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8羽 赤百合と旅蜥蜴と盗賊団
②銀色狼VSドールズ
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ライキは執事のロバートと時折交代をしながら馬車を進めた。
街道はフォレストサイドを発って2時間もすれば石畳ではなくなりただの踏み固められた地面になっていたが、それでも森の中に比べて視界が開けているためか魔獣は殆ど出て来ることもなかった。
たまにうっかり出てくる者がいても、雑魚中の雑魚魔獣、もしくは野生動物ばかりだったので、ライキはロングソードだけをアイテムボックスから取り出し、魔獣は一撃で倒し、野生動物は必要のない殺生を避けて追い払った。
「流石本職の狩人さん!
お見事です!」
とロバート。
「いえ・・・。」
(ただの雑魚退治なのにこんなにも褒められるとこそばゆいな・・・。
とはいえ雑魚でも一般人には脅威に違いないか・・・。
見たところ俺ら雇われ冒険者4人以外で戦闘が出来る人はいなさそうだ。
行き道でも多少魔獣は出ただろうに、どうやってエングリアまで無事に辿り着いたんだろう・・・?)
ライキがふと浮かんだ疑問を口にすると、ロバートはこう答えた。
「あぁ、それはですね。
行きの時はまだ盗賊団が出没するような話も御座いませんでしたし、旦那様の私兵からお嬢様のお眼鏡に適ったルックスの者を2名護衛に付けて頂いたのですよ。
まぁその者達もエングリアでお嬢様により解雇されましたが・・・。」
「えっ?その理由ってもしかして・・・」
「・・・はい。
お察しの通り、道中ドールズと深い仲となり、お嬢様の逆鱗に触れましたので。」
(またしてもドールズか・・・。
他の男でも金獅子と同じような事が起こるのなら、奴がオレンジ・スパで言ったこと・・・あの時は酔っ払いの戯れ言だと思ったが、マジバナなのかもしれない・・・。)
「・・・あの・・・ドールズって一体どういう人達なんですか?
見たところメイドの仕事もリーネとモニカさんに押し付けてますよね?」
「はい・・・。
あの5人は元々旦那様が出席されたある貴族会でコンパニオンをしていたのですが、その時旦那様は近々迫るお嬢様の誕生日に可愛い専属メイドが欲しいとせがまれておりました。
そのため旦那様のほうから彼女達に直接お声掛けをされ、お嬢様の専属メイドとして雇用し、ドールズと名前をつけ10歳の誕生日プレゼントとしてお与えになられたのです。
彼女達のリーダーであるセディスだけは一応何処かのお屋敷で奉公した経験があるようで多少メイドの心得があるようですが、他の者は全くの素人ですし、セディスも余程でなければメイドの仕事をしたがらないので、我々にとってあの5人は役立たずのお飾りでしかありません。
ただお嬢様にとってはお父君様からの大切な贈り物である彼女達はとても信頼の置ける存在であり、姉のようなものなのでしょうね。
とても懐かれておいでで、彼女達が仕事をしないことや、男性とのトラブルを起こしたことで我々から苦情を申し上げてもいつも庇われてしまうのです。」
「そうですか・・・。
あの、彼女達の瞳の色がいつもと違って見えたりすることは今までにありませんでしたか?」
ライキは眉を寄せながら尋ねた。
「瞳の色、ですか?
いえ・・・特に気が付きませんでしたが・・・それが何か?」
「いえ、それならいいんです。」
ライキはロバートに笑顔で返すと思考した。
(彼女達がダルダンテ神の使いかどうかは今まで得た情報からは判断が出来ないな・・・。
でもいくらメイド達の見た目が好みであり父親からのプレゼントあっても、自分の世話もしない、同僚からも嫌われている、数々の男性トラブルを起こす彼女達をそこまで令嬢が慕い庇うだろうか?
その辺りの関係性にダルダンテ神絡みの何かがあるような気がしてならない・・・。
何れにせよドールズ・・・警戒すべき相手には違いないな・・・。)
初日は天候にも恵まれており盗賊団の影もちらつかなかったため、こまめに小休憩を挟みつつもボラントまでの距離を稼ぐことが出来た。
陽が西に傾き空がオレンジ色に染まる頃、一行は大きめのガゼボがある地点を利用して野営をすることとなった。
リーネは今日一日リリアナの隣で色々と雑談を交わし打ち解けたらしく、馬車を降りる時には”リリ様”呼びになっていた。
リリアナもリーネのことを気に入ったのかリーネと呼び捨てにしており、モニカも交えてキャッキャッと何やらスイーツの話に花を咲かせていた。
ライキがその様子を微笑ましく眺めていると、少し遅れて金獅子達の乗っている荷馬車も到着した。
金獅子を除く荷馬車の乗組員は馬車から降りると速やかに各自の仕事に取り掛かった。
馭者のノックスはリリアナ号(※リリアナ達が乗っている馬車のことをライキが勝手にそう命名した)と荷馬車の馬に飼い葉を与え、料理担当のメアリは、
「さぁて、夕食の支度をするだよ!」
と腕まくりをして調理台を設置し始めた。
リーネとモニカがメアリの調理を手伝おうとしたが、
「私お風呂に入りたい。
二人は私の入浴を手伝って。」
とリリアナが言ったので、メアリは汗を飛ばして二人の手伝いを遠慮した。
「おらのことなら気にしなくていいだよ!
いつも一人でどうにか夕食の支度をしてるだし・・・。
お二人はお嬢様のご希望通りにお風呂のお世話をしてあげてくだせえ!」
それを見ていたロバートが、やはりこの人数の夕食の支度をメアリ一人でするのは大変だろうと思ったのか、まだリリアナ号の後ろの席から降りて来ないドールズ達に夕食の支度を手伝うようにと声をかけた。
しかし、
「夕食の支度?
そんなのメアリに任せたらいいでしょう。」
とセディスが言い、
「そ~よぉ。
そんなことしてたら~折角のネイルが剥げちゃうし~♡」
とナンシーが言い、
「今ペディキュア塗ってるの。
暫く動けないからご飯が出来たら呼んで・・・」
とトリーが言い・・・と、毎度のことのようだがまるでやる気がなかったので諦め、大きなため息をつきながらすぐに馬車から出てきた。
だがロバートにもやることは沢山あるようで、まずはそれを済まそうとテキパキと夕食のための椅子や机を用意し始めた。
ライキは特に用事がなければ自分達のテントを張るつもりだったが、その前に少しだけメアリを手伝おうと声をかけようとした。
だが、
「貴方はお風呂の準備をして頂戴。
女の人だと私のバスタブは大きくて運べないから、まずはそれを荷馬車から持って来て。」
とリリアナに命じられてしまった。
(すみませんメアリさん。
夕食の支度は手伝えそうもないです・・・。)
とライキが心の中でメアリに頭を下げていると、さっきまで夕焼け空を撮影していたフレッドがメアリが一番忙しそうなことに気がついて手伝いを申し出た。
「一人でこの人数の食事の支度をするのは大変だよね?
僕で良ければ手伝うよ?」
「ええっ!?
憧れの写真家のフレッドさんにお料理を手伝って貰うだなんて恐れ多いだよ!」
「いや僕、料理は割と好きだし気にしなくていいよ。
その代わりと言っちゃなんだけど、僕もご相伴に預かれると嬉しいな。
僕はリリアナ嬢に雇われてるわけじゃないから、本来なら僕の食べるものは自分で用意するべきなんだろうけど、一人だけ違うものを食べるのはやっぱり寂しいし、単純に君の作る料理が食べてみたくてさ。
なんだかとても温かい味がしそうだから。
あ、手伝うだけでは足りないならお代を支払うよ?」
「えっ、ええっ・・・!?
