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五章 ゴミ拾いともふもふファミリー
60 ピヨちゃんの抜け毛
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結構前からクエストを受けていたピヨちゃんの抜け毛が溜まった。ゴミ拾いで収集した分を、毛糸変換で玉状にしてザイムさんの所へ納品する。
「これくらいしか取れませんでしたが、大丈夫でしょうか?」
「充分です。ではこちらが成功報酬となります」
「え、こんなに!?」
ただの毛糸。一応は希少品だから1万ゼニスくらいだろうと思ってたら、僕の想定の100倍高かった。ズシリと思い金貨袋には見たこともない貨幣が詰まってる。もしかしてこれ全部金貨だったりする? 思わず乾いた笑いが出てしまう。
「本当は1000万は出すと言ってくれてたんですが、個人的に回せる限界がそこら辺だったとお悔やみしてましてね」
「いったい誰がこんな高級クエスト回してきたんです?」
「あなたもよく知ってる人ですよ。オーレン王子です」
「え?」
誰? 知らない人だ。
「ああ、こちらではオレノーと名乗っていましたか」
「オレノーさん?」
「はい、そのオレノーさんから験担ぎにとクエストが回って来ましてね。本当はロキ君の毛糸でも良かったんですが、貴族が身につけてるものを皇族が身につけるのもおかしいと」
「そこでピヨちゃんの存在を知った?」
「ええ、フェニックスであるなら皇族に相応しいと。要は王宮内にいながらも共にありたいと思ってのクエストだったと思います」
「だったらいっそぬいぐるみもつけましょうか?」
「それでは官憲で通りませんし王子のイメージダウンにも繋がります」
「面倒ですね」
「本当、面倒で仕方ありません。自由な冒険者に憧れるのもわかる気がします」
ザイムさんはどこか遠い目をした。
ピヨちゃんの抜け毛はそもそも量が出ない。
本体に伸縮が文字通り効かない事もあり、大きくできないのだ。
まるで全ての状態異常を無効化してくるような強大な意志を感じる。
伝説級と呼ばれるだけあって、その特徴は毛糸にまで現れた。
その後ザイムさんから聞いた話では、毛糸の効果は全ての状態異常の無効。周囲の悪意消滅、忠誠心向上の効果があるらしい。
それを思うとピヨちゃんの今の状況に似ている気がした。
悪意消滅というのがとにかく強く、オレノーさんのようなやんごとない立場の方が身につけておけば十分に効果を発揮する。
それをパスしてきた毒物すら無効化するのだから無敵だ。
毛糸をアミュレットに縫い込んで肌身離さずつけていただけのなに、厳つい表情はどんどん若くなっていったと風の噂で聞いた。
もしかして不老不死の効果って、この毛糸に充分込められてたりする?
ピヨちゃんに聞いてみると、
「ピヨヨ~、ピヨエン?(身体活性化の効果のことであるか? それならばあるとだけ答えておこう。しかし不老長寿や不老不死とは遠く及ばん。人は人の枠組みの中では生きていけんのだ)」
え、じゃあルテインさんの件はどう説明するのさ。
「ピヨ!(そんなもの決まっておるだろう、我が主人は我との契約者。人との理を外せし超越者。人の寿命を超えても問題あるまい? 全ては我をお世話する、その一点に集約しておる)」
いつになく長い念話があの一鳴きに込められているのは流石に無理すぎない?
もういっそ念話だけで話してほしいよ。
『要は我との契約者にのみ、不老不死のご利益が与えられる形である。肉を食らったところで、バチしか当たらん。傷口から新しいもう一人の自分が無限に再生されるバチだ。もう二度と一般人として生きていく事もできぬだろうな。その上で我は不死身である。高貴なオーラを持つ我を好きでいてくれるのは構わぬが、邪な企みを考えての行動は慎まれよ』
僕の心を読んだのか、はたまた僕くらいの考えなど読むまでもないのか、念話のみで語ってくれる。
想像以上に再生効果がこちらの予測を上回る。
まるでスライムみたいに分裂して自我が崩壊するみたいな言い回しを受けた。
「大丈夫だよ、食べないから」
「ピヨ!」
信じておるぞ、だなんて直接脳内に送られた。
そんな話をコエンさんにすると、非常に難しい顔をされた。
受けるつもりはないが、オレノーさんの噂を聞いた誰かがクエストを横したのかもしれないと邪推する。
「マジか」
「ピヨちゃん曰く、人ではいられなくなるとのことです。再生力が傷を治す程度にとどまらず、もう一人の自分を生み出すだとかで」
精神まで分裂して自分の居場所を守るように戦いを始めるのだとかなんとか。
「まるで既にそういう目にあってきたみたいな口ぶりだな」
「会ってきてるんでしょうね。不老不死になるにはピヨちゃんの契約者になるしか方法はなく、ルテインさんがその場を退かない限りチャンスはないとも言ってました」
「でも殺しても死なないんだろ?」
「ピヨちゃんがそばにいる限り死んだことに気が付かないようですよ? 抜け毛は状態異常は無効化するんですけど、本体は介護してやらないといけないくらい弱いので……」
「成長に失敗すると卵から育成し直しであると?」
「そうみたいです」
「ルテインの姉さんに任せてる限り、あと500年は契約切れなさそうだな」
僕とコエンさんは乾いた笑いを浮かべながら今日の談話は表に出さないように極力務めた。
インフィ以上の厄ネタだよ、ピヨちゃん。
強さじゃなく、そのあり方が争いを呼ぶ。
そんな不可思議な生き物、フェニックス。
