銀色狼と空駒鳥のつがい 〜巡礼の旅〜

彩田和花

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8羽 赤百合と旅蜥蜴と盗賊団

③激昂の空駒鳥と思わぬ証人

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「いやあああぁーーー!!!」
ライキの勃起した性器を見たリリアナが真っ青になり大きな悲鳴を上げた。
ライキの膝の上に尻もちをついていたハンナと手足を抑えていたトリー、ニア、ナンシーはその声にハッとしてライキから離れたが、ハンナは裸同然の格好だったため近くにあったバスタオルの入った籠から一枚手に取りそれで身体を隠した。
リーネはようやくドールズから開放されたライキに急いで駆け寄ると、露出された部分にバスタオルをかけてあげた。
ライキのオトコの象徴が隠されたので、さっきまで真っ青に血の気が引いていたリリアナがほっと安堵のため息をついた。
リーネはライキの頭をそっと膝に乗せ、真剣な顔で脈を測ったり瞳孔を確認したりしながらライキに語りかけた。
「ライキ、声は出せる?
意識はハッキリとしてる?
何処か痛むところはない?
身体で動かせるところは?」
ライキは愛しのリーネの膝のぬくもりと優しい声に思わず泣きそうになるが、まずは彼女の問いかけに答えるために声を出してみた。
「・・・やっ・・・と声・・・がで・・・た・・・
意識・・は・・・さっきま・・で、朦朧と・・・して・た・・・け・・・ど、かいふ・・く、してきた・・・
痛み・・・は、特に・・・感じ、ない・・・
からだ・・は、脚・だけ少・・・し、動かせる・・・けど、まだ・起き・・・上がれ・・そうも、ない・・・」
そこで野営の準備をしていたロバート、ノックス、メアリとブレッドがリリアナの悲鳴に仕事の手を止めたのか、こちらへ駆けつけ集まって来た。
少し遅れて金獅子ことレオンもこちらにやって来る。
最後に馬車の方向からセディスが駆けて来て、ライキの姿を見つけるなり指を差し、眉を吊り上げて大きな声でこう言った。
「お嬢様、この男、ハンナを無理に犯そうとしたのです!
トリーとニアとナンシーがそれを止めようとしたのですが、激しく抵抗されたので止む無く私が護身用に持ち歩いていた痺れ薬を飲ませました!
でも女神の力を使ってこちらへ逃げ出してしまって!」
ライキは反論した。
「ち、違う・・・
ワインに何か・・・盛られ・てっ・・・
リーネの秘薬・・を・・・使った・けど・・・」
(くそっ・・・!
リーネにもっとちゃんと説明したいのにまだ声が上手く出せない!)
ライキは悔しそうに顔を歪ませた。
「ワインに何か盛られたですって?
酷いことを言いますね。
私達、ただ銀色狼さんと仲良くなりたくて、取っておきのワインを開けただけなのに・・・」
(嘘つけ女狐が!)
ライキはセディスをギンッ!と強く睨んだ。
それを気にも止めずセディスは飄々ひょうひょうと続けた。
「残念ながら普段は紳士的でもお酒が入った途端に理性が働かなる方もいらっしゃいますからね・・・。
特に銀色狼さんはつがいの誓約があるから空駒鳥さんと最後までは交わえないので、きっと普段から性欲が溜まっておいでだったのでしょう。
ハンナは髪色も空駒鳥さんと似てますから酔った勢いで空駒鳥さんには出来ないことをハンナでしたくなったのでしょうけど、それは決して許されることではありませんよ?」
それに合わせるかのようにハンナは慌てて頷き、嘘泣きをしながら言った。
「そ、そうなの・・・っ
酔った銀色狼くんにトイレに連れ込まれてぇ、最初は、
「リーネは可愛いけど、胸には不満があるんだよな・・・
リーネもこれくらい大きければなぁ♡」
って言って、おっぱいを触られたんだけどぉ・・・
でも段々とそれがエスカレートしてきてぇ、
「もうたまらないから最後までさせろ。」
って迫られてぇ・・・
私、
「止めてぇ!
それ以上したら空駒鳥ちゃんに言うよぉ!」
って拒んだんだけどぉ、
「確かにリーネにこのことを知られると俺はつがいを解消される羽目になるが、お前だってお嬢様に知られればドールズを解雇されるんだろう?
だからお互いナイショで楽しめばいい。」
ってギンギンになったおちんちんを突きつけられてぇ・・・
ハンナ・・・ひっく・・・すっごく怖かったけどぉ・・・ひっく・・・いいなりになるしかなかったのぉ・・・!
それでぇ、
(もう駄目ぇ!犯されちゃうよぉ!!)