お代だなんてそんな、いただけません・・・!
おらはフレッドさんが手伝ってくださらずともこっそりとお夕食をお出しするつもりでしただよ。
でも手伝ってくださったならお嬢様に言い訳も立ちますんで堂々とフレッドさんにお夕食をお出しできるし、おらも正直助かるだよ!
だけんどおらの料理が食べたいだなんて照れくさいだな・・・。
そ、そんじゃあ・・・そこの野菜の皮を向いてもらえるだか?」
真っ赤になりながらメアリはフレッドに指示を出していた。
ライキはそのやり取りを見て、
(あの二人何だかお似合いだな・・・。)
と思って柔らかく微笑んでから、令嬢のバスタブを取りに荷馬車へと向かった。
すると金獅子ことレオンがリリアナ号と荷馬車の間でキョロキョロしており、そこを通りかかったライキに尋ねてきた。
「銀色狼、モニカは?」
「・・・モニカさんならリーネと一緒にリリアナ様の入浴を手伝うためにガゼボの奥に行ったよ。」
「そうか・・・。
荷馬車組の奴らはさっさと自分の仕事に行ってしまったし、執事も忙しいのかこっちに指示を出しに来ないから僕のすることがわからない。
だからモニカの仕事でも手伝おうかと思ったんだが、お嬢様の入浴か・・・。
それは流石に手伝えないな・・・。」
と彼は苦笑いをした。
ライキはこの任務を通して少しでもレオンに歩み寄ってみるとザインと話したことを思い出し、いつもならここで、
「そうか。
じゃあ俺は仕事があるから。」
と言って去るところなのだが、もう少しだけ彼との会話を繋いでみることにした。
「・・・それならテントでも張ったらどうだ?」
「テントだと・・・?」
「あぁ。
リリアナ号と荷馬車に俺達冒険者が寝れる場所は無いだろうから、後で張ろうと思ってたんだ。
あんたが俺らのぶんも張ってくれたら助かるけどな。」
と、ライキは少し下手に出てみた。
「・・・張り方がわからない。」
レオンはぶっきらぼうに答えた。
「冒険者を生業にしているのにか?
今までの野営はどうしてた?」
「・・・モニカが全てやっていた。」
それを聞いてライキは呆れたようにため息をついた。
「・・・はぁ・・・
ホントにあんたはモニカさんに甘えてばかりのお坊ちゃんなんだな。」
「・・・僕に喧嘩を売っているのか?
良いぞ、買ってやる。
今なら止める者も居ないしな・・・。」
レオンはそう言って不敵に微笑むと腰の白の剣の柄に手をかけた。
「・・・俺には与えられた仕事があるからあんたと喧嘩なんかしてる暇はないな。
・・・仕方がない。
風呂の支度が終わったらテントの張り方を教えてやるから、こいつを持ってあっちで待ってろ。
あんたらのぶんも貸してやるから。」
ライキはバスタブを一旦置いてアイテムボックスからテント一式の入った袋を2つ取り出すと、レオンにそれを渡した。
「・・・は?
お前が僕に教える・・・だと?
敵同士なのにか・・?」
レオンにはライキのセリフが意外だったのか、怪訝な顔をしてそう呟いた。
「今は仲間だろう?」
ライキはそれだけ言うと、もう一度バスタブを持ちガゼボのほうへ去って行った。
ライキはリリアナに言われた場所にバスタブを設置した。
そして外部から入浴しているところや着替えが見えないようにするためバスタブと一緒に運んできた簡易的な天幕を広げて張り、魔石仕掛けの照明器具を下げてやった。
バスタブには水と火の魔石が付いており、ライキがそれらに軽く触れると入浴するのに丁度良い温度のお湯がバスタブに注がれていった。
その中にリリアナ嬢がオレンジ・スパで買ったという”湯の花”という温泉成分が固形化したものを入れて混ぜてやる。
「これで支度は整ったわね。
貴方はもういいから行って頂戴。」
リリアナはそう言うとモニカと一緒に着替えのために天幕へと消えて行った。
「ライキ、また後でね!」
リーネもそう言って手を振ると、すぐに二人を追いかけ天幕の中に消えて行った。
(今日は昼間リーネと殆ど会話を交わすこともなかったからリーネ不足だな・・・。
夜になればリリアナ嬢はリリアナ号で寝て、リーネも世話係から開放されるはず。
テントで二人きりになったら存分にいちゃつこう・・・。
さて、金獅子の野郎にテントの張り方を教えに行くか。
全く・・・テントも張れないだなんて・・・。
あの様子だと風呂の支度も料理の手伝いもしたことがないんだろうな。
だがテントの張り方を教えると言ったとき、奴が拒まなかったのは予想外だった。
教わる気があるのなら今後少しでもモニカさんが楽になるよう今回の任務で奴にいろいろ仕込んでみよう・・・。)
ライキがそんなことを思いながらレオンのいる場所へ向かっていると、途中で馬の世話が済んだノックスが従業員用と思われるバスタブを運んでいるところに出くわした。
従業員用のはリリアナ専用のものよりも更に大きくて、一人で運ぶのは大変そうだったのでライキはそれを運ぶのを手伝った。
(リリアナ嬢の要件が早く済んだしノックスさんを少し手伝ってから行っても金獅子も文句は言わないだろう。
さて、今度こそ金獅子のところへ・・・)
ライキがそう思いながらリリアナ号の側を通りかかると、日が沈んですっかり暗くなった中で少し距離もあったため分かりづらかったが、リーネらしき人物がドールズのトリー、ナンシー、ニアに連れられて馬車の後席に入って行く後ろ姿が見えた。
(リーネ?
今はリリアナ嬢の入浴を手伝っている筈だが・・・。
俺がノックスさんを手伝っている間にリリアナ嬢の忘れ物を取りに戻って、そこをドールズの3人に捕まったか?
だが何かが引っかかる・・・。
ドールズの中にリーネと似た髪色の女がいたから、そいつを使った罠かもしれない・・・。
だがもしも本当にリーネだったら・・・?)
ライキは真相を確かめようと馬車の近くに寄り聞き耳を立てた。
馬車が防音性に長けたしっかりした作りのため、耳の良いライキにも中の音を鮮明に聴き取ることは出来なかったが、中から何やら争うような声がした後、ドカッ!ドシッ!といった暴力行為が行われているかのような物音がし、極めつけに、
「助けて・・・ライキ・・・!」
という声が聴き取れたため、ライキは慌てて馬車の扉側に回り込むとその扉を開け放った!
すると馬車の中にはトリー、ナンシー、ニアの3人に囲まれた、リーネと同じように髪を団子に纏めたハンナがおり、ライキを見ると「テヘッ☆」と舌を出して笑った。
(チッ・・・罠か・・・!!)
舌打ちをして直ぐに馬車から逃れようとするライキだったが、背後からすかさずセディスが入ってきて扉を閉め、手早く鍵をかけるとその鍵を自らのスカートを捲り、妖艶に微笑みながら黒のレースのショーツの中へとそっと入れた。
(閉じ込められてしまった・・・!
鍵を奪おうにもセディスの下着の中にあるなら容易ではないぞ・・・。
デイブレイク戦のときのように移動の力で短距離の瞬間移動をすることは出来るが、射精して発動しないと壁をすり抜けることは出来ない・・・。
ここは何とかこのメイド達をやり過ごし、ここから抜け出すための機会を伺うしないか・・・。
さて・・・どう出る?
