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【モミジの章②】ゲーム内生活13日目【AWO、WBO】配信1日目
143_WBO配信!_レアレシピ
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「お嬢ちゃん、待たせたね。アルミホイル、なんとかなったよ」
「本当ですか?」
「ああ、女神様の思し召しだ。きっとお嬢ちゃんにレアレシピを作って欲しいんだろうね。呼びかけたら簡単に集まったよ。さぁ、これを使っておくれ」
「ありがとうございます!」
:俺、こんな状況初めて見たかも
:ワイも
:でも足りないのってホイルだけなん?
:ドジョウだよね?
:臭み消える?
「まずはレシピ通りやってみます。アレンジができるんならその時は色々試しましょうか! まずは皮を剥ぎますか!」
手順に沿って皮を剥いでいく。
まだほんのりと臭みはあるが、きっと薬味と一緒に蒸し焼きにすることで、極上の出汁が出るのかもしれない。
アルミホイルを大きく敷いて、その上に具材と一緒にヌシを乗せる。あとは窯の中で火加減を間違えないようにすれば……
「できたぁ!」
「いい匂い!」
「私はドジョウはちょっと」
「あはは、私も少し味の想像がつかないや。でもヌシ一つで10個作れるので最高品質が出るまでやるよ!」
「えー」
:まぁ食い付けないものは遠慮しちゃうよな
:でもレアレシピだろ?
:珍味の意味かもしれねーぜ?
:ああ、そういうのか
:まだヌシを釣ったことないからわかんねーな
「味が気になるリスナーさんのために! 次のファンサービスはこのヌシのホイル焼きを提供しますねー」
:おい、食いたくないからってこっちに回すな
:俺ら都合のいい残飯係になってる?
:いや、めちゃくちゃ旨いかも知んねーだろ?
:俺は蒸し焼きにした程度で臭みが消えるなんて信じてねーからな?
:草
:みんな疑心暗鬼やん
合計10回。
作ることでマスターするが、最高品質は出なかった。
仕方なく10人前のファンサービスを開始。
合間に釣りに行ってはヌシを釣り上げ、その度に鳥の唐揚げを作ること数回。
ようやく私は最高品質のヌシのホイル焼きを完成させた。
思いの外、ファンサービスの売れ行きは好調だった。
想像以上に上品な味わいで、臭みは全くなく。
舌平目のムニエルを彷彿させる味わいと言われて、俄然食べたくなってくるが、ここは我慢だ。
「女神様の計らいで最上級品を完成させることができました。多くのプレイヤーと共に作り上げることができましたこの一品、どうぞお納めくださいませ」
ほんのりと黄金色に光るホイル焼きは、淡い光と共に消えた。
そして加算されるポイント。
たった一個で200pt
称号効果で4倍あるとはいえ、破格のポイントだ。
「ハヤテ、女神様喜んでくれた?」
「なんかこれ一個で200pt貰っちゃった」
「つまり?」
「称号無しでも50ptは固い」
「皆さーん! 朗報ですよー」
:レアレシピの最高品質は最低でも50ptか
:知ってはいたが、今回は生産プレイヤー向けのイベントだな
:それでも上位クランはバンバン稼いでるぞ
:街を複数行き来できるクランは強いな
:始まりの街から遠ければ遠いほど、固定お祈りポイントは高いって情報でたからな
:それでもハヤテちゃんが独走してるの笑う
「ハヤテ、あたしたちも食べたい」
「はいはい。品質は低いけど、高評価のホイル焼きだよ」
「もう匂いだけでご飯おかわりできちゃう!」
「最初はそこまででもなかったけど、この匂いは無性にお腹すくね」
最初はどこか乗り気ではなかったお姉ちゃんとリノちゃん。
しかしリスナーからの反応は上場で、出すたびに秒で売れることから、実は美味しいのでは? と思い至ったようだ。
まぁ匂いはすごい美味しそうだったからね。
早速アルミホイルを解くと、中からは黄金色のスープが溢れ出る。とろんとした身と、スープに溶け込んだ野菜の風味が最高にマッチしていた。
「あつっ、でもおいひい」
「はい、お水」
「ありがとう。何これ、一口食べたら止まらない」
「伊達にレアレシピじゃないよね」
「びっくりしちゃったよね。こんなに美味しいんだって」
:これは是が非でも釣り上げたいよな
:川沿いの街に人が溢れそうだな
:早速向かってる
:クラメン連れてきたけど、もう釣り場に人いっぱいや
:動き出し早いな
:多分購入してクラメンと一緒に食べたんだろ
:ああ
:あれはマジで美味かった
:そういえば食事の効果は?