って思ったときにみんなが助けに来てくれたから未遂に済んだけどぉ・・・
えーん!怖かったよぉ!」
とハンナはリリアナに駆け寄ってわざとらしく泣きじゃくった。
リリアナはハンナをよしよしと撫でている。
「・・・リーネ・・・俺を・・・信じて・・・」
ライキはリーネを見上げながら必死に訴えた。
リーネはライキに膝枕をした状態のまま俯き、怒ったように小さく震えて口元を固く結んでいた。
(リーネは俺が狙われる可能性を兄貴から訊いて秘薬を作ってくれた。
だからきっと俺を信じてくれる筈だ・・・。
だが同時にリーネは自分の胸にコンプレックスがあるし、それをあんなふうに刺激されたら冷静な判断を失うかもしれない・・・。
それにリーネは優しすぎる・・・。
もしも一見被害者に見えるこのハンナとかいうメイドのほうをリーネが信じたりしたら、俺はリーネの愛情を失い、つがいでいられなくなってしまう・・・!
そんなのは絶対に嫌だ・・・!!
頼むリーネ・・・信じてくれ・・・!!)
そう思ったライキの菫の瞳には涙が滲み、愛しのリーネの顔がぼやけて見えなくなった。
するとそのぼやけた視界の先で彼女の唇がゆっくりとひらいた。
「・・・違う・・・。
ライキは薬を盛られて無理に勃起させられ、更には身体の自由も思考する力も奪われてその女に犯されそうになったのよ・・・!
それでも移動の力を使ってどうにか誓約を破られる前に私の元へと逃げて来てくれたの!!
・・・許せない・・・
痺れ薬は身体に力が入らなくなる・口がきけなくなるだけでなく、量を間違えると呼吸麻痺や心停止を起こして死ぬこともある危険なものなのに!
それだけじゃない・・・頭の働きを鈍らせる毒だって使われてる・・・。
あれだって常用すると人を廃人にするとても危険なものなんだよ・・・!?
こっちはライキがお酒を飲む前に混ぜた私の秘薬により今はあらかた分解されたみたいだけど、その毒を服用した後に出る特徴が瞳孔に出ているから証拠のワインを捨てたとしても言い逃れ出来ないから・・・!
私のライキに酷いことを・・・本っ当に・・・許せない!!!」
リーネは強く叫ぶようにそう言うと、ライキの頭をそっと畳んだタオルの上に置いて立ち上がり、ツカツカと一直線にドールズのところへ行き、トリー、ニア、ナンシーを順に引っ叩いた!
「リーネ!!
貴方一体何を!!」
とリリアナが悲鳴に近い声を上げた。
ライキはリーネの行動に驚き、滲んでいた涙も引っ込んでしまった。
他の者も皆リーネの行動に驚き目を見開いている。
「この人達全員共謀してライキに酷いことをしたんだからこれくらい当然でしょ!」
リーネは泣きながらリリアナにそう返すと、今度はそのリリアナにくっついたままのハンナをキツく睨みながら言った。
「特に貴方は許せない!!」
ハンナに対しては今までの3人よりも強く平手打ちを繰り出した!
─パンッ!─
頬を叩く高い音が夜の森に響いた。
リーネはそれだけでは気が済まなかったのか、往復でビンタを繰り出そうと再度手に力を込めた。
すると、
「これ以上はやめてよぉ!
私はセディスに命令されてやっただけなんだからぁ!」
とぶたれた頬を押さえマジ泣きし、鼻水を垂らしながらハンナが言った。
するとセディスが「チッ!」と小さく舌打ちをするのが聴こえた。
リーネはその舌打ちでハンナの言うことが真実であると確信し、今度はセディスの元へツカツカと移動した。
そして、ハンナのときよりも更に力を込めて手を振り上げると、渾身の平手打ちを食らわした!
─パァン!!─
先程よりも更に大きな音が夜の森に響く。
セディスは叩かれて赤くなった頬を手で押さえると、キッ!とリーネを睨んでやり返そうと右手を振り上げた!
しかしリーネは今までの巡礼の旅を通してレベルが27にまで上がっており、薬師という後衛職でありながらも先祖からの遺伝の影響も手伝ってか見た目よりも強くなっていたので、セディスの平手打ちなどまるで相手にならず、それを片手で軽く防いだのだった。
そして今度は私のターンだと再度手のひらを振り上げると、連続でセディスにビンタを繰り出した!
セディスはリーネの手のひらに踊らされ続け、両頬が真っ赤に腫れ上がった。
リーネはハァハァと息を乱し泣きながらも尚叩き続けた。
「リーネ・・・」
ライキはそんなリーネの様子を見てリーネが自分のためにここまで怒ってくれた事が嬉しくもあったが、リーネがとても苦しそうなのを黙って見てもおれなくて、その手を止めてぎゅっと彼女を抱きしめたくなった。
しかし、少しずつ痺れ薬が分解され始めたのか何とか身体を起こすことは出来たが、まだ立ち上がることは出来ず、唇を噛みただ彼女を見守ることしか出来なかった。
そんなライキに代わってモニカがリーネの手をそっと掴み止めると頭を振った。
「空駒鳥さん、もう充分です。
それ以上叩くとセディスさんのお顔が真っ赤なフグから永久に戻らなくなってしまいます。
まぁそれも当然の報いかと思いますけど、空駒鳥さんの手だって痛いでしょう?