ドールズ・・・。)
ライキは何としてもドールズの思い通りにならずにこの危機を回避しようと強い反抗心を持っていたが、表にはそれを出さずに戸惑っているかのように眉を寄せると言った。
「あの・・・俺を閉じ込めてたりして、皆さん一体どういうつもりですか?」
「ごめんね~♡
だって銀色狼くん、ずっ~と私たちを避けてたでしょ~?
私たち~と~っても君とお話がしたかったのに~・・・。
ず~っと馭者席でおじいちゃんとばかり話してて寂しかった~・・・。
だからちょ~っと強引だけど~、閉じ込めさせて貰ったの~♡」
とナンシーが胸元のブラウスのボタンを外しながら言うので、ライキはさり気なく目を逸らした。
「でもさ、お嬢様の醜悪嫌いに感謝しなきゃな!
お蔭様でいい男とばかり遊べるんだもん!
まぁ僕は厳ついブ男に抱かれるのも嫌いじゃないけどな!
メイドなんて僕のガラじゃないけど、我慢してお嬢様のお人形やってて良かったよ!」
目を逸らした先にいたニアがニッと歯を見せて笑うと、ブラウスのボタンを外すこともせずにリーネよりも控えめな日に焼けて小麦色をした胸を一気に開放した。
ライキはギョッとしてまた別の方向へ目を逸らしながら冷ややかに言った。
「・・・やっぱりあんたたちが今まで同行した若い男を誘って食ってたんだな・・・。」
「うふふ・・・そうだけど・・・?
まぁ金獅子さんは役立たずだったから食べそこねちゃったけど・・・貴方はそんなことないよね・・・?
大人しく従えば空駒鳥さんとお嬢様には内緒にしといてあげるから・・・私達とたっぷりイイコトしましょ・・・?」
と今度はその視線の先にトリーが現れ、既に白い胸を開けさせた状態でライキの胸元に手を滑らせた。
これ以上どこを向いても艶かしい姿のドールズが視界に入るため、ライキは不快感を露わに眉間に皺を寄せて上を向き、その手をそっと払い除けた。
だがまた直ぐに艶めかしく白い手が這ってきてはライキの胸元のボタンを外していく。
「やめろ。
俺はリーネとしかそういうことはしない。」
今度はキツくトリーを睨みつけて強めにその手を払った。
トリーは残念そうに唇を尖らせた。
「うふふ☆
銀色狼くんったら真面目なんだぁ☆
でもでもぉ、つがいって誓約とかで最後まで出来ないんでしょ?
そんなのってつらくない?
いいじゃ~ん☆
つがいなんかやめちゃってぇ、私達と遊んじゃおうよぉ~☆
私、ナンシーには負けちゃうけどぉ、空駒鳥ちゃんよりもおっぱいおっきいしぃ、沢山良い思いさせてあげるよぉ?」
今度はショーツとガーターベルトとストッキングだけを残したあられもない姿のハンナがそう言うと、ライキの両頬に手を添えグイッと自分の方を向かせつつウインクをした。
ハンナの艶かしい姿が否応なしに視界に入るが、ライキはそれに動じることなくキッ!と眉を釣り上げ低い声で言った。
「リーネとあんたらを同列に並べるな。
おこがましいんだよこの売女共が。」
そして頬に添えられたハンナの手を強く掴み、自分の顔から外させた。
ライキはそれらの様子を黙って見ていたセディスの方を向くと言った。
「鍵を寄越せ。」
「あら・・・そんなに怖い顔して怒らないで?
銀色狼さん。
この子達ったらお嬢様があの通り潔癖なものだから彼氏も作れないんです。
だから素敵な殿方を見るとつい強引な手に出てしまって・・・。
もうこんなことはさせないので、許してあげてくださいません?
さぁさぁ貴方達、服を着て。」
他の4人のメイド達は「はぁい・・・」と返事をしながら渋々着衣を直し始めた。
ライキはまだドールズを強く警戒したままだったが、セディスが表向きは争う気はないと示しているのに対して自分だけが強い態度に出て拒絶してしまえば、もしこのことをリリアナに知られたときに自分が不利になると判断し、態度を軟化させてから言った。
「鍵を貸してください。
俺はもう行きます。」
セディスは穏やかに微笑むと、棚からワインボトルを取り出して言った。
「えぇ、わかりました。
でもその前に一杯だけ付き合ってくれませんか?
凄く美味しいワインを手に入れたんです。
私達・・・貴方と仲良くなりたいのは本当なんです。
だからまずは美味しいお酒を一緒に飲んで仲直りをしましょう。」
ライキにはその酒に何かが盛られるであろうことはわかりきっていたので、まずはやんわりと断ってみた。
「いや、俺未成年なのでお酒は・・・」
「フォレストサイドでは軽めのワインなら未成年の方でも嗜むのでしょう?
滞在していたホテルのベルボーイさんから伺いましたよ?
一杯だけでいいんです。
さぁ・・・。」
そう言ってセディスはグラスにワインを注ぎ、ライキに差し出した。
ライキは(来たな・・・)と思うが、あまり拒み過ぎるとリーネの秘薬を使う間もなく何らかの手段を使って強引に飲まされかねないと思ったので、
「一杯だけですよ・・・。
それが終わったらここから出して下さいね。」
と言って素直にそのグラスを受け取った。
そしてセディスが他のグラスにワインを注いでいる間に、リーネから貰った小瓶の中身を1滴グラスに落とした。
「乾杯!」
6つのグラスがぶつかり合った後、ライキはグラスを口にした。
リーネの秘薬のお陰でアルコールは分解されたのか、彼が普段飲酒したときに見舞われる頭がクラクラする感覚や、急激な眠気に襲われることはなかった。
だがグラスの半分程を口にした頃、次第に股間が勃起し始め、更には全身がだるく身体に力が入らなくなり、遂には立っていられなくなってライキは床に崩れ落ちてしまった。
(リーネの秘薬を使ったのに、まだ精力増強薬と体から力を奪う類の薬が分解されていない・・・!?
このワイン、間違いない・・・ダルダンテ神の力が働いてる・・・!!
だがどういうことだ?
この中の誰一人として目が赤く光っていない・・・。
師匠の千里眼を隠す眼鏡みたいな特殊な眼鏡やコンタクトレンズをつけているのか・・・?
いや、いくらそういった道具で隠していても、ダルダンテ神の支配を受けているときにはシルバーファングウルフやデイブレイク、それに金獅子の下げている黒い剣のように、近くにいるだけで何かゾッとする気配のようなものを感じ取れる筈だ。
もしかしたら奴の支配を受けずに自らの意志でダルダンテ神の望む行動を取っているのか・・・?
何のために・・・?
それよりもこの状況はまずいぞ・・・!
股間だけは酷く勃起しているのに、指一本動かすどころか声を出すことも出来ない・・・。
足は少し動かせるようだが・・・)
ライキは酷く焦って全身に汗を滲ませた。
そうこうしているうちにハンナが折角着たメイド服をまた脱いで、ライキのスラックスに締められた革ベルトをカチャカチャと外し、ジッパーを引き下ろすとフル勃起した股間のものを開放して目に♥を浮かべて言った。
「きゃーん♥
みてみてぇ☆
銀色狼くんのすっごくおっきくて生きが良いよぉ★」
「あ~んほんと~♡
こんないい男を独り占めだなんて~、空駒鳥ちゃんずる~い♥」
ナンシーもブラウスから再び豊満な乳を取り出すと、その谷間に躊躇なくライキのイチモツを挟みこみ、ペロッと赤い舌を出して自らの唇の端を舐めてから言った。
「もしかしなくても銀色狼くんパイズリって初体験~?
