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火と月
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この日、ハルシオンは妻であるルミナと一緒にセリーナに贈る誕生日プレゼントを確認していた。
「喜んでもらえるといいわね♪」
わくわくしながら、用意したプレゼントに添えるメッセージを書いているルミナ。
彼女は、【火の国:アレース】の第一王女で、セスの妻の友人だった。
セスの妻は、土の国の高位貴族で土の国の王太子は同族のものとしか婚姻をしない。
セスの結婚式で、妻の友人だと言い紹介されたのがルミナだった。
戦闘国と言われるアレースの姫とは考えられないほど、どこかマイペースな雰囲気の彼女は、腰まで伸びる真っ赤な髪と瞳が印象的な美女だった。
そんな、ハルシオン達を結びつけたのは紛れもなく、セス!と言いたいところだが‥
意外な事に、セリーナだった。
一歩踏み出せば、目の前に道が開けるほどの圧倒的な存在感と美貌。
一瞬、声を掛けることを躊躇ってしまうほど美しく成長したセリーナが言ったのだ。
『セリニ兄様とお義姉のご友人…セス兄様と一緒ね!』と。
初めは、意味が分からなかった。
しかし、セリーナとセス、そしてセスの妻には分かったようで、セスが嬉しそうに説明をしてくれた。
セリーナには、相手の纏う潜在魔力の色が識別できるのだ!と、そしてそれによればハルシオンとルミナの魔力色は全く一緒とのことだった。
魔力色が、全く一緒なことはとても希有なことであり、セリーナ曰くセスとセスの妻以外では今まで見たことがなかったそうだ。
『要するに、二人は最高に相性が良くて似合いの夫婦になれる!ってことさ!』
そう、断言するセスに対し、ハルシオンは正直いって半信半疑だった。
ハルシオンも、そろそろ婚約者を決めなければならなかったが、今ひとつ令嬢に対しいい感情を持てなかった。
彼にとって、一番仲の良い令嬢は間違いなくセリーナであり、彼女以上に惹かれる相手には今のところ会ったことが無い。
しかし、もちろんそれは"兄として"だった。
小さい頃から、遊んでいたセリーナは間違いなく"妹"であり、それ以外の何者でもないからだ。
そう、色々と考えていると突然、真っ向から否定するような声があがる。
"お似合い"とされた、ルミナだった。
彼女は、先程の明るい笑顔とは打って変わって苦しげな表情で答えた。
『私とでは、絶対に幸せになることなどできません』
そう言った、彼女は全てを諦めた‥そんな様子だった。
『祝いの場において、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません』
それだけを言い残し、彼女はこの場から離れていった。
その哀愁でも漂うような後ろ姿に、ハルシオンは何故か無性に惹かれてしまった。
彼女が去った先を、見つめ続けるハルシオンにセスとセリーナは言った。
「追わないのか?」
「追わないの?」
この2人…本当に、良く似ている。
「気になるんだろ?」
「気になってしょうがないくせに!」
…この厚かましさまで、本当に良く似ている。
セスの妻は、その子様子を微笑ましく見ていた。
そして…
「行ってこい!」
「行かないと!」
「行ってあげてください」
…とうとう、セスの妻までもが参戦してきた。
ハルシオンは、はぁ、と大きく溜息を吐くと「行ってくる」と言い彼女の元へと向かった。
そして、彼女と話をするうちにルミナには持病があること…
それが、原因で子は望めないかもしれないこと…
そして、その病の進行が早まれば自分は助からないだろう…
そう打ち明けてくれた。
あの時の、ルミナの凛とした表情は今でも忘れられない記憶となっている。
それからの2人は、あっという間に距離を縮めていった。
セリーナの言った通り、2人の相性は良すぎた。
知り合って半年後、ハルシオンとルミナは婚約した。
「喜んでもらえるといいわね♪」
わくわくしながら、用意したプレゼントに添えるメッセージを書いているルミナ。
彼女は、【火の国:アレース】の第一王女で、セスの妻の友人だった。
セスの妻は、土の国の高位貴族で土の国の王太子は同族のものとしか婚姻をしない。
セスの結婚式で、妻の友人だと言い紹介されたのがルミナだった。
戦闘国と言われるアレースの姫とは考えられないほど、どこかマイペースな雰囲気の彼女は、腰まで伸びる真っ赤な髪と瞳が印象的な美女だった。
そんな、ハルシオン達を結びつけたのは紛れもなく、セス!と言いたいところだが‥
意外な事に、セリーナだった。
一歩踏み出せば、目の前に道が開けるほどの圧倒的な存在感と美貌。
一瞬、声を掛けることを躊躇ってしまうほど美しく成長したセリーナが言ったのだ。
『セリニ兄様とお義姉のご友人…セス兄様と一緒ね!』と。
初めは、意味が分からなかった。
しかし、セリーナとセス、そしてセスの妻には分かったようで、セスが嬉しそうに説明をしてくれた。
セリーナには、相手の纏う潜在魔力の色が識別できるのだ!と、そしてそれによればハルシオンとルミナの魔力色は全く一緒とのことだった。
魔力色が、全く一緒なことはとても希有なことであり、セリーナ曰くセスとセスの妻以外では今まで見たことがなかったそうだ。
『要するに、二人は最高に相性が良くて似合いの夫婦になれる!ってことさ!』
そう、断言するセスに対し、ハルシオンは正直いって半信半疑だった。
ハルシオンも、そろそろ婚約者を決めなければならなかったが、今ひとつ令嬢に対しいい感情を持てなかった。
彼にとって、一番仲の良い令嬢は間違いなくセリーナであり、彼女以上に惹かれる相手には今のところ会ったことが無い。
しかし、もちろんそれは"兄として"だった。
小さい頃から、遊んでいたセリーナは間違いなく"妹"であり、それ以外の何者でもないからだ。
そう、色々と考えていると突然、真っ向から否定するような声があがる。
"お似合い"とされた、ルミナだった。
彼女は、先程の明るい笑顔とは打って変わって苦しげな表情で答えた。
『私とでは、絶対に幸せになることなどできません』
そう言った、彼女は全てを諦めた‥そんな様子だった。
『祝いの場において、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません』
それだけを言い残し、彼女はこの場から離れていった。
その哀愁でも漂うような後ろ姿に、ハルシオンは何故か無性に惹かれてしまった。
彼女が去った先を、見つめ続けるハルシオンにセスとセリーナは言った。
「追わないのか?」
「追わないの?」
この2人…本当に、良く似ている。
「気になるんだろ?」
「気になってしょうがないくせに!」
…この厚かましさまで、本当に良く似ている。
セスの妻は、その子様子を微笑ましく見ていた。
そして…
「行ってこい!」
「行かないと!」
「行ってあげてください」
…とうとう、セスの妻までもが参戦してきた。
ハルシオンは、はぁ、と大きく溜息を吐くと「行ってくる」と言い彼女の元へと向かった。
そして、彼女と話をするうちにルミナには持病があること…
それが、原因で子は望めないかもしれないこと…
そして、その病の進行が早まれば自分は助からないだろう…
そう打ち明けてくれた。
あの時の、ルミナの凛とした表情は今でも忘れられない記憶となっている。
それからの2人は、あっという間に距離を縮めていった。
セリーナの言った通り、2人の相性は良すぎた。
知り合って半年後、ハルシオンとルミナは婚約した。
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