チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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140 彼と石板の解析結果

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なんにしても、その魔女らしき存在アデリーナは今も虎視眈々と12家を、さらにはユーリを狙ってる。
ホントにしつこい!

魔女は壷のユールボックビアを使って12家の直系を一人ずつ地道に減らしてたはず。でもどうやって?


「ねぇノールさん、子爵はその壺の実物見てるんでしょ?どんなだか聞いた?」

「え?まぁ。その…骨董商に流れるくらいだから見目の良いものだったみたいだよ。うっすらと文様が入って…って、それが多分〝命の木”だよね。でも売れ残ってたわけだからすごく価値の高いものでは無かったみたいだね」

「それなら簡単だよ~。」
「「ナッツ?」」

「侯爵家のパントリーに置いとけばいいよ~。どうせ呪いはユールの日にしか出ないんでしょ?あのね、上の人は知らないだろうけど献上品のユールボックビアは大きな甕で持ち込まれるんだよ。それで旦那様にお持ちする分だけきれいな壺に移し替えるの。高価じゃなくてそのうえ見目の良い壺なら使われるに決まってる。それにユールの日は臨時の手伝いも多いもん。紛れ込んでそう仕向けてもいいよ~」

「 ‼ 」 

「誰か倒れるのを見届けたら回収して次のお屋敷に運び込むとか。バタバタするから見知らぬ下働きが壷の回収に来たって侯爵様は気が付かないよ。とくにエライ人なんか平民なんてイモかカボチャにしか見えてないんだから~」

「そ、そんなことは…」
「いやノール、実際そうだ。上級使用人はともかく頭数の多い下級使用人ともなれば見分けはつかないだろう」


あの壷のいわく…、壷を手にした者…、そうだよ!飾っていたなんて誰が言った!


「…それを繰り返していたのか。だがそうこうしているうちに誰かが気付いたのだな」
「そうだよユーリ、あの壷には〝命の木”の模様がついてて人の記憶に残りやすい。この壷のユールボックビアを飲むと人死にが出る!ってね」

「だから次は絵画にしたんだろうさ。常にそこにあって当然のものに」
「徐爵の絵、家門の栄誉…誰だって飾る。そして外さない…」



色んなことが符合していく…。


「片付けを受け持つメイドの誰かが働き口12家を転々としていて気付いたのかな」
「コーネイン侯爵よろしく、侯爵家同士で話してる際、奇妙な符合に気付いたのかも知れないねぇ」

「そうして途中で封印されたんだ。その壷は!」
「…ここリッターホルムに。」

「えっ?」

「そうだろう?何故呪いの壁画はリッターホルムの領都にある。壷がそこに封印されたからあの壁画に移したんだろう。違うかい?」

「確かに…」
「リッターホルムは呪われた当主のいる呪われた地だ。あと一つ呪いが増えたところで大した問題では無いと思われたんだろう」


不本意ながらしっくりくるのも確かだ。
だって魔女が娘なら当然地下道の事も知ってる訳で、その封印の場所に出入りくらいは出来たはず…、ん?

地下道!


「ユーリ!あの地下道どうなってるの?ヴェストさんにマッピングさせたって言ってたよね?あっ!そういえばあの悪党2人はどうなってるの ⁉」

「あ、アッシュ君。地下道の地図は出来上がっている。後で渡そう。悪党は…その…」
「ま、まさか…処…」

「私が空間認識を用い地図作成をする際、ところどころ罠が仕掛けられていたようでしたので斥候として先行させました」
「へっ?」

「その際負傷も幾度かしましたがすでに治っております」
「な、なら食事とか住環境は?」

「身柄の拘束が長くなりそうでしたので、地下ではありますが日照の差し込む部屋へと移してあります。広さもあり十分快適かと」
「食事はね~、見習いシェフたちの試作品~。悪党の癖についてるよね~。たまの当たりの日はスゴく美味しいよ~。」

「外れの日は?」
「えへっ☆」


「ユ、ユーリ!」
「……」

「あれで最善でした。程よく改悛の機会となった様で今では心を入れ替えております」
「心が折れたって言うんだよ!出したげてっ!」

「それは出来ない!これでも我慢しているんだ。色々と」


ユーリってば…。ま、まぁいい。懲役2年と考えればいい事だ。
確か『刑法』では未成年者の誘拐は懲役3か月以上7年以下のはず。おや?それほど人道に反してはいないな。そうだよね。何しろこんな可愛い僕を売り飛ばそうとしたんだから…、あれ?徐々に腹がたってきた…


