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ごく普通な農家の息子は勘当息子を溺愛する?⑦
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「え…アッシュさんこれ…」フッ…
「わぁぁぁ!カミーユ君しっかり!」
こうして僕の依頼により王城で大公とケネスとシグリットさん、それから…ユーリとアルパ君、そしてそれぞれの配偶者が談笑する家族のスナップ写真ならぬスナップ絵を描くことになったカミーユ君は、事の成り行きにいきなり失神した…。
「なんだ、タピオは一緒じゃないのか。つまらん」
「まぁケネス様、そのような事を仰ってはいけませんわ。農家の夏は忙しいんですのよ。先日祝いに駆けつけて下さっただけでも感謝なさらないと。困った方」ペチ
「マチルダの張り手は可愛いものだな。うむ、では我慢しよう。」
マチルダさん眼が笑ってないし…。言っとくけどそれ本気の100分の一くらいしか出してないからね、多分…。
「う、ううん…。はっ!アッシュさん、これは一体…」
「え?あっと、こっちが王さま、でこっちが王子様で」
「違います!そうじゃなくて!どうして僕が王城に居るんですか?僕はさっきまでタピオさん、アッシュさんと泉でお昼寝してたのに!えっ?服が湿ってる?…怪異…」
「それは僕が一服もっt…なんでもない。いいからここで絵描いて!それも畏まってないやつ。日常の一コマ的なの。」
オロオロ…「いったいアッシュさんは王家の方々とどういうご関係なんですか…?はっ!まさか殿下の隠し子…」
「ぶっ!年が合わないでしょうが!」
「こんな可愛げのない息子を持った覚えはない!」
「だ、だ、だって…」
「ふふ。名を名乗ろうか。私はリッターホルム現当主、ユーリウス・リッターホルム公爵である。君の隣に居る愛くるしさで出来た妖精が私の妻、アッシュであり君の夫タピオ君の弟だ。つまりタピオ君は公爵である私の義兄にあたる。」
「はぇっ!?」
「そしてここにおられる王太子殿下の…何故か無二の親友でもある…。」
「うぇっ!?」
「うむ。アッシュが愛くるしいかどうかは置いておいてだな、」
「愛くるしいでしょうが」
「愛の化身と言い換えてもいいが?」
「馬鹿は放っておいてタピオは実にいい男だ。何だお前。婿にしろと押しかけたらしいな。はははっ、なかなか骨のある奴だ!こうでもせねば、あ奴はいつまでも遊び呆けているだろうからな。」
「言っとくけど兄さんをケネスと一緒にすんの止めてくんない?それからユーリ、まだ僕はカミーユ君を嫁とは認めてないから」
「あ、アッシュさん…、でで、殿下を名前で呼んじゃ…ふ、ふけ…」
「フケ?」
「それでカミーユよ。タピオとはどこまで進んだのだ。ほら、言わぬか」
「ひぃぃ!どこまでっ?あのっ、そのっ…どこまでって、ミルウィ橋…」フッ…
「また逝った!カミーユ君しっかり!」
「ケネス様、アッシュ様、少々こちらへ…」
「どうしたマチルダ?」
「な、何…?」
ああー!!!!
その後、なんとか無事立ち直る事が出来た彼は、右手と右足が同時に出るほどガチガチに緊張しながら両陛下の前に進み出て…ろれつの回らない挨拶?らしきものをどうにか済ませると、王族が家族の団欒を楽しむ間、手だけ動かす人形のようになってひたすら描画に没頭していた。
そして最後には脱力して僕の支え無しでは立てなくなるほど神経をすり減らしてなんとか下絵を描き終え、「せっかく王都まで来たんだから」と言う僕の強固な勧めに従って恐る恐る実家へ里帰りすることになった。
公爵家の豪華な4頭立て馬車で送られたカミーユ君。
「カミーユ!一人前になるまで戻るなと!…この馬車は…?」
「初めまして子爵。僕はリッターホルム公爵夫人、またの名をリッターホルムのご当地キャラ、アッシュと言います。どうぞよろしく」
「なんとっ!」
家族はそりゃもう大歓喜、「カミーユ!お前は我が家の誇りだ!」と、狂喜乱舞。
「ちょうどいい所に!公爵夫人、兄のエーリクが、わが家の嫡男が殿下の式典の為に戻っておるのです。ぜひお目にかけたい。エーリク!公爵夫人にご挨拶を!」
「お、お噂はかねがね…。あなた様の手腕でリッターホルムがあれ程の繁栄を見せていると社交界でももっぱらの噂でございます。私は嫡男エーリク。以後お見知りおきを。…ところでカミーユがなにやらおかしなことを呟いていたのですが…」
「おかしなこと…?」
「夫人の兄上殿と結婚したとかなんとか…、その、男同士で…」
「…たしかにおかしいよね…。けどその部分は僕が言うとブーメランだから…。」
