217 / 277
連載
227の翌日 彼はリベンジ!
しおりを挟む
「わはははは!アッシュ!なんだお前、まだ滑れないのか。一体この2年何をしていたんだ。」
…魔女と戦ってたんだよっ!そう言いたくとも雪に埋もれて歯の根が合わない今、僕は何も話せないでいる…。ガチガチ…
ザザー ザシュッ!
「うぇっぷ!」
「ああ悪いアッシュ。雪に埋もれてどうした?まさかお前滑れないのか?よし!じゃぁ兄さんが教えてやろう!」
「えっ⁉ いや兄さんはスパルタだからちょっと…」
「遠慮するなアッシュ!アレクシが二日酔いとかいって来ないから手持無沙汰なんだ。」
「な、何その余裕…、兄さんスキー初めてだったよね…?え?もしかして一昨年一緒に居たっけ…?」
「ゴホン、休暇を楽しむタピオ君の手を煩わせるわけにはいかない、殿下も君との滑りを楽しんでいる。アッシュは私に任せてさあ行きたまえ、さあ!」
「そうか?すまないな公爵様。じゃあお言葉に甘えて。行こうケネス‼」
行こうケネスって…なにそれ…なんでユーリのことは公爵様なのに一国の王子を呼び捨て?兄さん、何か間違ってるよ…?
それにしても…、ユーリといい兄さんといい…どうしてみんなすぐ滑れるようになるんだろう…。運動神経…何それ?美味しいの?
あ~あしまったなぁ…ノールさんかナッツも連れてこればよかった…。そうすれば僕一人こんな惨めな…うぅ…
ザザー「大丈夫でしょうかユーリウス様。」
「ああヴェスト問題ない。だがアッシュを引き抜くのを手伝ってくれないか。一人では抜けそうにない」
そう!今回僕はヴェストさんを無理やり同行させたのだ。あわよくば、そのポーカーフェイスの崩れるところを拝めるかと思って…。そのためにやりたくもないスキーにこうしてユーリまで誘って来たって言うのに!
……全くそんなことは無く、最初は少したどたどしかったその滑りもゆっくりとなら転ばず滑れる程度には出来ていて…、つまり不純な動機があった僕だけに罰が当たったってわけだね。テヘペロ。
こうして今年もまたフカフカの新雪の上にずっぽり埋まって手も足も動かせないという…大根擬態、再び…
「はぁぁぁ…えらい目にあった。もう滑らない!歩いて下山する!」
「では私も板を外そう。アッシュ一緒に…」
「いえ、私に考えがあります」
ヴェストさんの考え、それは…
「いいかいアッシュ、身体を私に委ねるんだ、いいね。そうそう、いい子だ」
「う…、ユーリ、離れないでね、絶対だよ…」
「私がアッシュから離れるものか。さあ力を抜いて。上手に出来たね」
「ひ、ひゃぁ!」
「おっと!私を置いて先に行くつもりかい?悪い子だ」
いい子悪い子どっちなの⁉
ヴェストさんの考えとはユーリが僕を抱え込んで、一緒に滑って降りる事。だがこれは…子供が初めてのスキーで親にやられるやつ。く、屈辱っ!
それになんだか…
「ほらアッシュ、こういうのはどうだい?」
「ゆ、揺らさないでっ!こわいっ!」
「だけどほら、単調な動きだけじゃつまらないだろう。」
「ぎゃぁ!」
「ああ、今のは(窪みが)深すぎたかな。」
「ゆ、ゆーり、もっとゆっくり」
「ゆっくりがいいの?いいよ、時間をかけて楽しもうか…」
恐怖が勝って何も突っ込めないでいるがユーリの発言、さっきからちょっとおかしい気がする。
後ろからは僕とユーリのストックを持ったヴェストさんがゆっくりついて来てるって言うのに、何たる羞恥!いやもう何も言うまい…何も…。旦那様が楽しそうならもうそれだけで…
ゲレンデの麓でほぼ死んでる僕に、何本目かの滑走を楽しんだケネスと兄さんが談笑しながら駆け付けてきた。この陽キャたちめ…
「公爵様と滑ったんだって?どうだ、ちゃんと滑ると楽しいだろう?じゃぁ次は兄さんと競争だ!」
「いや無理だから」
「では私とそこのコブでジャンプを楽しむか?上まで登らねば平気であろう?」
「いや無理だって」
競争とかジャンプとか…、この僕の無残な姿のどこを見て言ってるんだか!その眼は飾りなの ⁉ ホントにもう…
「お二人とも、アッシュに無理を言うのは止めてもらいたい。アッシュは今私と激しい運動をして疲れているのだ」
「え、それも語弊が」
「ならばユーリウス、お前になら無理を言っても良いのだな?」
「ケネスと今度は賞品をかけて競争することにしたんだ。公爵様も一緒にどうだ?」
「いや私は」
「賞品はそうだな。公爵様がもし勝ったらアッシュの小さい時の話を聞かせてやろう!あんな話やこんな話まで」
「今すぐ行こう!」
「ちょっとー!それは僕の人権侵害!ああ…行っちゃった…」
ノリノリで参加表明をしたユーリの背中を恨めしく睨みながら、「兄さん勝って!せめてケネスでもいい!」そう呪詛を吐いた僕は何も間違ってはいない。いないはずだ。
なのにそれをユーリにチクったヴェストさんのせいで一晩中泣かされる羽目に陥ったのはどういうことだ。…一体何が悪かったのやら。
え?誰が勝ったのかって?………、兄さんだよっ!農家の子舐めんな!