これ以上やって空駒鳥さんの手が腫れてしまったら、銀色狼さんが悲しまれますよ?」
リーネはモニカの言葉でハッとし、ライキの方を振り返って見た。
ライキがゆっくりと深く頷いたので、リーネはハァ、ハァ、と息をつくとモニカに頭を下げ、またライキの元へ駆けて戻るとギュッと彼を抱き締めた。
そしてリリアナの方を向くと、恐ろしい程威圧的な黒い感情を漂わせながら言った。
・・・。
貴方のドールズが私のつがいにこれだけの酷いことをしたんです。
・・・私は正直彼女達に対してまだ怒りが収まらないけれど、モニカさんも止めてくれたし、ライキもこれ以上は望まないから、彼女達を叩いたりはもうしません。
その代わり、貴方は主として彼女達のしたことを受け止めて教会に報告をし、罪を償わせることを約束してください・・・。」
しかしリリアナはキッ!と眉を吊り上げると強く頭を横に振った。
「いいえ、罪を償うべきは貴方の方だわリーネ!
私の大切なドールズをこんなに叩いたりして・・・許せない!!
どうしてこんなことをするの!?
・・・せっかくお友達になれたと思ったのに!!」
「叩かれるようなことをしたのは彼女達のほうだからよ!
さっき私が言ったことを聞いたでしょう!?
それなのにまだ彼女達を庇うつもりなの!?」
リーネはリリアナに解ってもらえないことに苛立ち、声を荒らげて返した。
リーネの言葉に逆上したリリアナは拳を握り締めて大きな声でヒステリックに言い返した。
「だから何度も言ってるでしょ!?
私の可愛いドールズがそんなことをするはずがないって!!
貴方こそ何故男なんかを庇うの!?
男なんて魅力的な女の人を見たら特定の相手がいてもすぐに心を奪われる生き物なのよ!?
お父様だってそうだもの!
美しいお母様がいながら愛人があちこちにいる・・・お母様がそのことでどんなに心を傷めているかも知らないで!
お父様はその代わりにお母様と私が欲しがっている物は何だって与えてくれるけれどね!
婚約者のユーリだって今はまだ12だからいいけど、いっつもふらふら旅ばかりしてるし、きっと後何年かすれば他の男みたいに汚らわしい欲の象徴を私に見せつけておいて、私に飽きればすぐ別の女に浮気するに決まってる!
彼が恩人でなければ婚約なんて断れたのに・・・!
それに男の中には相手が幼い子供であろうと性欲を剥き出しにするおぞましい輩だっているのよ!!
男なんてほんっとに、最低な生き物で大っ嫌いよ・・・!!
でも・・・見た目の美しい男と素晴らしい芸術を生み出せる男ならば存在を許してあげてもいいわ。
だってボラントは美しいものを愛する芸術の地だから!
でも、私の大切なドールズに邪な目を向ける者は美しくても絶対に許さない!!!」
リリアナはぁ、はぁ、はぁ、と荒く息をつきながらライキを強く睨みつけた。
それに対してリーネは今度は冷静に答えた。
「だからライキは貴方のドールズを邪な目で見たりなんてしていないし、寧ろ被害者だとさっきから言っているのにどうしてわかってくれないの?
・・・確かに治安の良いこの国にもリリアナ様が言うような性犯罪を起こす者もいるし、浮気をする人も多くいるわ。
でもライキみたいにパートナーに一途で、つがいの期間を乗り越えて祝福を得られる人だって沢山いるの。
それにリリアナ様のご婚約者の彼が浮気をするかどうかもまだわからないじゃない。
リリアナ様の周りにはたまたま悪い男の人がいて、彼らの言動が酷く貴方の心に残っているのかもしれないけれど、ロバートさんもノックスさんも、メアリさんは女の人だけど、皆良い人でしょう?
リリアナ様は見た目の美しさだけじゃなく、周りの人の心の中の美しさもちゃんと見るべきだと思・・・」
リリアナはリーネの言葉を途中で切って更にヒステリックに捲し立てた。
「うるさいうるさいうるさい!
貴方なんてただの雇われ冒険者のくせに、私にお説教しないでよ!!
何様のつもり!!?
その男がドールズに手を出したかどうかは別として、少なくとも私にを見せたことに違いはないでしょ!!
たとえそれが不可抗力だったとしても、それだけでもう側には置けないのよ!!
そんな男即刻解雇よ!!
