Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー

双葉 鳴

文字の大きさ
11 / 219
【ハヤテの章①】ゲーム内生活1〜8日目【AWO】

10_成長機会

しおりを挟む
 ===============================
【ハヤテ】
 性別:女       種族:ハーフマリナー
 陣営:??      職業:??
 聖魔:??      幻影:??
 LP:100% SP:100% ST:120% EN:100%

 <スキル骨子>
★持久力アップ:ST上限+20%

☆木登り補正 :木登り中ST消費ー10%【置き換え】
 ┗★錬金術 :アイテム制作・錬金成功率+10%
   採取  :薬草・樹液の獲得率+30%
   レシピ化:一度作った錬金アイテムを記憶
   抽出  :属性抽出・錬金成功率+10%
   調合  :レシピひらめき+10%・錬金成功率+10%

☆水泳補正  :水中内移動+5【置き換え】
 ┗★料理  :回復アイテム制作・料理成功率+10%
   収穫  :野菜・果実の獲得率+30%
   レシピ化:一度作った料理アイテムを記憶
   加工  :素材理解+10%・料理成功率+10%
   焼成  :料理理解+10%・レシピひらめき+20%

★低酸素内活動:空気の薄い場所でのST消費ー10%

★命中率アップ:命中・クリティカル+10%

 <称号>
 ファストリアの看板娘/NPCからの信頼+30%

 =================================


 ゲーム内でおおよそ一週間。
 リアルではまだ三日が過ぎたくらいで、ステータスの成長がこれくらいになる。
 基本的に街の外には出ていないのにこの成長よ。

 基本的に働いてるお店では野菜や果物を作った料理オンリー。
 というのも、肉や魚レシピを揃えると割高且つ入荷待ちまで時間を取られすぎるとかで。
 オープンまで時間と経費がかかりすぎるとのこと。
 なのでメニューの多さで勝負してるんだって。

 いや、お手頃なお値段で提供できてるだけで、十分凄まじいんだけど。
 比べるのも烏滸がましいが、できないなりに嫉妬を覚えるほどだよね。
 早く私もこれぐらい作れるようになりたいと思わせるのだ。


「今日もお疲れ様ー」

「お疲れ様です」

「お、今日も新レシピの開発かな?」

「はい。最近はレシピ開拓が楽しくて」

「わかるー」


 店長のシズラさんはずっとログインし続けてることに関して、色々察してくれる。
 私の親族関係者が大体やらかしている(過剰ログインやら抜け穴探しが得意な人たちから強い影響を受けている)と察してくれるのだ。

 まだ本当のことは言えないし、言うつもりもないけど。
 とっくに一般的プレイヤーではないことは見抜かれてるかもね。

 それはさておき、私が夢中になっているレシピ開拓。
 これがなかなか面白い。
 食材に対するアプローチ一つで全く違う料理になるのだ。

 どうして料理に精通してこなかったのか、過去の人生を悔やむほどの面白さを感じている。
 物事の夢中になるというのはこういうことを指すのだな、とこの歳になってもまだまだ発見がある。

 いや、私は全然若いんだけどさ。
 中途半端に前世の記憶があるので色々とごっちゃになってしまっていけないね。


「それじゃあ、あたしはログアウトするから。お店番お願いしていいかしら?」

「あ、はーい。お疲れ様です」


 挨拶を交わし、レシピ開拓の続きへ。
 食事のストックは十全。
 あとはNPC店員が受け持ってくれるだろう。
 そんな場所へ、珍しい来客があった。


「あれ、こよりさん?」

「お、ハヤテちゃんだ。シズラちゃん居る?」

「先ほどログアウトされていきましたよ」

「あちゃー、完全なすれ違い」

「事前に連絡してくれたら引き留めたんですけど」

「それなんだけどね、私もいまさっきログインしたばっかで」

「なるほど」


 だから連絡が今になったと。
 この焦り具合から察するに、実の姉妹であってもリアルでは連絡がつけにくい関係なのだろうねと察する。


「急用ですか?」

「あ、うん。ちょっとログイン関連でね。しばらくログインできなさそうって伝えて欲しくて」

「リアルで何かありました?」

「旦那がトラブルに巻き込まれちゃって、その対応。一週間もかからないと思うけど」

「その間のログイン、つまりはお野菜の提供が」

「うん、ちょっと厳しいかなって」


 それは確かに急用だ。
 特に弊店ではこよりさんのところの野菜が主軸。
 リアル姉妹であるからこその安価での提供で経営を回してるところがある。
 それが途切れたら、まぁこの価格での販売は難しいだろうね。