「ああ、そういえば見てませんでした。えっと、30分間ST・EN・SP消費無しだそうです」
「神料理じゃん!」
「あれ、SPも?」
「多分、これは軽食でありながらもスープを合わせ持つからじゃない?」
「なるほど。なんかずっとこれだけでいい気がしてきた」
「それだとこの街から永遠に出られなくなりそうだね」
「それはちょっと困るかな?」
:とんでもねぇ効果の料理を格安で配布するな!
:あれっていくらで売られてたの?
:500ワンダー
:は?
:ヌシ単体でももっと高いぞ、きっと
:本当に見た目と味がつながらない料理だったし
:女神様が気を利かせてアルミホイル渡したのによー
:それを捨て値でなんて
「正直、始めたばかりで相場とかよくわかってないんですよね。それに、物々交換で素材を回収できたのもあって、感謝の値段でもありました」
:ああ、そういうね
:しかし価値を知った今では?
「うーん、難しいですね。でもこればかり作るわけじゃないですから。まだまだ、やってない料理もありますし」
「あたしたち、ハヤテの料理で稼ぐつもりはないんです」
「うん。美味しいもの食べられたらラッキーぐらいに思ってもらえたら」
「そこで、早速アレンジレシピに行こうと思います。オリジナルは500ワンダー。けどここから先は少し上乗せしていきたいかな?」
「たとえばこの味をどう変化させるつもりだ?」
リノちゃんパパの提案。
この昼間からお酒を飲んでるおじさんを唸らせる味変といえば?
「蒲焼にしてみようかなって」
「何が必要だ?」
ただの提案に、被せるような発言。
これは言えば買ってきてくれるという確かな信頼があった。
「お味噌汁も作りたいので、お味噌。そしてあったらみりん。あとは黒糖とか、あとは炭火などあれば」
「まぁツテを回れば揃うな。だが肝心なものが抜けてるぞ?」
「まさか、白米も?」
「ある。ずいぶん先の街だがな」
:おいおい、この柔らかい白身魚で蒲焼作るとかまじか?
:身崩れ起こすぞ?
:ホイル焼きが最適解だって!
:でもよ、もしそれが可能だったら
:俺も食ってみてぇなぁ!
「それまでは串打ちの練習として塩焼き仕込んでおきますので」
「超特急で仕入れてくる」
そう言って、ポータルを使ってどこかに行ってしまった。
「なんだかリノちゃんのお父さんを顎でっ使っちゃってごめんね?」
「いいよ。私もハヤちゃんのお料理楽しみだもん。でもお父さんがあんなに尻尾振って他人の言葉聞くのって珍しいかな?」
「そうなの?」
前世では多方面に尻尾振ってたように見えたけど。
リノちゃんの中では厳格な父親だったのかもね。
まぁ私にかかればこんなものさ。
「お魚はなんでも美味しそうに見えるのはなんでだろう」
「種族特性とか?」
「そういうの、よくわかんないんだよね。でも、玉ねぎはなんとなく避けちゃう」
「だからオニオンスープ選ばなかったんだ?」
「なんとなくね、これは体に合わないって直感で」
「そのスープはあたしが美味しくいただいたので大丈夫だよ」
「腕によりをかけて作っております。残ったらリスナーさんが飲んでくれるから、残しても大丈夫だよ」
:おい、俺たちに余物回そうとすんな
:なお、全部美味しかったです
:最安値みたいな価格で高級食品回ってくるのでありがたいやで
:普通に買った方が高いまであるんよ
「買ってきたぞ」
「ありがとうございます。あ、ここって炊飯釜ってありましたっけ?」
「必要なのはこれかい?」
ギルドマスターさんが奥からやってきた。
まるで女神様が私を監視しているみたいな気分に陥る。
「はい、それでOKです!」
先に魚の塩焼きをMasterしたら、ちょうど川魚の蒲焼のレシピが解放された。
こんな偶然あっていいの?
だが、疑わずに当たり前のものだと受け止めて串を打つ。
皮を剥がずに串を打つので多少のぬるつきは気になるが、炭火で炙ることでゆっくりとした火入れができた。
タレを塗るたびに、スープのような肉汁が炭火に垂れて火を起こす。ジュワ、パチパチと内側から油が弾けてそこに焦げ目を作った。
うなぎに比べて相当に身が柔らかいので、折り返すのも熟練の腕が必要だ。
周囲からの注目を受け、私は今までの経験を今に注ぎ込む。
「ヨシ!」
焼けた。
重箱なんて洒落た容器はない。
ではどうするか?
