チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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133 彼は成長する

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まさか王都訪問の最後の最後にあんなサプライズがあっただなんて…、本気で驚いたよ!

多分あの後妻こそがカルロッタさんを壊した張本人だ。マテアスなんかそのための道具の一つにすぎない。狙いはなんだ…、爵位か?領地か…?いや。マテアスが公爵位を継げない以上それは無い…。マテアスを取られた恨み?地位への妬み?
…違う違う!全部違う!理由なんかない!カルロッタさんを壊す、それこそが望みなんだ!
でもカルロッタさんはもう居ない…。なら次に壊そうとするのは…

WEB小説が頭をよぎる…。毒公爵を深淵に堕としたあんなことやこんなこと、それらすべてがあの後妻の企てだとしたら…?でも何故?そんなの決まってる。WEB小説の最後はどうなった?〝世界を恨んだ毒公爵の大魔法によって世界は腐り崩壊へと向かう”んだ!

ラスボスはあいつなのか⁉

崩壊した世界でどうやって生き延びるつもりだ…?国境を越えて違うお話他の国にでも行くつもりか?崩壊後の聖王国ってどうなっちゃうの?

ああー…、どうして最後までちゃんとweb小説読み込まなったんだ、自分…。もしかしたら勇者の続編、冒険譚にも何か記述があったのかも…。毒公爵が倒されてからはテンション下がっちゃって…、ああー…


とは言えものは考えよう…ピンチはチャンス、いつだってこれは僕の大事なポリシー。

前世の祖母も言ったのだ。

「「何事も出来っこないと思うのはあなたが何もしないからです。」

まったくもってその通りだ。放置すればいつまでたっても危険なまま何一つ好転しない。むしろ早く知れて良かったとも言える。悪い芽を摘むなら早いに越したことは無い。

すべきことことなんか3年前からとうに決まってる。僕はユーリを護り抜いて、このリッターホルムを二人の桃源郷にするんだ!そのためには一瞬だって怯んだりしない!

僕はいつだってすべきことをする!今世こそ…







「ヘンリックさん!良いとこで会った!っていうかどうしたの?こんなとこで…」

「こんなとこって…ここは王宮じゃないか。それはともかく、私を呼び出したのはユーリウス様だ…」
「あっ!」

「その顔は…聞いたんだね。すまない。だが私に断る術は…」
「ヘンリックさんは悪くないよ!ごめんね、ユーリが無茶言って。ん?呼び出されたってことは…、まさか…」


そのまさかだった。

もうユーリってば!夫夫の営みについて他人に話しちゃいけません!って、散々言っといたのに!
かといって力関係的にヘンリックさんからユーリにNOとは言えない…どうする?どうせまた呼び出すに決まってる…そうだ!


「あー、ヘンリックさん。よければ今後お姫様に社会の事教えてあげてもらえないかな?国の事、民の事、それから「大いなる力には、大いなる責任がともなう」ってことも。」


これは僕の好きだったアメコミヒーローの言葉…、僕にとっての金言だ。だがすべてに通じるはず!


高貴なる者の義務ノブレスオブリージュのことだね。構わないが…姫殿下はどう言っているんだい?」

「お姫様自身が望んでるんだ。王さまは刺繍や編み物しかさせなかったから。けど例の件のろいとかあるから誰でもって訳にはいかなくって。それにお姫様の指南役始めたって言えばこれからは呼び出されないかもよ?」

「私に任せたまえ!」


 





ひょんなところでゲットした、うってつけの指南役。ヘンリックさんならぴったりだ。頭が良くて性格も良くて、爽やかで、…そして顔も良い。まさに太陽の貴公子。

それを伝えにロココ部屋へとやって来たら、そこには先客、(蔓)薔薇の貴公子ケネスがいた。


「あれ、王子も来てたの?ふぅん、そうしてると流石に兄妹、よく似てるね。言いたくないけど…認めたくないけどっ、…綺麗な兄妹だ…くっ!」

「何故そこで悔しそうにするのだ!素直に賛美出来ないのかっ!」

「おぉっと、お姫様の前で無様な真似をさらしたいのかな?」
「ふふん、やれるものならやってみろ」

なんだ…?この妙な自信は…


「蔓薔r」
「〝拘束”」


こ、拘束だと!長の長子と同じスキルじゃないかっ!ス、スキルが変化したって言うのか ⁉なんで ⁉あ…、ああ。拘束しすぎたからか…っていうかどうなのそれって…。でもね…


