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第五章 再会
拾われ子とおにぎり
『………………』
ソウジロウが十年前の事を話し終えた時、スイは嗚咽を堪えて泣いていた。落ちた涙が服を叩き、ぱたぱたと音を立てる。
明かされた真実が、母の真意が、スイの心の深い所まで浸透していく。
「……もっと早く、お話すべきでした。申し訳ございません、スイ様」
シュウトからも、スイが当時何があったかをよく覚えていないとは聞いていた。
まだ三歳と幼過ぎた故に異常事態を認識しきれていなかったのではないか。また、成長の過程で記憶が薄れたのではないかと思っていたが、その認識は大きな誤りだったとソウジロウは自分を責める。
あの時のサクの願いに応え、セイはスイの記憶に干渉したのだろう。しかし、それは理由は不確かだが完全ではなかった。
唯一覚えていた当時の記憶にどれだけ苦しんでいたのかを、ソウジロウはスイの表情を見て思い知った。
『……わ、私は……っ、捨て、捨てられて、なかった……!』
アサシンレオウルフの親子と同じ様に、サクはスイを守る為に手放した。あの怒声は、スイにではなくイズモへの怒りだった。
三年前、シュウトの言っていた通りだったのだ。
「えぇ、捨てるなど有り得ません。サク様はスイ様の事を心から愛しているのですから。昔も、今も変わらずに」
『私は……わた、しは…………っ!!』
母に嫌われていたのではなかった。
捨てられてもいなかった。
本当は。
『ごめんなさい、ごめんなさい、母様……』
本当は、想われていた
『うわぁぁぁぁ……母様ぁ……!』
十年越しに知った真実に、スイは母を呼び、泣きながら謝る。
マリクとレイラに拾われた時と同じ様に。
けれど、あの時とは違う感情で。
ずっと母の事を勘違いしていた罪悪感と、母の愛を知った安堵と喜び。膨らみ続ける感情を抑えきれず、胸の辺りをぎゅっと握った。
十年感じ続けた傷が癒え、痛みが消えていく。胸の辺りにあった澱みが、涙と共に流れていく。
止まらない涙に、舐め取るのを止めたコハクがそっと寄り添うと、スイはコハクを抱き締めた。縋り付く何かを求めて力が込められた腕を、コハクは一切抵抗せずに受け入れてスイの肩に顎を乗せる。
そうして時間が経ち、漸く泣き止んだ頃、スイはぽつりと呟いた。
『……目が開かない……ほっぺ痛い……』
泣き腫らした両瞼と、ざらざらの舌で何度も舐められて赤くなった左頬。
申し訳なさそうな顔をしたコハクが謝罪のつもりでうっかり頬を舐めようとして、ソウジロウに視線で咎められて萎縮した。
「どちらも腫れましたなぁ……。まずは冷やした方が良いですな。スイ様、此方へ」
スイを椅子に座らせると、ソウジロウはアイテムポーチから出した二枚のタオルの内、一枚を水魔法で濡らしてスイに渡し、瞼を冷やさせた。
次に桶と火の魔石を取り出し、洗面台で桶に水を貯めて戻ってくると火の魔石で水を湯にし、そこにもう一枚のタオルを入れて固く絞る。
「次はこちらを瞼にお使いください。頬は私めが冷やします」
『……ソウジロウさん……』
「はい」
『ひとつ、訊きたい事があるんです』
「なんでございましょうか」
『……私がセイに連れられた後、母様と、姉様と兄様は……大丈夫だったんでしょうか……? 怪我は……』
視界を塞ぐ温タオルの向こうで、ソウジロウがホッと表情を緩めた事にスイは気付かない。
「はい。あの後も、そして今も、御三方は無事にございます。我等従者一丸となって、その身をお守りしております故、ご心配には及びません」
『……良かった。ありがとうございます』
強ばっていた声が和らぐ。安心したのと、泣き疲れもあるのだろう。温タオルを瞼に押し付け、頬に冷タオルを当てられているスイは椅子に完全に背を預けて脱力した。
