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3章 お爺ちゃんと古代の導き
167.お爺ちゃんと影の大地②
あれから二つの影の箱を見つけた。
マップを確認してみる限り、どうも法則があるのではないかと発見する。じゃあ次はここら辺かなと言うところで行く手を遮られた。どうも戦闘区域に差し掛かってしまったらしい。
「アキカゼさん、そっちに行ったのを任せても?」
「任されても困るけどね。時間稼ぎくらいはしておくよ」
まるで影の箱を守るように現れた影の巨体の掌がこちらに迫る。私はその影を踏み固め、探偵さんの真似事をするように拳に光を集めて放つ。
『ギィイイイイ!?』
[耐久:9000/10000]
おや通じた。耐久も減ってるあたり、陽光操作は影のエネミーに特攻のようだ。ならばこういうのはどうだろうか?
重力操作で体重を増やし、地上に降りると同時に足元をくぐり、天井に向かって体全体から光を放つ。
すると影の巨体はみるみると体積を縮めて行き、やがて耐久を0まで減らした。
意外といけるもんだ。
立ち上がって足元を払っていると、先ほど声かけしてきたリーガル氏が駆け寄ってくる。
「アキカゼさん、時間稼ぎどころか普通に倒せるじゃないか」
「それはどうも。ところでリーガル氏。先ほどの個体の動き、どこかおかしくなかった?」
確かに戦闘区域に入ったのは私のミス。
けれど急に一匹だけ私の方に来た。それも影の箱を調べていると同時に。偶然にしたってタイミングが良すぎるよね。
そこでリーガル氏と一緒にこちらへやってきた作戦隊長が困ったように声を上げた。
「ウチのヘイト部隊は優秀なのですが、突然一匹だけ剥がれて困惑してましたよ。そこにアキカゼさんがいる物だから、そこに優先すべき何かがあるんじゃとはこちら側の見解ですね」
「あなたは?」
「ウチの部隊長の一人だ」
「リースキンと言います。以後お見知り置きを」
丁寧にお辞儀をして見せた彼は狐耳を生やしたハーフビーストだ。リーガル氏も白虎だし、ビースト系統のクランなだろうか?
しかしメンバーの中には人間も混ざってるし、そういうわけでもなさそうだ。
話を聞けば、ビースト系は感知に優れているので戦闘をメインにしたクランは多くのプレイヤーがビースト系で固まっているのだとか。けれどそれだけというわけにもいかず、適材適所で分けている。今回は探索班と戦闘班を派遣し、データ解析班は本拠地に置いてきたらしい。
在籍人数が多いクランの悩みは移動手段の確保だと聞く。
そう聞くとクランを大きくしすぎるのも大変なのだなと思った。リースキン氏に挨拶を交わしつつ本題へ。
「ならば私がデータベースに送った画像が役に立つかもしれません。一度そちらを開いていただいて構いませんか?」
「先程確認しました。確か影が詰め込まれた箱でしたっけ?」
「はい」
「今確認した。各部隊長に連絡を取ったが未確認とのことだ。アキカゼさん、これはなんだ?」
「それは私にもまだ解析出来てません。ですがこれらにはナビゲートフェアリーが反応します」
「ふむ。つまり妖精関連か。しかしヒントにしては謎が多い」
「私もさっぱりなんですよね。けれどこれは規則的に並べられてる気がする……と思って予測をつけて足を運んだら」
「さっきの巨人が反応したと?」
「はい」
「そりゃ怪しいな。リースキン、お前はどう思う?」
部隊長と呼ばれるだけあり、リースキン氏は少し考える素振りをし、一つ頷いて口を開いた。
「十中八九、中心に何か封印されてますね。あの巨人はその守護者でしょう」
「守護者か。道理で無駄に耐久多いわけだ。倒せるが消耗もでかいし数で押されると厄介だな」
「その上時間経過で復活します。影ですからね、その影を増幅する装置があの箱かもしれません」
「うーむ」
やり取りを聞いててなるほどなと思う。
「するとこれは封印と共に影の巨人を生み出す装置なのか。壊したらまずいですかね?」
「どっちにしろ壊すだろうが、今はやめて欲しいというのがこちらの総意だ」
「分かりました。取り敢えず私は箱の位置特定に専念します」
「頼む。それと余力があれば戦闘にも加わってくれ」
「分かりました」
にこやかに会釈をして私はリーガル氏と別れて闇の中へと躍り出る。
そこで数匹のエネミーを陽光操作★で討伐していく。
基本的にミラージュ★でLPを犠牲にして懐に飛び込んで突き込んだ拳の先で発光させたら大体倒せた。
コツさえ掴めば倒すのは容易だけど、逃げれるなら極力逃げて、最後の一つの影の箱を見つける。
マップを開いて箱の位置を確認すると、どうも六芒星を模したような、正三角形に逆三角形を合わせた形である。
リースキン氏曰く、中心に何かが封印されていると言う。
私の興味はまっすぐとその場所に吸い寄せられ、しかしその場所にはどうやってもいけないことに気がついた
見えない壁によって足止めされているのだ。
そしてそこへ行こうとすると高確率で影の巨人に察知された。
一度リーガル氏と合流しようかと思ったところで、私は少しおかしなものを見つけた。
「……これは?」
それはあの影が詰まっていた箱。
しかしその箱には一切影が入っていなかった。
どうして?
そこで私は先程巨人を光で葬ったのを思い出す。
……もしかしてこの箱、徘徊してる巨人の数と連動してる?
私は即座にリーガル氏に連絡を取り、合流するべく動き出す。
もしあの箱の封印を解く鍵が徘徊している巨人の同時撃破であるならば、各個撃破は時間の無駄でしかない。
しかし個体をどうやって割り出すか。
出てない謎は未だたくさんあった。
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