なんだかんだ有能だよね、少年」
「ですです。シャドウ型は魔法か魔法付与以外で倒すのは難しいと聞いてたんですけど」
「現に私はジキンさんと倒してる訳ですが?」
「そう言えばそうでした。アレ?」
「実は影踏みって言っておきながら手で触れても固められたりして?」
「それは試してませんでした。試す価値はありそうだ」
「ちょっとぉ、ここは僕の腕の見せ所なんですけどぉ?」
躍り出る私と追撃する探偵さんとスズキさん。後ろの方で何やらジキンさんがぼやいてますが無視無視。
その結果、面白い検証が確認できていた。
「やばいですね、これ」
「うん。まさかフェイク★で生み出した分身にも本人と同様のパッシヴが乗るとは……少年に限って言えばこのフェイク★ってとんでもなく有能なのでは?」
そうなのだ。使いどころの分からないフェイク★を使ってヘイトを集めつつ、シャドウ型/ハウンドを右手左手左足でヤケクソ気味に固定したら普通に撃破出来てしまった。
完全に尻尾をだらんと垂らしてやる気を失ったジキンさんが見てられないくらいに落ち込んでいる。元気出してくださいよ、気持ち悪い。落ち込んでるジキンさんなんてらしくないですよ?
それに出番を奪ったなんて人聞きが悪過ぎる。むしろ自分の物理攻撃の出番を増やしてあげたんだと言ったら立ち直った。
やっぱり演技だったかとみんなで笑い合う。
「とは言ってもフェイク★はあと二回しか使えませんし、巻物があるだけ活躍の機会があるジキンさんの出番がなくなることはないんですよね」
「そう言えばそうだった。なんで僕は落ち込んでたんだろう」
「ハヤテさんて行動が煽りに近いので、それでじゃないですか? 僕もハヤテさんを見習ってあれこれ試行錯誤してるうちにどんどん前にいかれて焦っちゃうことよくありますもん」
ジキンさんの独り言にスズキさんが合わせてあげていた。その優しさが余計にこの人を調子付けるんですけどね。
まあ放っといてうじうじされても迷惑ですのでナイスと言っておきましょうか。
「シャドウ型の対策はなんとかなったけど、いったいこの地域は何なんだろうね」
「それを紐解くのが君のスキルにあると思っているんだけど?」
「古代語ですか?」
「うん。誰も知らない密林に、エネミーの巣窟。絶対何か隠されてるって探偵の勘がビンビン疼くんだよ」
探偵さんはそう言うけど、別に探偵じゃなくっても解明できそうな勘ですよね。
「サブマスターは何か嗅ぎ取れませんか? こう、匂いで」
「そうやって僕を犬扱いする」
「犬のじいじは犬だよ? 大丈夫? ボケてない?」
「いちいちあなたは癪に触る言い方をしますね!」
さっき慰めていたものとは思えない煽り。これにはジキンさんも堪らず反論し出す。なんだかんだと仲が良い証拠です。
「冗談はさておき、お客さんが現れましたよ」
「え、どこです?」
スズキさんは気づいて無かったか。
私の目視にはありありと写っているのに。
もしかしてとスクリーンショットを構えて、切り取ると突如として巨体が私たちの眼前に現れた。
[シャドウ型/ジャイアントの情報を獲得しました]
耐久:10000/10000
戦闘行動:???、???、???
弱点:???
特効:光属性
状態:隠密
「ジキンさん、フラッシュをお願いします!」
「言われなくともセットしてます」
抜き打ちしながら放つフラッシュの巻物だったが、大した足止めもできずに影の巨人は動きだす。
ここに来てから戦闘フィールドに入る描写が無いからおかしいとはずっと思っていた。もしかしたらここって……ずっと戦闘フィールドだった?
エネミーが尽きない限り終わることのない戦闘フィールド。
この謎がどこに由来してるか判明しない限り、私達が生きて帰れる事は無いだろう。
散り散りに散会しつつ、巨人の攻撃を回避していく。
ミラージュの尽きた私とジキンさんはフラッシュと影踏みを駆使しながら巨人達にダメージを与えていく方針で動いている。
それでも驚異の耐久力に私達はなす術もなく全滅した。
そして全員で話し合った結果、時期尚早である事を確信してそのままログアウトした。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる