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206 彼女と饒舌な剣
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『奇遇だなエイダ。それで今度は何が望みだ。不死の次はこの世の崩壊か?それでお前の憂いが終わりを迎えるとでも?愚かな娘だ…』
「この声は…ヴァシル!あなたなの⁉」
『私には今やスヴァルトと言う名がある。ヴァシル…その名はエイダよ、お前によって奪われたのだ。それでどうだ!私の心臓と引き換えに得た不死とやらはお前に何をもたらした!』
「ぐっ…」
『永遠の命に充足は得られぬ!人は限りある命だからこそ生を享受できるのだ!』
「いいえっ!出来たはずよ!あの人が側にさえいれば幸せになれた!そしてそれを阻んだのは余計な縛りをつけた憎きあの一族よ!」
おかげであの人の不死は不完全なものになってしまった…!あれさえなければ全て旨くいったものを…
ヴァシルの死に激高した母はクルポックルを手にかけた…。それを知った南の長は迷うことなく戦を決めた。
まるで意思の無い人形のように翻弄される日々の中で、その立場が人質へと変わりかけたあの時、あの人はわたくしをひどく憐れみ、そして同情し、…一族の目を盗み逃がそうとした…。
だからこそ必死になって縋りついたのだ。一緒に逃げて欲しい、一人ではとても生きられぬ、わたくしを支え、側に居て欲しいと…。
そうした涙ながらの叫びに、優しいあの人はついに共に行くことを承諾してくれた。
だが戦火の中逃げるのは容易ではない。だからこそあの時あの場所で一か八か不死の術を試したのだ。
手に入れてあった末子の血、そしてわたくしの血、そしてようやく手に入れた…〝賢者の心臓”
思った通りその術はわたくしの理を書き換えた。そしてあの人にも同じ術を掛けようとした時。
その魂がすでに縛られていることに気が付いたのだ。…あの12家の一人が持つ力によって。
ああ…、あれさえなければ…。その力を外すのにわたくしが干渉したため、彼の不死はわたくしの呪力を通さねば維持できなくなってしまったのだ…。それがどんな結果を生んだか…。
「あの絵描きの男は自ら望んで従属しておった!身寄り無き己を拾い、日々の暮らしどころか病まで治してくれた一族にはこの身をもって尽くす以外感謝をあらわすすべは無いと、涙ながらに話しておったのだ、この私の目の前でな!」
「違うわ!あの一族は彼の力を独占するため彼の魂を縛ったのよ!あの力…、〝転移”を奪われぬよう〝代償”という悍ましいスキルでね!」
「あの男が自ら望まねば〝代償”による契は結ばれぬ!あの男がその生ある限り一族に尽くすと望んだからこそ、長の叔父は引き換えに彼の身は一生面倒みよう、と契りを結んだのだ!それが分からぬのか!お前の悪行にあの男が喜んだか!」
「う、うう、五月蠅い!それだけじゃないわ!私から呪力を奪ったあの女賢者!あああああ!あの女賢者はわたくしから生の歓喜を奪ったのよ!」
『いいや!お前がお前である限り、エイダよ、お前の生に歓びは無い!そしてあの男から満ち足りた生を奪ったのはお前だ、エイダよ!』
「お、お黙り!女賢者の生まれ変わりはもう死んだ!あとはこの国の崩壊とともに一族の末裔も一人残らず消える!あはははは、わたくしの呪いに右往左往するあれらを眺めるのは愉快だったわ!でもそれもここまで!高貴なる国、聖王国、その消滅を見届けてわたくしも幕を引く!この物語はこれで終わりよ‼お退きヴァシル!そんな無様な姿になってまで生きながらえるとは浅ましい!」
『黙れエイダ!浅ましいのはお前の性根だ!この物語がお前のものだと…?いつからそう思ったのだ!これは私の物語、そしてブッケの物語、この地に生きる老いも若きも含めた、一人一人全ての者の物語だ!その傲慢さを捨て去るがいい!』
「きゃぁぁぁぁっ!何なのこれは!止めてヴァシル!」
『この地をこれ以上お前に穢させはせぬ!この地こそ我らの故郷!〝清浄の矢”はお前を許さぬ!」
「何を言うの!この地を穢すのはユーリウスの毒よ!わたくしではないわ!」
『そう思うかエイダよ!ならば光に委ねるが良い。真実穢れているのが誰なのかを!」
「ぐぁぁっ!う、ううぅ…、お、おのれ…これを食らうがいい!」
『何をしても無駄なことだ!』
「待てスヴァルト!これは火炎だ!しまった乾いた藁に焼け移る!消火が先だ!」
「奥様!血相変えてどうなさったんで…」
「早く!早くここから離れて!関所の館へ急ぐのよ!早くなさい!」
「へ、へい!」
一体何だと言うの⁉あの青く鋭いこの身を貫く光は。
あれがヴァシルの持つ賢者の術、〝清浄の矢”…!
