チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

文字の大きさ
35 / 277
連載

74 彼の未来の足固め

しおりを挟む
エスターの説得が功を奏して、今年の暮れもまたまた大公の王都邸へと…。

暮れの恒例行事になって来たな…。まぁ、暮れだしお墓参りをしておくのはやぶさかでないけど。
それにしてもエスターは何を言ったんだろう。どうやったらあの険しい顔のユーリが率先して王都に向かうなんて言い出すんだ。恐ろしい奴め…。



「ベイルマン、今年も世話になる。滞在中はアッシュを頼む」

「はっ、ユーリウス様におかれましては益々ご立派になられ私も嬉しゅうございます。また一段と背が伸びましたかな。」
「ほんの175だ。平均的な身長だろう?」

「平均的…」
「ふふ、アッシュはそのままでいいんだよ。可愛いじゃないか、145だなんて」
「かわ…」

「あ、アッシュ君は成長期が人より遅いだけだよきっと。ほ、ほら。あのナラの木だって伸びていただろ?傷の位置」

「何故それを…、あっ!もしかしてアレクシさん…まさか…」
「…ゴホ…」

「そう言うのは親切って言わないんだよっ!」


小さな親切大きなお世話とはよく言ったものだ。アレクシさんには気を回しすぎて空回りする人の気配がする。
とても…、そう、とても良い人なのだけどね。幼いユーリに対しても、まだアレクシさんだって少年の域を超えない頃から真摯に向き合い…、さすが亡くなった家令さんが選んだだけのことはある。

待てよ?家令さんに選ばれた…。アレクシさんは孤児だと言ってた。そう言えば家令は何故アレクシさんを選んだんだ。
見た目の良さ…、貴族家の従者には大事な要素だけどそれだけのはずがない…、もしかしてスキルとか?

いままで深く考えたことも無かった…。アレクシさんのスキルは…何だ。どういうスキルなんだろう…?
人に話せないスキルなのか、それとも話すほどのこともないスキルなのか…。
それはさておき、本題に入らなくては。




「アレクシさん。後でノールさんと子爵を呼んでもらってもいい?僕が自分で行っても良いんだけどユーリが絶対ダメって言うから。」

「ああ。私が直接呼びに行こう。」

「アレクシ。二度手間だからヘンリックも呼んでもらおう」

「…畏まりました…。」


アレクシさんはヘンリックさんが苦手なんだろうか?いつも反応がいまいち微妙だ。まぁ、そんなことも…人間だもの、当然あるよね。

何となく今はスキルのことは聞きづらく…、その疑問はお預けにしてまたの機会を待つことにした。





すっかり気安くなった大公王都邸の使用人さんたち。

ユーリには極力メイドさんは近づけさせず、フットマンたちが世話をするのがここでのお約束だ。
それにしてもここのフットマンたちは仕事が出来る。さすがは大公家の使用人。
その仕事ぶりを眺めながら、ふと思い立つことが一つ。それを忘れる前に話しておかなくては…。


個室にユーリを残し大公のところへやってくると、そこには家令のベイルマンさんが。なんてグッドタイミング!


「大公、お願いがあるんだけど。」
「ふむ、何だ。面倒事か?」

「そうじゃない。ただリッターホルムの子供を二人、ここで鍛えてもらえないかと思って。」

「それはどういった事ですかな?アッシュ様。」

ふと思ったのだ。
カイとダリ。あの未来の有能使用人(予定)を真実にするには、人手が慢性的に不足しているリッターホルムより、ここで、この素晴らしい皆様方に鍛えてもらった方がいいんじゃないかと。

「なるほど。それは構いませぬが両親の許可は得ているのですかな?まだ年端も行かぬ子どもでありましょう?」

「ケインさんには僕から話す。まかせて。説得は得意なんだ。それに多分両親も喜ぶと思うよ」


ケインさんたち…。かれらは何故大森林の近くでひっそりと暮らしていたのか…。
賑やかな領都で商売を営む人たちと違い、荘園で働く領民のほとんどは農奴で彼らには納税と引き換えに農地が割り当てられている。
そのどちらでも無かったケインさん。
リッターホルムに好んで流れてくるものなど訳アリに決まっている。
それでもさすがに犯罪者は関所が止める。そのために罪人の引き渡し報酬は役人のものとなっているのだ。彼らは嬉々として罪人を捕まえているだろう。

つまり…、…彼らはおそらく他領からの流民だ。それも足抜けをした流民。良い考えだよ…。ここにいる限り追手はこない。
ならどっぷり囲い込んでやろうか。恩を売るのも悪くはない。


「冬が過ぎたらお連れ下さい。しっかり仕込んでやりましょう。」


子供たちの去就は決まった。彼らは未来の従者候補だ。





「という訳でね、カイとダリは数年たったらユーリの従者にしようと思って。アレクシさんには他にお願いしたい事もあるし。」

「アレクシに何を?」


前々から考えていたのだ。リッターホルムには荘園を管理する家令が必要だし、それに一番適しているのはアレクシさんだって。
彼は真面目だし責任感も強い。前の家庭教師の頃から様々な学びもユーリと一緒に受けている。何より、…亡くなった家令、義父の仕事ぶりを、その眼でつぶさに見ていたのだ。義父に対する感謝や敬愛の感情も強い。
足りないものがあるなら、それは僕が教えてあげられる。この『管理者の心得 リーダーシップで組織を動かす』で。それだけじゃない。『脱サラして農園主に!目指せ年収2000万!』でもいいだろう。

あのリッターホルムを管理するのに、ポッと出のよそから引っ張って来た人になんか任せたくない。
感情論だとしても…、嫌なものは嫌なのだ。


「良い考えだと思うよ。…そうだ。私も早く彼を…、私から解放してやりたいと、そう思う…」


いきなりしんみりとするユーリに、なんだかそれ以上追及することは出来ず…。
でもいつかきっと、その理由も知る日が来ると信じる事にする!


だって僕はユーリの半身だからね…。





しおりを挟む
感想 392

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました

綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜 【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】 *真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息 「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」 婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。 (……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!) 悪役令息、ダリル・コッドは知っている。 この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。 ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。 最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。 そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。 そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。 (もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!) 学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。 そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……―― 元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。 アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。 そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!! え? 僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!? ※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。  色んな国の言葉をMIXさせています。 本作は皆様の暖かな支援のおかげで第13回BL大賞にて学園BL賞を受賞いたしました! 心よりお礼申し上げます。 ただ今、感謝の番外編を少しずつ更新中です。 よければお時間のある時にお楽しみくださいませ

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。