そうよね~♥
空駒鳥ちゃんのじゃ挟めないだろうし~♡」
(お生憎様だな・・・
エングリアにユデイ達の付き添いで行ったとき、リーネが無理に寄せて挟んでくれたから初じゃないんだよ・・・
まぁ無理に肉を寄せたから硬かったし、肋に当たって少し痛かったけど、必死に俺を感じさせようとしてくれてすげー可愛かったんだよ・・・
だからお前の胸になんか微塵も感じてたまるか!)
ライキはギリッと歯を噛みしめナンシーを強く睨んだ。
ナンシーがその視線を受けてビクッと怯んだ隙に、ニアがドカッとナンシーを足で蹴ってライキの上から退けさせた。
「ちょっとナンシー!
何勝手に挟んでんのさ!
銀色狼くんはナンシーみたいな乳おばけよりも、僕みたいに控えめなほうが好きなんだよ!
じゃないと空駒鳥ちゃんとつがいになんてならないよな?
ほら・・・小さい胸でこうされるとたまらないだろ?」
今度はニアがライキの上に跨ると小麦色の控えめな胸を自信たっぷりに露出させて、硬くなった乳首でライキの鈴口を虐めてみせた。
(ふざけるな。
リーネとお前とじゃ肌の色も胸の形も大きさも感触も全てが違いすぎて錯覚を覚えるどころか嫌悪感しかないんだよ・・・
早く俺から離れろ・・・!)
ライキはギンッ!とニアを強く睨みつけたが、ニアはナンシーよりもその手の威圧には強いのか全く動じなかった。
「ニア・・・
貴方の豆粒攻撃・・・ゴリゴリしてて痛いんじゃない・・・?
銀色狼さんとても不快そうな顔してる・・・
いい加減にしないと薬が効いてても萎えちゃうんじゃない・・・?」
トリーが耳の下で切りそろえられた白い髪を弄びながらクスクスと笑った。
「トリー・・・ひっどいなぁ!
これ、他の殿方には好評でみんなビキビキになるんだよ!?」
とニアはそう言ってぶーたれながらライキの上から下りた。
「ワインに混ぜ物をしないと追い込めなかったけど、過程はどうであれ結果さえ得られればそれでいいわ。
強情な彼のモノが使い物になるうちに、そろそろトドメにして。」
とセディスが4人に向けて言った。
「そうね・・・
金獅子さんみたいなこともあるからってセディスさんがいい薬を用意してくれててよかった・・・。
誰から行く?」
とトリー。
「ここは公平にジャンケンだろ!」
とニアが提案をする。
ドールズは、
「最初はグー、ジャンケンポン!」
とその場でジャンケンを始めた。
勝ったナンシーが、
「それじゃ~一番乗り~♥」
と言って自らショーツをおろし、ライキのつま先から腰に向けて四つん這いの姿勢で迫って来た。
そこでライキは力を振り絞ってナンシーを蹴り飛ばした!
「いったぁ~い!
銀色狼くんったら酷ぉい!」
本来のライキの全力の蹴りなら直撃したナンシーの下腹部の骨が折れて内臓にまでダメージが到達していそうなものだが、薬のせいでかなり威力がダウンしており、丁度いい感じでナンシーを傷つけ過ぎずに拒むことができた。
「・・・まだこんなに抵抗できるなんて。
ハンナ、あんたが行きなさい。
今のあんた、後ろ姿ならあの子に似てるから流石の彼も流されるはずよ。」
セディスが言った。
「えーっ・・・それってハンナを通してあの子を見てるじゃない・・・
ま、いっか☆
ハンナのナカを知ればぁ、みんな本命のことなんて忘れてぇ、ハンナハンナって呼びながら腰をガンガンに使ってくるんだからぁ☆
覚悟してねぇ?」
ハンナはそう言って小悪魔的に微笑むと、後ろを向いてライキの腰に跨ってきた。
薬を盛られていない状態のライキであれば薄暗い馬車内でかつ後ろ姿であっても、リーネとハンナをこの距離で錯覚することなど有り得ないのだが、薬のせいか意識が段々と朦朧としてきて、相変わらず身体に力が入らず逃げることも抵抗することもままならないのに、股間だけは焼け付くように熱く滾って苦しくて、早く楽になりたい・・・このもどかしさから開放されたいと、抵抗することを一切やめて、されるがままに身を委ねてしまいたくなった。
(リーネ・・・あぁ・・・このままリーネのナカに挿入って、ガンガンに感触を貪って、気の済むだけ射精したい・・・。
こんなにも熱く滾った熱を、成人するまでずっと中途半端にしか発散出来ないだなんて、とても耐えられそうもない・・・
あと少し・・・あと少しで楽になれる・・・
リーネ・・・俺のリーネ・・・)
ハンナはライキの竿を右手で支えると、ゆっくりと腰を落としていく。
だがあと少しで彼女の秘部がライキの先端に触れそうなところで、ライキの頭の中に、花冠をつけたとびきりの笑顔のリーネの姿が鮮明に浮かび上がったのだ!
(駄目だお前はリーネじゃない!!
嫌だ!嫌だ!!
リーネっ!!リーネ!!!)
我に返ったライキは全身にありったけの力を込めて必死に抵抗をした。
「キャッ!?」
咄嗟にトリーがライキの左手を押さえ、ニアが右手を押さえ、ナンシーが両足を押さえつけた。
「びっくりしたぁ・・・
それじゃあ今度こそ・・・いただきまぁす☆」
ハンナはそう言って、再度腰を落とす。
─リーネ!!!─
ライキが声にならない声を最大限に上げたその瞬間、ライキの手足を押さえつけているトリー、ニア、ナンシーの3人と、ライキのモノを手で支えて腰を落とそうとしているハンナ、そしてライキ本人の5人の姿がスゥッと透き通ったかと思うと、馬車の天井をすり抜けてリリアナ号の真上に浮かび上がり、そのまま夜の森の上空を物凄いスピードで駆け抜けた。
そしてリリアナのバスタブのある天幕の上でピタッ!と止まったかと思うと、リリアナの髪を洗っているリーネの前にシュン!と現れてドサッ!と着地したのだった!
「ライキ!!??」
リーネが驚きのあまり仕事の手を止めて大きな声を上げた。
「ハンナにトリーにニアにナンシー!!?」
リリアナも驚き目の前に現れたメイドの4人の名を呼んだ。
「あらまぁ・・・これは一体!?」
モニカも目を丸くして仕事の手を止めこちらを見た。
暗い中でも手元足元が見えるようにと天幕に下げられた数個の照明が、ライキと4人のメイド達の姿をくっきりと照らし出していた。
(どうして今馬車から脱出できた!?
射精もしていないのに・・・わからない・・・。
ひとまず貞操の危機は脱することができたようだが・・・しかしこの状況・・・)
ライキはリーネの秘薬の効果が現れて盛られた薬の一部が分解されたのか、段々と元通りに働くようになってきた頭で改めて今自分が置かれている状況を確認して冷や汗をかいた。
目の前には驚き自分を見下ろしているリーネ、リリアナ、モニカの姿があり、自分の膝にはハンナが尻もちをつく形で乗っかって、手足はトリー、ニア、ナンシーの3人に未だ押されつけられたままだ。
「いやあああぁーーー!!!」
ライキの勃起した性器に気がついたリリアナが真っ青になり大きな悲鳴を上げた。
ライキは股間を隠そうとするが、まだ身体が動かせずどうすることもできない。
しかもこんな状況なのにそれは萎える気配も全くないのだ。
(・・・これは・・・別の危機の到来かもしれないな・・・。)
ライキは再び冷や汗を滲ませると心配そうに自分を見ているリーネを祈るような気持ちで見上げるのだった。
街道はフォレストサイドを発って2時間もすれば石畳ではなくなりただの踏み固められた地面になっていたが、それでも森の中に比べて視界が開けているためか魔獣は殆ど出て来ることもなかった。
たまにうっかり出てくる者がいても、雑魚中の雑魚魔獣、もしくは野生動物ばかりだったので、ライキはロングソードだけをアイテムボックスから取り出し、魔獣は一撃で倒し、野生動物は必要のない殺生を避けて追い払った。
「流石本職の狩人さん!
