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164 彼の敵の本性
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「…そ、それなら魔女は自国の賢者を売ったと言う事?何のために?」
「決まっておる。大いなる願いには大いなる代償が。贄に差し出したのだ、北の賢者をな…」
贄…、アデリーナが魔剣を欲してた?ピンとこないな。アデリーナは物理にものを言わせるタイプじゃない。
それに…思い出せ、思い出すんだ。WEB小説の魔剣の記述。んーと…勇者の仲間のドワーフが…え~、捕まって地下牢に連れて来られた時…そうそう、モノローグで何か言ってたはず…あれは何だった?
ーー これはダインの剣かっ⁉ 森の一族の中でも最も腕の立つダインが作った魔剣ではないか。何故ここに…。しかし奴らも悪趣味だ。神聖な力を宿すシャーマンの血骨を魔剣に呪いを施すのに使うなどと…なんとまあ忌むべき毒公爵が持つにピッタリではないか。なあに構わん!勇者の剣にはわしら町のドワーフがエルフから一滴の涙と一筋の髪をもらい受けさらなる強化を施した。ルーンの刻まれたあの剣はけっして引けは取らぬ! ーー
神聖な力を宿すシャーマンの血肉…シャーマンって祈祷師とか占い師のことだったよね?神の声を聞き神託を与えたり予言をしたり、それから治病をしたり…つまりそれって呪術師ってことで、それも恐らくは白の呪術師…
「そうか…そういう事だったんだ…。全てはここから始まった…」
「どういうことだアッシュ」
「アデリーナは北の賢者をドワーフに売った。ドワーフは魔剣の材料にするためにそれに乗った。そして恐らくアデリーナは何かの願いを叶えるために。その願いは途方もなく大きなもので…、例えば…そう、不死とかね。普通ならその術には多くの呪力が必要になる。それを貯めようと思ったら気の遠くなるような途方もない時間だ。残念ながら人間はそれほど長く生きられない。だからこそ術師であっても誰一人不死は成し得ない。そこでアデリーナは時短を考えた。代償は神の代弁者、神聖なる力を持つ特別な存在。それがシャーマン、里の唯一である北の賢者だ。アデリーナは呪力を賢者の聖なる力で補ったんだ!」
「不老不死のために自国の賢者を売ったのか…何という悪辣な…」
「だって魔女だもん」
「まってアッシュ君、それなら何故あのタイミングで?」
「悪いドワーフの地域は北より南のほうが断然近い。それに北の地に居れば賢者は里人たちから守られる。女指導者だって賢者を殺められたことにあれほど怒ったんだ。北の賢者は相当大切に崇められていたはずだよ。だから絶対バレる訳にはいかなかったんだ。そもそもあの時点のアデリーナが賢者より力が上だったとは思えない。術をぶつけたって跳ね返されたかも。それでドワーフに殺らせた。分かるでしょ?アデリーナの常套手段だ。」
「不老不死…そんなことのために…」
「たった一人の女の欲望のためにあれだけ多くの血が流れこれだけの因縁が続いているのか!ならばなぜアデリーナは我々を呪う!すべては自分の撒いた種であろうが!」
「公爵様。恐らくその理由は知ったところで納得できるものでは無いのだよ。魔女には魔女にしかわからぬ理屈があるのだ」
そうだとも。悪人の理屈に耳を貸してはならない。
死を司るアデリーナは呪術師たちのエリートだ。獰猛な女指導者を母に持つ残忍酷薄な邪術のサラブレット、それがアデリーナ。
そんなアデリーナの言う事なんか自分本位に決まってる!
