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第四章 南大陸
拾われ子と惨禍 九 ―憎悪―
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「鬼を一撃? マジか」
『イザベラさん……!』
「イザベラ……Aランクハンターか!」
『!!』
ぞわりとスイの背中に悪寒が走った。耐性装備が反応を示している。
『イザベラさん! ノズチは闇魔法を――』
使います。そう言い切る前にイザベラはノズチに突進し、その身体を持ち上げると地面へと叩き付けた。
「がっ!?」
『…………!?』
構える間も無く相手を叩きのめした姿に、スイはグリズリーを投げ付けて大木の幹を折ったマリクを思い出す。
『(ち、力と速さがあれば大抵の奴は小難しい事考えなくても倒せる……)』
生前のマリクがよく言っていた言葉だ。それを聞く度にレイラは苦笑いを浮かべ、スイには向かないから真似しない様にと何度も言い聞かせた。
「闇魔法なんてアタイには効かないよ。そんなひょろっちい精神、持ち合わせてないからね」
『え』
スイはまじまじとイザベラを見る。肌の露出が多いイザベラに、耐性装備らしき物は確かに無い。
「精神論で闇魔法を無効化させるとか、本当に人間かコイツ……!?」
「本当に人間か、なんてアンタに言われたくないよ」
「ぐっ!?」
襟首を掴まれ、持ち上げられたノズチは苦しさと熱さに悶える。イザベラの全身から、魔力が怒りと共に発せられていた。
イザベラと離れているスイですら、肌が灼けるのを感じる程だ。
「アンタだろう。あんな事を仕出かしたのは」
「……な、んの事を、言ってんの?」
ノズチを持ち上げているイザベラの左腕に、血管が更に浮き出る。
「そうかい。心当たりが有りすぎて、どれか解んないってか。クソ野郎だねぇ!」
「あ"っ!」
『イ、イザベラさん……』
再び叩きつけられ、ノズチの頭から血が飛び散る。
アレックスと同じく大雑把で、朗らかで、豪快で、姉御肌なイザベラ。そんな普段の姿とは似ても似つかない、怒りに燃えるイザベラにスイは慄いた。
「スイ、この先にあるものを見たかい?」
『い、いえ。見ていません』
「なら良かった。あんなの、見るもんじゃない」
『……何があったんですか?』
ノズチを睨んだまま、イザベラは数秒黙っていたが、「酷い有様だった」と前置きすると自分が見た光景を話し出した。
「この先には、町の住人が避難している教会があった。入りきれない人達は、比較的損傷の無い建物に逃げて息を潜めていたんだ」
基本的に、教会はひとつの町に一堂だけだ。リーディンシャウフは大きな町なのもあって複数あるが、片手の指の数に収まる。当然、入りきれない人々も出てきてしまう。彼等は、結界が無い状態に怯えながらも、戦士達がこの惨禍から町を守り切ってくれる事を信じて耐えているのだ。
それを知っているからこそ、スイの様に町に残ったハンターや冒険者などの戦士達は、一刻も早く大襲撃を終わらせるべく誘魔アイテムの滅却や町の死守に心血を注いでいる。
『……教会が、あった……?』
スイは嫌な予感を覚えた。教会に避難しているのは一般人と聖職者だ。聖職者は光魔法を使えるが、戦闘能力はほぼ無い。
「教会の中は血の匂いが充満していた。床も壁も真っ赤になり、血浸しとなったそこに骸が散乱していたよ。何人がそうなったのかは解らない。五体満足な死体は無かったからね」
『…………』
スイの思考は一瞬止まり、言葉を失った。開いた口が塞がらないまま、イザベラの話の続きを聞く。
「近くの建物にいた住人達も残らず同じ有様だった。アタイはそこそこ生きてるし、ハンターとしてもそれなりに長いけど、あんな胸糞悪い光景は見た事が無い。アンタ、ノズチと言ったね」
