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決断の時編
ジレンマ グラナダ視点
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王都での出来事、神殿で倒れてからのアデルはどこか無理をしているように見えた。
いつもと変わらず明るくふるまってはいるが、ふとした瞬間遠くにいる気がするのだ。
夜の街へも出かけた。昼間とはまた違う喧騒に目を回す姿が愛らしかった。。
トマスの提案で馬を走らせた時は、久しぶりに絶叫するほど興奮しておった。
出来上がりつつあるアデルの街も、次から次へとやりたいことが浮かぶようで喜んではいるのだが…
私は不安を口にすることも出来ぬほど頼りの無い夫なのだろうか…
アデルとの出会いを考えれば仕方のない事だと思わぬでもない。
今これほど、皆から円満夫夫と言われていても、私がアデルにした仕打ちが無くなったわけではないのだからな。
かといって、アデルの愛を疑ったことなど一度もないが…
信用に足らぬと言う事なのか…
ううむ、私のアデルはかくもか弱き姿に見えて、その実驚くほど心根が強い。恐らくはこのバーガンディでも類をみない程。
さすがは、凡庸に見えてのらりくらりと宮廷からの無理難題を最小限でかわし続けた、あのカマーフィールド卿の息子と言わねばならぬな。今も胃が痛いと言いながら、ひょうひょうと執務をこなし続けているではないか。
そうだとも、ワイアット王妃を見ても分かる事だ。
しかし私は頼られたいのだ。アデルの心に一片の陰りもあってはならない。それは私にとって、いつでも最も重要な任務なのだ。
今夜もこうして腕の中でアデルのぬくもりを楽しむ。だが今日こそは。
「アデル…、繰り返すが、あの日神殿でお前が見たものは何だ。お前が魔力枯渇を起こすほど見入った未来とはなんだったのだ」
「あー、うん。もう良いってば。大したものは見てないって。倒れたのは夢中になりすぎちゃったからで深刻な未来なんて無かった。だから大丈夫」
「…アデル…、やはり私ではだめなのだな…」
「えっ!」
「私は長い間自分以外の人間を心から締め出してきた。今でさえ、人の心の機微には疎いという自覚がある。お前が私を頼れぬのも無理からぬことだ…」
「そっ、そんなこと思ったことも無いよっ!」
「事実お前は何も言わぬではないか!形のあるものなら私に言うが、心の中をお前は見せぬ!」
「そんなふうに感じてたの?……ごめんなさいグラナダ様。そんなつもりじゃなかったんだよ…」
思わず怒鳴ってしまったというのにアデルは私の腕から逃げようとはせず、むしろぎゅうぎゅうと抱きついてくる。
こういうところにいつも救われるのだ。
「あのね…昔お世話になった人で…どうしても会いたい人が居て…」「うむ」
「でも、もう会えない人で…」「遠方へでも行ったのか?」
「ううん、この世界にはいないんだ…」「亡くなられたと言う事か」
「……鏡にね…会える方法聞いたんだけど…」「ないであろう、そのような」
「うん…今の僕の全部と引き換えじゃないと無理なんだって」「死後会えるなどと…気休めではないか」
「身も蓋もないね。でも死後じゃないんだよ。あの場所に戻してくれるって、」「ダメだっ!」
「お前は何を言っているのだ!私とアベニアを置いて何処へ行こうと言うのか!あの場所に戻るだと?それがどういう意味か解っているのか!」
「ちょ、興奮しないで、分かってるよ。行かないよ?何処にも。だからもう良いんだってば。」
「だがまだ何か考えておるではないか!」
「う~ん、僕の全部は使わないで…ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ様子を見に行く方法ないかなって…。」
「そうまでして会いたい相手なのか⁉」
「…あのね、その人たちが居なかったら今僕はここに居ない」
「なにがあったかわからぬが…命の恩人と言う事か…」
いつもと変わらず明るくふるまってはいるが、ふとした瞬間遠くにいる気がするのだ。
夜の街へも出かけた。昼間とはまた違う喧騒に目を回す姿が愛らしかった。。
トマスの提案で馬を走らせた時は、久しぶりに絶叫するほど興奮しておった。
出来上がりつつあるアデルの街も、次から次へとやりたいことが浮かぶようで喜んではいるのだが…
私は不安を口にすることも出来ぬほど頼りの無い夫なのだろうか…
アデルとの出会いを考えれば仕方のない事だと思わぬでもない。
今これほど、皆から円満夫夫と言われていても、私がアデルにした仕打ちが無くなったわけではないのだからな。
かといって、アデルの愛を疑ったことなど一度もないが…
信用に足らぬと言う事なのか…
ううむ、私のアデルはかくもか弱き姿に見えて、その実驚くほど心根が強い。恐らくはこのバーガンディでも類をみない程。
さすがは、凡庸に見えてのらりくらりと宮廷からの無理難題を最小限でかわし続けた、あのカマーフィールド卿の息子と言わねばならぬな。今も胃が痛いと言いながら、ひょうひょうと執務をこなし続けているではないか。
そうだとも、ワイアット王妃を見ても分かる事だ。
しかし私は頼られたいのだ。アデルの心に一片の陰りもあってはならない。それは私にとって、いつでも最も重要な任務なのだ。
今夜もこうして腕の中でアデルのぬくもりを楽しむ。だが今日こそは。
「アデル…、繰り返すが、あの日神殿でお前が見たものは何だ。お前が魔力枯渇を起こすほど見入った未来とはなんだったのだ」
「あー、うん。もう良いってば。大したものは見てないって。倒れたのは夢中になりすぎちゃったからで深刻な未来なんて無かった。だから大丈夫」
「…アデル…、やはり私ではだめなのだな…」
「えっ!」
「私は長い間自分以外の人間を心から締め出してきた。今でさえ、人の心の機微には疎いという自覚がある。お前が私を頼れぬのも無理からぬことだ…」
「そっ、そんなこと思ったことも無いよっ!」
「事実お前は何も言わぬではないか!形のあるものなら私に言うが、心の中をお前は見せぬ!」
「そんなふうに感じてたの?……ごめんなさいグラナダ様。そんなつもりじゃなかったんだよ…」
思わず怒鳴ってしまったというのにアデルは私の腕から逃げようとはせず、むしろぎゅうぎゅうと抱きついてくる。
こういうところにいつも救われるのだ。
「あのね…昔お世話になった人で…どうしても会いたい人が居て…」「うむ」
「でも、もう会えない人で…」「遠方へでも行ったのか?」
「ううん、この世界にはいないんだ…」「亡くなられたと言う事か」
「……鏡にね…会える方法聞いたんだけど…」「ないであろう、そのような」
「うん…今の僕の全部と引き換えじゃないと無理なんだって」「死後会えるなどと…気休めではないか」
「身も蓋もないね。でも死後じゃないんだよ。あの場所に戻してくれるって、」「ダメだっ!」
「お前は何を言っているのだ!私とアベニアを置いて何処へ行こうと言うのか!あの場所に戻るだと?それがどういう意味か解っているのか!」
「ちょ、興奮しないで、分かってるよ。行かないよ?何処にも。だからもう良いんだってば。」
「だがまだ何か考えておるではないか!」
「う~ん、僕の全部は使わないで…ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ様子を見に行く方法ないかなって…。」
「そうまでして会いたい相手なのか⁉」
「…あのね、その人たちが居なかったら今僕はここに居ない」
「なにがあったかわからぬが…命の恩人と言う事か…」
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