「で、ではお認めになるのか⁉ カミーユはまだ浮世の何も知らぬ子供なのですよ!」
「18が子供かどうかは置いといて、ご子息から押し掛けたんですけどね!言っとくけど僕の目の黒いうちは許しません!」
「それは良かった!私のカミーユをどこの馬の骨とも知らぬ者に渡すわけにはいかないのでねっ!」
「ぼっ!僕の兄さんを馬の骨だと!…ほ、ほう…?面白い…、受けて立ってやろうか、その勝負…」
「いい加減にしないかエーリク!公爵夫人になんという口の利き方を!カミーユの素晴らしき選択に口を出すでない!」
「そうですよ!そうやってあなたが甘やかすからカミーユがここまで甘ったれた根性になったのです!あなたが反省なさいエーリク!」
「ぐ…」
子爵夫妻はカミーユ派か…。ま、まぁ縁故って大事だしね…。夫妻には懐柔も兼ねて船のチケット進呈したのに。逆効果か…。
それでまぁ、肝心の本人だけど…
マァの村に定住する、そしてタピオ兄さんの側に居たい、離れたら生きていけない!というカミーユ君は、誰がどれだけ説得しても頑として意見を覆さなかった。
せっかく公爵夫人から直々に宮廷画家への推薦をゲットしたのに「僕はタピオさんが居ないとダメダメの無能で…きっとすぐやらかして追い出されますから…」と言って、それはもう即答で、一瞬の躊躇なく、だけど申し訳なさそうにその申し出を固辞してみせた。…確かにそうだけど…。
…ああ…僕の目論見が外れるなんて…
仕方ないので僕は正式にマァの村を後世に残すための専属画家にカミーユ君を任命した。
はぁぁぁ…実家でプータローを飼うわけにはいかないからね…。血涙を呑んでカミーユ君のパトロンとなったのだ。ご両親が納得するよう、彼らの眼前で。
後年カミーユ君の描く『あるおとぎの村』と題されたシリーズの絵画はとんでもない高値で売買されるようになっていくんだけど、それはまだまだ先の話。
「わぁぁぁ!カミーユ君しっかり!」
こうして僕の依頼により王城で大公とケネスとシグリットさん、それから…ユーリとアルパ君、そしてそれぞれの配偶者が談笑する家族のスナップ写真ならぬスナップ絵を描くことになったカミーユ君は、事の成り行きにいきなり失神した…。
「なんだ、タピオは一緒じゃないのか。つまらん」
「まぁケネス様、そのような事を仰ってはいけませんわ。農家の夏は忙しいんですのよ。先日祝いに駆けつけて下さっただけでも感謝なさらないと。困った方」ペチ
「マチルダの張り手は可愛いものだな。うむ、では我慢しよう。」
マチルダさん眼が笑ってないし…。言っとくけどそれ本気の100分の一くらいしか出してないからね、多分…。
「う、ううん…。はっ!アッシュさん、これは一体…」
「え?あっと、こっちが王さま、でこっちが王子様で」
「違います!そうじゃなくて!どうして僕が王城に居るんですか?僕はさっきまでタピオさん、アッシュさんと泉でお昼寝してたのに!えっ?服が湿ってる?…怪異…」
「それは僕が一服もっt…なんでもない。いいからここで絵描いて!それも畏まってないやつ。日常の一コマ的なの。」
オロオロ…「いったいアッシュさんは王家の方々とどういうご関係なんですか…?はっ!まさか殿下の隠し子…」
「ぶっ!年が合わないでしょうが!」
「こんな可愛げのない息子を持った覚えはない!」
「だ、だ、だって…」
「ふふ。名を名乗ろうか。私はリッターホルム現当主、ユーリウス・リッターホルム公爵である。君の隣に居る愛くるしさで出来た妖精が私の妻、アッシュであり君の夫タピオ君の弟だ。つまりタピオ君は公爵である私の義兄にあたる。」
「はぇっ!?」
「そしてここにおられる王太子殿下の…何故か無二の親友でもある…。」
「うぇっ!?」
「うむ。アッシュが愛くるしいかどうかは置いておいてだな、」
「愛くるしいでしょうが」
「愛の化身と言い換えてもいいが?」
「馬鹿は放っておいてタピオは実にいい男だ。何だお前。婿にしろと押しかけたらしいな。はははっ、なかなか骨のある奴だ!こうでもせねば、あ奴はいつまでも遊び呆けているだろうからな。」
「言っとくけど兄さんをケネスと一緒にすんの止めてくんない?それからユーリ、まだ僕はカミーユ君を嫁とは認めてないから」
「あ、アッシュさん…、でで、殿下を名前で呼んじゃ…ふ、ふけ…」
「フケ?」
「それでカミーユよ。タピオとはどこまで進んだのだ。ほら、言わぬか」
「ひぃぃ!どこまでっ?あのっ、そのっ…どこまでって、ミルウィ橋…」フッ…
「また逝った!カミーユ君しっかり!」
「ケネス様、アッシュ様、少々こちらへ…」
「どうしたマチルダ?」
「な、何…?」
ああー!!!!