因みにどうでもいい事だがあのスキー場のリフトは人力だ。滑車とかはあるからすごく大変な訳では無いけどまごう事無い人力リフト。すごくどうでもいいことだけど…ここに補足しておく…。
…魔女と戦ってたんだよっ!そう言いたくとも雪に埋もれて歯の根が合わない今、僕は何も話せないでいる…。ガチガチ…
ザザー ザシュッ!
「うぇっぷ!」
「ああ悪いアッシュ。雪に埋もれてどうした?まさかお前滑れないのか?よし!じゃぁ兄さんが教えてやろう!」
「えっ⁉ いや兄さんはスパルタだからちょっと…」
「遠慮するなアッシュ!アレクシが二日酔いとかいって来ないから手持無沙汰なんだ。」
「な、何その余裕…、兄さんスキー初めてだったよね…?え?もしかして一昨年一緒に居たっけ…?」
「ゴホン、休暇を楽しむタピオ君の手を煩わせるわけにはいかない、殿下も君との滑りを楽しんでいる。アッシュは私に任せてさあ行きたまえ、さあ!」
「そうか?すまないな公爵様。じゃあお言葉に甘えて。行こうケネス‼」
行こうケネスって…なにそれ…なんでユーリのことは公爵様なのに一国の王子を呼び捨て?兄さん、何か間違ってるよ…?
それにしても…、ユーリといい兄さんといい…どうしてみんなすぐ滑れるようになるんだろう…。運動神経…何それ?美味しいの?
あ~あしまったなぁ…ノールさんかナッツも連れてこればよかった…。そうすれば僕一人こんな惨めな…うぅ…
ザザー「大丈夫でしょうかユーリウス様。」
「ああヴェスト問題ない。だがアッシュを引き抜くのを手伝ってくれないか。一人では抜けそうにない」
そう!今回僕はヴェストさんを無理やり同行させたのだ。あわよくば、そのポーカーフェイスの崩れるところを拝めるかと思って…。そのためにやりたくもないスキーにこうしてユーリまで誘って来たって言うのに!
……全くそんなことは無く、最初は少したどたどしかったその滑りもゆっくりとなら転ばず滑れる程度には出来ていて…、つまり不純な動機があった僕だけに罰が当たったってわけだね。テヘペロ。
こうして今年もまたフカフカの新雪の上にずっぽり埋まって手も足も動かせないという…大根擬態、再び…
「はぁぁぁ…えらい目にあった。もう滑らない!歩いて下山する!」
「では私も板を外そう。アッシュ一緒に…」
「いえ、私に考えがあります」
ヴェストさんの考え、それは…
「いいかいアッシュ、身体を私に委ねるんだ、いいね。そうそう、いい子だ」
「う…、ユーリ、離れないでね、絶対だよ…」
「私がアッシュから離れるものか。さあ力を抜いて。上手に出来たね」
「ひ、ひゃぁ!」
「おっと!私を置いて先に行くつもりかい?悪い子だ」
いい子悪い子どっちなの⁉
ヴェストさんの考えとはユーリが僕を抱え込んで、一緒に滑って降りる事。だがこれは…子供が初めてのスキーで親にやられるやつ。く、屈辱っ!
それになんだか…
「ほらアッシュ、こういうのはどうだい?」
「ゆ、揺らさないでっ!こわいっ!」
「だけどほら、単調な動きだけじゃつまらないだろう。」
「ぎゃぁ!」
「ああ、今のは(窪みが)深すぎたかな。」
「ゆ、ゆーり、もっとゆっくり」
「ゆっくりがいいの?いいよ、時間をかけて楽しもうか…」
恐怖が勝って何も突っ込めないでいるがユーリの発言、さっきからちょっとおかしい気がする。
後ろからは僕とユーリのストックを持ったヴェストさんがゆっくりついて来てるって言うのに、何たる羞恥!いやもう何も言うまい…何も…。旦那様が楽しそうならもうそれだけで…
ゲレンデの麓でほぼ死んでる僕に、何本目かの滑走を楽しんだケネスと兄さんが談笑しながら駆け付けてきた。この陽キャたちめ…
「公爵様と滑ったんだって?どうだ、ちゃんと滑ると楽しいだろう?じゃぁ次は兄さんと競争だ!」
「いや無理だから」
「では私とそこのコブでジャンプを楽しむか?上まで登らねば平気であろう?」
「いや無理だって」
競争とかジャンプとか…、この僕の無残な姿のどこを見て言ってるんだか!その眼は飾りなの ⁉ ホントにもう…
「お二人とも、アッシュに無理を言うのは止めてもらいたい。アッシュは今私と激しい運動をして疲れているのだ」
「え、それも語弊が」
「ならばユーリウス、お前になら無理を言っても良いのだな?」
「ケネスと今度は賞品をかけて競争することにしたんだ。公爵様も一緒にどうだ?」
「いや私は」
「賞品はそうだな。公爵様がもし勝ったらアッシュの小さい時の話を聞かせてやろう!あんな話やこんな話まで」
「今すぐ行こう!」
「ちょっとー!それは僕の人権侵害!ああ…行っちゃった…」
ノリノリで参加表明をしたユーリの背中を恨めしく睨みながら、「兄さん勝って!せめてケネスでもいい!」そう呪詛を吐いた僕は何も間違ってはいない。いないはずだ。
なのにそれをユーリにチクったヴェストさんのせいで一晩中泣かされる羽目に陥ったのはどういうことだ。…一体何が悪かったのやら。
え?誰が勝ったのかって?………、兄さんだよっ!農家の子舐めんな!
因みにどうでもいい事だがあのスキー場のリフトは人力だ。滑車とかはあるからすごく大変な訳では無いけどまごう事無い人力リフト。すごくどうでもいいことだけど…ここに補足しておく…。
378
あなたにおすすめの小説
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する
とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。
「隣国以外でお願いします!」
死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。
彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。
いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。
転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。
小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。