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132 断罪は空回り
あれからどれほど頭を悩ませただろうか。それでもこれと言ったアイデアはちっとも浮かばない…
「神託がダメだと言ってます!」で通るだろうか…?そう簡単にはいかない気がする…。納得させるには相当の理由がなければ。少なくとも勝ち筋は幾つか持っておく必要がある。
治療方針だってそうだったじゃないか。先生はいつも、これがダメだったらこうして、あれがダメだったらこうします、って希望を示してくれた。
絶対シェイナを王家になんか出すもんか!それにしても絶対王政ルテティア。にくたらしい制度だ。
王様がなんでも正しいわけでもないのに何が王政だ!…ああ!だから優秀な王妃様が必要なのか。現に王妃様が居なければ今の王様だって〇〇で〇〇じゃないか!…家門ごと消されるから言えないけど…
くっそ!事情が事情だけにシェイナにも相談できないし…、こんなこと隊長やみんなにも相談出来やしない…一歩間違えたら大惨事だ…迷惑はかけられない…
コンコン
悶々とする僕の部屋をノックしたのはルーシー。その腕にはシェイナを抱きかかえている。
「ルーシー、どうしたの?」
「いえそれが…シェイナ様が階段を降りてこちらにこようとなさっていたのでお連れしました」
「シェイナ!さすがにまだ階段は早いよ!落っこちるから止めてね?」
「ノン、ちょれよりたーりにちて」
「ルーシー、カイル、シェイナと二人にしてくれる?」
お兄ちゃんに命令する一歳児。別にいいけど。
「それでシェイナ、どうしたの?」
ますます早いウィジャ盤操作。JK並みだな…
ーお父様から聞いた。陛下のご意向ー
「なっ!」
お・と・う・さ・まー!!!あれほど誰にも言うなって言っといたのに!まさか双子の前で愚痴るとは…ぬかった!
「心配しなくていいシェイナ。きっと僕が何とかするから」
ーでも…そうしたら陛下はきっとコンラッドの離脱もノンの婚約解消も、それに北部の分割統治もお認めにならない。あの方はそういうお方だよー
「これだから戦闘狂のクソじじいはっ!あ、僕がそう言ったのはここだけの秘密ね」
ーいいけど…、ノン、君主制の王なんてそんなものだよー
「で、でも僕は『神託』様だし、陛下もちょっとは」
ー陛下は恐らく王家に神格をもたらすならノンでも良いんだよ。それをしなかったのはアドリアナ様がそうならないよう尽力されたんだと思うー
「そ、そんなのじゃあシェイナは?シェイナなら良いって言うの?」
ーアドリアナ様は王妃であること自体を不幸だとはお思いでない。相手がコンラッドでなければそれなりに仲良くやれるだろう、だけどこれ以上ノンには酷だ、だからシェイナ、つまり僕に、そうお考えなんだよー
「ああ…」
善意の空回り…。小さな親切大きなお世話…とは誰が言ったんだったか…
ーノン。構わない。この話お受けしてー
「何言ってんの!そんなのダメ!絶対ダメ!もう二度とプリチャード家から王族にはやりません!これは今日から家訓だから!お父様もそう言ったし!」
ーノン、そんなこと言わないで。これがきっと一番全てが丸く収まる方法だよー
「ダメだって!」
ートレヴァー殿下からはコンラッドのような僕を否定するような感情は感じられない。きっと仲良くやれる。だから大丈夫ー
「シェイナ…、け、けどシェイナはジェロームを…」
ー僕は幼子だもの…。ジェロームは伯爵への陞爵が決まった青年貴公子。エンブリーには後継者が必要になる。少なくともお父様はそのおつもりだよ。次の夜会には年頃の子女を大勢招待するみたいー
はっ!あの積み上がった書類!招待客のリストって言った。つまり…令嬢方の釣り書き…!
ああっ!余計な真似を!
「で、でもエンブリーはなんにもない田舎の貧乏な…、貧乏な…」
ーブラトワを合併した今はもう貧しくない。ノンの作った館船で行き来も楽になった。砂金の件が周知されれば誰もが射止めようと躍起になるー
「そ、そんなのダメ…」ウルウル…「ジェロームは僕とシェイナの…僕とシェイナの…初恋…」
ーノン泣かないで。仕方ないよ、これが貴族家に産まれた宿命だもの。でもありがとう。いつも僕のこと考えてくれてー
「う、うぅ…けど僕はそんな宿命受け入れない!僕もシェイナもせっかく手に入れたセカンドチャンスなのに…バグに食い散らかされるなんて…認めない!シェイナ!僕はワクチンだよ!そのためにここへきたリカバリーディスクなんだ!待ってて!何とかする!」
「ノン!まっちぇ!」
「行って来る!!!」
きっとこの問題は適当なゴマカシなんかじゃ何ともならなくて…僕がいくら考えたってどうにもならない。けど…
一人だけ居る。僕より頭が良くて、王様とも話せる立場で、王族が好きじゃなくて、それで…絶対僕の味方になってくれそうな人が一人。
アレイスターからの手紙には春に帰ると書いてあった。僕のパーティー前には戻るって。春休みはもう終わり。ならきっともう戻ってるはず。アレイスターなら、なんでだか知らないけど誰よりも早くシェイナを神子だって見抜いた僕より頭の良いアレイスターならきっと何とかしてくれる!
