チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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おまけ ③

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「あっ、アレクシ様…」

「おやアルパ、ナッツと露天風呂の帰りかい?」
「ええ。ユーリウス様が行っておいでと言ってくださって。ふふ、とても気持ち良いものですね、あれは。」
「はは、そうだろう。アッシュ君の発案なのだよ。それで…ここで何を?身体が冷えてしまうよ?」

「その…、ナッツさんから領都に新しく出来たカフェの招待券をいただいたのです。ここのレシピを手本にしたからぜひ来てほしいと言っているのですって。」

「ああ。アッシュ君もシェフもレシピの独占に興味無いようだったからね。他所で美味いものを作られたらもっと美味いものを作り上げれば良いと言って…、自信が無ければ言えない言葉だ」

「本当に…。その、それで…、招待券が2枚あるのですけど、ナッツさんが明日にでもアレクシ様に連れて行ってもらえと…」

「私に?ナッツは明日私が休みだと知っていたのかな?勿論構わないよ。カレッジは昼までだね?迎えに行こう」
「わ…、ウフフ…ありがとうございます…。とても…楽しみです。」



そんな家内でのやりとりを扉の隙間からコッソリ盗み見る者が居た。





「アレクシ様、おかえりなさいませ」

「ああビョルン。君も仕事終わりかい?ご苦労だったね」
「ええ、今日は北側の担当だったのですが子供が山中に入り込んでいて…見つけるのに一苦労でした」
「それは…大変だったね。だが見つかったようで何よりだ。」

「あの、今通りがかりにアッシュ様から明日にでも領都の酒場に客として行って欲しいと頼まれまして…」
「客として…?それはどういう事だい?」

「何でも領民がハスカップでワインを作り始めたのだとか。それを領都の酒場で提供しているようだから周りの様子、生の声を聞いて来て欲しいと、そう仰られて…。」

「ああ、聞いているとも。ようやくめどが立ったと荘園のテッドが言っていた…あれか…」

「アッシュ様に伺いましたがアレクシ様は明日お休みなのですね?偶然私も非番なのです。それでその…、アッシュさまがアレクシ様を誘って行って来てはどうかと、酒場に一人は侘しいだろうと…実は私もそう思いまして」

「一人飲みを侘しいとは思わないが…構わないとも。夕刻からでいいのだろう?」
「その言い方…昼は用事が?」

「アルパをカフェに連れて行くのだよ。焼き菓子の店へ」

「…アルパ様には夢見る焼き菓子がよくお似合いですものね。では大人の私たちはお酒で楽しみましょうか。夜会の時みたいに酔いつぶれて下さっても構いませんよ?私が介抱いたしますので」

「あれは…いや、そうそうあんな風に酔いつぶれはしないが…もしそうなったらお願いするよ。では明日」
「はい。では明日」



角を曲がったその先でそれを密かに盗み聞きする者が居た。








「ナッツ!ずるいよ!アルパ君にカフェの招待状って…いつの間に!」

「それを言うならアッシュだって~。ビョルンに変な任務言いつけて~」
「うっ!」

「しょうがないよ~、アレクシがハッキリしないんだから~」

「実際今、どっちが多いの?」
「屋敷内の使用人はアルパが有利だって言ってる人が多いよ~。」

「でも従士たちは同僚だからってのを差っ引いても、みんなそのうちビョルンさんが本懐を遂げるって言ってるじゃん」
「この間セカンドシェフが殿下とアレクシはどうなんだって疑ってたよ~」
「ぶふっ!ちょっと想像したくない…」

「ユーリウス様は~?」
「ユーリはさぁ、アルパ君に意中の人が居るなら後押しする、まで言ってるからね。絶対聞けないし言えない。」
「ノールはビョルンの方がアレクシには合ってるって言ってたよ~。ビョルンはしっかりしてるからって~」

「あ、丁度良いところに…、ちょっとー!ヴェストさーん」
「なんでしょうアッシュ様。」

「ヴェストさんはどっちだと思う?」
「どっちとは?」

「ビョルンとアルパ、どっちと居る時にアレクシが楽しそうに見えるかって話~。認識してみて~」

「ビョルンとアルパ…、アレクシ様…そうですね…」
「うそ!認識するの⁉」

「楽しそう…と言うのであれば、アレクシ様はタピオ様とヨルガオでお話されているときが一番楽しそうです。」
「あ~、それh」
「ダメ‼ 絶対ダメ!禁止!タピオ兄さんは僕のだから!そして僕はタピオ兄さんのものだから!」

「何そ、あ…ユーリウス様…」
「へっ?ユーリ?」

「アッシュ、さすがに聞き捨てならない。少し良いかな」
「よ、よくな、あ…、あ~れ~…」



「これは最善なの~?」
「最善です」



堂々と廊下を歩いてきた彼は、盗み聞ぎも盗み見も特にしなかった…






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