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179 真夜中の思案
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「アッシュ…、今のは?大叔父上に何があると?聖王が隠し持っていた?何を?説明するんだアッシュ、いいや、アレクシ!これは一体どういう事だ!」
「待って、待ってよユーリ。違うんだって、明日の朝話そうと思ってたの。これは隠し事じゃないよ。アレクシさんには僕がユーリに話すからって待っててもらったの!怒らないで!」
「明日朝…、何故っ、…いやいい。では説明してもらおうか…アッシュ、私が納得できる説明を…」
ヤババババ…、まじヤバイ。もう全然説明できる自信はないけど…仕方ない。
こう見えて僕は嘘をつく、という行為をしたことが無い。
いや、こういうと語弊があるな。まぁ、余計なことは言わなかったり、少々盛ったりアレンジしたり…意図せずに噓になってしまったことは勿論ある。だけど、特に前世では嘘をつこうと思って積極的に嘘をついたことはほとんどない。まぁ嘘をつくほどの交友関係が無かったとも言えるが…、その件は置いといて、それほど嘘をつくのが苦手なのだ。
仕方ない。直球でいくか。こういうのはごちゃごちゃ言うわない方がいいんだって…多分…。
僕がユーリにここ数日の話をまとめて話している間に、アレクシさんはエスターとノールさんまで呼んで来てしまった。
ちなみにヴェストさんはユーリと一緒に最初から立っていた。くっ!
気が付いたら軽食とお茶の用意をしてナッツまでもがそこにいた。背後にボディガードみたいなサーダさんまで引き連れて…
「それで君は王都に、アデリーナの元に行くと言うのか!馬鹿な!」
「だけど行かなきゃ大公に危害が加えられる。」
「それを信じるのか ⁉」
「信じるよ。相手は200年ごとに疫病を振りまいた魔女だ。その疫病で何千人亡くなろうが気にもとめない本物の悪魔だよ。人の心を持たない魔女がいくら呪力を失ったからって脅しを脅しだけで済ませるもんか。」
「私の毒で大叔父を…、私を苦しめる、そんな事の為に…すべて私のせいだ…」
「ほら!そうなるから言わなかった。言わなかったことで僕を責めるならユーリも毒の事で自分をいちいち責めないで!いい?呪術を使えないアデリーナにとってユーリは存在そのものが呪なんだよ。術の代わりにユーリを使おうとしてる。惑わされないで!」
「だがいずれにしても君をアデリーナの元になど…、ああっ!こうなることをあんなにも恐れていたのに!」
「え…?」
「そうだよ。君のスキルがアデリーナに知られないよう…、ユーリウス様は細心の注意を払っておいでだった…。なのにこんな…」
それを聞いたら余計に居たたまれない…。スミマセン、やらかしたのは僕です…
「アッシュ、では大叔父上をここへ呼んではどうだろうか。ここに…、リッターホルムに居れば…、それなら」
「ユーリ、大公は今は王様なんだ。あの王子でさえ王城で覚悟を決めてるのに、大公がここに来るとは思えない。それにね、付け焼刃じゃ意味が無いんだ。だってユーリにはもう心を通わせ合った相手はたくさんいる。子爵だって教授だって、なんなら大公邸の使用人だって。キリが無いんだ。逃げてたってアデリーナがその気になれば誰だって人質に出来る。だから一か八か…どうせいつかは戦うんだ。それが今でも同じことだ!…それに少なくともすぐにやられることは無い。それは確かだよ。だって…」
「アッシュこそが君を最も苦しめる最後のチェックメイトだろうからね」
「ぐ…」
「エスターの言う通りだ。だから安心して。」
「そんな言葉で私が納得するとでも?」
「それでもだよ。それでも僕は行く!それであそこにいる間に何とかしてくる。」
「で?勝算はあるのかい、君?」
くそっ!エスターめ、タイミング良かったり悪かったり…
「あ、ああああ、あるっ!どこかにきっとある!今探してる最中だから!」
僕は失敗しない男。何故なら上手くいくまでトライアンドエラーを繰り返すからだ。諦めない限りそれはまだ結果じゃない。最良の結果を得るための過程でしかない。だけど…
このエラーにはリトライは無い…
あの子供の手紙を受け、わたくしはその内容の真偽を熟考している…
地滑り…本当かしら。
だがあんな南東の果てにある領地の2週間も先の出来事が何故…それも賢者の権能だと言うの?
だが確かに…
マテアスから届けられる手紙には今年の領地は雨が多いと書かれていたわ。
大量の雨で川の水が濁っているとも…
あの地には何度か付いて行った。面倒な事と思いつつ、息子のことを思えば多少の不便は我慢も出来た。
そうだわ、それに、硬い粘土質のあの地では収穫が増やせないのだとマテアスはいつもぼやいていた…。
雨…、濁った川…、粘土質の土…、まさか本当に?