頭から流血するノズチを、激情に駆られた桜桃色の眼が睨みつける。
「アンタ、人間の中でもとりわけ子どもに怨みがあるだろう。じゃなければ、あんな惨たらしい殺し方は出来ない。子ども達も、あんな表情にはならない」
恐怖に怯え、泣き叫んだまま死んだ子どもの顔。殺された子ども達は、皆同じ表情だった。
「答えな」
「……はっ」
鼻で嗤ったノズチは侮蔑の眼でイザベラを見下ろす。
「怨みなんて、そんな簡単な一言に収まるもんじゃない。ガキなんてこの世で最も害悪な存在だ」
「違う。子どもは愛されるべき存在だ。世界の次代を担う、光であり可能性そのものだ」
「それこそ違うっ! そんなもの綺麗事だ!」
吐き捨てる様に叫んだノズチの爪が、イザベラの腕を掴んだ拍子に皮膚に突き立った。
血が滲み、腕を伝ってもイザベラは狼狽えない。ノズチを締め上げながら、その呪い言を受け止めている。
「あんな醜い奴等が光……? 愛されるべきだと……? 笑えない、ホント笑えないよ……。何も解ってない、何も見えてない……!!」
ノズチからも魔力が立ち上る。召喚の魔法陣が光を帯びた。
『! まずい……っ!』
魔法でしか戦えない今、喚ばれたモンスターによってはスイは足手まといとなる。
丸腰よりはマシかと、アイテムポーチの中にあるナイフを取り出そうと手を入れた瞬間、足元の影の中に気配を感じた。
よく知った気配は、ずっと張り詰めていた心に安心感を齎した。
《大丈夫か、スイ!?》
『コハク!』
影の中から、ショートソードを咥えたコハクが飛び出してきた。
笑みを浮かべたスイだが、その顔がすぐに焦りへと変わる。コハクの身体は所々血に濡れていた。
ショートソードを差し出すと、スイの視線に気付いたコハクは傷のひとつを舐めた。
《どれも致命傷じゃないから大丈夫だ。でも、魔力に余裕があるなら治してくれると助かる》
『! 解った!』
《(スイは心配性だからな)》
コハクはスイの性格をよく知っている。自分の方が窮地に陥っていても、他人の心配をするし、平気だと言っても更に心配する。
本当に大した事はなくても、頼った方がスイに余計な心労を掛けなくて済むのだ。
《(……それに、あの鬼って奴がまた喚ばれたらまずい)》
モンスターの本能は敏感だ。自分より強い者を正確に感知する。アサシンレオウルフはB+ランク、鬼はAランク。勿論、個体によって多少違いはあるが、天災と同義のAランクに分類されているかいないかで、その脅威は大きく異なる。
ショートソードを受け取ったスイは、空いてる左手でコハクに治癒魔法をかけて傷をすべて治した。
それと同時に、魔法陣から光が放たれ、複数の強力な気配が現れた。
グーロ、チェンジリザード、グリズリー、トロール、そして。
『鬼……!』
スイはショートソードに魔力を乗せて構え、コハクは体勢を低くする。一対一でも苦戦する様な上位モンスター達を相手に数の不利。背中を嫌な汗が流れたのをスイは自覚した。
「おや、まるでダンジョンみたいだね」
『……ノズチは精霊を殺してダンジョンから魔法陣の写しを持ち出したと言っていました』
「じゃあ、まるでも何もダンジョンの魔法陣そのものって事か。それにしても精霊まで手に掛けたってのかい」
「あがっ!」
地面に放り投げられたノズチに、影が重なる。本能で命の危機を感じ、すぐに飛び出すと斧が地面を割った。
「元々生かす気は無かったけど、尚更生かしておけないね。アンタは絶対に殺す。法の裁きじゃ、アンタの手から人々の未来を守れない」
「やれんのかよ、クソハンター。お前が俺に構ってる間、スイとワンコロだけで今出てきた奴等を相手にするんだよ? 嬲り殺しになるよ?」
ノズチは刀を抜いた。頭から血を流し嗤うその姿は狂気的だ。
「はっ」
「……何がおかしいの?」
イザベラには焦りの片鱗すら見えない。苛立ちを見せたノズチに、イザベラは挑発する様に笑った。
