涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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第2章・この世界の片隅で

   第135夜・『モスクワ経由パリ行き [ロシア上空の美人姉妹](前編)』

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 私は、人生で重要なことがあり、二泊一日のフランス旅行を敢行したことがある。

 7万2千円のアエロフロートのチケットを購入し、成田にて機乗の人となった・・・。

 私は通路側の席だったのだが、隣りの席に、とても可愛い日本人姉妹がいた。

 10歳と8歳くらいの娘で、どちらも比較的おとなしいのだが、やはり子どもらしくキャーキャー言ってもいる。

 しかし、その向うに、二十代後半ぐらいのお姉さんがいて、「静かにしなさい」とか厳しくしつけていた。

 私が、そちらの会話を小耳に挟むに、どうやら、二人は、バレエの留学を、モスクワかパリにするらしいのである(モスクワでトランジット後、姿を見せなかったので、モスクワ留学か・・・)。

 どうやら、その厳しいお姉さんは、二人のバレエの先生らしいのだ。

 姉妹は、とても美しい顔立ちで、整いすぎていて、・・・二人とも髪をヒッツメの髪型にしていたので、同じ顔に見えたのだが、やや妹の方の体が小さかった。

 どっちにしても可愛いので、私は、昔のアメリカのアニメに出てきた「ヒューヒュー・ポーポー」を思い出すのだ。

 二人は、飛行機に緊張しているのだろうか? 姿勢正しく座っていた。

 膝に両手をちゃんと乗せて、背筋を伸ばしていた。

 そのお姉さん先生の顔も、とても綺麗だった・・・。

 瓜実顔に切れ長の瞳、鼻筋がビシッと通っていて、あごも尖っている。

 ただ、口もとだけが、姉妹に注意をし続けているので曲がっていた^^;

 さて、機中の食事タイムになった。

 ・・・私は何を食べたか忘れてしまったが、バリバリ食っていた。

 ふと、隣りを見ると、姉妹は機内食を前にして、お姉さん先生の指示を待っている。

 お姉さんは、二人の食事のパッケージを開くと、そのオカズ一品一品を指差し、「これは食べてイイ。これは食べちゃダメ」と示すのだった。
それは、【カロリー制限】であった・・・。

 バレリーナっちゅうのは、こんな小さな時から、体型維持を考えなくちゃならないのだなあ、と思ったものだ。

 機内の彩光は閉じられ、電灯は消され、睡眠タイムになった。

 私は、本を読んでいた。

 お姉さん先生はグースカ寝ていた。

 けれど、可愛い姉妹は起きていた。

 特に会話を交わしている訳でもなく、これからの生活を考えると緊張で眠れないのかも知れず、アーモンドみたいな瞳を前に向けていた。

 私は、時おり、その可愛い顔を見つめた・・・。

                ・・・(すぐに続く 2004/12/03) 
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