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おまけ ⑩
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雪解けの水もまだ冷たいある早春。雪解けと言っても直に5月だ。
だがこの雪解けを心待ちにしていた僕が居る。それは何故か。
じゃじゃーん!
遂にキャラベル船の出航だ!…っていっても河だけど…。いいやっ!この川は向こう岸が見えない程の大河だ!そしてこの手の大河はとても流れが穏やかなのだ。山から流れてくる急流とは全くの別物。ほとんど海と言っても過言ではない!
そこに住む生物以外は…。
ああ…、これが海じゃないばかりにカニとか…ウニとか…、本当だったら回らないカウンターで食べたかった食材の数々を味わえないのが血を吐くほど無念だっ…。
だがしかし!この航海ならぬ航河が上手くいけば…!
この河はこの国を超えて、不毛の地と獣人の国を隔てる辺りを突っ切って、そのまた向こうの海へとはるか遠くまで続いていく。この航行が上手くいけば、やたら関税の高い亜人種の国ボルティスを通らなくったって海産物が手に入るかも知れない…。
大公の治世に代わったことで亜人種との国交も今まさに開かんと協議しているまっ最中ではあるけれど、まだその準備は整っていない。
こちらサイドにもあちらサイドにもだ。
命綱になる塩だけは辺境伯の力によって、ほとんどぼったくりに近い関税を支払って何とか手に入れているっていうのがのが実情なのだ。
だからこそリッターホルムオリジナルの『伯方の塩』ならぬ『アッシュの塩』でさえスゴイ高値で取引されてるんだけどね。塩生植物バンザイ!
脱線したが、最終目標はそこだ。遊覧事業なんてただのおまけ、遠洋漁業へと至る試金石でしかない。そして無事それが叶えられた暁にはサーダさんのシーフード料理が…ついにテーブルを埋め尽くす!
…恐ろしいほど完璧な計画だ…。
その進水式がこの4月にあるのだが、そこには何と…、いつも通りケネス、…でなく大公が出席する。だってこの国で初めての大型船だからね。世紀の一瞬だもん。王さまが来るぐらいの快挙ってことだよ!
そんなわけで大公が王妃様を伴って久しぶりにリッターホルムへとやって来るのだ!
「楽しみだな。大公ってばリッターホルムは何時ぶりだろう?あまりの発展ぶりにびっくりしちゃうよ、きっと」
「そうだね。声も出ない程驚かれるに違いない。大叔父上はそのまま大公領へも寄られるとの事だが」
「初めて王妃様を連れていくんだもん、領のみんなも大喜びだね。そうだ。お式の事だけど…」
実はこの進水式には大きな目玉がある。それはなんと…
アルパ君の婚姻式典をこの船上でやっちゃおう!ってことだ。何故そんなことをするのか。それには二つのの理由がある。
まず一つは、近々のうちに二度も遠方の方々をリッターホルムまでお呼びするのが申し訳ないって事。
初の大型船と公爵家二男の結婚式、どちらも無視はできない重要案件だ。かと言って今年は夏過ぎにケネスの結婚式も王都で控えている。みんな大変じゃない?だからリッターホルムへの訪問ぐらいは一度で済むようにね。
そしてもう一つ。
これは大きなマーケティングでもある。大型船の可能性を大きく知らしめる機会だ。人や物を運ぶキャリーとしての役目だけでない。アクティビティ、そしてバンケットとして利用でますよ、って言う可能性だ。
「大叔父上をはじめ、ミットン河に面した領のご当主はそのまま君がお送りするのだったね?」
「そうそう。ユーリも大公領までは付いて来るでしょ?アルパ君たちは新婚旅行って事でそのまま国境付近まで行って折返してくるから僕はそっちについてく。ユーリは大公領でのんびりしてて。タピオ兄さんは向こうの方が近いから東の川岸に来るって。そこで少しだけ会ってくるね。」
「どの領も河沿いには庶民も多く観に来るだろう。それに合わせて商人も屋台を出すだろうとアレクシが言っていたが…大変な賑わいになりそうだ。」
この国初の幾つもの領を跨いだ共同事業。これで東西はぐっと距離が縮まるし南北は既に気球が縮めている。
大公の国が、ケネスの国が大きな輪になっていく!