でもこれでアデリーナが不老不死の魔女だと確信が強まった。まぁ最初からほぼそうだと思ってたけど証拠がない以上断定はできないからね。
あれは子孫でもなんでもない、やっぱり女指導者の娘、本人だ。
でもだとしたら…
「だとしたら転移のスキルを持つ男はどうなったの?」
さすがノールさん。同じ疑問に行き当たったか…
「分からない…。それこそが12家を執拗に狙う魔女の暴走、その一因な気がするけど…」
「2000年生きた魔女か…。さぞや退屈しているに違いない。12家の断絶…これも魔女にとっては遊戯のようなものなのかも知れないな」
暇を持て余した神々の遊びならぬ暇を持て余した魔女の遊びか…はた迷惑な…
教授にはこの冬が終わったらリッターホルムに来てもらう事になった。
必ずどこからか確認しているだろうし壁画を見に来たっていう客観的事実は作っておかなくちゃ。そのうえで最適な情報を流してもらう…、場合によってはあの地下道の悪人を放出したっていい…じゃぁ心ばかりの手土産くらいは用意しておくべきか…。
「でもこれでこの冬、アデリーナは多分もう動かない。」
「そうだろうか?」
「きっとそうだよ。アデリーナにとって5年は5分って言ったのユーリじゃない。なら事の確認も取れてないのに焦って動いたりしない。ミスは大抵焦りから出るんだよ。」
「う…ん、…そうかも知れないね」
「ノール、どうしてそう思う」
「ユーリウス様…、その、思ったんです。アデリーナが一番いやな事は何だろうって。彼女が不死なら命を狙われたってさして気にしない、どこでどう討たれようがどこかでひっそり息を吹き返すだけ…。ですがその彼女が一度だけ窮地に立たされた…、それはマァの村に封じられたときです。実際彼女はそこで呪力を失った…。」
「そうか…、アデリーナはこちらが魔女の正体を暴いたことは気づいていない。下手に動いて正体を知られたうえ又封じられるよりも確実に安全策を取ると言う訳だな。」
「ユーリ、残りの滞在は思う存分息抜きしようね!」
「ああ」
「ノール、少しいいか」
「ユーリウス様…、アッシュ君は?」
「殿下を連れて王宮の宝物庫を見に行った。教授への手土産を探すと言ってね」
「殿下と?いいのかなぁ、それ…」
「そんな事より先ほどの話だ。魔女が窮地に立たされたと言ったな…」
「え?ええ…」
「ならば魔女が恐れるのは封印だけではない。マァの村に顕現する賢者、それこそがアデリーナの真に恐れるものだ。我らはアッシュがそうだとは思っていない。だが…」
「アッシュ君の秘密を知ってそう思い込む者は居るでしょうね…」
「前王といい大司教と言いミーミルとの呼び名は幸いだった。いいかノール、アッシュが賢者に酷似していることを決して知られてはならない。特にあの狡猾なアデリーナには。知ればあの魔女はアッシュを排除しにかかる」
「っ!…父をはじめ、それを知る全ての者に通達を出しておきましょう…」
「決まっておる。大いなる願いには大いなる代償が。贄に差し出したのだ、北の賢者をな…」
贄…、アデリーナが魔剣を欲してた?ピンとこないな。アデリーナは物理にものを言わせるタイプじゃない。
それに…思い出せ、思い出すんだ。WEB小説の魔剣の記述。んーと…勇者の仲間のドワーフが…え~、捕まって地下牢に連れて来られた時…そうそう、モノローグで何か言ってたはず…あれは何だった?
ーー これはダインの剣かっ⁉ 森の一族の中でも最も腕の立つダインが作った魔剣ではないか。何故ここに…。しかし奴らも悪趣味だ。神聖な力を宿すシャーマンの血骨を魔剣に呪いを施すのに使うなどと…なんとまあ忌むべき毒公爵が持つにピッタリではないか。なあに構わん!勇者の剣にはわしら町のドワーフがエルフから一滴の涙と一筋の髪をもらい受けさらなる強化を施した。ルーンの刻まれたあの剣はけっして引けは取らぬ! ーー
神聖な力を宿すシャーマンの血肉…シャーマンって祈祷師とか占い師のことだったよね?神の声を聞き神託を与えたり予言をしたり、それから治病をしたり…つまりそれって呪術師ってことで、それも恐らくは白の呪術師…
「そうか…そういう事だったんだ…。全てはここから始まった…」
「どういうことだアッシュ」