今すぐアレイスターのところに!
「神託がダメだと言ってます!」で通るだろうか…?そう簡単にはいかない気がする…。納得させるには相当の理由がなければ。少なくとも勝ち筋は幾つか持っておく必要がある。
治療方針だってそうだったじゃないか。先生はいつも、これがダメだったらこうして、あれがダメだったらこうします、って希望を示してくれた。
絶対シェイナを王家になんか出すもんか!それにしても絶対王政ルテティア。にくたらしい制度だ。
王様がなんでも正しいわけでもないのに何が王政だ!…ああ!だから優秀な王妃様が必要なのか。現に王妃様が居なければ今の王様だって〇〇で〇〇じゃないか!…家門ごと消されるから言えないけど…
くっそ!事情が事情だけにシェイナにも相談できないし…、こんなこと隊長やみんなにも相談出来やしない…一歩間違えたら大惨事だ…迷惑はかけられない…
コンコン
悶々とする僕の部屋をノックしたのはルーシー。その腕にはシェイナを抱きかかえている。
「ルーシー、どうしたの?」
「いえそれが…シェイナ様が階段を降りてこちらにこようとなさっていたのでお連れしました」
「シェイナ!さすがにまだ階段は早いよ!落っこちるから止めてね?」
「ノン、ちょれよりたーりにちて」
「ルーシー、カイル、シェイナと二人にしてくれる?」
お兄ちゃんに命令する一歳児。別にいいけど。
「それでシェイナ、どうしたの?」
ますます早いウィジャ盤操作。JK並みだな…
ーお父様から聞いた。陛下のご意向ー
「なっ!」
お・と・う・さ・まー!!!あれほど誰にも言うなって言っといたのに!まさか双子の前で愚痴るとは…ぬかった!
「心配しなくていいシェイナ。きっと僕が何とかするから」
ーでも…そうしたら陛下はきっとコンラッドの離脱もノンの婚約解消も、それに北部の分割統治もお認めにならない。あの方はそういうお方だよー
「これだから戦闘狂のクソじじいはっ!あ、僕がそう言ったのはここだけの秘密ね」
ーいいけど…、ノン、君主制の王なんてそんなものだよー
「で、でも僕は『神託』様だし、陛下もちょっとは」
ー陛下は恐らく王家に神格をもたらすならノンでも良いんだよ。それをしなかったのはアドリアナ様がそうならないよう尽力されたんだと思うー
「そ、そんなのじゃあシェイナは?シェイナなら良いって言うの?」
ーアドリアナ様は王妃であること自体を不幸だとはお思いでない。相手がコンラッドでなければそれなりに仲良くやれるだろう、だけどこれ以上ノンには酷だ、だからシェイナ、つまり僕に、そうお考えなんだよー
「ああ…」
善意の空回り…。小さな親切大きなお世話…とは誰が言ったんだったか…
ーノン。構わない。この話お受けしてー
「何言ってんの!そんなのダメ!絶対ダメ!もう二度とプリチャード家から王族にはやりません!これは今日から家訓だから!お父様もそう言ったし!」
ーノン、そんなこと言わないで。これがきっと一番全てが丸く収まる方法だよー
「ダメだって!」
ートレヴァー殿下からはコンラッドのような僕を否定するような感情は感じられない。きっと仲良くやれる。だから大丈夫ー
「シェイナ…、け、けどシェイナはジェロームを…」
ー僕は幼子だもの…。ジェロームは伯爵への陞爵が決まった青年貴公子。エンブリーには後継者が必要になる。少なくともお父様はそのおつもりだよ。次の夜会には年頃の子女を大勢招待するみたいー
はっ!あの積み上がった書類!招待客のリストって言った。つまり…令嬢方の釣り書き…!
ああっ!余計な真似を!
「で、でもエンブリーはなんにもない田舎の貧乏な…、貧乏な…」
ーブラトワを合併した今はもう貧しくない。ノンの作った館船で行き来も楽になった。砂金の件が周知されれば誰もが射止めようと躍起になるー
「そ、そんなのダメ…」ウルウル…「ジェロームは僕とシェイナの…僕とシェイナの…初恋…」
ーノン泣かないで。仕方ないよ、これが貴族家に産まれた宿命だもの。でもありがとう。いつも僕のこと考えてくれてー
「う、うぅ…けど僕はそんな宿命受け入れない!僕もシェイナもせっかく手に入れたセカンドチャンスなのに…バグに食い散らかされるなんて…認めない!シェイナ!僕はワクチンだよ!そのためにここへきたリカバリーディスクなんだ!待ってて!何とかする!」
「ノン!まっちぇ!」
「行って来る!!!」
きっとこの問題は適当なゴマカシなんかじゃ何ともならなくて…僕がいくら考えたってどうにもならない。けど…
一人だけ居る。僕より頭が良くて、王様とも話せる立場で、王族が好きじゃなくて、それで…絶対僕の味方になってくれそうな人が一人。
アレイスターからの手紙には春に帰ると書いてあった。僕のパーティー前には戻るって。春休みはもう終わり。ならきっともう戻ってるはず。アレイスターなら、なんでだか知らないけど誰よりも早くシェイナを神子だって見抜いた僕より頭の良いアレイスターならきっと何とかしてくれる!
今すぐアレイスターのところに!
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