あの矢が燃やすのは邪悪なもの…。こ、このわたくしを邪悪などと…⁉
だが浄化の術であってもわたくしをこの不死から解放することは叶わない。だからこそわたくしは南の賢者による篝火からでさえ幾度も復活を遂げたのだ。
このわたくしの身に沈んだ不死という汚濁は浄化ごときで消せはしない…。
残された手段、それはこの世界ごと消し去ること。
ユーリウスの中に生き続ける結集された里の呪力。2000年に渡る蟲毒で練り上げられた呪力。
その毒を以てしてこの世界を消し去るのだ、この理ごと。不死という地獄にわたくしを縛り付けるこの汚濁を今度こそ…
ああ!けれどヴァシルに阻まれどうやって邸内に入れと言うの!
冬の間に差し向けた斥候は一人として帰っては来なかった。生死さえ分からぬ奴ら…、では恐らくあれらもヴァシルの光によって…
北の賢者が居る限り邸内を制圧することは不可能だわ!
「一体どうしたら…、あ、あれは!」
「あなた達!今すぐここを出るわ!ここを出るのよ!すぐに支度をして頂戴!」
「ええっ!ですが御者はもう馬を休ませたいと…」
「これだから急場しのぎの御者は嫌なのよ!いつもの御者であればこんな舐めた口などきかなかったわ!わたくしの言う事が聞けないの!」
ヴァシルから逃れたわたくしの横をすり抜けて行ったもの。
それは車輪を軋ませながら全速力で駆け抜けて行く馬車、その小窓から見えたのは、まるで冥府の主のように顔を歪ませるユーリウスだったのだ!
あの馬車の進んだ分岐、あれは王都へ向かう道。
不味いわ!ユーリウスを王都へ誘導するのは最期の仕上げ。
計画よりも全てが早く進んでいる…。あの子供を失った痛みはそれほどだったというの?狙い通りとは言え…アルパの身もまだ安全な地へと移せていない…!
「お、奥様、奥様を慕ってここへやってくる予定の者たちはどうします?奥様が居なければ彼らは途方に暮れてしまいます…」
「好きにさせなさい!どうせ無人の領よ!クレメル夫人!勝手に住み着けと書き残しておきなさい!」
「は、はい」
下賤な奴らなど死のうが生き延びようが些末な事!ヴァシルの光に貫かれどうなろうと知った事ではないわ!
まずはアルパを国外に逃がす。そして…ユーリウス。
わたくしはあれを手に入れなければならない…!
「この声は…ヴァシル!あなたなの⁉」
『私には今やスヴァルトと言う名がある。ヴァシル…その名はエイダよ、お前によって奪われたのだ。それでどうだ!私の心臓と引き換えに得た不死とやらはお前に何をもたらした!』
「ぐっ…」
『永遠の命に充足は得られぬ!人は限りある命だからこそ生を享受できるのだ!』
「いいえっ!出来たはずよ!あの人が側にさえいれば幸せになれた!そしてそれを阻んだのは余計な縛りをつけた憎きあの一族よ!」
おかげであの人の不死は不完全なものになってしまった…!あれさえなければ全て旨くいったものを…
ヴァシルの死に激高した母はクルポックルを手にかけた…。それを知った南の長は迷うことなく戦を決めた。
まるで意思の無い人形のように翻弄される日々の中で、その立場が人質へと変わりかけたあの時、あの人はわたくしをひどく憐れみ、そして同情し、…一族の目を盗み逃がそうとした…。
だからこそ必死になって縋りついたのだ。一緒に逃げて欲しい、一人ではとても生きられぬ、わたくしを支え、側に居て欲しいと…。
そうした涙ながらの叫びに、優しいあの人はついに共に行くことを承諾してくれた。
だが戦火の中逃げるのは容易ではない。だからこそあの時あの場所で一か八か不死の術を試したのだ。
手に入れてあった末子の血、そしてわたくしの血、そしてようやく手に入れた…〝賢者の心臓”
思った通りその術はわたくしの理を書き換えた。そしてあの人にも同じ術を掛けようとした時。
その魂がすでに縛られていることに気が付いたのだ。…あの12家の一人が持つ力によって。
ああ…、あれさえなければ…。その力を外すのにわたくしが干渉したため、彼の不死はわたくしの呪力を通さねば維持できなくなってしまったのだ…。それがどんな結果を生んだか…。
「あの絵描きの男は自ら望んで従属しておった!身寄り無き己を拾い、日々の暮らしどころか病まで治してくれた一族にはこの身をもって尽くす以外感謝をあらわすすべは無いと、涙ながらに話しておったのだ、この私の目の前でな!」
「違うわ!あの一族は彼の力を独占するため彼の魂を縛ったのよ!あの力…、〝転移”を奪われぬよう〝代償”という悍ましいスキルでね!」