「…ユーリ、やっぱりあと1~2年くらい反省させよう。そうだ!王子に言って制約かけてやろう。そうしよう。」

「良かった、君が分かってくれて」



「ほら、みんな見ただろう?こんな賢者が居るものか!」
「そうだよ!慈悲とか寛容とかけ離れてるじゃないか!」
「えっ!」

「良かった~、アッシュが高尚なクルポックルの生まれ変わりじゃなくって~」
「あ、ああ、そうだな。アッシュ君はその人間臭さが長所でもある事だし…」
「はっ?」


「アッシュ、私は私とアッシュを末子と賢者の末裔と信じてるよ」


僕の味方はユーリだけだ…。グスン…








「けどせっかくだ。ついでにアッシュ、君に僕とノールの傑作を披露しよう」



エスターが持ち込んだのはWEB小説のキーワード、例の石板。石板…?


「石板がどうし…、え?もしかして解析終わったの?」

「そうだよ。自己流だけど上手く出来たよ。アッシュ君、判定してくれる?」
「お、おう。」


「一行目、『人であり人ならざる者』、これはアッシュのことだ。君は特別だ」

ギックゥ…

「二行目は僕たち。パーティーは4人が基本なんだよね?『他から追い出されてしまった僕達4人』。けれど僕たちは」 
「おっと三行目だ。『僕たちは君を助けることが出来る』。今もほら、だろう?」


パーティーは4人が基本確かにそう言った。みんなは僕のパーティーだって。あそこからここに飛躍するか?


「4行目は苦労したけど…『深淵には呪いが付きまとう』。君が寄越した手紙に書いてあったでしょう?カルロッタ夫人は深淵に落ちなくて良かったってそれをヒントにしてね。」


たった一言でそこ行っちゃう?


「で、5行目が呪いを解くための方法…だと思ったんだが」

「この話し合いで少し修正したんだ。深淵…、これがユーリウス様の事で、呪い…、これが魔女、アデリーナじゃないかって」

「…じゃぁ5行目は『アデリーナを捕まえろ』って言うこと~?」
「止めろとか…、早い話が何とかしろって事だよね」


なんか…よく分からないけどすごいな。スゴイよ。いろいろアレだけど。


「…どうなんだろう…じ、じゃぁ回答ね…」


「『人であり人ならざる者』、これは召喚された勇者の事だよ」
「プータロー?」
「うん。で、『狭き世界のものを4人集めよ』これ亜人種の事ね」
「亜人種…」 
「『彼らは助言を与えるだろう』これそのまんま」
「で次は?」
「すごいね、単語は合ってる。『深淵には不死が寄り添う』本来ここでは不死がユーリの事だったんだけど…」
「私…」
「『望むものよ 不死を捕らえよ』やれやれ…勇者はユーリを捕まえに来るとこだった。追っ払ったけど」

「だからあれほどまでしてプータローという男を遠ざけようとしたのか…」
「事は未然に防ぐのが大切だからね」

「だけど…、ふふ」
「何ユーリ?」

「人であり人ならざる者、まさにアッシュの事だ。それに狭き世界の者?これこそ今ここに居る君が集めた4人じゃないか。偏執的で視野狭窄で…、二人の解析は的を射ている」

「ユーリまで…、いやでも、」


頭をよぎる緑の光。石板を包むあの緑の光はオリジナルからコピーに移った。
あれがまさにフラグのスイッチだったとしたら…?あれが…、まさかっ!ホントにそうなのかっ⁉

すでに物語はこっちがオリジナルになってる…だとっ⁉

一行目は僕、召喚勇者ならぬ転生農家の息子だ!で2行目が狭き世界の者ならぬ狭き世界が好きな者重度のオタク
そして…、4行目、呪い…アデリーナ…不死…。魔女は不死!不死がアデリーナの事なら深淵は…、深淵は!



「ユーリは深淵に堕ちてない!だけどアデリーナが今まさに深淵に堕とそうとしてる!なら5行目は大正解だ、アデリーナをなんとかしなくちゃ!そこにしかエンディングは無い!!!」




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