エンジェル・ド・ミネーション

未来玲那

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天使達の神話

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まだ天使にウィングとリングが両方とも授けられていた時代。
そして、天使が天使として人類と関わりを持たずにいた時代。
ミリーとランゼルという2人の男天使メジェルがいたという。
2人はとても仲が良く、周りもそれを微笑ましい目で見ていた。
しかし、ある日ランゼルの父、ランナーが下界に降りた際、人間に殺されてしまった。
父の死はランゼルにとって人類への恨みだった。
父を殺したような人類はごく僅かなのだという恩師の教えでさえ耳を貸さなかった。

そんな時、ランゼルはミリーが教舎でいじめられている事を知る。
その理由が、人類と天使の間の子だからだというものだった。
確かに、ミリーは昔から苦手なことが多く、リングとウィングは平均的なものより劣っていた。
 
しかしそれは個人差で気にすることはないと思っていた。

それを聞いたランゼルはミリーの元へと行き、問いただす。
「お前は人間との間の子なのか。」と。

結果、ミリーは肯定も、否定もしなかった。
そのことがよりランゼルの恨みを強くした。

ずっと仲がいいと思っていたミリーが自分に何も教えなかったことに。
ずっと仲の良いと思っていたミリーのそんなことも気づかなかった自分に。
そして、死ぬほど恨んでいる人間との間の子であるミリーの血に。

ミリーとランゼルの友情にヒビが入るのは一瞬で、
ミリーはそれも仕方がないと思っていた。
ランゼルは元々熱く、容赦のない天使だった。ミリーはそんなランゼルが好きだった。

ある日、ランゼルが家に帰ると、いつもは笑って迎える母がいなかった。
母は強い人だと思っていた。
父が亡くなってからも、ランゼルのためためだといつも笑顔で過ごしていた。

後から気づいたことは取り返しがつかない。母は強くなんてなかった。
笑っていないと泣いてしまうから笑っていたのだ。
笑って大丈夫だと言い聞かせているだけだった。

母は死んでから見つかった。父を殺した人間に報復を与えるために、禁忌である死の呪いの反動を受けて。


どうしてこうなったのか、ランゼルの出す答えは人間のせいだというものしかなかった。
人間が父を殺すから。人間が母を殺したのだ。

人間がいなければ。人間がいなければ。人間がいなければ。
人間を殺したい。人間を殺したい。人間を殺したい。
人間を殺そう。







そういえば、ミリーは人間の子だった。








ランゼルは人間への恨みで堕ちた。
虐殺の天使として無差別に人を殺した。
ランゼルに期待してた天使の長は失望し、正気へ戻るまで待とうとしたが、ランゼルの殺戮がそれを許さなかった。
長はランゼルのウィングと天使としての能力を剥奪し、下界へと墜とした。
しかし、ランゼルの天使としての刻印は剥奪しなかったので、下界へと堕ちた時にランゼルが天使であることはすぐにわかった。
そして、ランゼルもまた人類に殺された。




長は2度とそのようなことが起こらぬよう、天使を2種類に分けて、力を分散させることにした。
そして、人間からの恨みを少しでも軽減するために、天使だけで血を受け継ぐことをやめ、人間から天使が出来るように世界を変えた。

その結果、人間が15歳前後になると人類は3分割されるようになった。


その長の判断は正しかったのかどうか、それもまだ分からない。
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