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Merry Xmas ∠☆
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平和を取り戻した最初の冬。厨房の片隅で今日も今日とて、エンドウ豆の中身をほぐしながらおしゃべりに興じる小さな主と甘いパテシエ。
「ねぇアッシュ、今年はあれやらないの~?」
「…あれって?なんのこと?」
「ほらぁ~。去年真っ赤な服着て煙突に登ろうとしてたじゃない~」
「あぁ、アレね…。うんまぁ…」
この世界にイエスキリストが居ない以上、クリスマスというイベントも当然存在しない。でもあんな素敵なイベントを楽しまないなんて…もったいないんじゃなかろうか?ある時僕は不意にそう気が付いた。
秋から冬はユーリの誕生日だったり僕とユーリの記念日だったり、あげくに王都へ行ってしまうのですっかり忘れていたのだが…あれは子供に良し、恋人同士に良し、のビッグなマネタイズチャンス!本場式…というより騒ぎたいだけの日本方式でいいから、これはこの地で再現して然るべきである。
そう。僕は北欧チックなこのリッターホルムに、新たな娯楽としてクリスマスの概念を生み出そうと試みたのだ。が…
「アッシュその恰好は…」
「ああこれ?サンタコス。着て見たかったんだよね~。どう?似合う?あとはこのズボンを穿いて付け髭を…わぁっ!」
「アッシュ!そんな煽情的な姿で何をするつもりだ!それとも私を誘っているのかい?」
「誘って…何を言って…あ、ちょっとユーリ!ダメ!あ、アアン!アー!!!」
と、言う訳で…
何も考えずうっかり上から着始めたばっかりに…ギャルのサンタコス状態になった僕は、あっという間に捕食された。どっかのエロ公爵に…
「それで去年は結局何も出来なかったんだよね。ユーリが闘牛の牛みたいになっちゃって」
「ユーリウス様ってば相変わらずだね~、でも下働きの若い子たちガッカリしてたよ~」
「なんで?赤いブーツに入れたお菓子の詰め合わせ配ったじゃない。ナッツが」
「〝サタンさん”を見て見たかったんだって~」
「ナッツ、それじゃあ悪魔だから。サンタね。サンタクロース」
けどふむ…、サンタクロースか…
と言う訳で…
「じゃじゃーん!今年こそクリスマスを成功させて見せる!ナッツ!協力よろしくね!」
「いいけど~、シェフにこんな格好させて何するの~?」
「よく考えたら僕がサンタになるところに無理があったかなーって」
「それよりサンタって誰なのさ」
「サンタはね十二月の二十四日になると子供たちのところにやってきてプレゼントを配るお年寄りだよ。赤い服を着て白い髭をはやしてるの」
「ねぇアッシュ、そのお年寄りはどうして子供にプレゼントを配るの~?大金持ちなの~?」
「所説あるけどね、ある善良なおじいさんが深夜に貧しい家へ忍び込んで靴下の中に金貨を投げ入れたって言うのが一般的な説かな」
「一歩間違えたら不審者だよね~…」
身もふたもない。けど、無事に『奇跡の聖人』認定されたんだから本物だよね。
サンタってイメージ的にずんぐりむっくりなんだよねぇ…まだガタイの良いサーダさんの方がそれっポイ。ナッツを拾って面倒見たくらいの聖人だし。
思った通り。話をすればサーダさんは二つ返事だ。
「なるほど。子供たちを喜ばせるのだな。いいだろう、それでどうする?」
「ナッツと僕で用意したこの袋に入ったクッキーボックスやキャンディーアソートを領都の子供たちに二人で配って」
「アッシュ~、僕もお揃いで着たい~」
「トナカイにしたら?サンタとトナカイは一対だからね」
「一対?」
「サンタはトナカイに乗ってやって来るんだよ」
「ああ~んシェフ~、いっぱい乗って~」
「やかましい!ソリだから!乗るのはソリだから!」
というようなやり取りを経て、二十四日当日…
荘園の農民たちにはアレクシさんとビョルンさんが、やっぱりサンタとトナカイになって配ってくれるようだ。
それだけじゃない。カレッジではノールさんとアルパ君が、衣装は着ないけどお菓子だけは配ってくれた。
となると残るは屋敷内…
赤いガウンを羽織ったユーリはサンタというよりキングのようだ。そしておそろい風の赤いポンチョを羽織った僕とで、ダイニングの椅子に腰かけズラッと並んだ若い使用人に手渡しをしていく。
お菓子は成人未満の使用人にだけ配られたのだが、当主自ら配られるギフトに、普段あまり接する事の無い彼らの歓びは最高潮だ。
「あー疲れた。ユーリもお疲れ様。肩でも揉んであげようか?」
「いいやそれより。私の疲れを癒すのならもっといい方法がある」
「…嫌な予感…」
時間にして一時間半もギフトを渡し続けたユーリを労ってみれば…その目はキラリと妖しく光る。
「な、なにその目…」
「いいや。それよりヴェスト、用意はいいか」
「はいユーリウス様。こちらに」
恭しくトレイに乗せられたそれは…
「ト、トナカイの角!? 」
「ナッツから聞いたのだよ。サンタとトナカイは一対だとね」
「ま、まぁ…」
「そしてサンタはトナカイに乗るものだと」
「 ‼ 」
「アアーン!ユーリのばかぁ~!!!」
きよしこの夜。メリークリスマス!