いいえ!そんなはずは!でも本当だったら…
押し寄せる不安。おためごかしで予言などと言い切るだろうか、賢者ともあろうものが…
マテアスなどどうなってもいい。整った顔をしていようがわたくしにとっては何の意味も無い。ただそうね…、グレージュの髪色と色素の薄い灰色の瞳がほんの少し気に入っただけ、あの人の代わりになど誰であろうがなり得ないのに…
でもアルパは違う。
あの子はわたくしの血を引くまごう事無き愛しい息子。
あの人を、そしてあの子達を見送った後はもう決して子供など持つまいと思っていたのに…
マテアスにしてやられまんまと孕まされてしまったのはちょうどカルロッタがユーリウスを産んだ頃だった。
カルロッタを深淵へと誘う駒…、赤子の存在は労せずより一層カルロッタの心をかき乱した。でなければ決してあの男を許してはおかなかった。
わたくしの分身…、生まれてしまえば愛さないなど出来る訳がない…わたくしははずっと虚空だったのだ。
アルパの存在はひと時だけでもわたくしをとても満たしてくれた。そう、このままこの子と二人過ごしていけるのなら全てを忘れてもいいと思えるほどに。
でもそれは無理な願いと言うものね…。
わたくしは不死。いつかアルパはわたくしを置いて逝ってしまう。
あの人のように…、あの子たちのように…。
その思いはわたくしに計画の実行を再度強く誓わせた。
家族で過ごした白のエルフが住むあの幻想的な森。途中、ドワーフの国さえ無事抜ければエルフの森は安全なはず。そこにはあの家がきっと今も残っている。わたくしの隠した多くの財宝と共に。
エルフの森では時の流れがとても緩やかだ。だからこそわたくしたちは通常よりもほんの少し長い時間をあそこで共に過ごせたのだ。
そしてあの国の両側には人間種の国がある。アルパ…あの子はいざとなれば森を出て人間種の国へと向かうかもしれない。それもいい…
すべてはこの計画の為、そのためにあの子が生まれてから少しづつドワーフの国に伝手を作って来たのだ。その時が来たらあの子が安全に気難しいドワーフの国を抜けられるようにと…。
わたくしの持つ呪の知を少しづつ切り売り、ようやくあの排他的なドワーフの国に縁を繋いだ。そうしてようやくここまできたのだ!
なのにこんなところで自然の驚異にあの子を奪われてなるものか!
「誰か!今すぐ領地に行く用意をして頂戴!支度が出来次第すぐに向かうわ!急いで頂戴!今すぐによ!」
「待って、待ってよユーリ。違うんだって、明日の朝話そうと思ってたの。これは隠し事じゃないよ。アレクシさんには僕がユーリに話すからって待っててもらったの!怒らないで!」
「明日朝…、何故っ、…いやいい。では説明してもらおうか…アッシュ、私が納得できる説明を…」
ヤババババ…、まじヤバイ。もう全然説明できる自信はないけど…仕方ない。
こう見えて僕は嘘をつく、という行為をしたことが無い。
いや、こういうと語弊があるな。まぁ、余計なことは言わなかったり、少々盛ったりアレンジしたり…意図せずに噓になってしまったことは勿論ある。だけど、特に前世では嘘をつこうと思って積極的に嘘をついたことはほとんどない。まぁ嘘をつくほどの交友関係が無かったとも言えるが…、その件は置いといて、それほど嘘をつくのが苦手なのだ。
仕方ない。直球でいくか。こういうのはごちゃごちゃ言うわない方がいいんだって…多分…。
僕がユーリにここ数日の話をまとめて話している間に、アレクシさんはエスターとノールさんまで呼んで来てしまった。
ちなみにヴェストさんはユーリと一緒に最初から立っていた。くっ!
