チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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ハッピーバレンタイン♡

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「おいアッシュ、ヴェッティ王の輝かしき成果である〝チョコレイト”菓子の新作は出ないのか。マチルダもそれは楽しみにしているのだ」

「新作ねぇ…、ガトーショコラとザッハトルテに続くチョコスイーツ…、フォンダンショコラ…、オペラはどうかな?」
「何!それは美味いのか⁉」

「フォンダンショコラ…、それは魅惑のチョコソースが…ダメダメ、これ以上はお楽しみって事で。それよりチョコか…。ねぇケネス。王都で流行らせたいことがあるんだけど協力してよ」

「ふむ。聞こうか…」


チョコレート、僕のいた前世にはこれ以上ないビッグなリア充イベントがある。

それは恋人同士、片想いのあの子、最近では友達同士なども含め様々な想いを伝えあう心温まるイベントなのだが当然僕は参加者になったことは無い。腹立たし、ゴホン!バカバカしいので母からのチョコも事前に拒否したくらいだ。

そもそもあれはもとをただせばある一企業により仕掛けられた販促活動だったのである。それを日本国民全体が踊らされて…、あんな…、あんな…

ええいっ!
つまり…、チョコレート利権を牛耳る僕と大公領にはむしろ必要なイベント!やるしか無いでしょ!

王都での告知はケネスに丸投げして僕はリッターホルムでの普及活動に専念することにした。
キャンペーンと言えば必要なのはキャンペーンタレントである。では誰に…?

お菓子、可愛い、人気者、イコール…


「ナッツー!町でキスチョコ配るの手伝ってくれない?お礼は新しいチョコデザートのレシピね。」
「良いけど…、キスチョコって何~?どうして配るの~?新しい慈善活動~?」
「ある一部の人にとってナッツからのチョコは慈善活動とも言える…、けどそうじゃなくて実はね…」


愛あるこの素敵なイベントにナッツはノリノリである。しぼり袋でスライム型にした大量の小さなチョコをチョコチョコっと一つづつラッピングして僕たちは公共地区の広場へと繰り出した。
そうそう、ついでと言っては何だけど、カレッジに立ち寄ってアルパ君にも学内のカフェで配布して欲しいとお願いするのを忘れない。
若者は流行の要だし、綺麗なアルパ君は学生たちの隠れアイドルなのだ。僕ってば慈悲深い。




「さーさー寄ってらっしゃい見てらっしゃい。2月14日、みんなこの日がどんな日か知ってるかな?」


なんだなんだと集まる領民たち。


「今王都で話題沸騰中の『セントバレンタインデイ』これは甘ーいチョコレートに想いを乗せて大切なあの人に気持ちを伝える特別な日の事だよ。愛情でも友情でも、親子の愛でもいい。なんなら自己愛でも構わない。日頃は言葉に出来ないそんな想いを一年に一度、改めてきちんと伝えよう。さあ!領主からの感謝チョコ、みんな一つづつ貰って行ってね!」

そして始まったキスチョコの配布。だがしかし!こ、これは…
デ・ジャブ…悪夢再び…


「ナッツちゃーん、俺も俺も!」
「えー、さっき渡したよね~。ひとり一個~」
「ナッツ様の手作りチョコ…ここは天国かー!」
「広場だよ~」
「ナッツちゃんのチョコ…これをどうやって未来永劫保存するか…」
「溶ける前に食べてね~」


ファンクラブがますます精鋭化されている気がする…


「あたしたちも貰っていいんですかね?」
「今日はね。14日は旦那さんにあげる側だよ?」
「あっしゅさまー、僕も欲しいよー」
「ビターは止めてミルクチョコにしようか」

「私も一つ貰おうか」
「どうぞー、って、ユーリ!こんなところで何してるの⁉」
「君が領民に〝想いを込めたチョコ”を配っていると聞いてね」
「誰に⁉」
「アルパにだ。心配のあまり急ぎやって来たのだが杞憂のようだな。」


…余計な心配かけずに済んで良かったはずなのに少しも嬉しくない…。





幾日か過ぎやって来たバレンタイン当日。お屋敷の中は甘ーいチョコの香りでどうにかなりそう…。
それもこれもナッツが何度も試作を繰り返しながらサーダさんに渡す特製チョコを作っているからだ。


「気合入ってるねナッツ…」
「だって想いを込めたチョコなんて…想いが溢れちゃって大変~!」

「だって、サーダさん残さず食べないとだね。」
「うむ。任せておけ」


そのナッツにはビョルンさん、そしてノールさんからもチョコの発注があったようだ。特にノールさんはこっそり頼んでいたみたいだけど…、この件に関してナッツの口は羽毛のように軽いのである。

さて、そろそろ僕も…



いつもよりほんの少し楽しそうに丘の向こう観測場へとやって来たユーリ。


「楽しみに待っていたのだよ。君からのバレンタインを」
「お待たせしました。じゃじゃーん!チョコフォンデュー!」


わざわざこの離れでバレンタインを祝うのはまさにこの特大チョコファウンテンの為に他ならない。冬じゃなきゃ庭でも良かったんだけどね…。


「僕の気持ちを形にしたらこのサイズになっちゃった。えへへ。さあユーリ、好きなものつけて食べて!」




チョコフォンデュをみてこの露天風呂のある場所を指定したのはヴェストさんだった。彼は一体何を認識したのか…。



…誰がどうチョコまみれになったかは割愛させてもらおう………。





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