今すぐ私の目の前から消えて!!!」
はぁ、はぁ、はぁと息をつくリリアナ。
リーネは悲しそうに眉を寄せて俯くと、少し間を置いてから顔を上げ、震える声で言った。
「そう・・・わかりました。
それなら私もライキと一緒にここで護衛を降ります・・・。」
そこでずっと一連のやり取りを見守っていたロバートが一歩進み出て言った。
「お待ち下さいお嬢様。
出ていく必要があるのはどなたなのか、もう一度良くお考え下さいませ。」
続けて馭者のノックスも恐る恐る一歩前に出て意見を述べた。
「銀色狼さんとは私の仕事を手伝ってくれたときにお話させていただきましたがとても好青年でした。
出来れば無事にボラントに着くまでは彼に護衛をお願いしたいと思っています。
何卒公平なご判断を・・・」
リリアナはロバートとノックスをギンッ!と睨むと強い口調で言った。
「年寄りと見苦しいデブは黙っててよ!」
ロバートはリリアナの罵声に慣れているのか顔色一つ変えなかったが、ノックスには応えたようで悲しそうに眉を寄せたので、ロバートがノックスを慰めるようにそっとその肩に手を置いた。
その直後、少し離れたところでそれらのやり取りを黙って見ていた金獅子が、腰に手を当て呆れたような顔をしながら数歩前に出て言った。
「年寄りと見苦しいデブに発言が許されないとは相変わらず容赦がないね、小さなお嬢様は・・・。
それなら僕は若いしデブじゃないし見苦しくもない筈だから発言しても良いよね?」
「はぁ!?貴方は突然何を・・・」
リリアナは不満気にレオンを見たが、それ以上は何も言われなかったのでレオンは発言を許されたと受け取り続けた。
「お嬢様、正しいのはリーネちゃんだよ。
銀色狼はワインに薬を盛られて強姦されそうになった被害者で、卑怯な悪者はあんたの可愛いドールズの方だ。」
レオンの予想外な発言にライキとリーネは耳を疑い目を見開いた。
「は?
貴方何を知ったふうなことを・・・」
とリリアナが怪訝な顔をした。
「知ったふうも何も、僕はその現場を見てるからね。」
「は!?」
リリアナが再度訊き返し、ライキとリーネも怪訝な顔で彼を見た。
「銀色狼がお嬢様、あんたのバスタブを運んでいるとき、風呂の支度が終わったら僕にテントの張り方を教えると言ったから、僕はガゼボの柱に凭れ掛かって銀色狼が来たらわかるようにと馬車のある方向を時々見ながら待っていたんだ。
そしたら間もなくして手ぶらになった銀色狼が戻ってきて馬車の近くに現れた。
だがそこでリーネちゃんのフリをしたドールズの1人がセディスを除く3人のドールズに絡まれる形でお嬢様、あんたの馬車の後席に入って行ったんだ。
銀色狼もそれに気がついたらしく、少しの間馬車の壁で聞き耳を立てたあとに馬車の中へと入って行った。
そしてすぐにセディスが現れ中に入り扉を締めたんだ。
その後いつまで待っても銀色狼が出て来ないから、僕は馬車まで様子を見に行ったんだよ。
そしたら扉の隙間から中から閂が降りているのが見えた。
きっとこの中で僕に起こったことと同じようなことが起こっているんだろうと思って、壁の継ぎ目に剣の切先を差し込んで隙間を広げ、中の様子を覗き見たんだ。
そしたら案の定銀色狼が服を脱いだドールズに次々と誘惑され、迫られてるところが見えた。
このまま銀色狼が流されればリーネちゃんへの裏切り行為になり、二人がつがいを解消することになるだろう?
僕としてはそれは望むところだったし、そのままこいつが流されればいいと思って黙ってそれを見てた。
だが銀色狼は流されるどころか不快感を露わにして拒み続けていた。
やはり予想通りか・・・これだから堅物はつまらないと思ったよ。
だがこれで銀色狼も僕と同じ”不能扱い”でドールズに罵られ、お嬢様にあらぬ事を告げ口され荷馬車に落とされることになるだろうから、そしたらさんざん馬鹿に出来るし、それで悔しがる銀色狼の顔を想像してはそれもありだなとニヤけてた。
だが銀色狼に対してはそれだけでは済まなかった・・・。
セディスがワインを持ち出してきて、銀色狼に渡すグラスに何かを混ぜているところが見えたんだよ。
それからの展開は胸糞が悪かったな。
それでも銀色狼は何とか抵抗していたが、流石に見ていられないから逆レイプされる前に助けてやろうと扉を叩いたりしてみたが、無駄だった。」
(朦朧とした意識の中で誰かが扉を叩く音が聴こえていた気がするが、あれは金獅子だったのか・・・!)
