街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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82 16歳 at 不埒な神殿

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明後日から僕は往復八日間の移動も含めおよそ一か月くらいウエストエンドを不在にする予定となっている。
父を伴いついに王都へと出向く日がやってきたのだ。

ホントはワープゲートさえあれば軽く行ったり来たり出来るんだけどね。
そういう訳にはいかないし…、初めての長期出張。半月くらいでいいんじゃない?って主張したりなんかして。でも

「王家からの招待をこちらから繰り上げることなど出来ませぬ」

と、ジェイコブに叱られちゃったんだよね。旅行と食事はあとちょっと!って言うところでキリあげるのが一番良いのにな…

とにかく、この滞在期間にエバとパーカーに刑が言い渡され、…そして父の行く末が決まるはずである。心して向かわねば。



そんな訳で、ニコに約束した絵のモデルとやらを出発前に済ませてしまおうかと僕は考えた。面倒なことはさっさと済ませるに限る。だってイヤじゃない?一仕事終えた後にもう一仕事あるのって。

「ようこそお出で下さいました。レジナルド様。シャリム様。本日の撮影ブースはこちらになります」

「やかましい!!」

うっかりニコに約束していた絵のモデル。それがまさかシャリムとの絡みだなんて…聞いてないよ!まったく腐れ神官め…
だけどまさかシャリムが了承するとは…予想外。

「明るい…眩しい…、目が痛い…」
「あー、ごめんねシャリム君。でも神殿に暗い場所ってほぼ皆無で…。部屋は薄暗くしてあるから少しだけ我慢して」

「へー、シャリムに配慮したの?気が利くね」
「ううん。ムード作り」

「ば…、ばかじゃないの!」

本当にニコってどうしようもないなっ!
もういい!ちゃちゃっと済ませてさっさと帰ろう!その方が早い!


「はい、じゃぁまずはシャリム君、レジー君を闇魔法で包んでくれる?そうそう、そのまま後ろから覆いかぶさって…その感じ。目線は少し外してもらって…いーねー。あっ、目の中からハイライト消してもらっていい?」

「何このポーズ…」
「シャリムルートのスチル紹介で見たの。一目で沼落ちした強力な構図よ。まさか実物で見れるなんて…最高よね。あたし前世でどれほど徳を積んだのかしら」

「…どっちかって言うと神様から医療ミスのお詫びじゃない?」


それにしても何時ぞや僕を拘束しようとした黒いモヤ。あれがシャリムの魔法だったなんて…。なかなかいい塩梅の拘束力。でも!その気になればフルカンストの敵ではない。

ヴォルフいわく、シャリムの闇魔法は幼いころから研ぎ澄まされただけあってそこそこなレベルらしい。
だけどね、所詮上限ありきだ。上限解放した、今でも無限に上がり続けている僕のレベルには何人たりとも勝てはしないのだよ。残念だったねシャリムくん。

「描けた…。完璧…とは言えないけど技量の足りなさは熱意でカバーしたわ」
「どれどれ…、ちょっとー!服は?服はどこにいった?セクハラだよセクハラ!」
「いーじゃないイマジナリーネイキッドくらい。ホントに脱げって言わなかったのはせめてもの良心よ。人の妄想にまでケチ付けないでちょうだい」
「けどさー」
「約束でしょ?男に二言がある訳?」

「ぐっ!」


ダメだ…。女性に口では敵わない…。あれ?だけどシャリムがお屋敷以外で気を許してる姿初めて見るんじゃない?

シャリムは地下と闇夜しか知らないまま大きくなった訳アリで、ましてやゲスマンの屋敷にいた主人と妻がトラウマとなって少しばかり他人を苦手としている。

だからこそウエストエンドへ来た当初、彼は限られた場所、限られた人以外には心を開かず、恩人である僕にベッタリくっついて片時も離れようとはしなかったのだ。
時間とともにウィルやヴォルフ、山中に住む獣人族、と、少しずつ気を許しているようだけど…、それでもやっぱりまだまだ人との関りは難しいのが現状だって言うのに、ニコ…この女何者…⁉

元社畜営業マンだったニコの底力を垣間見た気がする…


「そう言う訳じゃないんだけどね。味方認定されたって言うか…」
「味方認定…」
「それと嫌がる事したり言ったりしないからじゃない?」
「え…?さっきのは…」
「ポーズの事?嫌じゃなかったんでしょ」
「あー、そう」

「基本あたし推しには何も望まないの。あるがままの姿を見て愛でる。それが正しい推しへの接し方でしょ?」

「言ってる意味はわからないけど、シャリムに関しては同感かな。僕も彼にはどうこうして欲しいなんて思わない。自由に過ごしてもらって、…それでその姿が少しでも楽しそうならそれでいい」

「…あたしは病み系好きだけど…、でもやっぱり実在の人物なら幸せになって欲しいわよね」
「ホントそう…」


その後なんだかんだで二枚ほどのスケッチにつきあい、無理な体勢に身体中バキバキになった僕は「もう限界」と叫ぶとシャリムの手を取って帰路についた。

少し日差しが苦手なシャリムは黒いベールを頭からフワッと被っている。直接日差しを見ると目が痛いんだって。
サングラスを作っても良かったんだけど、エキゾチックなシャリムにはこっちの方が似合うと思ったんだよね。ニコからも絶賛をもらったことだしこっちにして正解だったと自負している。

あれ?そう言えば二人で明るい領内を歩くの初めてじゃない?


「シャリム、せっかくだからヴィラにも寄ってみる?見た事無いでしょ?」
「いい…。興味ない…」

「アッパータウンは?」
「興味ない…」

「じゃぁどこ行きたい?」
「屋敷に帰りたい…」

せっかくのお昼間散歩なのに少し残念。でも焦ったってしょうがない。
夜のお散歩から始まってコツコツ根気よく鳴らしてきたからこそ、漸くこうして僕と一緒にならお日様のもと外へ出られるようになったんだから。

安全圏テリトリーを守り、見知らぬ人やモノ、その全てを警戒するシャリム。根深いトラウマによる彼の緊張を解くのは決して易しくない。

だけどひとたび受け入れたら驚くほど緩んだカワイイ姿を見せてくれたりするのだ。僕の手からご飯を食べたり、今もほら、こうして子供のように手を繋いで歩いたり。

彼は臆病な、それでいて気ままな梟、森の賢人、僕のクー。シャリム、安心していいよ。僕はいつでも側に居るからね…



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