私の視界にはアルミホイル。
私はご飯でおむすびを作り上げた。
その具材に、ヌシの蒲焼を挟み込む。
「おじさん、どうぞ」
「もっと豪快に掻き込みたかったが」
ペロリと指を舐め、受け取ったおむすびに齧り付く。
アルミホイルに巻かれてることにより、溢れる肉汁がホイルの中にとどまる計算だ。
タレと肉汁が混ざった白飯は蒲焼がなくてもそのまま食べられる。肉汁が多いのを見越して硬めに炊いておいたのも良かった。
「こいつはいいな。旅先でペロリと行ける。効果は何がつく?」
「これは完全に軽食ですので、EN・STへの回復ですが、レア素材を使ってますので30分間上限が倍になります」
「決まりだな、こいつを10個もらおうか」
:上限倍増ってそんなのあり?
:レアレシピだったらありうるが
:アレンジってそこまで重宝されてなかったはず
:なんか俺たち、今歴史的瞬間を垣間見てるのかも?
:クラメンに召集かけた、レアレシピのアレンジを打ちらでも完成させるぞ!
:レアレシピはレアモンスター素材だからこそのレシピなんすよ
:通常エンカウントしないからこそのレアやで
:あ!
「今回は私の称号のおかげもありますからね。もしかしたら聖女の称号を取ったプレイヤーには同じレアドロップ倍加の恩恵はあるかもですし」
:上位10名、内にもチャンスはあるか?
:ハヤテちゃんを引っ張ってきた方が早いのは確か
「私はまだここで遊ぶって決めてないので」
「えー」
「もうここで遊ぶ気でいたよ?」
「まだ他のゲーム遊んでからね?」
:掲示板に情報書き込んできた
:ハヤテちゃんが暫定聖女扱いされてたやで
「あー、それはちょっと恥ずかしいですね」
恥ずかしさを紛らわすように、その後も蒲焼を作り続ける。
ヌシの蒲焼きでも、なぜかマスターをとれてしまったので、それはそのまま商品化した。
一個2000ワンダーでも飛ぶように売れた。
私もニッコリ、お姉ちゃんの懐もニッコリ。
そしてこれ以上の続行は大きなトラブルに巻き込まれかねないということで、今日の配信はおしまいとした。
注目を集めるのが目的とはいえ。
ちょっと集めすぎちゃった気がしないでもない。
みんな鰻重好きだよね。
「本当ですか?」
「ああ、女神様の思し召しだ。きっとお嬢ちゃんにレアレシピを作って欲しいんだろうね。呼びかけたら簡単に集まったよ。さぁ、これを使っておくれ」
「ありがとうございます!」
:俺、こんな状況初めて見たかも
:ワイも
:でも足りないのってホイルだけなん?
:ドジョウだよね?
:臭み消える?
「まずはレシピ通りやってみます。アレンジができるんならその時は色々試しましょうか! まずは皮を剥ぎますか!」
手順に沿って皮を剥いでいく。
まだほんのりと臭みはあるが、きっと薬味と一緒に蒸し焼きにすることで、極上の出汁が出るのかもしれない。
アルミホイルを大きく敷いて、その上に具材と一緒にヌシを乗せる。あとは窯の中で火加減を間違えないようにすれば……
「できたぁ!」
「いい匂い!」
「私はドジョウはちょっと」
「あはは、私も少し味の想像がつかないや。でもヌシ一つで10個作れるので最高品質が出るまでやるよ!」
「えー」
:まぁ食い付けないものは遠慮しちゃうよな
:でもレアレシピだろ?
:珍味の意味かもしれねーぜ?
:ああ、そういうのか
:まだヌシを釣ったことないからわかんねーな
「味が気になるリスナーさんのために! 次のファンサービスはこのヌシのホイル焼きを提供しますねー」
:おい、食いたくないからってこっちに回すな
:俺ら都合のいい残飯係になってる?
:いや、めちゃくちゃ旨いかも知んねーだろ?
:俺は蒸し焼きにした程度で臭みが消えるなんて信じてねーからな?