味方でいるうちは全然良いんだけどね。
まぁ敵対者が現れても良いウォーミングアップ相手にはなるだろうし。
あとはなるようになれ、だ。
「これくらいしか取れませんでしたが、大丈夫でしょうか?」
「充分です。ではこちらが成功報酬となります」
「え、こんなに!?」
ただの毛糸。一応は希少品だから1万ゼニスくらいだろうと思ってたら、僕の想定の100倍高かった。ズシリと思い金貨袋には見たこともない貨幣が詰まってる。もしかしてこれ全部金貨だったりする? 思わず乾いた笑いが出てしまう。
「本当は1000万は出すと言ってくれてたんですが、個人的に回せる限界がそこら辺だったとお悔やみしてましてね」
「いったい誰がこんな高級クエスト回してきたんです?」
「あなたもよく知ってる人ですよ。オーレン王子です」
「え?」
誰? 知らない人だ。
「ああ、こちらではオレノーと名乗っていましたか」
「オレノーさん?」
「はい、そのオレノーさんから験担ぎにとクエストが回って来ましてね。本当はロキ君の毛糸でも良かったんですが、貴族が身につけてるものを皇族が身につけるのもおかしいと」
「そこでピヨちゃんの存在を知った?」
「ええ、フェニックスであるなら皇族に相応しいと。要は王宮内にいながらも共にありたいと思ってのクエストだったと思います」
「だったらいっそぬいぐるみもつけましょうか?」
「それでは官憲で通りませんし王子のイメージダウンにも繋がります」
「面倒ですね」
「本当、面倒で仕方ありません。自由な冒険者に憧れるのもわかる気がします」
ザイムさんはどこか遠い目をした。
ピヨちゃんの抜け毛はそもそも量が出ない。
本体に伸縮が文字通り効かない事もあり、大きくできないのだ。
まるで全ての状態異常を無効化してくるような強大な意志を感じる。
伝説級と呼ばれるだけあって、その特徴は毛糸にまで現れた。
その後ザイムさんから聞いた話では、毛糸の効果は全ての状態異常の無効。周囲の悪意消滅、忠誠心向上の効果があるらしい。
それを思うとピヨちゃんの今の状況に似ている気がした。
悪意消滅というのがとにかく強く、オレノーさんのようなやんごとない立場の方が身につけておけば十分に効果を発揮する。
それをパスしてきた毒物すら無効化するのだから無敵だ。
毛糸をアミュレットに縫い込んで肌身離さずつけていただけのなに、厳つい表情はどんどん若くなっていったと風の噂で聞いた。
もしかして不老不死の効果って、この毛糸に充分込められてたりする?
ピヨちゃんに聞いてみると、
「ピヨヨ~、ピヨエン?(身体活性化の効果のことであるか? それならばあるとだけ答えておこう。しかし不老長寿や不老不死とは遠く及ばん。人は人の枠組みの中では生きていけんのだ)」
え、じゃあルテインさんの件はどう説明するのさ。
「ピヨ!(そんなもの決まっておるだろう、我が主人は我との契約者。人との理を外せし超越者。人の寿命を超えても問題あるまい? 全ては我をお世話する、その一点に集約しておる)」
いつになく長い念話があの一鳴きに込められているのは流石に無理すぎない?
もういっそ念話だけで話してほしいよ。
『要は我との契約者にのみ、不老不死のご利益が与えられる形である。肉を食らったところで、バチしか当たらん。傷口から新しいもう一人の自分が無限に再生されるバチだ。もう二度と一般人として生きていく事もできぬだろうな。その上で我は不死身である。高貴なオーラを持つ我を好きでいてくれるのは構わぬが、邪な企みを考えての行動は慎まれよ』
僕の心を読んだのか、はたまた僕くらいの考えなど読むまでもないのか、念話のみで語ってくれる。
想像以上に再生効果がこちらの予測を上回る。
まるでスライムみたいに分裂して自我が崩壊するみたいな言い回しを受けた。
「大丈夫だよ、食べないから」
「ピヨ!」
信じておるぞ、だなんて直接脳内に送られた。
そんな話をコエンさんにすると、非常に難しい顔をされた。
受けるつもりはないが、オレノーさんの噂を聞いた誰かがクエストを横したのかもしれないと邪推する。
「マジか」
「ピヨちゃん曰く、人ではいられなくなるとのことです。再生力が傷を治す程度にとどまらず、もう一人の自分を生み出すだとかで」
精神まで分裂して自分の居場所を守るように戦いを始めるのだとかなんとか。
「まるで既にそういう目にあってきたみたいな口ぶりだな」
「会ってきてるんでしょうね。不老不死になるにはピヨちゃんの契約者になるしか方法はなく、ルテインさんがその場を退かない限りチャンスはないとも言ってました」
「でも殺しても死なないんだろ?」
「ピヨちゃんがそばにいる限り死んだことに気が付かないようですよ? 抜け毛は状態異常は無効化するんですけど、本体は介護してやらないといけないくらい弱いので……」
「成長に失敗すると卵から育成し直しであると?」
「そうみたいです」
「ルテインの姉さんに任せてる限り、あと500年は契約切れなさそうだな」
僕とコエンさんは乾いた笑いを浮かべながら今日の談話は表に出さないように極力務めた。
インフィ以上の厄ネタだよ、ピヨちゃん。
強さじゃなく、そのあり方が争いを呼ぶ。
そんな不可思議な生き物、フェニックス。
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あとはなるようになれ、だ。
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