お見事です!」
とロバート。
「いえ・・・。」
(ただの雑魚退治なのにこんなにも褒められるとこそばゆいな・・・。
とはいえ雑魚でも一般人には脅威に違いないか・・・。
見たところ俺ら雇われ冒険者4人以外で戦闘が出来る人はいなさそうだ。
行き道でも多少魔獣は出ただろうに、どうやってエングリアまで無事に辿り着いたんだろう・・・?)
ライキがふと浮かんだ疑問を口にすると、ロバートはこう答えた。
「あぁ、それはですね。
行きの時はまだ盗賊団が出没するような話も御座いませんでしたし、旦那様の私兵からお嬢様のお眼鏡に適ったルックスの者を2名護衛に付けて頂いたのですよ。
まぁその者達もエングリアでお嬢様により解雇されましたが・・・。」
「えっ?その理由ってもしかして・・・」
「・・・はい。
お察しの通り、道中ドールズと深い仲となり、お嬢様の逆鱗に触れましたので。」
(またしてもドールズか・・・。
他の男でも金獅子と同じような事が起こるのなら、奴がオレンジ・スパで言ったこと・・・あの時は酔っ払いの戯れ言だと思ったが、マジバナなのかもしれない・・・。)
「・・・あの・・・ドールズって一体どういう人達なんですか?
見たところメイドの仕事もリーネとモニカさんに押し付けてますよね?」
「はい・・・。
あの5人は元々旦那様が出席されたある貴族会でコンパニオンをしていたのですが、その時旦那様は近々迫るお嬢様の誕生日に可愛い専属メイドが欲しいとせがまれておりました。
そのため旦那様のほうから彼女達に直接お声掛けをされ、お嬢様の専属メイドとして雇用し、ドールズと名前をつけ10歳の誕生日プレゼントとしてお与えになられたのです。
彼女達のリーダーであるセディスだけは一応何処かのお屋敷で奉公した経験があるようで多少メイドの心得があるようですが、他の者は全くの素人ですし、セディスも余程でなければメイドの仕事をしたがらないので、我々にとってあの5人は役立たずのお飾りでしかありません。
ただお嬢様にとってはお父君様からの大切な贈り物である彼女達はとても信頼の置ける存在であり、姉のようなものなのでしょうね。
とても懐かれておいでで、彼女達が仕事をしないことや、男性とのトラブルを起こしたことで我々から苦情を申し上げてもいつも庇われてしまうのです。」
「そうですか・・・。
あの、彼女達の瞳の色がいつもと違って見えたりすることは今までにありませんでしたか?」
ライキは眉を寄せながら尋ねた。
「瞳の色、ですか?
いえ・・・特に気が付きませんでしたが・・・それが何か?」
「いえ、それならいいんです。」
ライキはロバートに笑顔で返すと思考した。
(彼女達がダルダンテ神の使いかどうかは今まで得た情報からは判断が出来ないな・・・。
でもいくらメイド達の見た目が好みであり父親からのプレゼントあっても、自分の世話もしない、同僚からも嫌われている、数々の男性トラブルを起こす彼女達をそこまで令嬢が慕い庇うだろうか?
その辺りの関係性にダルダンテ神絡みの何かがあるような気がしてならない・・・。
何れにせよドールズ・・・警戒すべき相手には違いないな・・・。)
初日は天候にも恵まれており盗賊団の影もちらつかなかったため、こまめに小休憩を挟みつつもボラントまでの距離を稼ぐことが出来た。
陽が西に傾き空がオレンジ色に染まる頃、一行は大きめのガゼボがある地点を利用して野営をすることとなった。
リーネは今日一日リリアナの隣で色々と雑談を交わし打ち解けたらしく、馬車を降りる時には”リリ様”呼びになっていた。
リリアナもリーネのことを気に入ったのかリーネと呼び捨てにしており、モニカも交えてキャッキャッと何やらスイーツの話に花を咲かせていた。
ライキがその様子を微笑ましく眺めていると、少し遅れて金獅子達の乗っている荷馬車も到着した。
金獅子を除く荷馬車の乗組員は馬車から降りると速やかに各自の仕事に取り掛かった。
馭者のノックスはリリアナ号(※リリアナ達が乗っている馬車のことをライキが勝手にそう命名した)と荷馬車の馬に飼い葉を与え、料理担当のメアリは、
「さぁて、夕食の支度をするだよ!」
と腕まくりをして調理台を設置し始めた。
リーネとモニカがメアリの調理を手伝おうとしたが、
「私お風呂に入りたい。
二人は私の入浴を手伝って。」
とリリアナが言ったので、メアリは汗を飛ばして二人の手伝いを遠慮した。
「おらのことなら気にしなくていいだよ!
いつも一人でどうにか夕食の支度をしてるだし・・・。
お二人はお嬢様のご希望通りにお風呂のお世話をしてあげてくだせえ!」
それを見ていたロバートが、やはりこの人数の夕食の支度をメアリ一人でするのは大変だろうと思ったのか、まだリリアナ号の後ろの席から降りて来ないドールズ達に夕食の支度を手伝うようにと声をかけた。
しかし、
「夕食の支度?
そんなのメアリに任せたらいいでしょう。」
とセディスが言い、
「そ~よぉ。
そんなことしてたら~折角のネイルが剥げちゃうし~♡」
とナンシーが言い、
「今ペディキュア塗ってるの。
暫く動けないからご飯が出来たら呼んで・・・」
とトリーが言い・・・と、毎度のことのようだがまるでやる気がなかったので諦め、大きなため息をつきながらすぐに馬車から出てきた。
だがロバートにもやることは沢山あるようで、まずはそれを済まそうとテキパキと夕食のための椅子や机を用意し始めた。
ライキは特に用事がなければ自分達のテントを張るつもりだったが、その前に少しだけメアリを手伝おうと声をかけようとした。
だが、
「貴方はお風呂の準備をして頂戴。
女の人だと私のバスタブは大きくて運べないから、まずはそれを荷馬車から持って来て。」
とリリアナに命じられてしまった。
(すみませんメアリさん。
夕食の支度は手伝えそうもないです・・・。)
とライキが心の中でメアリに頭を下げていると、さっきまで夕焼け空を撮影していたフレッドがメアリが一番忙しそうなことに気がついて手伝いを申し出た。
「一人でこの人数の食事の支度をするのは大変だよね?
僕で良ければ手伝うよ?」
「ええっ!?
憧れの写真家のフレッドさんにお料理を手伝って貰うだなんて恐れ多いだよ!」
「いや僕、料理は割と好きだし気にしなくていいよ。
その代わりと言っちゃなんだけど、僕もご相伴に預かれると嬉しいな。
僕はリリアナ嬢に雇われてるわけじゃないから、本来なら僕の食べるものは自分で用意するべきなんだろうけど、一人だけ違うものを食べるのはやっぱり寂しいし、単純に君の作る料理が食べてみたくてさ。
なんだかとても温かい味がしそうだから。
あ、手伝うだけでは足りないならお代を支払うよ?」
「えっ、ええっ・・・!?
