チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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96 彼との未来

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王宮にはあれから半月ほど滞在した。
もちろん例の聞き込みには時間がかかる。だからそれ以外のもろもろの為だ。

僕が壊した宮殿表はすでに修繕の手が入っている。大勢の職人さんが活気よく動く現場。木々はそのまま資材となり、様々なパーツへと姿を変える。思いがけず公共事業を生み出してしまった。良い事をしたな…。てへっ!


王には退陣要求をしても構わなかったが、元老院でさえ新旧の家門で足並みを揃えてない今、それをしたところで国が乱れるだけだからやめておいた。
今後、善政を敷いてくれるならそれでいい。もしくは傀儡の王となってもらおう。
王様の立ち位置が決まるまで当面の間、大公には摂政をつとめてもらい、関白には筆頭侯爵家のコーネイン侯爵が就くことになった。
少しづついろいろな綱紀を改めなくては…。やれやれ大変だ。大公が…。

断絶した古い6家、家長の居ない今、再び元老院に戻ることは出来ない。だから手厚い慰労金と言う名の賠償金を支払うことで過去への始末はつけさせる。
もしくは残された親族、その中にもしも有望な若者が居るなら、その時は新たな爵位と領地を与え、官吏に引き立てるのもやぶさかでないと大公は頼もしく請け負ってくれた。家康の生まれ変わり(嘘)大公に任せておけば何も心配要らないだろう。


王妃、そしてお姫様とは何度か回廊で顔を合わせたけど、ユーリが不機嫌になるから接触は最低限でやめておいた。
ユーリの中の女性不振は徹底的で、そして根深い。無理もない事だが…。
だけどこの王宮にあって、彼女たちがまともだって事だけは理解できた。姫も王妃も臣下を含めた民から真実慕われていて…、こんなキレイでお優しい王妃様がどうしてあの王様と…。権力?権力で娶ったのか?奴め…。



そして問題はこいつ。…馬鹿王子だ。


「あれ?ケネス一緒に来ないの?ユーリと一緒にお勉強したらいいのに。リッターホルム、良い所だよ?女遊びは出来ないけど。」

「一緒に来いだと?お前とノールが居る場所にか?馬鹿を言うな!特にお前!ノール!大人しそうな顔をして、恐ろしい奴…。女遊び以前の問題だ!寝首をかかれそうなところに誰が好き好んで行くものか!」

「なんていう事を!寝首だなんて…、殿下がお利口でいらっしゃれば何も問題ないではありませんか!私は誠心誠意殿下の事を考えて、」

「ええい、うるさい!行かぬと言ったら行かぬ!」
「殿下!」

「…あれでも父なのだ。放ってはおけぬ。だが学びなおしはしよう…。父のような過ちは繰り返さないと約束する…。今度は本当だ。コーネインにも良い教師を頼んだところだ。」

「ふーん、信じてもいいけど…、じゃぁノールさんしばらくここに滞在して躾てやってよ。新しい教師が来るまででいいから」
「なにっ⁉」

「大公もコーネイン侯爵も居るからおかしな真似はしないでしょ?僕とユーリ、どうせすぐマァの村に行っちゃうからリッターホルムに戻ってもすぐ暇になるし。それでここにいるついでに高位貴族からの報告まとめてきてよ。大公一人じゃ大変だよ」

「それは構わないけど…殿下が…」

「良いよねぇ?ケネス。過ちは繰り返さないんでしょう?もう一回騙したら、…その時はシュールストレミングその口に突っ込んでやる!」
「ひっ!やめろ!何かは分からないが嫌な予感がする…」


爆発するんだよ!





WEB小説の記述を裏読みすれば、毒公爵が国を滅ぼすのが今から五年後。で、そのころ王は勇者の帰りを今か今かと待っていたから、つまり姫はまだ存命中。
あの呪いは5年かけて命を奪う。逆にどれだけ苦しんでも5年は死なないってことだ。

早々に不死の林檎を手に入れ呪いの症状を食い止めながら、呪いの元を5年以内に解けって事か。
ハードル高いんだか低いんだか、その目安すら分からない…。しかしやるしかない。
美しい姫。この国で2番目に美しい人。一番目?そんなの決まってる。


残されたのは最大の難関。
だが悲観はしない。現にこうやってひとつずつ確実に、ユーリを闇へと引きずり込む物騒な足かせは外れていく。
そしてその代わりに、ユーリには嬉しい足かせが増えていくのだ。領民の暮らし、作物の出来、領地の治安、使用人たちの生活、とりわけ上級使用人、愉快な仲間たちの楽しい未来、それらを背負うハッピーな足かせが。



「さぁユーリ帰ろう?僕らのリッターホルムへ。」
「ああ。帰ろう。私たちの楽園…、二人の想いを育む緑の地へ。」









💀--------------------------



「先日王城でおきた大きな地震、愛しいあなたご存じでして?」

「ああ、クラブでも盛んに話題になっていた。一体何があったというんだ。地響きと共に大きく揺れ、王城の一部は崩壊したそうだ…。恐ろしいことだ…」

「さぁ?神の怒りにでも触れたのかしら?それよりお聞きになった?あの日あの場には、ユーリウスと、…あの子供が居たそうでしてよ?何故かしら?売り飛ばしたのでは無かったの?」

「それは本当か!?だがあいつら、ごろつきどもは任務完了の手紙を寄こした!あの子供の物と思われる茶色の髪を同封して!」

「まぁ貴方ったら、そんな誤魔化しを真に受けていらしたの?仕方のない方ね。茶色の髪など、平民にならいくらでもいましてよ。それにしても平民であるその子供が王城に招かれるとは…、あなたの言った通りですわね。あの子供がユーリウスの側にいてはいけないわ。わたくしたちの思い通りに事が運ばなくなるかも…」

「私はそんなことを言ったか?あ、ああ。言ったかもしれないな。いやきっと言ったのだろう。そうだ。私たちの野望の為にはあの子供を排除せねば。ではどうする?」

「王家はユーリウスと和解なさったようですわね。誰の入知恵かしら…、小賢しい子供…」

「何か言ったか?」

「いいえ貴方、何も言ってはおりませんわ。ねぇ貴方、一緒に午睡でもしませんこと?先に行っていらして。支度をしてすぐに参りますわ」

「そうか、まだ明るいが、時にはそれも良いな。早く来るんだぞ。」






「…いいわ。わたくしたちの準備にもまだいくばくかの時間はかかる。焦ることは無い。今度こそ確実に…。じっくりと策を練り確実にあれを闇に沈めてやる…。いくら王家と和解したところですべては水泡に帰すのだ。しばしの夢を見るがいい。お前の漆黒がより一層深まるようにね…」









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