「アデリーナは北の賢者をドワーフに売った。ドワーフは魔剣の材料にするためにそれに乗った。そして恐らくアデリーナは何かの願いを叶えるために。その願いは途方もなく大きなもので…、例えば…そう、不死とかね。普通ならその術には多くの呪力が必要になる。それを貯めようと思ったら気の遠くなるような途方もない時間だ。残念ながら人間はそれほど長く生きられない。だからこそ術師であっても誰一人不死は成し得ない。そこでアデリーナは時短を考えた。代償は神の代弁者、神聖なる力を持つ特別な存在。それがシャーマン、里の唯一である北の賢者だ。アデリーナは呪力を賢者の聖なる力で補ったんだ!」
「不老不死のために自国の賢者を売ったのか…何という悪辣な…」
「だって魔女だもん」
「まってアッシュ君、それなら何故あのタイミングで?」
「悪いドワーフの地域は北より南のほうが断然近い。それに北の地に居れば賢者は里人たちから守られる。女指導者だって賢者を殺められたことにあれほど怒ったんだ。北の賢者は相当大切に崇められていたはずだよ。だから絶対バレる訳にはいかなかったんだ。そもそもあの時点のアデリーナが賢者より力が上だったとは思えない。術をぶつけたって跳ね返されたかも。それでドワーフに殺らせた。分かるでしょ?アデリーナの常套手段だ。」
「不老不死…そんなことのために…」
「たった一人の女の欲望のためにあれだけ多くの血が流れこれだけの因縁が続いているのか!ならばなぜアデリーナは我々を呪う!すべては自分の撒いた種であろうが!」
「公爵様。恐らくその理由は知ったところで納得できるものでは無いのだよ。魔女には魔女にしかわからぬ理屈があるのだ」
そうだとも。悪人の理屈に耳を貸してはならない。
死を司るアデリーナは呪術師たちのエリートだ。獰猛な女指導者を母に持つ残忍酷薄な邪術のサラブレット、それがアデリーナ。
そんなアデリーナの言う事なんか自分本位に決まってる!
でもこれでアデリーナが不老不死の魔女だと確信が強まった。まぁ最初からほぼそうだと思ってたけど証拠がない以上断定はできないからね。
あれは子孫でもなんでもない、やっぱり女指導者の娘、本人だ。
でもだとしたら…
「だとしたら転移のスキルを持つ男はどうなったの?」
さすがノールさん。同じ疑問に行き当たったか…
「分からない…。それこそが12家を執拗に狙う魔女の暴走、その一因な気がするけど…」
「2000年生きた魔女か…。さぞや退屈しているに違いない。12家の断絶…これも魔女にとっては遊戯のようなものなのかも知れないな」
暇を持て余した神々の遊びならぬ暇を持て余した魔女の遊びか…はた迷惑な…
教授にはこの冬が終わったらリッターホルムに来てもらう事になった。
必ずどこからか確認しているだろうし壁画を見に来たっていう客観的事実は作っておかなくちゃ。そのうえで最適な情報を流してもらう…、場合によってはあの地下道の悪人を放出したっていい…じゃぁ心ばかりの手土産くらいは用意しておくべきか…。
「でもこれでこの冬、アデリーナは多分もう動かない。」
「そうだろうか?」
「きっとそうだよ。アデリーナにとって5年は5分って言ったのユーリじゃない。なら事の確認も取れてないのに焦って動いたりしない。ミスは大抵焦りから出るんだよ。」
「う…ん、…そうかも知れないね」
「ノール、どうしてそう思う」
「ユーリウス様…、その、思ったんです。アデリーナが一番いやな事は何だろうって。彼女が不死なら命を狙われたってさして気にしない、どこでどう討たれようがどこかでひっそり息を吹き返すだけ…。ですがその彼女が一度だけ窮地に立たされた…、それはマァの村に封じられたときです。実際彼女はそこで呪力を失った…。」
「そうか…、アデリーナはこちらが魔女の正体を暴いたことは気づいていない。下手に動いて正体を知られたうえ又封じられるよりも確実に安全策を取ると言う訳だな。」
「ユーリ、残りの滞在は思う存分息抜きしようね!」
「ああ」
「ノール、少しいいか」
「ユーリウス様…、アッシュ君は?」
「殿下を連れて王宮の宝物庫を見に行った。教授への手土産を探すと言ってね」
「殿下と?いいのかなぁ、それ…」
「そんな事より先ほどの話だ。魔女が窮地に立たされたと言ったな…」
「え?ええ…」
「ならば魔女が恐れるのは封印だけではない。マァの村に顕現する賢者、それこそがアデリーナの真に恐れるものだ。我らはアッシュがそうだとは思っていない。だが…」
「アッシュ君の秘密を知ってそう思い込む者は居るでしょうね…」
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