明かされた真実に驚きライキは目を見開いた。
レオンは更に続ける。
「いよいよ扉をぶち壊すしかないか?と思っていたら、銀色狼が4人のメイドと一緒に馬車の天井をすり抜けて空へ昇って行くところが見えたんだよ。
そしてリーネちゃんのいるここへと飛んで降り、今に至るというわけさ。
僕の証言をお嬢様、あんたが信じるかどうかは別として、ここでリーネちゃんに恩を売っておくのも悪くないと思って、僕の知っていることを全て証言させてもらった。
銀色狼にはまだテントの張り方を教えて貰ってないから今辞められても困るしな。」
ライキは皮肉混じりではあるが彼の善意をそれらの証言から感じ取り、表情を緩めた。
(金獅子・・・。
今まで奴の悪い部分ばかりを見てきたけど、人間として完全にクズというわけではないんだよな・・・。
正直見直した・・・。)
そんなレオンに対して蔑んだ目を向けながらリリアナは言った。
「ふん!
ドールズに手を出したお仲間同士だからって庇おうってわけ?
そんな証言、私が信じると思うの!?」
「あーあ・・・。
折角僕が柄にもない証言をしたというのにまるで届いちゃいないとは・・・。
これじゃわかりゃしないな・・・。」
レオンがドールズとリリアナを見比べ、肩をすくめて首を左右に振りながらそう呟いた。
それが聴こえていたリーネは少しの間顎に手を当て思考に耽けると、はっと何かに気がついてライキに耳打ちをした。
『ライキ、例の秘薬、まだ残ってるよね?』
『うん・・・ここに・・・』
とライキは執事服のカフスを指差した。
『それ貸してもらっていい?』
『良いけど・・・何をするんだ・・・?』
先程よりは喋れるようになったライキが小首をかしげた。
『うん・・・少し気がついたことがあって。
まずは何とかこれをリリアナ様に飲ませないといけないけど・・・。』
そこでリリアナがケホケホしながらメアリに向けて言った。
「メアリ、沢山声を出したから喉が痛くなったわ。
レモネードを作って頂戴。」
「はい、今直ぐにお作り致しますだ!」
リーネはチャンス到来と目を輝かせると、夕食の支度をしていた場所に戻り、手早くお湯を沸かして簡易テーブルの上にレモンのはちみつ漬けの瓶を出してレモネードを作り始めたメアリの元に、リリアナ達には気づかれないようにそっと忍び寄った。
そして、
「これもほんの少し入れるといいですよ?」
と秘薬の瓶を差し出した。
「これはなんだすか?」
とメアリ。
「えっと、ジンジャーで作ったシロップです!
風味も良くなるし喉にも良く効きますから。」
と言ってリーネは秘薬を1滴カップに入れるとマドラーで良く混ぜた。
「流石薬師の空駒鳥さんだな!
いつもよりも美味しそうな香りがするだ!
それじゃあ早速お渡ししてくるだよ!」
メアリはリーネに頭を下げるとリリアナの元へレモネードの入ったカップを持って行った。
「お待たせしましただお嬢様!
熱いのでお気をつけて、ゆっくりとお飲みになってくざせぇ。」
リリアナはメアリから渡されたカップに秘薬が1滴入っていることなど露知らず、それを受け取るとゆっくりと口に運んだ。
「・・・あら。
いつものレモネードよりもスッキリしていて美味しい・・・
それに、何だかイライラモヤモヤしていた気持ちが静まっていくみたい・・・。
私、さっきまでなんであんなにも頑な気持ちになっていたのかしら・・・?」
そんなリリアナの様子を面白くなさそうにセディスが見ていた。

レモネードを飲み終えたリリアナは、ライキとリーネに深々と頭を下げながら言った。
「銀色狼さんと空駒鳥さん。
二人を解雇するといったことは撤回するわ・・・。
何だかあの時の私、ドールズのことを指摘されたことで酷くイライラしていて・・・。
貴方達の話も聞かずに酷いことを言ってしまってごめんなさい・・・。」
ライキはあまりのリリアナの変わり様に目をパチクリさせて汗を垂らしつつ、ようやく元通りに利けるようになった口で返事をした。
「いえ・・・。
真実をわかっていただけたなら俺はそれでいいですから・・・。」
一方リーネは期待していた通りのリリアナの変化にニッコリと微笑んで、
「私も色々と失礼なことを言ってしまってすみませんでした。
あの・・・仲直りしましょ?リリ様。」
と握手を求めた。
リリアナも微笑み握手に応えた。
「またリリ様と呼んでくれて嬉しいわ!
引き続きボラントまでの護衛をよろしくね!
リーネ。」
「はい!
こちらこそよろしくお願いします!
・・・それでリリ様。
にはちゃんとオシオキをしてくださるんですよね?」
リーネが黒~い笑顔でリリアナにそう尋ねた。
(あ・・・久々に出たな、ブラックリーネ(笑)。
きっとわざとリリアナ嬢を煽るようなことを言って何かを試しているんだろうけど、でももしも秘薬の効き目が出ていないリリアナ嬢にこんなことを言ったら大変なことになるぞ・・・。)
とライキは密かに苦笑いをした。
「まぁリーネったら!