「アンタと違って、アタイらはひとりじゃないんだよ」
「……!」
『!』
《やっと来たな》
此方に向かってくる複数の人の気配。スイの中に希望と安堵が広がっていく。
「スイ、コハク! 大丈夫!?」
「スイ様、遅くなり申し訳ございません!」
「はー、疲れたー……うぉ!? こっちの方がやべー奴等多くね!?」
『皆……!』
仲間と言うものがどれだけ有難い存在か、どれだけ頼れる存在か。スイは旅をしてきた中で、この時それを最も身に沁みて理解した。
『大丈夫です……ありがとうございます……!』
心の底から、最大の感謝を皆に述べる。
《人間は足が遅い》
『コハクが速いんだよ』
フンッと不満気に溜息を吐いたコハクに、スイが苦笑いを浮かべる。ずっと気を張り詰めていたスイに、少しだけ心に余裕が生まれた。
それを見たノズチの声がぐっと低くなる。
「何それ。仲間とかくだらない、気色悪ぃ。……たかが数人増えただけで何安心しちゃってんの」
魔法陣が再び光る。新たに出てくるモンスターは、一匹二匹では止まらない。
《まだ増えるぞ!》
「鬼は儂が引き受ける。皆には他を頼みたい」
「解った、お願い。でもアタシらから離れ過ぎちゃ駄目だよ。ニコやスイも、絶対孤立はするな! 組んで戦うよ!」
『はい!』
「了解。多分俺が一番危ねーしな。……あれ、言ってて悲しくなってきた」
「ニコ、泣くのは後!」
「泣いてねーよ!」
互いが互いの背中を守る形で、モンスター達と向き合う。
自分と向き合うイザベラ越しにスイ達を見るノズチの苛立ちが頂点に達した。
「ウザい……ウザいウザいウザい……! 胸糞悪い……! お前ら、こいつらを殺せ! あぁ……でもスイは最後に俺が殺るから駄目。だから、それ以外だ。四肢を噛みちぎり、目を抉って、内蔵を引きずり出して、最高の絶望と苦痛を与えてから殺せ!」
紫色の眼がその色を濃くする。途端、モンスター達が咆哮し、一斉にスイ達に遅いかかった。
「来るぞ!!」
この日、町で一番の激戦がこの場所で始まった。
『イザベラさん……!』
「イザベラ……Aランクハンターか!」
『!!』
ぞわりとスイの背中に悪寒が走った。耐性装備が反応を示している。
『イザベラさん! ノズチは闇魔法を――』
使います。そう言い切る前にイザベラはノズチに突進し、その身体を持ち上げると地面へと叩き付けた。
「がっ!?」
『…………!?』
構える間も無く相手を叩きのめした姿に、スイはグリズリーを投げ付けて大木の幹を折ったマリクを思い出す。
『(ち、力と速さがあれば大抵の奴は小難しい事考えなくても倒せる……)』
生前のマリクがよく言っていた言葉だ。それを聞く度にレイラは苦笑いを浮かべ、スイには向かないから真似しない様にと何度も言い聞かせた。
「闇魔法なんてアタイには効かないよ。そんなひょろっちい精神、持ち合わせてないからね」
『え』
スイはまじまじとイザベラを見る。肌の露出が多いイザベラに、耐性装備らしき物は確かに無い。
「精神論で闇魔法を無効化させるとか、本当に人間かコイツ……!?」
「本当に人間か、なんてアンタに言われたくないよ」
「ぐっ!?」
襟首を掴まれ、持ち上げられたノズチは苦しさと熱さに悶える。イザベラの全身から、魔力が怒りと共に発せられていた。
イザベラと離れているスイですら、肌が灼けるのを感じる程だ。
「アンタだろう。あんな事を仕出かしたのは」
「……な、んの事を、言ってんの?」
ノズチを持ち上げているイザベラの左腕に、血管が更に浮き出る。
「そうかい。心当たりが有りすぎて、どれか解んないってか。クソ野郎だねぇ!」
「あ"っ!」
『イ、イザベラさん……』
再び叩きつけられ、ノズチの頭から血が飛び散る。
アレックスと同じく大雑把で、朗らかで、豪快で、姉御肌なイザベラ。そんな普段の姿とは似ても似つかない、怒りに燃えるイザベラにスイは慄いた。