「ワクワクするね」
「…君の目が私以外を向くことに妬けてしまうな。ほどほどに。いいね」
ユーリってば昔っから言う事変わらないんだから…。
「アッシュ様、…がお見えになりました。サロンにてお待ちでいらっしゃいます。」
「やっと来たー!すぐ行く!」
なんかよく聞こえなかったけどヴェストさんが僕を呼びに来る来客なんて大公に決まってる!
バーン!
「お待たせ大公!って言うか待ってたよ!」
「騒々しい!静かにせぬか!」
「ゲッ!ご老公…」
「むっ…」
「はっはっは、許してやってくれコルトバ侯。これはこの小生意気さこそ持ち味なのだ」
「大公居た…。良かった。小生意気…随分だなぁ…」
「褒めておるのだ。さあアッシュ、ここは王城ではない。そこに座るがいい」
しっかし…、まさかコルトバ侯、命名ご老公が親戚になっちゃうとはね。うるさ型の親戚ってやつ。めんどくさい…。
「お前もアルパ殿もなかなか見る目がある。並みいる令嬢の中からあの精霊の様な孫娘を選ぶとはな。」
「精霊…、言い過ぎだって、」
「なんだ?」
「いいえ精霊です。妖精と言ってもいい。」
「そうであろう」
目の前にはユーリとアルパ君、そしてその奥様になる少女が居る。若夫婦は初々しすぎて付き合いたての学生カップルにしか見えないのはご愛敬…。それから大公夫妻にご老公、王城を守るケネスとシグリット姫がここにいないのは少し残念。でも幸せな家族の姿がここにある。
カメラ…、カメラが欲しい!ああ…なんて悔しい…
「アッシュ様、画家を呼んでございます」
「ヴェ、ヴェストさん…。グッジョブ…」
おや、そういえば。
付き合いたてのカップルならここにも居たよ。仕方ない、大公領まで連れてってあげるとするか…。
だがこの雪解けを心待ちにしていた僕が居る。それは何故か。
じゃじゃーん!
遂にキャラベル船の出航だ!…っていっても河だけど…。いいやっ!この川は向こう岸が見えない程の大河だ!そしてこの手の大河はとても流れが穏やかなのだ。山から流れてくる急流とは全くの別物。ほとんど海と言っても過言ではない!
そこに住む生物以外は…。
ああ…、これが海じゃないばかりにカニとか…ウニとか…、本当だったら回らないカウンターで食べたかった食材の数々を味わえないのが血を吐くほど無念だっ…。
だがしかし!この航海ならぬ航河が上手くいけば…!
この河はこの国を超えて、不毛の地と獣人の国を隔てる辺りを突っ切って、そのまた向こうの海へとはるか遠くまで続いていく。この航行が上手くいけば、やたら関税の高い亜人種の国ボルティスを通らなくったって海産物が手に入るかも知れない…。
大公の治世に代わったことで亜人種との国交も今まさに開かんと協議しているまっ最中ではあるけれど、まだその準備は整っていない。
こちらサイドにもあちらサイドにもだ。
命綱になる塩だけは辺境伯の力によって、ほとんどぼったくりに近い関税を支払って何とか手に入れているっていうのがのが実情なのだ。
だからこそリッターホルムオリジナルの『伯方の塩』ならぬ『アッシュの塩』でさえスゴイ高値で取引されてるんだけどね。塩生植物バンザイ!
脱線したが、最終目標はそこだ。遊覧事業なんてただのおまけ、遠洋漁業へと至る試金石でしかない。そして無事それが叶えられた暁にはサーダさんのシーフード料理が…ついにテーブルを埋め尽くす!
…恐ろしいほど完璧な計画だ…。
その進水式がこの4月にあるのだが、そこには何と…、いつも通りケネス、…でなく大公が出席する。だってこの国で初めての大型船だからね。世紀の一瞬だもん。王さまが来るぐらいの快挙ってことだよ!