いくらドールズのみんなが銀色狼さんに酷いことをしたからって、私よりも6つも年上の淑女の貴方がそんな汚い言葉を使うものじゃないわ!」
リリアナのその反応を見てリーネは安心したのか、ほっと小さくため息をついて微笑んだ。
「・・・ドールズへの処罰については私一人で全てを決めるのはまだ難しいから、ひとまずボラントに無事着いてからお父様とお母様に相談をしてみます。
その上できちんと教会に報告をするつもりだから安心して?
だからボラントまではドールズも同行することになるけれど、貴方達となるべく顔を合わせなくて済むように、用がない限りドールズには後席から出ないように伝える・・・。
それでいいかしら?」
「「はい。」」
ライキとリーネは同時に返事をして頭を下げた。
「了承してくれてありがとう。
・・・でも銀色狼さん。
私やっぱり、男の人の大きくなったアレだけはとうしても駄目なの・・・。
貴方が悪くなくても、貴方の顔を見る度アレを思い出して気分が悪くなる・・・。
だから銀色狼さん、貴方は明日から荷馬車に乗ってくれるかしら?」
ライキのアレを思い出したのか、リリアナが真っ青になってそう言った。
「・・・俺を荷馬車に・・・。
リリアナ様のお気持ちはお察しします。
故意でないとはいえ、リリアナ様にお見苦しいモノをお見せしてしまったことも申し訳なく思ってます・・・。
ですがそうなりますと、もしも盗賊団と遭遇したときに、リリアナ様の護衛を出来る者が後衛職のリーネとモニカさんだけになります。
それが心配で・・・。
それならせめて金獅子をそちらにつけてはいかがですか?
奴はドールズとは何も無かったようですし、俺みたいにリリアナ様にお見苦しいものを見せたわけでもないですよね?」
「・・・そうだけど、貴方のモノを見た直後だからかしら?
今は彼の顔を見てもやっぱりアレを思い出してしまいそうだわ・・・。
爺や・・・ロバートは昔からの顔なじみだからかそんなことないんだけど・・・。」
と青い顔のままでリリアナが言った。
(どうしよう・・・リリアナ嬢にとって一生俺のチンコがトラウマだったら申し訳がないな・・・。
俺としても一刻も早く忘れて欲しいんだが・・・。
つか勃起、まだ収まらないぞ・・・。
いい加減どうにかならないのか・・・?
リーネに早く抜いてもらいたい・・・。
けど二人きりになるまでは我慢するしかないな・・・。)
ライキはそんなことを思いながら複雑に顔を歪め、リリアナに気づかれないようバスタオルを移動の力の応用技で少し浮かせてからどうしようもなくムズムズするそれを脈打たせた。
そしてどうにかまた平静を装い直すとリリアナに微笑みを向けて言った。
「・・・わかりました。
荷馬車は重量があるせいかどうしてもリリアナ様の馬車より遅れてしまうってノックスさんから聞きましたけど、俺の移動の力なら馬より早く飛んでいけますから、何かあったらすぐに荷馬車から駆けつけます。」
「えぇ、そうしてもらえるかしら。
よろしくね。
リーネ・・・彼、口は訊けるようになったみたいだけど、まだ薬が残っているんでしょう?」
「はい。
身体の痺れがまだ・・・。」
(おちんちんもまだ大きくなったままだろうけど多分射精しないと収まらないと思うし、これはリリ様には言わないでおこう・・・。)
等と思ってからリーネは続けた。
「でも翌朝には全ての薬の効果が完全に抜けると思います。」
「そう。
それなら今日は私のことはもういいから、後は彼についててあげて?」
リリアナはそう言って微笑み、「また後でね」と二人に手を振った。
「はい・・・リリ様、ありがとうございます・・・!」
ライキとリーネは去りゆくリリアナに深く頭を下げた。
リリアナは二人の元を離れると、今度はノックスのところへ行き、頭を下げていた。
「さっきは酷いことを言ってごめんなさい・・。
これからも荷馬車番と馬の世話をお願いね。
うちの馬、貴方のことが好きみたいだし・・・。
いつも丁寧な仕事をしてくれて感謝してるの・・・」
「いや、いいんですよそんな!
何だか久しぶりにお優しいお嬢様に戻って貰えて嬉しいです・・・。」
リリアナは涙ぐむノックスと握手を交わしたのち、今度はドールズに向けて言った。
「ドールズのみんな・・・私、今まで貴方達を甘やかし過ぎてたわ。
可愛がることと甘やかすことはきっと同じじゃないのに。
貴方達がこんなふうになってしまったのは、主である私の責任だわ・・・。
それに私、よく考えたら貴方達のこと良く知らないのよ。
何処の産まれでどのように育ってきたのか、何を大切にしているのか・・・そういったことをね。
もっと貴方達と沢山お話をして、不満があるのならそれを解消させてあげればよかった・・・。
それが出来ていれば、こんなふうにはならなかったわよね?