:草
:みんな疑心暗鬼やん
合計10回。
作ることでマスターするが、最高品質は出なかった。
仕方なく10人前のファンサービスを開始。
合間に釣りに行ってはヌシを釣り上げ、その度に鳥の唐揚げを作ること数回。
ようやく私は最高品質のヌシのホイル焼きを完成させた。
思いの外、ファンサービスの売れ行きは好調だった。
想像以上に上品な味わいで、臭みは全くなく。
舌平目のムニエルを彷彿させる味わいと言われて、俄然食べたくなってくるが、ここは我慢だ。
「女神様の計らいで最上級品を完成させることができました。多くのプレイヤーと共に作り上げることができましたこの一品、どうぞお納めくださいませ」
ほんのりと黄金色に光るホイル焼きは、淡い光と共に消えた。
そして加算されるポイント。
たった一個で200pt
称号効果で4倍あるとはいえ、破格のポイントだ。
「ハヤテ、女神様喜んでくれた?」
「なんかこれ一個で200pt貰っちゃった」
「つまり?」
「称号無しでも50ptは固い」
「皆さーん! 朗報ですよー」
:レアレシピの最高品質は最低でも50ptか
:知ってはいたが、今回は生産プレイヤー向けのイベントだな
:それでも上位クランはバンバン稼いでるぞ
:街を複数行き来できるクランは強いな
:始まりの街から遠ければ遠いほど、固定お祈りポイントは高いって情報でたからな
:それでもハヤテちゃんが独走してるの笑う
「ハヤテ、あたしたちも食べたい」
「はいはい。品質は低いけど、高評価のホイル焼きだよ」
「もう匂いだけでご飯おかわりできちゃう!」
「最初はそこまででもなかったけど、この匂いは無性にお腹すくね」
最初はどこか乗り気ではなかったお姉ちゃんとリノちゃん。
しかしリスナーからの反応は上場で、出すたびに秒で売れることから、実は美味しいのでは? と思い至ったようだ。
まぁ匂いはすごい美味しそうだったからね。
早速アルミホイルを解くと、中からは黄金色のスープが溢れ出る。とろんとした身と、スープに溶け込んだ野菜の風味が最高にマッチしていた。
「あつっ、でもおいひい」
「はい、お水」
「ありがとう。何これ、一口食べたら止まらない」
「伊達にレアレシピじゃないよね」
「びっくりしちゃったよね。こんなに美味しいんだって」
:これは是が非でも釣り上げたいよな
:川沿いの街に人が溢れそうだな
:早速向かってる
:クラメン連れてきたけど、もう釣り場に人いっぱいや
:動き出し早いな
:多分購入してクラメンと一緒に食べたんだろ
:ああ
:あれはマジで美味かった
:そういえば食事の効果は?
「ああ、そういえば見てませんでした。えっと、30分間ST・EN・SP消費無しだそうです」
「神料理じゃん!」
「あれ、SPも?」
「多分、これは軽食でありながらもスープを合わせ持つからじゃない?」
「なるほど。なんかずっとこれだけでいい気がしてきた」
「それだとこの街から永遠に出られなくなりそうだね」
「それはちょっと困るかな?」
:とんでもねぇ効果の料理を格安で配布するな!
:あれっていくらで売られてたの?
:500ワンダー
:は?
:ヌシ単体でももっと高いぞ、きっと
:本当に見た目と味がつながらない料理だったし
:女神様が気を利かせてアルミホイル渡したのによー
:それを捨て値でなんて
「正直、始めたばかりで相場とかよくわかってないんですよね。それに、物々交換で素材を回収できたのもあって、感謝の値段でもありました」
:ああ、そういうね
:しかし価値を知った今では?
「うーん、難しいですね。でもこればかり作るわけじゃないですから。まだまだ、やってない料理もありますし」
「あたしたち、ハヤテの料理で稼ぐつもりはないんです」
「うん。美味しいもの食べられたらラッキーぐらいに思ってもらえたら」
「そこで、早速アレンジレシピに行こうと思います。オリジナルは500ワンダー。けどここから先は少し上乗せしていきたいかな?」
「たとえばこの味をどう変化させるつもりだ?」
リノちゃんパパの提案。
この昼間からお酒を飲んでるおじさんを唸らせる味変といえば?
「蒲焼にしてみようかなって」
「何が必要だ?」
ただの提案に、被せるような発言。
これは言えば買ってきてくれるという確かな信頼があった。
「お味噌汁も作りたいので、お味噌。そしてあったらみりん。あとは黒糖とか、あとは炭火などあれば」
「まぁツテを回れば揃うな。だが肝心なものが抜けてるぞ?」
「まさか、白米も?」
「ある。ずいぶん先の街だがな」
:おいおい、この柔らかい白身魚で蒲焼作るとかまじか?
:身崩れ起こすぞ?
:ホイル焼きが最適解だって!
:でもよ、もしそれが可能だったら
:俺も食ってみてぇなぁ!
