チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

文字の大きさ
142 / 277
連載

164 彼の敵の本性

しおりを挟む
「…そ、それなら魔女は自国の賢者を売ったと言う事?何のために?」

「決まっておる。大いなる願いには大いなる代償が。贄に差し出したのだ、北の賢者をな…」


贄…、アデリーナが魔剣を欲してた?ピンとこないな。アデリーナは物理にものを言わせるタイプじゃない。

それに…思い出せ、思い出すんだ。WEB小説の魔剣の記述。んーと…勇者の仲間のドワーフが…え~、捕まって地下牢に連れて来られた時…そうそう、モノローグで何か言ってたはず…あれは何だった?


ーー これはダインの剣かっ⁉ 森の一族の中でも最も腕の立つダインが作った魔剣ではないか。何故ここに…。しかし奴らも悪趣味だ。神聖な力を宿すシャーマンの血骨を魔剣に呪いを施すのに使うなどと…なんとまあ忌むべき毒公爵が持つにピッタリではないか。なあに構わん!勇者の剣にはわしら町のドワーフがエルフから一滴の涙と一筋の髪をもらい受けさらなる強化を施した。ルーンの刻まれたあの剣はけっして引けは取らぬ! ーー



神聖な力を宿すシャーマンの血肉…シャーマンって祈祷師とか占い師のことだったよね?神の声を聞き神託を与えたり予言をしたり、それから治病をしたり…つまりそれって呪術師ってことで、それも恐らくは白の呪術師…


「そうか…そういう事だったんだ…。全てはここから始まった…」

「どういうことだアッシュ」

「アデリーナは北の賢者をドワーフに売った。ドワーフは魔剣の材料にするためにそれに乗った。そして恐らくアデリーナは何かの願いを叶えるために。その願いは途方もなく大きなもので…、例えば…そう、不死とかね。普通ならその術には多くの呪力が必要になる。それを貯めようと思ったら気の遠くなるような途方もない時間だ。残念ながら人間はそれほど長く生きられない。だからこそ術師であっても誰一人不死は成し得ない。そこでアデリーナは時短を考えた。代償は神の代弁者、神聖なる力を持つ特別な存在。それがシャーマン、里の唯一である北の賢者だ。アデリーナは呪力を賢者の聖なる力で補ったんだ!」

「不老不死のために自国の賢者を売ったのか…何という悪辣な…」
「だって魔女だもん」

「まってアッシュ君、それなら何故あのタイミングで?」

「悪いドワーフの地域は北より南のほうが断然近い。それに北の地に居れば賢者は里人たちから守られる。女指導者だって賢者を殺められたことにあれほど怒ったんだ。北の賢者は相当大切に崇められていたはずだよ。だから絶対バレる訳にはいかなかったんだ。そもそもあの時点のアデリーナが賢者より力が上だったとは思えない。術をぶつけたって跳ね返されたかも。それでドワーフに殺らせた。分かるでしょ?アデリーナの常套手段だ。」

「不老不死…そんなことのために…」
「たった一人の女の欲望のためにあれだけ多くの血が流れこれだけの因縁が続いているのか!ならばなぜアデリーナは我々を呪う!すべては自分の撒いた種であろうが!」

「公爵様。恐らくその理由は知ったところで納得できるものでは無いのだよ。魔女には魔女にしかわからぬ理屈があるのだ」


そうだとも。悪人の理屈に耳を貸してはならない。
死を司るアデリーナは呪術師たちのエリートだ。獰猛な女指導者を母に持つ残忍酷薄な邪術のサラブレット、それがアデリーナ。
そんなアデリーナの言う事なんか自分本位に決まってる!

でもこれでアデリーナが不老不死の魔女だと確信が強まった。まぁ最初からほぼそうだと思ってたけど証拠がない以上断定はできないからね。
あれは子孫でもなんでもない、やっぱり女指導者の娘、本人だ。

でもだとしたら…


「だとしたら転移のスキルを持つ男はどうなったの?」


さすがノールさん。同じ疑問に行き当たったか…


「分からない…。それこそが12家を執拗に狙う魔女の暴走、その一因な気がするけど…」

「2000年生きた魔女か…。さぞや退屈しているに違いない。12家の断絶…これも魔女にとっては遊戯のようなものなのかも知れないな」


暇を持て余した神々の遊びならぬ暇を持て余した魔女の遊びか…はた迷惑な…






教授にはこの冬が終わったらリッターホルムに来てもらう事になった。
必ずどこからか確認しているだろうし壁画を見に来たっていう客観的事実は作っておかなくちゃ。そのうえで最適な情報を流してもらう…、場合によってはあの地下道の悪人を放出したっていい…じゃぁ心ばかりの手土産くらいは用意しておくべきか…。


「でもこれでこの冬、アデリーナは多分もう動かない。」

「そうだろうか?」
「きっとそうだよ。アデリーナにとって5年は5分って言ったのユーリじゃない。なら事の確認も取れてないのに焦って動いたりしない。ミスは大抵焦りから出るんだよ。」

「う…ん、…そうかも知れないね」
「ノール、どうしてそう思う」

「ユーリウス様…、その、思ったんです。アデリーナが一番いやな事は何だろうって。彼女が不死なら命を狙われたってさして気にしない、どこでどう討たれようがどこかでひっそり息を吹き返すだけ…。ですがその彼女が一度だけ窮地に立たされた…、それはマァの村に封じられたときです。実際彼女はそこで呪力を失った…。」

「そうか…、アデリーナはこちらが魔女の正体を暴いたことは気づいていない。下手に動いて正体を知られたうえ又封じられるよりも確実に安全策を取ると言う訳だな。」

「ユーリ、残りの滞在は思う存分息抜きしようね!」
「ああ」





「ノール、少しいいか」

「ユーリウス様…、アッシュ君は?」

「殿下を連れて王宮の宝物庫を見に行った。教授への手土産を探すと言ってね」

「殿下と?いいのかなぁ、それ…」

「そんな事より先ほどの話だ。魔女が窮地に立たされたと言ったな…」

「え?ええ…」

「ならば魔女が恐れるのは封印だけではない。マァの村に顕現する賢者、それこそがアデリーナの真に恐れるものだ。我らはアッシュがそうだとは思っていない。だが…」

「アッシュ君の秘密を知ってそう思い込む者は居るでしょうね…」

「前王といい大司教と言いミーミルとの呼び名は幸いだった。いいかノール、アッシュが賢者に酷似していることを決して知られてはならない。特にあの狡猾なアデリーナには。知ればあの魔女はアッシュを排除しにかかる」

「っ!…父をはじめ、それを知る全ての者に通達を出しておきましょう…」





しおりを挟む
感想 392

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました

綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜 【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】 *真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息 「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」 婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。 (……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!) 悪役令息、ダリル・コッドは知っている。 この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。 ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。 最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。 そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。 そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。 (もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!) 学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。 そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……―― 元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。 アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。 そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!! え? 僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!? ※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。  色んな国の言葉をMIXさせています。 本作は皆様の暖かな支援のおかげで第13回BL大賞にて学園BL賞を受賞いたしました! 心よりお礼申し上げます。 ただ今、感謝の番外編を少しずつ更新中です。 よければお時間のある時にお楽しみくださいませ

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。