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連載
おまけ ⑨
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「う…うぅ…初恋だったんです…。ナッツさん聞いてます?20年生きてきて初めて好きになった方だったんです!」
「…聞いてるよ~」
「アッシュ様に分かりますか?想い人の恋心に気付いてしまう悲しさを…」
「あー、うん…」
「そのうえ自らの手で背中を押さなければならないなんて…」
「まぁ…」
「辛いよね~」
「僕は馬鹿ですね。あのままそっとしておけばヴェスト様の想いは風化しただろうと言うのに…。でも出来なかった。僕はあの方の表には出ない、だけど本当はいろんな感情を秘めておられる、そんなところを愛おしいと思ったのだから…。あの方の感情を見て見ぬふりする事なんて…。分かって下さいますか?」
「分かるよ。パトリックさんが良い男だってことは。」
「もうそのくらいにしておいたら~。明日も仕事でしょ~?」
ハッキリ言おう。僕は酔っぱらいの相手が好きではない。
やたら読書論を語ってくるエスターもめんどくさいし、いつもは言わないダジャレに自分でウケてるノールさんにもドン引きだ。
鍛えられた従者だったアレクシさんはまだマシだけど、笑い上戸の教授はスヴァルトさんという話し相手を得てから一段と声が大きくなって身振り手振りまで含めてそれはもう喧しい。これだから酔っぱらいは…。
サーダさんがすぐ寝ちゃう人だったのは意外と言えば意外だけど、その分ナッツがザルだからプラマイゼロだ。
そんな訳でこの状況は甚だ不本意だ。だからと言って失恋したてのパトリックさんを放置するわけにもいかなくて…、ナッツが付き合ってくれて助かったけど、もういい加減に寝ようよ…。
僕は気が付いたら暖炉を落とした小ダイニングのテーブルに突っ伏して…寝落ちしていたのだった…。
「へ…ぶしっ!」
「本当にすみませんアッシュ様…。僕のやけ酒に付き合わせてしまって…」
「ズズ…、ううん。僕が上着も掛けずに寝ちゃったから。気にしないでパトリックs、くしっ!」
「アッシュ、ほら~グロッグだよ~」
「グロッグ…、なにそれ?ズー…」
「ラムにシナモンやグローブ入れてお砂糖で甘くした飲み物だよ~。風邪の時よく飲まれてるのに知らないの~?」
「風邪ひいたこと無いもん。おかしいな。僕は馬鹿じゃないはずなのに…」
「アッシュ、体調はどうだい?」
やってきたのは最愛の夫、ユーリだ。今朝は呆れたようにコンコンと叱られたけど、それでもこうして身体を気遣ってお湯とタオルを持ってきてくれたりなんかして…優しいんだから…。
「さぁ皆、アッシュの看病は私がする。気にせず仕事に戻るように」
「それより、ユーリが自分でお湯とか運ぶなんて…、どうしたの?ヴェストさんは?」
「…ベルマンを領都に案内させた。夜まで戻るなと申し付けてある」
「うそぉ~!」
「なんでっ?」
「ど、どうしてですかユーリウス様⁉」
「君への罰だパトリック!私のアッシュに風邪をひかせるとは…実に許しがたい‼」
ユーリ…、それはまさしく…罰としては最善だよ…。
「やれやれ、ようやく二人になれた…。パトリック、彼は良い青年だがやはりルステンソン家の男だな。些か自由過ぎるきらいがある。」
そんなたわいもない話をしながらユーリはいそいそと手に持ったタオルをお湯に浸す。嬉しいな。身体拭いてくれるんだ。気が利くというかマメと言うか、なんにしても大歓迎だ。
そして軽く絞ると…
「そんなことよりアッシュ、さあ脱ごうか。」
えーと…、なんでそんなに嬉しそうなの…?
