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第四章
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しおりを挟む「はぁっ……僕は――」
唇が熱い吐息と共に離れていく。天野は見下ろしているヒスイの頬に手を伸ばす。触れた指先からは、少し冷たい体温を感じた。
「一人になるのが怖い。だから――泰子が結婚すると分かった僕はきっと、誰にも見つかることのないあの森で自害しようと決心した……」
ヒスイの顔が苦痛に歪む。
「もっと他に理由があったのかもしれない……でも、それは今では分からなくなってしまった。そんな事より……僕が本当に苦悩していることは、貴方と離れ離れになってしまう事なのです」
ヒスイの冷たい頬を撫で、首に腕を回していく。短い襟足の銀髪が腕に触れ、引き寄せるようにして唇を重ね合わせる。
「僕を一人にしないでください。僕を……貴方の傍に置いて欲しい」
天野は微かに震える声で訴えかける。これが最後の機会のように思われてならなかった。
膜が張っていく視界で天野が見つめると、ヒスイは諦めたように溜息を吐き出し見つめ返す。
「お前は泣き虫なくせして、頑固だから……俺もこれ以上は何も言えない。また泣かれても困るから」
ヒスイが口角を緩く上げると、優しい口づけを落とされる。止まっていた指先が再び動き出し、天野の脇腹を滑り降りていく。
「やっぱり痩せた」
天野の耳元でポツリと呟くと、耳朶を嵌まれる。微かに強張った天野の体を、ヒスイは慣れたように擦っていくと帯を解かれる。前がはだけ、白い素肌が蝋燭の明かりの下に晒された。
「ちょっと、待ってろ」
そう言って体を起こし、立ち上がろうとするヒスイの腕を天野は掴む。
「ヒスイさん……行かないでください」
「薬を取りに行くだけだから」
ヒスイが困ったように眉根を寄せる。最初の時に使った薬を取りに行こうとしているのは分かっていた。それでも今は、一時たりとも離れたくないと思ってしまう。
「薬がないと……ヒスイさんは僕とは出来ないのですか?」
「そうじゃない。お前が痛い思いをして欲しくないだけ」
「僕は平気ですから……」
天野も体を起こすと、膝立ちになっているヒスイの浴衣の帯を外していく。
着物の前を開くと人間と変わらないヒスイの体つきを、淡い朱色の光が照らし出す。微かな興奮を示すかのように、布が隆起していた。
天野は這うようにして顔を近づけると、布をずらしその半分昂ぶった象徴に唇を寄せる。
「おい……」
微かに息を呑むヒスイの言葉を聞かぬふりして、天野は手を添えて舌を這わせていく。質量を持ったそれは、ヒスイの低い体温とは対照的に熱く重い。
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