「あの男が自ら望まねば〝代償”による契は結ばれぬ!あの男がその生ある限り一族に尽くすと望んだからこそ、長の叔父は引き換えに彼の身は一生面倒みよう、と契りを結んだのだ!それが分からぬのか!お前の悪行にあの男が喜んだか!」
「う、うう、五月蠅い!それだけじゃないわ!私から呪力を奪ったあの女賢者!あああああ!あの女賢者はわたくしから生の歓喜を奪ったのよ!」
『いいや!お前がお前である限り、エイダよ、お前の生に歓びは無い!そしてあの男から満ち足りた生を奪ったのはお前だ、エイダよ!』
「お、お黙り!女賢者の生まれ変わりはもう死んだ!あとはこの国の崩壊とともに一族の末裔も一人残らず消える!あはははは、わたくしの呪いに右往左往するあれらを眺めるのは愉快だったわ!でもそれもここまで!高貴なる国、聖王国、その消滅を見届けてわたくしも幕を引く!この物語はこれで終わりよ‼お退きヴァシル!そんな無様な姿になってまで生きながらえるとは浅ましい!」
『黙れエイダ!浅ましいのはお前の性根だ!この物語がお前のものだと…?いつからそう思ったのだ!これは私の物語、そしてブッケの物語、この地に生きる老いも若きも含めた、一人一人全ての者の物語だ!その傲慢さを捨て去るがいい!』
「きゃぁぁぁぁっ!何なのこれは!止めてヴァシル!」
『この地をこれ以上お前に穢させはせぬ!この地こそ我らの故郷!〝清浄の矢”はお前を許さぬ!」
「何を言うの!この地を穢すのはユーリウスの毒よ!わたくしではないわ!」
『そう思うかエイダよ!ならば光に委ねるが良い。真実穢れているのが誰なのかを!」
「ぐぁぁっ!う、ううぅ…、お、おのれ…これを食らうがいい!」
『何をしても無駄なことだ!』
「待てスヴァルト!これは火炎だ!しまった乾いた藁に焼け移る!消火が先だ!」
「奥様!血相変えてどうなさったんで…」
「早く!早くここから離れて!関所の館へ急ぐのよ!早くなさい!」
「へ、へい!」
一体何だと言うの⁉あの青く鋭いこの身を貫く光は。
あれがヴァシルの持つ賢者の術、〝清浄の矢”…!
あの矢が燃やすのは邪悪なもの…。こ、このわたくしを邪悪などと…⁉
だが浄化の術であってもわたくしをこの不死から解放することは叶わない。だからこそわたくしは南の賢者による篝火からでさえ幾度も復活を遂げたのだ。
このわたくしの身に沈んだ不死という汚濁は浄化ごときで消せはしない…。
残された手段、それはこの世界ごと消し去ること。
ユーリウスの中に生き続ける結集された里の呪力。2000年に渡る蟲毒で練り上げられた呪力。
その毒を以てしてこの世界を消し去るのだ、この理ごと。不死という地獄にわたくしを縛り付けるこの汚濁を今度こそ…
ああ!けれどヴァシルに阻まれどうやって邸内に入れと言うの!
冬の間に差し向けた斥候は一人として帰っては来なかった。生死さえ分からぬ奴ら…、では恐らくあれらもヴァシルの光によって…
北の賢者が居る限り邸内を制圧することは不可能だわ!
「一体どうしたら…、あ、あれは!」
「あなた達!今すぐここを出るわ!ここを出るのよ!すぐに支度をして頂戴!」
「ええっ!ですが御者はもう馬を休ませたいと…」
「これだから急場しのぎの御者は嫌なのよ!いつもの御者であればこんな舐めた口などきかなかったわ!わたくしの言う事が聞けないの!」
ヴァシルから逃れたわたくしの横をすり抜けて行ったもの。
それは車輪を軋ませながら全速力で駆け抜けて行く馬車、その小窓から見えたのは、まるで冥府の主のように顔を歪ませるユーリウスだったのだ!
あの馬車の進んだ分岐、あれは王都へ向かう道。
不味いわ!ユーリウスを王都へ誘導するのは最期の仕上げ。
計画よりも全てが早く進んでいる…。あの子供を失った痛みはそれほどだったというの?狙い通りとは言え…アルパの身もまだ安全な地へと移せていない…!
「お、奥様、奥様を慕ってここへやってくる予定の者たちはどうします?奥様が居なければ彼らは途方に暮れてしまいます…」
「好きにさせなさい!どうせ無人の領よ!クレメル夫人!勝手に住み着けと書き残しておきなさい!」
「は、はい」
下賤な奴らなど死のうが生き延びようが些末な事!ヴァシルの光に貫かれどうなろうと知った事ではないわ!
まずはアルパを国外に逃がす。そして…ユーリウス。
わたくしはあれを手に入れなければならない…!
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