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7.
しおりを挟む「…できない…?…どうして、お父様、」
「出来ないという訳じゃないわ、レイラ。
…あぁ駄目よ泣かないでちょうだい…」
泣かないでいられたのが不思議なほどわたしの涙腺は、あの時から壊れてしまっていた。
来週には領地へ行けるはずだった。
ーー馬車の中で目覚めて、御者に彼が馬車まで送ってくれたと聞いた時はどうしようかと思ったけれど。
疑われなくて済むよう、日にちを空けてから理由を話した。
こっそり抜け出して市井にまで出かけて、それを装って。
多少辻褄は合わなくても詳しくは覚えていないと言い張った。
感じた恐怖は本物だったから震えるわたしを見て両親は悟ってくれた。信じてくれた。
騙すのは気が引けた。馬鹿な真似をしている。でも必死だった。
抜け出した事で家の者を咎めないようお願いして、カティグラに行きたいと懇願した。
わたしには貴族としても、彼の婚約者としても価値は無くなったと。
それは事実。
言えなかったのは、
わたしが彼に、あれほどまでに憎まれていた事実だけ。
母の腕の中にいるわたしを、父が痛ましげに見つめる。
「……リノーヴァ侯爵子息が、会いたいと言っている」
「ーー」
「話がしたいと。保留してくれと頭を下げるんだ…何度も。解消など、……したくないと泣いていた」
「ーー泣い、…?」
父が何を言っているのか理解出来ない。
何を、したくない、と、?
彼が、
「ーーそんな事あり得ない。」
「……レイラ」
「何かの間違いだわ。「レイ、」
「だっておかしいでしょう?今までずっと放っておかれたわ二人とも知ってるでしょう?わたしが、…しがみ付いていただけだわ…」
「…」
「ーー嫌よ会いたくない。傷物になったんだもの。こんな姿見せられない。
誰にも、…会いたくないの…家族以外…邸にいるみんな以外…お願いよお父様お断りして、決してーー」
「ーー…お待ち下さい子息様…っ」
その時扉の向こうが騒がしくなり、隔てていたそれは大きな音を立てて開かれた。
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