気が付いたら軽食とお茶の用意をしてナッツまでもがそこにいた。背後にボディガードみたいなサーダさんまで引き連れて…
「それで君は王都に、アデリーナの元に行くと言うのか!馬鹿な!」
「だけど行かなきゃ大公に危害が加えられる。」
「それを信じるのか ⁉」
「信じるよ。相手は200年ごとに疫病を振りまいた魔女だ。その疫病で何千人亡くなろうが気にもとめない本物の悪魔だよ。人の心を持たない魔女がいくら呪力を失ったからって脅しを脅しだけで済ませるもんか。」
「私の毒で大叔父を…、私を苦しめる、そんな事の為に…すべて私のせいだ…」
「ほら!そうなるから言わなかった。言わなかったことで僕を責めるならユーリも毒の事で自分をいちいち責めないで!いい?呪術を使えないアデリーナにとってユーリは存在そのものが呪なんだよ。術の代わりにユーリを使おうとしてる。惑わされないで!」
「だがいずれにしても君をアデリーナの元になど…、ああっ!こうなることをあんなにも恐れていたのに!」
「え…?」
「そうだよ。君のスキルがアデリーナに知られないよう…、ユーリウス様は細心の注意を払っておいでだった…。なのにこんな…」
それを聞いたら余計に居たたまれない…。スミマセン、やらかしたのは僕です…
「アッシュ、では大叔父上をここへ呼んではどうだろうか。ここに…、リッターホルムに居れば…、それなら」
「ユーリ、大公は今は王様なんだ。あの王子でさえ王城で覚悟を決めてるのに、大公がここに来るとは思えない。それにね、付け焼刃じゃ意味が無いんだ。だってユーリにはもう心を通わせ合った相手はたくさんいる。子爵だって教授だって、なんなら大公邸の使用人だって。キリが無いんだ。逃げてたってアデリーナがその気になれば誰だって人質に出来る。だから一か八か…どうせいつかは戦うんだ。それが今でも同じことだ!…それに少なくともすぐにやられることは無い。それは確かだよ。だって…」
「アッシュこそが君を最も苦しめる最後のチェックメイトだろうからね」
「ぐ…」
「エスターの言う通りだ。だから安心して。」
「そんな言葉で私が納得するとでも?」
「それでもだよ。それでも僕は行く!それであそこにいる間に何とかしてくる。」
「で?勝算はあるのかい、君?」
くそっ!エスターめ、タイミング良かったり悪かったり…
「あ、ああああ、あるっ!どこかにきっとある!今探してる最中だから!」
僕は失敗しない男。何故なら上手くいくまでトライアンドエラーを繰り返すからだ。諦めない限りそれはまだ結果じゃない。最良の結果を得るための過程でしかない。だけど…
このエラーにはリトライは無い…
あの子供の手紙を受け、わたくしはその内容の真偽を熟考している…
地滑り…本当かしら。
だがあんな南東の果てにある領地の2週間も先の出来事が何故…それも賢者の権能だと言うの?
だが確かに…
マテアスから届けられる手紙には今年の領地は雨が多いと書かれていたわ。
大量の雨で川の水が濁っているとも…
あの地には何度か付いて行った。面倒な事と思いつつ、息子のことを思えば多少の不便は我慢も出来た。
そうだわ、それに、硬い粘土質のあの地では収穫が増やせないのだとマテアスはいつもぼやいていた…。
雨…、濁った川…、粘土質の土…、まさか本当に?
いいえ!そんなはずは!でも本当だったら…
押し寄せる不安。おためごかしで予言などと言い切るだろうか、賢者ともあろうものが…
マテアスなどどうなってもいい。整った顔をしていようがわたくしにとっては何の意味も無い。ただそうね…、グレージュの髪色と色素の薄い灰色の瞳がほんの少し気に入っただけ、あの人の代わりになど誰であろうがなり得ないのに…
でもアルパは違う。
あの子はわたくしの血を引くまごう事無き愛しい息子。
あの人を、そしてあの子達を見送った後はもう決して子供など持つまいと思っていたのに…
マテアスにしてやられまんまと孕まされてしまったのはちょうどカルロッタがユーリウスを産んだ頃だった。
カルロッタを深淵へと誘う駒…、赤子の存在は労せずより一層カルロッタの心をかき乱した。でなければ決してあの男を許してはおかなかった。
わたくしの分身…、生まれてしまえば愛さないなど出来る訳がない…わたくしははずっと虚空だったのだ。
アルパの存在はひと時だけでもわたくしをとても満たしてくれた。そう、このままこの子と二人過ごしていけるのなら全てを忘れてもいいと思えるほどに。
でもそれは無理な願いと言うものね…。
わたくしは不死。いつかアルパはわたくしを置いて逝ってしまう。
あの人のように…、あの子たちのように…。
その思いはわたくしに計画の実行を再度強く誓わせた。
家族で過ごした白のエルフが住むあの幻想的な森。途中、ドワーフの国さえ無事抜ければエルフの森は安全なはず。そこにはあの家がきっと今も残っている。わたくしの隠した多くの財宝と共に。
エルフの森では時の流れがとても緩やかだ。だからこそわたくしたちは通常よりもほんの少し長い時間をあそこで共に過ごせたのだ。
そしてあの国の両側には人間種の国がある。アルパ…あの子はいざとなれば森を出て人間種の国へと向かうかもしれない。それもいい…
すべてはこの計画の為、そのためにあの子が生まれてから少しづつドワーフの国に伝手を作って来たのだ。その時が来たらあの子が安全に気難しいドワーフの国を抜けられるようにと…。
わたくしの持つ呪の知を少しづつ切り売り、ようやくあの排他的なドワーフの国に縁を繋いだ。そうしてようやくここまできたのだ!
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―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
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