涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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第2章・この世界の片隅で

   第145夜・『社長の視察と、恥知らずな俺:後篇』

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   (前回からの続き)

 ・・・子供はいい・・・。

 ただ遊んで、学校で勉強している振りをしてればいいのだから・・・。

 小学生の姪っ子・甥っ子なんか、夏休みで、ずっとうちに来ているんだけど、うちは地デジ不対応なので、レンタルビデオを見せているのだが、『ハリーポッター』1~5、『ラブ☆コン』、『ハンサムスーツ』『僕の彼女はサイボーグ』『イケちゃんと僕』『デトロイト・メタル・シティ』『悪夢のエレベーター』『おんなのこ物語』『下妻物語』『ヤッターマン(実写)』と見続け、「終わりなき休日」をエンジョイしている^^

 もちろん、日中は、顔を真っ赤にして、友達と外を走り回っている。

 ・・・赤ちゃんはもっといい・・・。

 寝て、腹が減ったら泣けばいいのだから・・・。

 ・・・大人は辛い・・・、かくも過酷な状況に置かれても、無表情で動き続けなくてはならないのだ。

 私は、ポーカーフェイスで作業を実行した。

 だが、心の中で、「マジかよ、マジかよ、早く去ってくれよ社長さん、いつまで見ているんだよ。マジかよ、マジ、マジ、マジカルエミィ…。いや、ちょっと待て、今はそんなことを考えている時ではない。集中! 集中!」などとサヴァン症候群のように色んなことを矢継ぎ早に考えていた。

 時間にすると数分なのだろうが、・・・長かった。

 社長は、私から、他のものに興味を移したかのようで、去っていった。

 だが、視察集団の中から、支店の管理者の方が、私のトコに静かに近づいてきて、言った。

「軍手、しなさい」

 !!!

 あああ、私は、午前中に軍手を用意までしときながら、休憩を挟んで、それを忘れていた。

 私は、三つのミスを犯した。

 犯しまくっちゃった。

 見境なしだ。

          ・・・(ちょい続く 2011/08/05)
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