お代だなんてそんな、いただけません・・・!
おらはフレッドさんが手伝ってくださらずともこっそりとお夕食をお出しするつもりでしただよ。
でも手伝ってくださったならお嬢様に言い訳も立ちますんで堂々とフレッドさんにお夕食をお出しできるし、おらも正直助かるだよ!
だけんどおらの料理が食べたいだなんて照れくさいだな・・・。
そ、そんじゃあ・・・そこの野菜の皮を向いてもらえるだか?」
真っ赤になりながらメアリはフレッドに指示を出していた。
ライキはそのやり取りを見て、
(あの二人何だかお似合いだな・・・。)
と思って柔らかく微笑んでから、令嬢のバスタブを取りに荷馬車へと向かった。
すると金獅子ことレオンがリリアナ号と荷馬車の間でキョロキョロしており、そこを通りかかったライキに尋ねてきた。
「銀色狼、モニカは?」
「・・・モニカさんならリーネと一緒にリリアナ様の入浴を手伝うためにガゼボの奥に行ったよ。」
「そうか・・・。
荷馬車組の奴らはさっさと自分の仕事に行ってしまったし、執事も忙しいのかこっちに指示を出しに来ないから僕のすることがわからない。
だからモニカの仕事でも手伝おうかと思ったんだが、お嬢様の入浴か・・・。
それは流石に手伝えないな・・・。」
と彼は苦笑いをした。
ライキはこの任務を通して少しでもレオンに歩み寄ってみるとザインと話したことを思い出し、いつもならここで、
「そうか。
じゃあ俺は仕事があるから。」
と言って去るところなのだが、もう少しだけ彼との会話を繋いでみることにした。
「・・・それならテントでも張ったらどうだ?」
「テントだと・・・?」
「あぁ。
リリアナ号と荷馬車に俺達冒険者が寝れる場所は無いだろうから、後で張ろうと思ってたんだ。
あんたが俺らのぶんも張ってくれたら助かるけどな。」
と、ライキは少し下手に出てみた。
「・・・張り方がわからない。」
レオンはぶっきらぼうに答えた。
「冒険者を生業にしているのにか?
今までの野営はどうしてた?」
「・・・モニカが全てやっていた。」
それを聞いてライキは呆れたようにため息をついた。
「・・・はぁ・・・
ホントにあんたはモニカさんに甘えてばかりのお坊ちゃんなんだな。」
「・・・僕に喧嘩を売っているのか?
良いぞ、買ってやる。
今なら止める者も居ないしな・・・。」
レオンはそう言って不敵に微笑むと腰の白の剣の柄に手をかけた。
「・・・俺には与えられた仕事があるからあんたと喧嘩なんかしてる暇はないな。
・・・仕方がない。
風呂の支度が終わったらテントの張り方を教えてやるから、こいつを持ってあっちで待ってろ。
あんたらのぶんも貸してやるから。」
ライキはバスタブを一旦置いてアイテムボックスからテント一式の入った袋を2つ取り出すと、レオンにそれを渡した。
「・・・は?
お前が僕に教える・・・だと?
敵同士なのにか・・?」
レオンにはライキのセリフが意外だったのか、怪訝な顔をしてそう呟いた。
「今は仲間だろう?」
ライキはそれだけ言うと、もう一度バスタブを持ちガゼボのほうへ去って行った。
ライキはリリアナに言われた場所にバスタブを設置した。
そして外部から入浴しているところや着替えが見えないようにするためバスタブと一緒に運んできた簡易的な天幕を広げて張り、魔石仕掛けの照明器具を下げてやった。
バスタブには水と火の魔石が付いており、ライキがそれらに軽く触れると入浴するのに丁度良い温度のお湯がバスタブに注がれていった。
その中にリリアナ嬢がオレンジ・スパで買ったという”湯の花”という温泉成分が固形化したものを入れて混ぜてやる。
「これで支度は整ったわね。
貴方はもういいから行って頂戴。」
リリアナはそう言うとモニカと一緒に着替えのために天幕へと消えて行った。
「ライキ、また後でね!」
リーネもそう言って手を振ると、すぐに二人を追いかけ天幕の中に消えて行った。
(今日は昼間リーネと殆ど会話を交わすこともなかったからリーネ不足だな・・・。
夜になればリリアナ嬢はリリアナ号で寝て、リーネも世話係から開放されるはず。
テントで二人きりになったら存分にいちゃつこう・・・。
さて、金獅子の野郎にテントの張り方を教えに行くか。
全く・・・テントも張れないだなんて・・・。
あの様子だと風呂の支度も料理の手伝いもしたことがないんだろうな。
だがテントの張り方を教えると言ったとき、奴が拒まなかったのは予想外だった。
教わる気があるのなら今後少しでもモニカさんが楽になるよう今回の任務で奴にいろいろ仕込んでみよう・・・。)
ライキがそんなことを思いながらレオンのいる場所へ向かっていると、途中で馬の世話が済んだノックスが従業員用と思われるバスタブを運んでいるところに出くわした。
従業員用のはリリアナ専用のものよりも更に大きくて、一人で運ぶのは大変そうだったのでライキはそれを運ぶのを手伝った。
(リリアナ嬢の要件が早く済んだしノックスさんを少し手伝ってから行っても金獅子も文句は言わないだろう。
さて、今度こそ金獅子のところへ・・・)
ライキがそう思いながらリリアナ号の側を通りかかると、日が沈んですっかり暗くなった中で少し距離もあったため分かりづらかったが、リーネらしき人物がドールズのトリー、ナンシー、ニアに連れられて馬車の後席に入って行く後ろ姿が見えた。
(リーネ?
今はリリアナ嬢の入浴を手伝っている筈だが・・・。
俺がノックスさんを手伝っている間にリリアナ嬢の忘れ物を取りに戻って、そこをドールズの3人に捕まったか?
だが何かが引っかかる・・・。
ドールズの中にリーネと似た髪色の女がいたから、そいつを使った罠かもしれない・・・。
だがもしも本当にリーネだったら・・・?)
ライキは真相を確かめようと馬車の近くに寄り聞き耳を立てた。
馬車が防音性に長けたしっかりした作りのため、耳の良いライキにも中の音を鮮明に聴き取ることは出来なかったが、中から何やら争うような声がした後、ドカッ!ドシッ!といった暴力行為が行われているかのような物音がし、極めつけに、
「助けて・・・ライキ・・・!」
という声が聴き取れたため、ライキは慌てて馬車の扉側に回り込むとその扉を開け放った!
すると馬車の中にはトリー、ナンシー、ニアの3人に囲まれた、リーネと同じように髪を団子に纏めたハンナがおり、ライキを見ると「テヘッ☆」と舌を出して笑った。
(チッ・・・罠か・・・!!)
舌打ちをして直ぐに馬車から逃れようとするライキだったが、背後からすかさずセディスが入ってきて扉を閉め、手早く鍵をかけるとその鍵を自らのスカートを捲り、妖艶に微笑みながら黒のレースのショーツの中へとそっと入れた。
(閉じ込められてしまった・・・!
鍵を奪おうにもセディスの下着の中にあるなら容易ではないぞ・・・。
デイブレイク戦のときのように移動の力で短距離の瞬間移動をすることは出来るが、射精して発動しないと壁をすり抜けることは出来ない・・・。
ここは何とかこのメイド達をやり過ごし、ここから抜け出すための機会を伺うしないか・・・。
さて・・・どう出る?
