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世界の色

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『レオニールさまのひとみはお空の色ですね』

『…うん。父上もお祖父さまも、みんなそうなんだ。…空は色を変えるけど、くもった眼で、ものごとをみてはいけないんだって。
晴れた眼で、遠くまでみわたさないとだめなんだ。…ぼくはくもり空だってすきだけどね』

『わたしもすきです。雲は雨も雪ももっているから。それにいつだってその上には晴れたお空があります。
…わたしはレオニールさまのひとみがだいすきです』

『……ティアリアのひとみは、海のようだし森のようでもあるよね。
…ぼくは、きみに会えない日はそれを思いだすし、部屋からこの丘をみて、きみを想ってるんだ。
ぼくもきみのひとみがすきだよ。
ティアリア、…ティア、の、…きみのことが、すきだ…魔力だって大事だけどそんなものなくたって、きみがすきだ。…婚約を、受けてくれてありがとう』









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『改めて言わせてもらうが。
私はティア以外娶るつもりは無い。
成人してるといってもまだ学生、学園内でのことだとティアの温情のみで生きながらえているだけだ。卒業すればティアが何と言おうと容赦はしない。
小心者が徒党を組み偉くなったつもりか?
どれだけ醜い顔をしているか気づいてないのか?他人を貶す行為が自らの価値だけじゃなく、家名をも貶めていると何故気づかない?
いい加減弁えて身の程を知れ。……平気か?ティア』

『はい。…お話を伺っていただけなのですが、お騒がせして申し訳ございません』

『…ティア、お話はね、大人数で一人を囲んで人気のない場所に呼び出して罵詈雑言を浴びせられることじゃないって何度も教えただろう?……おいで、帰ろう』

『……ニール様』

『ん?』

『皆さん、ニール様をお慕いしているのです。…その気持ちがわかるんです。私は幸運にもニール様のおそばにいる事をゆるされました。…けれど私も向こう側にいたかもしれない…報われない気持ちの行き場は、『ティア。

どんな理由があっても人を傷つけていい理由にはならない。誰かのせいにして楽になるのは一瞬だ。
自分の気持ちなら尚更どうにかできるのは自分だけ。ーーそれに。
慕っていようがいまいが俺は要らない。
俺が欲しいのはティアの気持ちだけ。
ティアが傷つけられると俺が悲しい。
だから理由を作っちゃ駄目だ。一人で決めちゃ駄目だ。他の誰かじゃなく、ティアの気持ちぜんぶ、俺に寄越して』









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『……ニール様、』

『立太子した姿だけでも見せられて良かった。ロキアンの成人も間に合った。
マリアンヌは難しいだろうからせめてティアの花嫁姿だけでも見せたかったが。楽しみにしていたからな』

『…力及ばず、申し訳、ございません…』

『馬鹿を言うな。干渉しないギリギリで頑張ってくれただろ、みんなもそうだ。
運命を決めるのは己だけだ。それを操るなんて傲慢は母上が許してくれないさ』

『…』

『ありがとう、ティア。父上は側妃を持たず母上だけを愛した。母上も生涯父上だけを愛した。困難もあっただろうが、両親はやり遂げた。俺もそうありたい。
……だから、……置いていくなよ……』









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『…わたし、も、レオニールさまがだいすきです…っどんな姿でも、どんなふうに生きても、わたしはずっと、レオニールさまのおそばにいます…っ』

『……うれしい。……ありがとう』

『…』

『…ティア、…?』

『…わたしたちは、いつでも会えるんですね…空をみて、丘をみて…たとえ離れていたって、いつだって思いだせる…』

『そうだね、でも、…離れないよ。
おなじ景色を、一緒にみよう。…ずっと、』



やくそくだよ。













そう言ってはにかんだ、まだ少年だった貴方の笑顔で私は夢から覚めた。


世界は貴方の色で、溢れている。

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