「スイ、この先にあるものを見たかい?」
『い、いえ。見ていません』
「なら良かった。あんなの、見るもんじゃない」
『……何があったんですか?』
ノズチを睨んだまま、イザベラは数秒黙っていたが、「酷い有様だった」と前置きすると自分が見た光景を話し出した。
「この先には、町の住人が避難している教会があった。入りきれない人達は、比較的損傷の無い建物に逃げて息を潜めていたんだ」
基本的に、教会はひとつの町に一堂だけだ。リーディンシャウフは大きな町なのもあって複数あるが、片手の指の数に収まる。当然、入りきれない人々も出てきてしまう。彼等は、結界が無い状態に怯えながらも、戦士達がこの惨禍から町を守り切ってくれる事を信じて耐えているのだ。
それを知っているからこそ、スイの様に町に残ったハンターや冒険者などの戦士達は、一刻も早く大襲撃を終わらせるべく誘魔アイテムの滅却や町の死守に心血を注いでいる。
『……教会が、あった……?』
スイは嫌な予感を覚えた。教会に避難しているのは一般人と聖職者だ。聖職者は光魔法を使えるが、戦闘能力はほぼ無い。
「教会の中は血の匂いが充満していた。床も壁も真っ赤になり、血浸しとなったそこに骸が散乱していたよ。何人がそうなったのかは解らない。五体満足な死体は無かったからね」
『…………』
スイの思考は一瞬止まり、言葉を失った。開いた口が塞がらないまま、イザベラの話の続きを聞く。
「近くの建物にいた住人達も残らず同じ有様だった。アタイはそこそこ生きてるし、ハンターとしてもそれなりに長いけど、あんな胸糞悪い光景は見た事が無い。アンタ、ノズチと言ったね」
頭から流血するノズチを、激情に駆られた桜桃色の眼が睨みつける。
「アンタ、人間の中でもとりわけ子どもに怨みがあるだろう。じゃなければ、あんな惨たらしい殺し方は出来ない。子ども達も、あんな表情にはならない」
恐怖に怯え、泣き叫んだまま死んだ子どもの顔。殺された子ども達は、皆同じ表情だった。
「答えな」
「……はっ」
鼻で嗤ったノズチは侮蔑の眼でイザベラを見下ろす。
「怨みなんて、そんな簡単な一言に収まるもんじゃない。ガキなんてこの世で最も害悪な存在だ」
「違う。子どもは愛されるべき存在だ。世界の次代を担う、光であり可能性そのものだ」
「それこそ違うっ! そんなもの綺麗事だ!」
吐き捨てる様に叫んだノズチの爪が、イザベラの腕を掴んだ拍子に皮膚に突き立った。
血が滲み、腕を伝ってもイザベラは狼狽えない。ノズチを締め上げながら、その呪い言を受け止めている。
「あんな醜い奴等が光……? 愛されるべきだと……? 笑えない、ホント笑えないよ……。何も解ってない、何も見えてない……!!」
ノズチからも魔力が立ち上る。召喚の魔法陣が光を帯びた。
『! まずい……っ!』
魔法でしか戦えない今、喚ばれたモンスターによってはスイは足手まといとなる。
丸腰よりはマシかと、アイテムポーチの中にあるナイフを取り出そうと手を入れた瞬間、足元の影の中に気配を感じた。
よく知った気配は、ずっと張り詰めていた心に安心感を齎した。
《大丈夫か、スイ!?》
『コハク!』
影の中から、ショートソードを咥えたコハクが飛び出してきた。
笑みを浮かべたスイだが、その顔がすぐに焦りへと変わる。コハクの身体は所々血に濡れていた。
ショートソードを差し出すと、スイの視線に気付いたコハクは傷のひとつを舐めた。
《どれも致命傷じゃないから大丈夫だ。でも、魔力に余裕があるなら治してくれると助かる》
『! 解った!』
《(スイは心配性だからな)》
コハクはスイの性格をよく知っている。自分の方が窮地に陥っていても、他人の心配をするし、平気だと言っても更に心配する。
本当に大した事はなくても、頼った方がスイに余計な心労を掛けなくて済むのだ。
