チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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226のその前に

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アッシュとユーリウス様がお姫様のお祝いでいつもより早く王都へ行く事になっちゃった。
僕もアッシュとキノコ狩りに行きたかったのにぃ~!

でもスキルで凍らせたこの間のキノコも栗もいっぱい残ってて、アッシュはそれを使って「アルパ君とお城への手土産に栗のお菓子を作って欲しい」って頼んできたんだよね~。

そうしたらそれを聞いたアレクシまで、「アルパの採ったキノコを教会に持っていけるよう調理してほしい」って言ってきて~。

それは良いんだけど~、…僕は何でアッシュもアレクシもアルパ君に気を遣うのか分からなくって…、だってあの子はあんなにひどいことしたアデリーナとマテアスの息子で…おかしいよ、そんなの。


「どうしたナッツ?お前は何か不満なのか?」
「だってあの子はあんな二人にすごく過保護にされてきた甘ったれだよ~。可哀そうって…、ユーリウス様のほうが可哀想だったのに~。アッシュだっていっぱい危険な目に遭って…。そういうこと知ってるの?知らないんでしょ~?」

「だから美味いものは食べさせられぬ、お前はそう思うのか?しなびた野菜でも食べてればいいと」
「そうじゃないけど~…」



シェフは言うんだよね~。自分の使命は美味しい食事で食べた者の心を充たすことだって。それがたとえ罪人であっても悪徳領主であっても自分のすべき事は変わらないって。

僕は納得いかなくて、どうして~?って聞いたんだよ…。


「それが罪人であるなら上手い飯で腹が満ちれば罪と向き合う事が出来るかもしれん。悪徳領主であれば、その舌と腹を満足させれば少しの慈悲が湧くかも知れん。人は腹が減れば心が荒むし腹が満ちれば余裕ができる。美味い飯なら尚のこと。そうならなければ私の腕がまだ足りぬと言うことだ。」

そうだった…。シェフはそういう人だったよね…。

あの時シェフは行き倒れてた僕に美味しいご飯を食べさせてくれた。
それは猫に用意した残飯だったはずなのに、シェフは在り合わせの材料でソースを作ってかけてくれて、ちゃんとカトラリーで食べる人間の御馳走にしてくれた。
僕はあんな美味しいもの食べたことなくて、嬉しくて、幸せで、それから毎日あの裏路地でシェフが扉を開けてくれるのを待ってたんだ。野良猫と一緒に並んで…

もしあの時シェフに会わなかったら…、僕はあそこで凍死するか、…銀の食器を盗んだかもしれない…。
もしあの時シェフが残飯を残飯のまま差し出してたら…、僕は惨めな物乞いになったかもしれない…。
もしもあの時…



「ナッツ、お前が魔女やその夫を許せぬと思うなら、お前はお前のやり方で仕返しすればいい」

「僕の仕返し~?」

「手塩にかけた大事な大事な愛息子なのだろう?その可愛い息子が伯爵領よりこのリッターホルムを、マテアスよりユーリウス様を、アデリーナよりもアッシュを選んだらどうだ」

「ざまあみろって思うよ~!」

「ならば夢中にしてやれ、お前のその、万人の心を溶かす甘い菓子で」


やっぱりシェフってステキ!
こんな仕返しの仕方があったなんて!

役に立つのもお料理で、仕返しするのもお料理で、だって僕とシェフは厨房の王と王妃なんだから~!







「ナッツー!頼んだモンブランと羊羹出来た?」

「出来たよ~。アッシュレシピ集ありがと~。はいこれ、頼まれたモンブランが2箱。教会用とお城用、それから王様に持っていく栗のテリーヌね。」

「テリーヌ違う。羊羹だから。わ!すっごく滑らかそう。」
「シェフがスキルで手伝ってくれたの~。それからこれは馬車で食べて~」

「わーい!マロングラッセだ!」
「好きでしょ~?」
「大好き!ん?なんかいい匂いが…分かった!牛肉フォレスティエールだ!」


「ガーリックの風味、ブイヨンのコク、オニオンの甘み、それらがキノコと絡み合って…、アッシュ、あのレシピは素晴らしい味のハーモニーを奏でている。だが来期までに私はあのレシピを超えて見せる!見ていろ!」

「まじめに期待してる!」



「アッシュアッシュ!シェフの用意したのはもう一品あるんだよ~。これもどうぞ~」

「濃厚なバターの匂い…キノコのデュクセル、そうでしょ?」

「当たり~。パンに塗って食べるようにって渡してね~。大きな容器に詰めたから当分持つだろうってシェフが言ってたよ。教会のご飯は質素でしょ?お腹が空いたら食べるようにって。どうアッシュ?僕のシェフって世界一でしょ~!」



アッシュってば、ユーリの次にね!って叫んだけど、あとでこっそり、

「サーダさんは最高だよ。さっきはユーリが扉の向こうに居たから言えなかったけど」

何故か親指を立てて、笑顔でそう言ってくれた。






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