「わかりました。ログインしてきたら私の方で伝えておきます」

「助かるよ。うちはリアルで連絡がつけにくい職業だから、こっちで連絡取り合おうってゲームしてるところもあるし」

「今のご家庭はみんなそうでは?」

「VR化の弊害かー」

「そういえばお世話の方はNPCが?」

「うん。でも私ほど効率よく肥料を製作できないから、品質は落ちると思うんだよ」

「あー、私の調味料製作技術もNPCと変わりませんしね」

「そういうこと」

「でも、私のスキルは派生できます」

「続けて」

「畑のお世話、私にやらせてもらってもいいですか?」

「うーん」


 こよりさんは唸った。


「言っとくけど、全くもってお金にならないよ? 必死に作っても二束三文。マーケットの卸値も均一化。ほぼ自己満足の世界だし」

「え、全然大丈夫です」

「えっ」


 こよりさんは「こいつ本気か?」みたいな目で見てくる。
 本気も本気、大真面目である。


「そもそも、こんな最初の街でアルバイトに身をやつす私が、本気でお金儲けを考えていると思ってます? 確かに莫大な借金はありますが、返済しようと思えばいつでも返済できるんですよ」


 その場合、色々とメンタルは死ぬが、できなくはない。
 単独でするつもりは全くないというだけ。
 今は成長のチャンス。
 料理だけできたって食材の調達ができなければ無意味。

 つまり、錬金術は今の私の成長機会にすぎない。
 そう熱弁すれば。


「あなたって変わった子ね」

「熱意の向け方が一般的ではないとよく言われます」

「いいわ、どうせ留守にしてる間の品質低下は免れないし。でも、貸し出す畑は一つだけ。全部やれだなんて言わないから、そこでNPCより品質をあげられたら、次にログインしたときに任せる場所を増やしてあげる」

「ありがとうございます!」

「本当におかしな子。でも、だからこそシズラちゃんが懐いたのかもね。あの子もなかなか苦労人だから」


 お金だけの関係はとにかく嫌がる。
 小銭稼ぎとしか思ってないアルバイト希望者は軒並排除してきた。
 と、いうのもシズラさんがバリバリの叩き上げだからだ。

 私はその間違った方向での熱意でバンバン仕事を教わり「次はいつ来れる?」の言葉をいただけた。
 まぁ、多少親に対する忖度はあったと思うが。
 それだけで厨房を任せてくれるタイプの人ではないとこよりさんは言う。


「それじゃあ、私はこのままログアウトしちゃうわね。わからないことがあったら」

「掲示板ですね?」

「そ。有志が家庭菜園からガチ菜園まで網羅してくれてるから、そこでノウハウを覚えなさい。錬金術って本当に奥が深いの」


 深すぎて一度ハマったら抜け出せないとも言われた。
 お爺ちゃんもそのうちの一人らしいけど、まだ抜け出せていないのだろうか?
 ちょっとだけ気になった。
しおりを挟む
感想 356

あなたにおすすめの小説

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。 その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。 友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。 兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。 そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。 当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

回帰した貴公子はやり直し人生で勇者に覚醒する

真義あさひ
ファンタジー
名門貴族家に生まれながらも、妾の子として虐げられ、優秀な兄の下僕扱いだった貴公子ケイは正妻の陰謀によりすべてを奪われ追放されて、貴族からスラム街の最下層まで落ちぶれてしまう。 絶望と貧しさの中で母と共に海に捨てられた彼は、死の寸前、海の底で出会った謎のサラマンダーの魔法により過去へと回帰する。 回帰の目的は二つ。 一つ、母を二度と惨めに死なせない。 二つ、海の底で発現させた勇者の力を覚醒させ、サラマンダーの望む海底神殿の浄化を行うこと。 回帰魔法を使って時を巻き戻したサラマンダー・ピアディを相棒として、今度こそ、不幸の連鎖を断ち切るために── そして母を救い、今度こそ自分自身の人生を生きるために、ケイは人生をやり直す。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。 そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。 二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。 やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。 そんな彼女にとっての母の最期は。 「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。 番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。

処理中です...