チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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101.5 ちびっ子へのサプライス

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「ノール、予定通り迎えに来たが、殿下の躾とやらは順調かい?」

「それはもう。殿下はすっかり改心なされてね、今ではとても前向きに一から王族教育を学んでおられるよ。何故かな?あの美しい青の瞳が時々灰色に見えるのが気になるけど、毎日真面目に取り組まれるお姿を見ると…フフッ、ここを離れるのが少し寂しいな。でもきっと次に会う時は立派になったお姿を見せてくださるに違いないよ」

「それはまた…気の毒に。殿下も泣いて見送ってくれるだろうさ。喜びのあまり。」

「えっ?なに?」

「いや、君が楽しそうで何よりだと言ったんだ。それでだね、帰る前に聖神殿の宝物庫、その中でも最も貴重なお宝が仕舞い込まれている可惜庫を見に行かないか?ヴェストの親父さんがチラリと見せてくれるらしい。息子と仲良くしてもらってるお礼だとさ。」


「そんなの行きたいに決まってるよ。けどいいのかな…。ところで修繕は問題なく済んだの?」

「ああ、大した傷みじゃなかったんだよ、もともとね。僕を通じてアッシュと接点を持つための方便さ。けどまぁ、なかなか面白いものもいくつか見れた。で、だね、そこで見つけた面白いものの続きが、その可惜庫にあるらしいんだ。」

「あ、わかった。複製してほしいんだね。高価なものは駄目だよ。ああ、でもエスターが欲しいのは書物だけだものね。いいよ。とりあえず見てみようか。それにしてもヴェストのお父上…、もしかして親バカなのかな?」

「父親だけじゃないさ。」

「そうなんだ…。末っ子だものね。じゃぁ殿下にご挨拶をしてくるよ。少し待っててくれる?」

「ああ、ごゆっくり」





「殿下。よくここまで頑張られましたね。お名残り惜しいですが臨時の私はそろそろリッターホルムへと戻らねばなりません。代わって教師を務めていただくイルマリ男爵は大変剣の腕前に長けたお方だと聞き及んでおります。庶民の事情にもお詳しいとの事、良く耳を傾けなさいませ。」
「分かっておる。」

「アンテロ子爵も礼儀作法に厳しく、また高い見識を備えた立派な方だと大公閣下が申しておりました。迷惑をかけてはいけませんよ。」
「分かっておると言っている。」

「ですが殿下…」
「いいから早く行け。人を待たせているんだろうが…。いいかっ、もう戻ってくるなよ?私にはアンテロとイルマリがついておる。心配するな。何も問題は無い。分かったな?」

「…次の冬、学術院へ講義を受けに参りますのでその折には顔を出しますね。殿下、さぼりませんよう…」
「分かった!さぼらぬ!さぼらぬから!さあ行け、元気で暮らせよ。それからお前…、友達いないだろう…」

「なっ!」





「おまたせエスター。さぁ行こうか。少し待たせちゃったかな?」

「うん?その手に持ってるものは何だい?」

「銀杏の実だよ。アッシュ君が教えてくれたんだ。これ炙って食べると美味しいって。いざという時の為にって持たされてたんだけどね。」

「それを何故今、手に持ってるんだい?」

「…これ、この果肉…、潰すととても臭いんだって。実際とても臭くて…参っちゃった。」

「どこかで潰してきたのかい。やるねぇ君も。ならさっさと行こう」





「ここが宝物庫…。すごい、あっ、これも…なんてすごい。王宮の装飾品とは違って聖具かと思うと…神々しいね…」

「だがこんな風に仕舞いこむことに意味があるとは思えないね。普段使いにすればいいのに」

「無茶言わないでよ。それで?」

「ああ、これだよ。この刻まれた羊皮紙の束。」

「これは…?え…、も、もしかして…」

「これは聖王国中の主となる神殿に納められていたと言われる古代の割符だ。だがノールには分かるだろう?これは…」

「分かるよ。あの寓話の書の補完部分の一部だ。」

「そう。そのもう半分は可惜庫内にあるらしい。ここに在るものが司祭の持つ割符で可惜庫にあるものが司教の割符だ。遠い昔、この割符を合わせて初めて聖神殿への出入りが許されたらしい。そしてこの割符を持つ神殿こそが、神の許しを得た神殿と言われたそうだ。まぁ羊皮紙はいつか傷むからね。今では黄金の割符に取って代わられてしまったらしいな。」

「そうか。ここで符丁を合わせたところで意味の無いアルファベットの羅列ではどうせ何も分からないものね。だからだれも何にも気付かなかった…」

「そういうことだ。この文字がどう意味を持つかなんて…聖職者には関係ないのさ」

「…君がいくら探しても見つからないわけだね。」



ギィィィ

「さぁ、可惜庫に参りましょうか。しかしいいですね、ぐるりとお見せするだけですよ。お手に取られませぬよう、くれぐれもお願いしますよ」

「ええもちろんですとも」

「ヴェストにも、そしてアッシュにもよく伝えておきますよ。アッシュは喜ぶに違いない。そりゃぁもう…。」






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