《(……それに、あの鬼って奴がまた喚ばれたらまずい)》
モンスターの本能は敏感だ。自分より強い者を正確に感知する。アサシンレオウルフはB+ランク、鬼はAランク。勿論、個体によって多少違いはあるが、天災と同義のAランクに分類されているかいないかで、その脅威は大きく異なる。
ショートソードを受け取ったスイは、空いてる左手でコハクに治癒魔法をかけて傷をすべて治した。
それと同時に、魔法陣から光が放たれ、複数の強力な気配が現れた。
グーロ、チェンジリザード、グリズリー、トロール、そして。
『鬼……!』
スイはショートソードに魔力を乗せて構え、コハクは体勢を低くする。一対一でも苦戦する様な上位モンスター達を相手に数の不利。背中を嫌な汗が流れたのをスイは自覚した。
「おや、まるでダンジョンみたいだね」
『……ノズチは精霊を殺してダンジョンから魔法陣の写しを持ち出したと言っていました』
「じゃあ、まるでも何もダンジョンの魔法陣そのものって事か。それにしても精霊まで手に掛けたってのかい」
「あがっ!」
地面に放り投げられたノズチに、影が重なる。本能で命の危機を感じ、すぐに飛び出すと斧が地面を割った。
「元々生かす気は無かったけど、尚更生かしておけないね。アンタは絶対に殺す。法の裁きじゃ、アンタの手から人々の未来を守れない」
「やれんのかよ、クソハンター。お前が俺に構ってる間、スイとワンコロだけで今出てきた奴等を相手にするんだよ? 嬲り殺しになるよ?」
ノズチは刀を抜いた。頭から血を流し嗤うその姿は狂気的だ。
「はっ」
「……何がおかしいの?」
イザベラには焦りの片鱗すら見えない。苛立ちを見せたノズチに、イザベラは挑発する様に笑った。
「アンタと違って、アタイらはひとりじゃないんだよ」
「……!」
『!』
《やっと来たな》
此方に向かってくる複数の人の気配。スイの中に希望と安堵が広がっていく。
「スイ、コハク! 大丈夫!?」
「スイ様、遅くなり申し訳ございません!」
「はー、疲れたー……うぉ!? こっちの方がやべー奴等多くね!?」
『皆……!』
仲間と言うものがどれだけ有難い存在か、どれだけ頼れる存在か。スイは旅をしてきた中で、この時それを最も身に沁みて理解した。
『大丈夫です……ありがとうございます……!』
心の底から、最大の感謝を皆に述べる。
《人間は足が遅い》
『コハクが速いんだよ』
フンッと不満気に溜息を吐いたコハクに、スイが苦笑いを浮かべる。ずっと気を張り詰めていたスイに、少しだけ心に余裕が生まれた。
それを見たノズチの声がぐっと低くなる。
「何それ。仲間とかくだらない、気色悪ぃ。……たかが数人増えただけで何安心しちゃってんの」
魔法陣が再び光る。新たに出てくるモンスターは、一匹二匹では止まらない。
《まだ増えるぞ!》
「鬼は儂が引き受ける。皆には他を頼みたい」
「解った、お願い。でもアタシらから離れ過ぎちゃ駄目だよ。ニコやスイも、絶対孤立はするな! 組んで戦うよ!」
『はい!』
「了解。多分俺が一番危ねーしな。……あれ、言ってて悲しくなってきた」
「ニコ、泣くのは後!」
「泣いてねーよ!」
互いが互いの背中を守る形で、モンスター達と向き合う。
自分と向き合うイザベラ越しにスイ達を見るノズチの苛立ちが頂点に達した。
「ウザい……ウザいウザいウザい……! 胸糞悪い……! お前ら、こいつらを殺せ! あぁ……でもスイは最後に俺が殺るから駄目。だから、それ以外だ。四肢を噛みちぎり、目を抉って、内蔵を引きずり出して、最高の絶望と苦痛を与えてから殺せ!」
紫色の眼がその色を濃くする。途端、モンスター達が咆哮し、一斉にスイ達に遅いかかった。
「来るぞ!!」
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