「ここはどう?」
「あー背中気持ちいい。汗かいて気持ち悪かったんだよね」
「ふふ、じゃあここは?」
「首の後ろ?スッキリする。あっ、ちょっと舐めちゃダメだってば」
「君の汗を味わってみようかと思ってね」
「変な事言ってないで、もうダメだって、あっ、こら!」
「体温が高い。まるであの時みたいだ…」
「どこ触って…、ホントに止めて、風邪うつるから…」
「うつしてごらん。そうしたら治るだろう?」
「そんな非科学的な治療法、僕は信じな、あ、あぁん」
「一度うつしてみればわかる」
「う、うそぉ!う…、力が入らな…、ああっ…」
「いいかい。これはお仕置きだ。私を放ってパトリックにかまけた罰だ」
「なっ…!あ、んん、そこは…だ、ダメェ!」
そして見事僕の風邪を拾った、病人に無体を働く鬼畜なユーリは宣言通りともに寝込むこととなり、事の次第を察したノールさんにこってり叱られたという…。
それよりその晩戻ったヴェストさんの顔が、あれ…?珍しい…
少しだけ申し訳なさそうで、そして少しだけ上気して見えたのは…絶対気のせいなんかじゃ無かった…
「…聞いてるよ~」
「アッシュ様に分かりますか?想い人の恋心に気付いてしまう悲しさを…」
「あー、うん…」
「そのうえ自らの手で背中を押さなければならないなんて…」
「まぁ…」
「辛いよね~」
「僕は馬鹿ですね。あのままそっとしておけばヴェスト様の想いは風化しただろうと言うのに…。でも出来なかった。僕はあの方の表には出ない、だけど本当はいろんな感情を秘めておられる、そんなところを愛おしいと思ったのだから…。あの方の感情を見て見ぬふりする事なんて…。分かって下さいますか?」
「分かるよ。パトリックさんが良い男だってことは。」
「もうそのくらいにしておいたら~。明日も仕事でしょ~?」
ハッキリ言おう。僕は酔っぱらいの相手が好きではない。
やたら読書論を語ってくるエスターもめんどくさいし、いつもは言わないダジャレに自分でウケてるノールさんにもドン引きだ。
鍛えられた従者だったアレクシさんはまだマシだけど、笑い上戸の教授はスヴァルトさんという話し相手を得てから一段と声が大きくなって身振り手振りまで含めてそれはもう喧しい。これだから酔っぱらいは…。
サーダさんがすぐ寝ちゃう人だったのは意外と言えば意外だけど、その分ナッツがザルだからプラマイゼロだ。
そんな訳でこの状況は甚だ不本意だ。だからと言って失恋したてのパトリックさんを放置するわけにもいかなくて…、ナッツが付き合ってくれて助かったけど、もういい加減に寝ようよ…。
僕は気が付いたら暖炉を落とした小ダイニングのテーブルに突っ伏して…寝落ちしていたのだった…。
「へ…ぶしっ!」
「本当にすみませんアッシュ様…。僕のやけ酒に付き合わせてしまって…」
「ズズ…、ううん。僕が上着も掛けずに寝ちゃったから。気にしないでパトリックs、くしっ!」
「アッシュ、ほら~グロッグだよ~」
「グロッグ…、なにそれ?ズー…」
「ラムにシナモンやグローブ入れてお砂糖で甘くした飲み物だよ~。風邪の時よく飲まれてるのに知らないの~?」
「風邪ひいたこと無いもん。おかしいな。僕は馬鹿じゃないはずなのに…」
「アッシュ、体調はどうだい?」
やってきたのは最愛の夫、ユーリだ。今朝は呆れたようにコンコンと叱られたけど、それでもこうして身体を気遣ってお湯とタオルを持ってきてくれたりなんかして…優しいんだから…。
「さぁ皆、アッシュの看病は私がする。気にせず仕事に戻るように」
「それより、ユーリが自分でお湯とか運ぶなんて…、どうしたの?ヴェストさんは?」
「…ベルマンを領都に案内させた。夜まで戻るなと申し付けてある」
「うそぉ~!」
「なんでっ?」
「ど、どうしてですかユーリウス様⁉」
「君への罰だパトリック!私のアッシュに風邪をひかせるとは…実に許しがたい‼」
ユーリ…、それはまさしく…罰としては最善だよ…。
「やれやれ、ようやく二人になれた…。パトリック、彼は良い青年だがやはりルステンソン家の男だな。些か自由過ぎるきらいがある。」
そんなたわいもない話をしながらユーリはいそいそと手に持ったタオルをお湯に浸す。嬉しいな。身体拭いてくれるんだ。気が利くというかマメと言うか、なんにしても大歓迎だ。
そして軽く絞ると…
「そんなことよりアッシュ、さあ脱ごうか。」
えーと…、なんでそんなに嬉しそうなの…?
「ここはどう?」
「あー背中気持ちいい。汗かいて気持ち悪かったんだよね」
「ふふ、じゃあここは?」
「首の後ろ?スッキリする。あっ、ちょっと舐めちゃダメだってば」
「君の汗を味わってみようかと思ってね」
「変な事言ってないで、もうダメだって、あっ、こら!」
「体温が高い。まるであの時みたいだ…」
「どこ触って…、ホントに止めて、風邪うつるから…」
「うつしてごらん。そうしたら治るだろう?」
「そんな非科学的な治療法、僕は信じな、あ、あぁん」
「一度うつしてみればわかる」
「う、うそぉ!う…、力が入らな…、ああっ…」
「いいかい。これはお仕置きだ。私を放ってパトリックにかまけた罰だ」
「なっ…!あ、んん、そこは…だ、ダメェ!」
そして見事僕の風邪を拾った、病人に無体を働く鬼畜なユーリは宣言通りともに寝込むこととなり、事の次第を察したノールさんにこってり叱られたという…。
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少しだけ申し訳なさそうで、そして少しだけ上気して見えたのは…絶対気のせいなんかじゃ無かった…
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