そんなわけで大公が王妃様を伴って久しぶりにリッターホルムへとやって来るのだ!
「楽しみだな。大公ってばリッターホルムは何時ぶりだろう?あまりの発展ぶりにびっくりしちゃうよ、きっと」
「そうだね。声も出ない程驚かれるに違いない。大叔父上はそのまま大公領へも寄られるとの事だが」
「初めて王妃様を連れていくんだもん、領のみんなも大喜びだね。そうだ。お式の事だけど…」
実はこの進水式には大きな目玉がある。それはなんと…
アルパ君の婚姻式典をこの船上でやっちゃおう!ってことだ。何故そんなことをするのか。それには二つのの理由がある。
まず一つは、近々のうちに二度も遠方の方々をリッターホルムまでお呼びするのが申し訳ないって事。
初の大型船と公爵家二男の結婚式、どちらも無視はできない重要案件だ。かと言って今年は夏過ぎにケネスの結婚式も王都で控えている。みんな大変じゃない?だからリッターホルムへの訪問ぐらいは一度で済むようにね。
そしてもう一つ。
これは大きなマーケティングでもある。大型船の可能性を大きく知らしめる機会だ。人や物を運ぶキャリーとしての役目だけでない。アクティビティ、そしてバンケットとして利用でますよ、って言う可能性だ。
「大叔父上をはじめ、ミットン河に面した領のご当主はそのまま君がお送りするのだったね?」
「そうそう。ユーリも大公領までは付いて来るでしょ?アルパ君たちは新婚旅行って事でそのまま国境付近まで行って折返してくるから僕はそっちについてく。ユーリは大公領でのんびりしてて。タピオ兄さんは向こうの方が近いから東の川岸に来るって。そこで少しだけ会ってくるね。」
「どの領も河沿いには庶民も多く観に来るだろう。それに合わせて商人も屋台を出すだろうとアレクシが言っていたが…大変な賑わいになりそうだ。」
この国初の幾つもの領を跨いだ共同事業。これで東西はぐっと距離が縮まるし南北は既に気球が縮めている。
大公の国が、ケネスの国が大きな輪になっていく!
「ワクワクするね」
「…君の目が私以外を向くことに妬けてしまうな。ほどほどに。いいね」
ユーリってば昔っから言う事変わらないんだから…。
「アッシュ様、…がお見えになりました。サロンにてお待ちでいらっしゃいます。」
「やっと来たー!すぐ行く!」
なんかよく聞こえなかったけどヴェストさんが僕を呼びに来る来客なんて大公に決まってる!
バーン!
「お待たせ大公!って言うか待ってたよ!」
「騒々しい!静かにせぬか!」
「ゲッ!ご老公…」
「むっ…」
「はっはっは、許してやってくれコルトバ侯。これはこの小生意気さこそ持ち味なのだ」
「大公居た…。良かった。小生意気…随分だなぁ…」
「褒めておるのだ。さあアッシュ、ここは王城ではない。そこに座るがいい」
しっかし…、まさかコルトバ侯、命名ご老公が親戚になっちゃうとはね。うるさ型の親戚ってやつ。めんどくさい…。
「お前もアルパ殿もなかなか見る目がある。並みいる令嬢の中からあの精霊の様な孫娘を選ぶとはな。」
「精霊…、言い過ぎだって、」
「なんだ?」
「いいえ精霊です。妖精と言ってもいい。」
「そうであろう」
目の前にはユーリとアルパ君、そしてその奥様になる少女が居る。若夫婦は初々しすぎて付き合いたての学生カップルにしか見えないのはご愛敬…。それから大公夫妻にご老公、王城を守るケネスとシグリット姫がここにいないのは少し残念。でも幸せな家族の姿がここにある。
カメラ…、カメラが欲しい!ああ…なんて悔しい…
「アッシュ様、画家を呼んでございます」
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おや、そういえば。
付き合いたてのカップルならここにも居たよ。仕方ない、大公領まで連れてってあげるとするか…。
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