神は人間界の存続を認めません。

第四章 疫病の神

第四話

「これは、、」

　下水施設を見にきた奏音は驚愕した。立派な下水処理施設の他に別ルートの排水路があり、それは壁のほうにそのまま向かっているようだった。

「まさか！」
　壁を登り頂上から見た光景に驚愕した。

「枯れ果てた森が広がっている！毒物を垂れ流しにしていたのか、、」

　壁を降りると、壁の向こうに広がっている光景をイーランに説明した。『そんな事が起きているとは信じられない』と、そんな表情をしていた。

「私がここに移住して来たのはつい先日だから、、でもお父さんならきっと知ってると思うよ」

　困惑の表情を見せながらそう答えた。俺の言葉を聞いた少女は何を思ったのだろうか、、。賢い女の子だ、きっと色々思う節があるのだろう、、。

　イーランの父、ここの市長さんに事情を聞くため、病院に戻ることにした。道中、イーランの父がこの地の開発責任者だということも、父は悪いことが出来る人では無いと言う事も聞かされた。何か事情があっての事だろうと仕切りに擁護していた。


「下水施設が完成し稼働し始めたのは３年前でして、それまではなんと言うかその、、」

「汚染水を垂れ流しにしていたんですね」
「でも今はしてません。きちんと処理してます」

「その垂れ流しにしていた汚染水はどうするつもりだったのですか？土壌に染み込み、汚泥として溜まってしまっていては自然浄化は難しいですよ」

「処理しようと何度も計画したんですよ。でもガスマスクを着け、防護服を着ていても近づくと吐き気と眩暈が酷くてその場に留まる事が難しくて、、」

　怨念が篭ってしまって人間の侵入を拒んでしまっているのか？

「もしかして、そこが今回の赤痢を引き起こすアメーバの発生源になってしまったって事ですか？」

「そうかもしれないが、、」

　発生源がそこだったとしても、排水を摂取する事は無いだろう。地下に浸透し上水道の方へ移動したか？３年の月日があれば可能かもしれないが、そうだとしても同時に感染し、同時に発病した原因の特定には繋がらない。何かもっと大きな要因があるはず。

「市長さん。他に人に言えないようなこと隠してはないですか？」