その後、なんとか無事立ち直る事が出来た彼は、右手と右足が同時に出るほどガチガチに緊張しながら両陛下の前に進み出て…ろれつの回らない挨拶?らしきものをどうにか済ませると、王族が家族の団欒を楽しむ間、手だけ動かす人形のようになってひたすら描画に没頭していた。
そして最後には脱力して僕の支え無しでは立てなくなるほど神経をすり減らしてなんとか下絵を描き終え、「せっかく王都まで来たんだから」と言う僕の強固な勧めに従って恐る恐る実家へ里帰りすることになった。
公爵家の豪華な4頭立て馬車で送られたカミーユ君。
「カミーユ!一人前になるまで戻るなと!…この馬車は…?」
「初めまして子爵。僕はリッターホルム公爵夫人、またの名をリッターホルムのご当地キャラ、アッシュと言います。どうぞよろしく」
「なんとっ!」
家族はそりゃもう大歓喜、「カミーユ!お前は我が家の誇りだ!」と、狂喜乱舞。
「ちょうどいい所に!公爵夫人、兄のエーリクが、わが家の嫡男が殿下の式典の為に戻っておるのです。ぜひお目にかけたい。エーリク!公爵夫人にご挨拶を!」
「お、お噂はかねがね…。あなた様の手腕でリッターホルムがあれ程の繁栄を見せていると社交界でももっぱらの噂でございます。私は嫡男エーリク。以後お見知りおきを。…ところでカミーユがなにやらおかしなことを呟いていたのですが…」
「おかしなこと…?」
「夫人の兄上殿と結婚したとかなんとか…、その、男同士で…」
「…たしかにおかしいよね…。けどその部分は僕が言うとブーメランだから…。」
「で、ではお認めになるのか⁉ カミーユはまだ浮世の何も知らぬ子供なのですよ!」
「18が子供かどうかは置いといて、ご子息から押し掛けたんですけどね!言っとくけど僕の目の黒いうちは許しません!」
「それは良かった!私のカミーユをどこの馬の骨とも知らぬ者に渡すわけにはいかないのでねっ!」
「ぼっ!僕の兄さんを馬の骨だと!…ほ、ほう…?面白い…、受けて立ってやろうか、その勝負…」
「いい加減にしないかエーリク!公爵夫人になんという口の利き方を!カミーユの素晴らしき選択に口を出すでない!」
「そうですよ!そうやってあなたが甘やかすからカミーユがここまで甘ったれた根性になったのです!あなたが反省なさいエーリク!」
「ぐ…」
子爵夫妻はカミーユ派か…。ま、まぁ縁故って大事だしね…。夫妻には懐柔も兼ねて船のチケット進呈したのに。逆効果か…。
それでまぁ、肝心の本人だけど…
マァの村に定住する、そしてタピオ兄さんの側に居たい、離れたら生きていけない!というカミーユ君は、誰がどれだけ説得しても頑として意見を覆さなかった。
せっかく公爵夫人から直々に宮廷画家への推薦をゲットしたのに「僕はタピオさんが居ないとダメダメの無能で…きっとすぐやらかして追い出されますから…」と言って、それはもう即答で、一瞬の躊躇なく、だけど申し訳なさそうにその申し出を固辞してみせた。…確かにそうだけど…。
…ああ…僕の目論見が外れるなんて…
仕方ないので僕は正式にマァの村を後世に残すための専属画家にカミーユ君を任命した。
はぁぁぁ…実家でプータローを飼うわけにはいかないからね…。血涙を呑んでカミーユ君のパトロンとなったのだ。ご両親が納得するよう、彼らの眼前で。
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