「それまでは串打ちの練習として塩焼き仕込んでおきますので」
「超特急で仕入れてくる」
そう言って、ポータルを使ってどこかに行ってしまった。
「なんだかリノちゃんのお父さんを顎でっ使っちゃってごめんね?」
「いいよ。私もハヤちゃんのお料理楽しみだもん。でもお父さんがあんなに尻尾振って他人の言葉聞くのって珍しいかな?」
「そうなの?」
前世では多方面に尻尾振ってたように見えたけど。
リノちゃんの中では厳格な父親だったのかもね。
まぁ私にかかればこんなものさ。
「お魚はなんでも美味しそうに見えるのはなんでだろう」
「種族特性とか?」
「そういうの、よくわかんないんだよね。でも、玉ねぎはなんとなく避けちゃう」
「だからオニオンスープ選ばなかったんだ?」
「なんとなくね、これは体に合わないって直感で」
「そのスープはあたしが美味しくいただいたので大丈夫だよ」
「腕によりをかけて作っております。残ったらリスナーさんが飲んでくれるから、残しても大丈夫だよ」
:おい、俺たちに余物回そうとすんな
:なお、全部美味しかったです
:最安値みたいな価格で高級食品回ってくるのでありがたいやで
:普通に買った方が高いまであるんよ
「買ってきたぞ」
「ありがとうございます。あ、ここって炊飯釜ってありましたっけ?」
「必要なのはこれかい?」
ギルドマスターさんが奥からやってきた。
まるで女神様が私を監視しているみたいな気分に陥る。
「はい、それでOKです!」
先に魚の塩焼きをMasterしたら、ちょうど川魚の蒲焼のレシピが解放された。
こんな偶然あっていいの?
だが、疑わずに当たり前のものだと受け止めて串を打つ。
皮を剥がずに串を打つので多少のぬるつきは気になるが、炭火で炙ることでゆっくりとした火入れができた。
タレを塗るたびに、スープのような肉汁が炭火に垂れて火を起こす。ジュワ、パチパチと内側から油が弾けてそこに焦げ目を作った。
うなぎに比べて相当に身が柔らかいので、折り返すのも熟練の腕が必要だ。
周囲からの注目を受け、私は今までの経験を今に注ぎ込む。
「ヨシ!」
焼けた。
重箱なんて洒落た容器はない。
ではどうするか?
私の視界にはアルミホイル。
私はご飯でおむすびを作り上げた。
その具材に、ヌシの蒲焼を挟み込む。
「おじさん、どうぞ」
「もっと豪快に掻き込みたかったが」
ペロリと指を舐め、受け取ったおむすびに齧り付く。
アルミホイルに巻かれてることにより、溢れる肉汁がホイルの中にとどまる計算だ。
タレと肉汁が混ざった白飯は蒲焼がなくてもそのまま食べられる。肉汁が多いのを見越して硬めに炊いておいたのも良かった。
「こいつはいいな。旅先でペロリと行ける。効果は何がつく?」
「これは完全に軽食ですので、EN・STへの回復ですが、レア素材を使ってますので30分間上限が倍になります」
「決まりだな、こいつを10個もらおうか」
:上限倍増ってそんなのあり?
:レアレシピだったらありうるが
:アレンジってそこまで重宝されてなかったはず
:なんか俺たち、今歴史的瞬間を垣間見てるのかも?
:クラメンに召集かけた、レアレシピのアレンジを打ちらでも完成させるぞ!
:レアレシピはレアモンスター素材だからこそのレシピなんすよ
:通常エンカウントしないからこそのレアやで
:あ!
「今回は私の称号のおかげもありますからね。もしかしたら聖女の称号を取ったプレイヤーには同じレアドロップ倍加の恩恵はあるかもですし」
:上位10名、内にもチャンスはあるか?
:ハヤテちゃんを引っ張ってきた方が早いのは確か
「私はまだここで遊ぶって決めてないので」
「えー」
「もうここで遊ぶ気でいたよ?」
「まだ他のゲーム遊んでからね?」
:掲示板に情報書き込んできた
:ハヤテちゃんが暫定聖女扱いされてたやで
「あー、それはちょっと恥ずかしいですね」
恥ずかしさを紛らわすように、その後も蒲焼を作り続ける。
ヌシの蒲焼きでも、なぜかマスターをとれてしまったので、それはそのまま商品化した。
一個2000ワンダーでも飛ぶように売れた。
私もニッコリ、お姉ちゃんの懐もニッコリ。
そしてこれ以上の続行は大きなトラブルに巻き込まれかねないということで、今日の配信はおしまいとした。
注目を集めるのが目的とはいえ。
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