ドールズ・・・。)
ライキは何としてもドールズの思い通りにならずにこの危機を回避しようと強い反抗心を持っていたが、表にはそれを出さずに戸惑っているかのように眉を寄せると言った。
「あの・・・俺を閉じ込めてたりして、皆さん一体どういうつもりですか?」
「ごめんね~♡
だって銀色狼くん、ずっ~と私たちを避けてたでしょ~?
私たち~と~っても君とお話がしたかったのに~・・・。
ず~っと馭者席でおじいちゃんとばかり話してて寂しかった~・・・。
だからちょ~っと強引だけど~、閉じ込めさせて貰ったの~♡」
とナンシーが胸元のブラウスのボタンを外しながら言うので、ライキはさり気なく目を逸らした。
「でもさ、お嬢様の醜悪嫌いに感謝しなきゃな!
お蔭様でいい男とばかり遊べるんだもん!
まぁ僕は厳ついブ男に抱かれるのも嫌いじゃないけどな!
メイドなんて僕のガラじゃないけど、我慢してお嬢様のお人形やってて良かったよ!」
目を逸らした先にいたニアがニッと歯を見せて笑うと、ブラウスのボタンを外すこともせずにリーネよりも控えめな日に焼けて小麦色をした胸を一気に開放した。
ライキはギョッとしてまた別の方向へ目を逸らしながら冷ややかに言った。
「・・・やっぱりあんたたちが今まで同行した若い男を誘って食ってたんだな・・・。」
「うふふ・・・そうだけど・・・?
まぁ金獅子さんは役立たずだったから食べそこねちゃったけど・・・貴方はそんなことないよね・・・?
大人しく従えば空駒鳥さんとお嬢様には内緒にしといてあげるから・・・私達とたっぷりイイコトしましょ・・・?」
と今度はその視線の先にトリーが現れ、既に白い胸を開けさせた状態でライキの胸元に手を滑らせた。
これ以上どこを向いても艶かしい姿のドールズが視界に入るため、ライキは不快感を露わに眉間に皺を寄せて上を向き、その手をそっと払い除けた。
だがまた直ぐに艶めかしく白い手が這ってきてはライキの胸元のボタンを外していく。
「やめろ。
俺はリーネとしかそういうことはしない。」
今度はキツくトリーを睨みつけて強めにその手を払った。
トリーは残念そうに唇を尖らせた。
「うふふ☆
銀色狼くんったら真面目なんだぁ☆
でもでもぉ、つがいって誓約とかで最後まで出来ないんでしょ?
そんなのってつらくない?
いいじゃ~ん☆
つがいなんかやめちゃってぇ、私達と遊んじゃおうよぉ~☆
私、ナンシーには負けちゃうけどぉ、空駒鳥ちゃんよりもおっぱいおっきいしぃ、沢山良い思いさせてあげるよぉ?」
今度はショーツとガーターベルトとストッキングだけを残したあられもない姿のハンナがそう言うと、ライキの両頬に手を添えグイッと自分の方を向かせつつウインクをした。
ハンナの艶かしい姿が否応なしに視界に入るが、ライキはそれに動じることなくキッ!と眉を釣り上げ低い声で言った。
「リーネとあんたらを同列に並べるな。
おこがましいんだよこの売女共が。」
そして頬に添えられたハンナの手を強く掴み、自分の顔から外させた。
ライキはそれらの様子を黙って見ていたセディスの方を向くと言った。
「鍵を寄越せ。」
「あら・・・そんなに怖い顔して怒らないで?
銀色狼さん。
この子達ったらお嬢様があの通り潔癖なものだから彼氏も作れないんです。
だから素敵な殿方を見るとつい強引な手に出てしまって・・・。
もうこんなことはさせないので、許してあげてくださいません?
さぁさぁ貴方達、服を着て。」
他の4人のメイド達は「はぁい・・・」と返事をしながら渋々着衣を直し始めた。
ライキはまだドールズを強く警戒したままだったが、セディスが表向きは争う気はないと示しているのに対して自分だけが強い態度に出て拒絶してしまえば、もしこのことをリリアナに知られたときに自分が不利になると判断し、態度を軟化させてから言った。
「鍵を貸してください。
俺はもう行きます。」
セディスは穏やかに微笑むと、棚からワインボトルを取り出して言った。
「えぇ、わかりました。
でもその前に一杯だけ付き合ってくれませんか?
凄く美味しいワインを手に入れたんです。
私達・・・貴方と仲良くなりたいのは本当なんです。
だからまずは美味しいお酒を一緒に飲んで仲直りをしましょう。」
ライキにはその酒に何かが盛られるであろうことはわかりきっていたので、まずはやんわりと断ってみた。
「いや、俺未成年なのでお酒は・・・」
「フォレストサイドでは軽めのワインなら未成年の方でも嗜むのでしょう?
滞在していたホテルのベルボーイさんから伺いましたよ?
一杯だけでいいんです。
さぁ・・・。」
そう言ってセディスはグラスにワインを注ぎ、ライキに差し出した。
ライキは(来たな・・・)と思うが、あまり拒み過ぎるとリーネの秘薬を使う間もなく何らかの手段を使って強引に飲まされかねないと思ったので、
「一杯だけですよ・・・。
それが終わったらここから出して下さいね。」
と言って素直にそのグラスを受け取った。
そしてセディスが他のグラスにワインを注いでいる間に、リーネから貰った小瓶の中身を1滴グラスに落とした。
「乾杯!」
6つのグラスがぶつかり合った後、ライキはグラスを口にした。
リーネの秘薬のお陰でアルコールは分解されたのか、彼が普段飲酒したときに見舞われる頭がクラクラする感覚や、急激な眠気に襲われることはなかった。
だがグラスの半分程を口にした頃、次第に股間が勃起し始め、更には全身がだるく身体に力が入らなくなり、遂には立っていられなくなってライキは床に崩れ落ちてしまった。
(リーネの秘薬を使ったのに、まだ精力増強薬と体から力を奪う類の薬が分解されていない・・・!?
このワイン、間違いない・・・ダルダンテ神の力が働いてる・・・!!
だがどういうことだ?
この中の誰一人として目が赤く光っていない・・・。
師匠の千里眼を隠す眼鏡みたいな特殊な眼鏡やコンタクトレンズをつけているのか・・・?
いや、いくらそういった道具で隠していても、ダルダンテ神の支配を受けているときにはシルバーファングウルフやデイブレイク、それに金獅子の下げている黒い剣のように、近くにいるだけで何かゾッとする気配のようなものを感じ取れる筈だ。
もしかしたら奴の支配を受けずに自らの意志でダルダンテ神の望む行動を取っているのか・・・?
何のために・・・?
それよりもこの状況はまずいぞ・・・!
股間だけは酷く勃起しているのに、指一本動かすどころか声を出すことも出来ない・・・。
足は少し動かせるようだが・・・)
ライキは酷く焦って全身に汗を滲ませた。
そうこうしているうちにハンナが折角着たメイド服をまた脱いで、ライキのスラックスに締められた革ベルトをカチャカチャと外し、ジッパーを引き下ろすとフル勃起した股間のものを開放して目に♥を浮かべて言った。
「きゃーん♥
みてみてぇ☆
銀色狼くんのすっごくおっきくて生きが良いよぉ★」
「あ~んほんと~♡
こんないい男を独り占めだなんて~、空駒鳥ちゃんずる~い♥」
ナンシーもブラウスから再び豊満な乳を取り出すと、その谷間に躊躇なくライキのイチモツを挟みこみ、ペロッと赤い舌を出して自らの唇の端を舐めてから言った。
「もしかしなくても銀色狼くんパイズリって初体験~?