「はい残念でした。だから僕には聖約がかかってるから効・き・ま・せ・ん!拘束は制約の上級スキルでしょ?ほんっとバカだねっ!これで今夜もまたお仕置き決定だ!」
「そんなっ…!」

「…けどまぁ、スキルアップをお祝いして3時間のところ2時間にしてあげよう」
「ほ、本当か⁉…はぁ助かった…」


「お、お兄様、助かったのですか?それは…」







「てな訳だから今日のところは2時間で。」
「殿下…本当にもうっ…もうっ!はぁ…」

「まぁまぁ、あれでも大分変わったよ?もちろん良い方に」
「それはまぁ…」


本当に変わった。相変わらずバカはバカだけど投げやりな様子は無くなった。一応理解しようと努めているし、覚えようと工夫している。稚拙ながら自分なりに治世の事も考えている。
その大半はノールさんの手柄だ。良くも悪くも憎まれ役は必要なのだ。そして憎まれ役の真価はいつだって、成功した後に気付くのだ。


「あとはイルマリさん達に今度こそ頑張ってもらおうよ。サルミアッキも持たせたし」
「そうだね」

「って事でノールさんにも宿題。」
「宿題?」

「屋敷に置いてある絵画とか壁画とかもろもろ…、〝偽装カモフラージュ”して欲しい。スキルの派生、サーダさんはやった。王子だってスキルアップしたんだ。ノールさん、負けてられないよ!」

「〝造形偽装カモフラージュ”…、サーダも殿下も…。うん、負けてられないね、やってみるよ!」


確信がある。ノールさんの負けず嫌いはきっとスキルの派生を成功へと導くだろう。










「ねぇアッシュ、アレクシから聞いたんだ。ペルクリット伯爵夫人…彼女に会ったと…」

「マジで?…アレクシさん…」ジト…
「……」ペコリ…


あれほどユーリには内緒だって言っといたのに…。
でもまぁ予想はしてた。アレクシさんが仕えるのはユーリであって僕じゃない。問い詰められたら黙り続けるなんて出来っこない。


「君が私を関わらせまいとしていることは分かってる。だからその気持ちを今まで汲んできた。色々な事も…君が隠したがっているから知らないふりをしていたけどね、…彼女が出てきた以上これは私の問題だ。」

「ユーリ…」

「もういいだろう?君の口から聞きたいんだ。君が何をしようとしているのか、何を恐れているのか、そして私は何をすればいいか…、君が戦おうとしている何かと…、私も戦いたい。」

「でも僕はユーリを…」

「アッシュ、私はもう怯えて部屋に閉じこもるだけの子供じゃない。君が私の手を取り外へと連れ出してくれた。食事を味わうことも花を愛でることも、自然の壮大さも全て君が教えてくれた。私が気付かなかっただけでそこには私を気遣うアレクシやオスモ、いいやそれだけじゃない。ノールやヴェストたち、私を恐れない者がちゃんと居ることも気付かせてくれた。狭い世界に居ては何も…、広い世界に出てこそ可能性は広がるのだと私は知ったんだ。」




ああ…、あの日ぼくの目の前で声を押し殺し嗚咽をあげてた彼はもう居ない。今ここに居るのは、真っすぐに顔をあげ、強い意志のこもった濃紫の瞳で僕を見つめる立派な公爵閣下、ちょっとエッチな…僕の旦那様だ。


「私は君と共に戦いたい。」


僕のしてきたことは…今、確かな実りの時を迎えた…





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