本当にごめんなさい・・・。
ボラントに帰ったら全てをお父様とお母様と教会の神父さんにお話して、それから貴方達の正式な処罰を決めることになると思うけれど・・・貴方達は誰かを殺害したわけでもないし、盗みを働いたわけでもない。
銀色狼さんに危険な薬を使った罪は問われるでしょうけど、強姦は未遂に済んでいるし、今までの他の男の人との関係は合意の上でしょ?
それならあまり酷い懲罰を与えられることにはならないと思うの。
それに私も主として貴方達の罪が少しでも軽くなるよう精一杯手を尽くと約束する・・・。
だから今は取り敢えず馬車に戻ってくれるかしら?
後でロバートに夕食を届けさせるから、一緒に食べましょう。」
「えぇ・・・それでは失礼致します。」
セディスはそう言ってリリアナに頭を下げると、ライキとリーネ、そしてレオンとモニカにチラッと不敵な笑みを向けてから、他の4人を引き連れて馬車のほうへと戻って行った。

それらのやり取りを少し離れた木の下で見ていたライキは隣のリーネに言った。
「すげーなリリアナ嬢・・・。
10歳とは思えない立ち振る舞いだし、まるで別人みたいだ・・・。」
「そう思うよね・・・。
でもきっと今のが素のリリ様なんだよ。
今まではドールズが良い思いが出来るようにをリリ様に使って定期的に暗示をかけてたんだと思う・・・。
ドールズの犯した罪が露呈するのを防いだり、彼女達がやりたくない仕事をしなくても良いようにね。
リリ様にドールズのことで何を言っても話が通じないから変だとは思ってたんだけど、金獅子さんの「どっちがドールなんだか」っていう言葉で、昔おばあちゃんから聞いた”マリオネット”っていう、人の気持ちを暗示をかけることで操作出来る良くない薬があることを思い出したの。
調合がとても難しい薬でこの国ではおばあちゃんしか作れないと言われていて、おばあちゃんのところにマリオネットの制作依頼が来ることもあったらしいんだけど、おばあちゃんはそれは人道に反した薬だからっていつも断ってたって・・・。
でも国外にはそういう仕事でも引き受けてしまう薬師もいるみたいで、この国でも町のアングラなお薬を扱うお店なんかで手に入れることが出来ちゃうみたいなの・・・。
もしかしたらリリ様、そのマリオネットを使われているんじゃないかと思って・・・。
でももしも薬でかけられた暗示なら、ライキに渡してた秘薬をリリ様に使ったら無効化されるかなって試してみたの。
そしたらあの通り、効き目があってよかった!
もしもリリ様に使用されたマリオネットにもダルダンテ神の力が働いていたら、あんなに即効性は無かったと思うから私達あのままクビになってただろうけど・・・。」
とリーネが舌を出して笑った。
「ははっ、そうだな。
でもそうなったとしても俺達は別の方法で皆を助けたり盗賊団を潰すための行動を起こすことも出来る。
その行動が冒険者のノルマや報酬に繋がらないのは痛いけど、俺としてはドールズと一緒に行動するよりは気が楽だな・・・。
リリアナ嬢が素に戻ったお蔭でクビにはならずに済んだけど、これからの道中で彼女等が近くにいるのは不気味でならない・・・。
特にセディスは間違いなくダルダンテ神に通じている筈なのに、目が赤くならないし何を考えてるのかわからないからな・・・。」
「ライキ、酷い目に遭わされたものね・・・。
でも大丈夫だよ。
きっとこの任務ではもう仕掛けてこないから。」
「だといいけど・・・確証はあるのか?」
「無いけどなんとなく・・・女の勘?
それにこれからの道中、ライキに指一本触れさせないよう私が必ず守ってみせるから安心して?」
「リーネ、そのセリフは男前過ぎだろ!
まるでお姫様を守る騎士ナイト様みたいだ(笑)
あ、騎士ナイトといえばあいつは・・・?」
ライキが金獅子を探して辺りを見渡すと、リリアナの相手をするモニカを見守るように天幕の近くの木の幹に凭れて立っていた。
そのモニカはバスローブ姿のリリアナを見てクスッと微笑むと言った。
「そういえばお嬢様、入浴途中でしたよね?
今湯を温めますから、入り直されてはいかがですか?」
「あら、そうだったわ!
私いつまでもバスローブ姿で何やってるのかしら・・・。
シャンプーと身体を洗うのはリーネがしてくれたけど、やっぱり身体が冷えちゃってるからあなたの言う通り入り直したほうがいいわね。
手伝ってくれるかしら?」
「畏まりました、お嬢様。
ですがその前に少しだけ失礼致しますわね。」
モニカはそうリリアナに断りを入れてからレオンの元に行き、優しく微笑んで言った。
「レオン様、先程の証言、とてもカッコ良かったですよ?」
更に彼の耳元に唇を寄せると小声でこう付け足した。
『・・・後でたっぷりご褒美を差し上げますわね。』
レオンは目を見開き真っ赤になると、頭から湯気を立ち昇らせた。
「それではリリアナ様がこれから入浴されますので、レオン様は皆様のところで待っていてくださいな。
そのうちお夕食もできるでしょうし。」
うふふ!とイタズラに微笑みながら天幕に消えるモニカを見送った後、レオンは言われた通り野営の中心地であるガゼボのほうへ向かっていた。
すると移動の力を使って地表から30㎝程浮いて飛んでいるライキがリーネと手を繋いでレオンを追いかけてきた。
「金獅子!」
「銀色狼・・・何だ?