そうよね~♥
空駒鳥ちゃんのじゃ挟めないだろうし~♡」
(お生憎様だな・・・
エングリアにユデイ達の付き添いで行ったとき、リーネが無理に寄せて挟んでくれたから初じゃないんだよ・・・
まぁ無理に肉を寄せたから硬かったし、肋に当たって少し痛かったけど、必死に俺を感じさせようとしてくれてすげー可愛かったんだよ・・・
だからお前の胸になんか微塵も感じてたまるか!)
ライキはギリッと歯を噛みしめナンシーを強く睨んだ。
ナンシーがその視線を受けてビクッと怯んだ隙に、ニアがドカッとナンシーを足で蹴ってライキの上から退けさせた。
「ちょっとナンシー!
何勝手に挟んでんのさ!
銀色狼くんはナンシーみたいな乳おばけよりも、僕みたいに控えめなほうが好きなんだよ!
じゃないと空駒鳥ちゃんとつがいになんてならないよな?
ほら・・・小さい胸でこうされるとたまらないだろ?」
今度はニアがライキの上に跨ると小麦色の控えめな胸を自信たっぷりに露出させて、硬くなった乳首でライキの鈴口を虐めてみせた。
(ふざけるな。
リーネとお前とじゃ肌の色も胸の形も大きさも感触も全てが違いすぎて錯覚を覚えるどころか嫌悪感しかないんだよ・・・
早く俺から離れろ・・・!)
ライキはギンッ!とニアを強く睨みつけたが、ニアはナンシーよりもその手の威圧には強いのか全く動じなかった。
「ニア・・・
貴方の豆粒攻撃・・・ゴリゴリしてて痛いんじゃない・・・?
銀色狼さんとても不快そうな顔してる・・・
いい加減にしないと薬が効いてても萎えちゃうんじゃない・・・?」
トリーが耳の下で切りそろえられた白い髪を弄びながらクスクスと笑った。
「トリー・・・ひっどいなぁ!
これ、他の殿方には好評でみんなビキビキになるんだよ!?」
とニアはそう言ってぶーたれながらライキの上から下りた。
「ワインに混ぜ物をしないと追い込めなかったけど、過程はどうであれ結果さえ得られればそれでいいわ。
強情な彼のモノが使い物になるうちに、そろそろトドメにして。」
とセディスが4人に向けて言った。
「そうね・・・
金獅子さんみたいなこともあるからってセディスさんがいい薬を用意してくれててよかった・・・。
誰から行く?」
とトリー。
「ここは公平にジャンケンだろ!」
とニアが提案をする。
ドールズは、
「最初はグー、ジャンケンポン!」
とその場でジャンケンを始めた。
勝ったナンシーが、
「それじゃ~一番乗り~♥」
と言って自らショーツをおろし、ライキのつま先から腰に向けて四つん這いの姿勢で迫って来た。
そこでライキは力を振り絞ってナンシーを蹴り飛ばした!
「いったぁ~い!
銀色狼くんったら酷ぉい!」
本来のライキの全力の蹴りなら直撃したナンシーの下腹部の骨が折れて内臓にまでダメージが到達していそうなものだが、薬のせいでかなり威力がダウンしており、丁度いい感じでナンシーを傷つけ過ぎずに拒むことができた。
「・・・まだこんなに抵抗できるなんて。
ハンナ、あんたが行きなさい。
今のあんた、後ろ姿ならあの子に似てるから流石の彼も流されるはずよ。」
セディスが言った。
「えーっ・・・それってハンナを通してあの子を見てるじゃない・・・
ま、いっか☆
ハンナのナカを知ればぁ、みんな本命のことなんて忘れてぇ、ハンナハンナって呼びながら腰をガンガンに使ってくるんだからぁ☆
覚悟してねぇ?」
ハンナはそう言って小悪魔的に微笑むと、後ろを向いてライキの腰に跨ってきた。
薬を盛られていない状態のライキであれば薄暗い馬車内でかつ後ろ姿であっても、リーネとハンナをこの距離で錯覚することなど有り得ないのだが、薬のせいか意識が段々と朦朧としてきて、相変わらず身体に力が入らず逃げることも抵抗することもままならないのに、股間だけは焼け付くように熱く滾って苦しくて、早く楽になりたい・・・このもどかしさから開放されたいと、抵抗することを一切やめて、されるがままに身を委ねてしまいたくなった。
(リーネ・・・あぁ・・・このままリーネのナカに挿入って、ガンガンに感触を貪って、気の済むだけ射精したい・・・。
こんなにも熱く滾った熱を、成人するまでずっと中途半端にしか発散出来ないだなんて、とても耐えられそうもない・・・
あと少し・・・あと少しで楽になれる・・・
リーネ・・・俺のリーネ・・・)
ハンナはライキの竿を右手で支えると、ゆっくりと腰を落としていく。
だがあと少しで彼女の秘部がライキの先端に触れそうなところで、ライキの頭の中に、花冠をつけたとびきりの笑顔のリーネの姿が鮮明に浮かび上がったのだ!
(駄目だお前はリーネじゃない!!
嫌だ!嫌だ!!
リーネっ!!リーネ!!!)
我に返ったライキは全身にありったけの力を込めて必死に抵抗をした。
「キャッ!?」
咄嗟にトリーがライキの左手を押さえ、ニアが右手を押さえ、ナンシーが両足を押さえつけた。
「びっくりしたぁ・・・
それじゃあ今度こそ・・・いただきまぁす☆」
ハンナはそう言って、再度腰を落とす。
─リーネ!!!─
ライキが声にならない声を最大限に上げたその瞬間、ライキの手足を押さえつけているトリー、ニア、ナンシーの3人と、ライキのモノを手で支えて腰を落とそうとしているハンナ、そしてライキ本人の5人の姿がスゥッと透き通ったかと思うと、馬車の天井をすり抜けてリリアナ号の真上に浮かび上がり、そのまま夜の森の上空を物凄いスピードで駆け抜けた。
そしてリリアナのバスタブのある天幕の上でピタッ!と止まったかと思うと、リリアナの髪を洗っているリーネの前にシュン!と現れてドサッ!と着地したのだった!
「ライキ!!??」
リーネが驚きのあまり仕事の手を止めて大きな声を上げた。
「ハンナにトリーにニアにナンシー!!?」
リリアナも驚き目の前に現れたメイドの4人の名を呼んだ。
「あらまぁ・・・これは一体!?」
モニカも目を丸くして仕事の手を止めこちらを見た。
暗い中でも手元足元が見えるようにと天幕に下げられた数個の照明が、ライキと4人のメイド達の姿をくっきりと照らし出していた。
(どうして今馬車から脱出できた!?
射精もしていないのに・・・わからない・・・。
ひとまず貞操の危機は脱することができたようだが・・・しかしこの状況・・・)
ライキはリーネの秘薬の効果が現れて盛られた薬の一部が分解されたのか、段々と元通りに働くようになってきた頭で改めて今自分が置かれている状況を確認して冷や汗をかいた。
目の前には驚き自分を見下ろしているリーネ、リリアナ、モニカの姿があり、自分の膝にはハンナが尻もちをつく形で乗っかって、手足はトリー、ニア、ナンシーの3人に未だ押されつけられたままだ。
「いやあああぁーーー!!!」
ライキの勃起した性器に気がついたリリアナが真っ青になり大きな悲鳴を上げた。
ライキは股間を隠そうとするが、まだ身体が動かせずどうすることもできない。
しかもこんな状況なのにそれは萎える気配も全くないのだ。
(・・・これは・・・別の危機の到来かもしれないな・・・。)
ライキは再び冷や汗を滲ませると心配そうに自分を見ているリーネを祈るような気持ちで見上げるのだった。
0
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