「ねぇアッシュ、今年はあれやらないの~?」
「…あれって?なんのこと?」
「ほらぁ~。去年真っ赤な服着て煙突に登ろうとしてたじゃない~」
「あぁ、アレね…。うんまぁ…」
この世界にイエスキリストが居ない以上、クリスマスというイベントも当然存在しない。でもあんな素敵なイベントを楽しまないなんて…もったいないんじゃなかろうか?ある時僕は不意にそう気が付いた。
秋から冬はユーリの誕生日だったり僕とユーリの記念日だったり、あげくに王都へ行ってしまうのですっかり忘れていたのだが…あれは子供に良し、恋人同士に良し、のビッグなマネタイズチャンス!本場式…というより騒ぎたいだけの日本方式でいいから、これはこの地で再現して然るべきである。
そう。僕は北欧チックなこのリッターホルムに、新たな娯楽としてクリスマスの概念を生み出そうと試みたのだ。が…
「アッシュその恰好は…」
「ああこれ?サンタコス。着て見たかったんだよね~。どう?似合う?あとはこのズボンを穿いて付け髭を…わぁっ!」
「アッシュ!そんな煽情的な姿で何をするつもりだ!それとも私を誘っているのかい?」
「誘って…何を言って…あ、ちょっとユーリ!ダメ!あ、アアン!アー!!!」
と、言う訳で…
何も考えずうっかり上から着始めたばっかりに…ギャルのサンタコス状態になった僕は、あっという間に捕食された。どっかのエロ公爵に…
「それで去年は結局何も出来なかったんだよね。ユーリが闘牛の牛みたいになっちゃって」
「ユーリウス様ってば相変わらずだね~、でも下働きの若い子たちガッカリしてたよ~」
「なんで?赤いブーツに入れたお菓子の詰め合わせ配ったじゃない。ナッツが」
「〝サタンさん”を見て見たかったんだって~」
「ナッツ、それじゃあ悪魔だから。サンタね。サンタクロース」
けどふむ…、サンタクロースか…
と言う訳で…
「じゃじゃーん!今年こそクリスマスを成功させて見せる!ナッツ!協力よろしくね!」
「いいけど~、シェフにこんな格好させて何するの~?」
「よく考えたら僕がサンタになるところに無理があったかなーって」
「それよりサンタって誰なのさ」
「サンタはね十二月の二十四日になると子供たちのところにやってきてプレゼントを配るお年寄りだよ。赤い服を着て白い髭をはやしてるの」
「ねぇアッシュ、そのお年寄りはどうして子供にプレゼントを配るの~?大金持ちなの~?」
「所説あるけどね、ある善良なおじいさんが深夜に貧しい家へ忍び込んで靴下の中に金貨を投げ入れたって言うのが一般的な説かな」
「一歩間違えたら不審者だよね~…」
身もふたもない。けど、無事に『奇跡の聖人』認定されたんだから本物だよね。
サンタってイメージ的にずんぐりむっくりなんだよねぇ…まだガタイの良いサーダさんの方がそれっポイ。ナッツを拾って面倒見たくらいの聖人だし。
思った通り。話をすればサーダさんは二つ返事だ。
「なるほど。子供たちを喜ばせるのだな。いいだろう、それでどうする?」
「ナッツと僕で用意したこの袋に入ったクッキーボックスやキャンディーアソートを領都の子供たちに二人で配って」
「アッシュ~、僕もお揃いで着たい~」
「トナカイにしたら?サンタとトナカイは一対だからね」
「一対?」
「サンタはトナカイに乗ってやって来るんだよ」
「ああ~んシェフ~、いっぱい乗って~」
「やかましい!ソリだから!乗るのはソリだから!」
というようなやり取りを経て、二十四日当日…
荘園の農民たちにはアレクシさんとビョルンさんが、やっぱりサンタとトナカイになって配ってくれるようだ。
それだけじゃない。カレッジではノールさんとアルパ君が、衣装は着ないけどお菓子だけは配ってくれた。
となると残るは屋敷内…
赤いガウンを羽織ったユーリはサンタというよりキングのようだ。そしておそろい風の赤いポンチョを羽織った僕とで、ダイニングの椅子に腰かけズラッと並んだ若い使用人に手渡しをしていく。
お菓子は成人未満の使用人にだけ配られたのだが、当主自ら配られるギフトに、普段あまり接する事の無い彼らの歓びは最高潮だ。
「あー疲れた。ユーリもお疲れ様。肩でも揉んであげようか?」
「いいやそれより。私の疲れを癒すのならもっといい方法がある」
「…嫌な予感…」
時間にして一時間半もギフトを渡し続けたユーリを労ってみれば…その目はキラリと妖しく光る。
「な、なにその目…」
「いいや。それよりヴェスト、用意はいいか」
「はいユーリウス様。こちらに」
恭しくトレイに乗せられたそれは…
「ト、トナカイの角!? 」
「ナッツから聞いたのだよ。サンタとトナカイは一対だとね」
「ま、まぁ…」
「そしてサンタはトナカイに乗るものだと」
「 ‼ 」
「アアーン!ユーリのばかぁ~!!!」
きよしこの夜。メリークリスマス!
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