涙袋 PART2 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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「哀・戦士」編

   第328夜・『哀・戦士(存在感のない俺/無視刑)』

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☆・・・2,3日前のことだ。

 朝、その前夜に食事をしていなかったので、吉野家の朝定食を食べようと、八王子のとある店舗に行った。

 吉野家は、最近、「2ちゃんねる」などで、色々とバッシングにあっているが、私にとっては、他に代わるもののない牛丼屋だ。

 一時期、アメリカ産牛肉が輸入ストップになり、吉野家は牛丼の提供を休止・・・、その後、再開してから、昔ほどの美味しさを感じなくなってしまったのだが、

 それは、休止期間に、思い出の味覚を美化していたのかもしれないなと思って、何か物足りなさを感じつつも、吉野家の牛丼を楽しんできたものだった。

 さて、店に入る。

 私は、朝定食は、ハムエッグ定食牛皿付きを頼むことにしている。

「ごはん、大盛り頼んじゃおっかなぁ^^」などと考えていた。

 座席につく。

 しかし、店員が来ない。

 そう言えば、「いらっしゃい!」の声もなかった。

 店内には何組かの客が食事をしていた。

 と、私の後に、男の客が入ってきた。

 すると、店内に「いらっしゃいませ!」の声が響いた。

 そして、女の子のバイトが、その男の注文を取りに来た。

 ・・・お、俺の注文は・・・、そもそも、俺のほうが先に来ているのに・・・。

   ◇

 私は悲しくなりつつ、昔見た米ドラマ「トワイライトゾーン」の1エピソード<無視刑>の話を思い出した。

 人に冷たくあたってばかりいた男が、裁判所で「無視刑」に処せられ、誰からも相手にされなくなるのだ。

 もちろん、買い物に行っても無視される。

 で、オチとしては、刑期を終えた男が町を歩いていると、通りを誰からも無視される受刑者の女がさまよっていて、

 無視刑を終えて更正した男は、その女を無視できようはずがなく、町中で抱きしめてしまうのだった・・・。

   ◇

 で、私のほうは、いたたまれなくなって、朝、通勤途中に遠回りまでして寄った吉野家を、目的を果たさずに出た。

 すると、「無視刑」よりも酷い仕打ちが!!!

「ありがとうございました!!!^^」

 うな垂れて店を去る私の背中に、店員のダメ押しの一言が響くのだった・・・。

                            (2010/08/11)
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