・・・浮いているのか?」
レオンは足を止めて二人を振り返るとライキの状態を尋ねた。
「あぁ・・・まだ痺れてて自力で歩けないから移動の力で浮いてるんだ。
肩を借りるよりリーネに負担をかけなくて済むからな。」
(未だ勃起したままだけど、性的興奮の勃起じゃないからか、移動の力のコントロールには影響が出なくて助かった・・・。)
「それより・・・。
あんたが証言してくれたお蔭で疑いが晴れて、明日からあんたと同じ荷馬車のほうに乗ることにはなったが、任務は続行出来るよ。
ありがとう・・・。」
ライキはそう言うと素直に頭を下げた。
「・・・ふん。
あの場で言っただろう?
僕はリーネちゃんに恩を売っておきたかっただけだって。」
そう言ってそっぽを向くが、彼の頬は照れて赤く染まっていた。
「くすくす・・・
金獅子さんったら照れてる!
私からもお礼を言わせてください。
ありがとうございます・・・。」
リーネも少し笑った後に頭を下げた。
「・・・リーネちゃん、少しは僕に惚れた?」
レオンはフッと微笑んでリーネに尋ねた。
「いえ、それは全くないですけど!」
と満面の笑みのリーネ。
「ないのかよ!
相変わらず手厳しいな、リーネちゃんは・・・。」
とレオンは苦笑した。
「でも・・・貴方の良いところもこれからはもっと知っていけたら良いなって・・・。
ね?ライキ!」
「うん・・・。」
ライキはリーネに頷くと、痺れが抜けてようやく動かせるようになったばかりの右腕をレオンに差し出した。
「・・・何だこの腕は。」
「いいからあんたも同じように腕を出すんだよ。」
「・・・?
こうか・・・?」
レオンは言われるがままに腕を出した。
するとライキがその腕にコツッ!と自らの腕をぶつけた。
「なっ!?
何なんだ今のは!
これに何の意味があるんだ!?」
レオンは意味がわからないと困惑している。
「何ってクロス当てだよ。
意味は・・・なんかあんたにはまだ教えたくないかな。
気色悪いとか言われそうでムカつくし。
まぁこの国にいたらそのうちわかるだろ・・・。」
ライキがそう言って目の前に見えてきたガゼボに視線を移すと、レオンが置いたままにしていたテントの入った袋2つが目に入った。
ライキはそれを移動の力でふわふわと持ち上げると言った。
「さて・・・辺りはすっかり暗くなったけど、夕食前にテントを張っておこう。
リーネ、足元が見えないと張れないからライトの魔法を頼むよ。」
「はぁい!」

─ライト!─

リーネの光魔法で何とかテントが張れるくらいに辺りが明るくなったので、ライキは丁度いい大きさの岩に腰をかけるとレオンに言った。
「つーわけで金獅子、あんたにはこれから約束通りテントの張り方を教える。
でも俺はまだ痺れが残ってて力を使うことは無理そうだから、やり方を口で指示するから張るのはあんたに任せたぞ。
ついでに俺たちのテントもあんたに頼むよ。」
「仕方が無いな・・・。
・・・こうか?」
ライキの言うようにやってみるレオン。
「・・・違う、よく見ろよ。
そこのポール、ちゃんと繋がってないぞ?
リーネ、悪いけどそっち支えてやって。」
「はぁい!」

15分後─。
彼らの目の前には隙間だらけでヨレヨレのテントが一つ張られていた。
強めの風が吹けば吹き飛んでいってしまいそうだ。
「・・・・・はぁ。
・・・あんた不器用だな・・・。
こんなヨレヨレのテント見たことがないぞ・・・。
まぁそれでも一応張れてはいるし、初めてだから大目に見てやろう・・・。
ほら2個目もあるぞ?
今度はもっと上手く張ってくれよ?
やり方ならさっき教えたから大体覚えているだろう?」
ムスッとしつつも2個目のテントを組み立てるレオン。
「おいポール、また間違えてるぞ?
膜ももっと皺を伸ばせって!
ほらそこ、もっと深くペグを刺さないと!」
「あぁもう!
銀色狼はいちいち細かいんだよ!」
「みなさーん!
お夕食が出来ましただよ~~~!」
そうして護衛任務最初の日の野営の最中に起こった嵐は去り、後は穏やかに夜が更けていくのだった。
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