すると、室内に「きゅうううう」と小さく軽い音が広がった。
耳をピンと立てたコハクと、ソウジロウが丸くした眼を見合わせる。ふたりの眼が、この場にいるもう一人へ向いた。
『………………』
タオルで目元は隠れているが、恥ずかしげに下唇を噛んでいるスイはタオルを持ってない方の手を腹に当てている。
その甲斐無く、もう一度同じ音が鳴り、腹を押さえる手に力が入った。
「スイ様、よろしければこちらをお召し上がりくださいませ」
『……ふぇ?』
頬から冷たいタオルが離れ、そろりと温タオルをずらしたスイは、テーブルの上に置かれた皿を見た。山型に米を固めた物が二個乗せられている。
『これは……』
「長い話になるだろうと思い、お夜食を用意しておりました。スイ様は、数ヶ月前から三食では足りておられないでしょう?」
ぎくりとスイは顔と身体を強ばらせた。ソウジロウの言う通り、リーディンシャウフを出る前からやたら空腹になる様になったのだ。
復興地であるリーディンシャウフでおかわりをするのは憚られたので我慢していたが、東大陸へ行く為に町を出てからは三食の量を少し増やしていた。
それでも足りず、間食として携帯栄養食と牛乳も摂っていた。時々、こっそり夜も。
「ほほっ、それを咎めるつもりはございませんとも。身体が栄養を欲しているのでしょう。我慢をしては身体に悪影響を及ぼします。遠慮無くお召し上がりくださいませ。お茶も温かいものをお淹れしましょう」
ソウジロウに促されて、スイはそれを手に取った。見覚えのあるその食べ物に名前は何だったかと考えて、リーディンシャウフで思い出した記憶の中から引き出す事に成功した。
『……おにぎり、だったかな……?』
「そうです。覚えておいででしたか」
嬉しそうに笑ったソウジロウの目尻の皺が深くなる。それを見てスイの表情も明るくなった。
昔の話をし始めてから、ソウジロウがずっと笑顔とは遠い表情をしている事を、スイはずっと辛く感じていたからだ。自分がそんな表情をさせてしまっていると罪悪感を覚えていた。
いつも穏やかでいるイメージが強いのもあるが、ソウジロウはスイにとって大事な存在の一人になっている。
悲しんだり辛そうにしているよりも、笑っていてほしいのだ。
『いただきます』
「えぇ、どうぞ」
山の天辺を齧り、咀嚼する。塩と、米の味。米粒の食感。懐かしさに、記憶の中から浮かんだ光景に色が蘇った。
『……小さい時に、誰かとおにぎりを食べた事があった様な……これとは別の形だった気がしますけど』
「よく覚えておいでで……確かにございました。山型ではないとなると……ふむ、シュウト様がまだ料理に不慣れな時ですかな」
『え?』
「スイ様がお産まれになる前から、シュウト様は既にハンターとして大陸と島を行き来しておりました。ですが、食生活が乱れる様になりましてな。スイ様が一歳になるか否かの頃でしたか、身体に不調を来し自炊をするようになりました」
身体は食べた物で作られる。ソウジロウやイズミとの手合わせで不調を見抜かれたシュウトは不摂生を白状し、二人に叱られた。
そして、イズミに提案された事もあって台所頭やサクに教わりながら料理を勉強するようになったのだ。
「最初、おにぎりを綺麗に握れなかったのです」
『この形にするの、難しいんですか?』
「手が小さいと難しいようです。成人男性であれば難なく握れる形だと思いますが……慣れれば、と付け足しておきましょう」
大きさはバラバラ、形も歪。丸型になれば良い方で、凸凹になったり何故か四角くなったりしていた。
山型に苦戦した結果である不揃いおにぎりの山が盛られた皿を傍に起き、縁側で小腹を満たすのと消費を兼ねてそれらを頬張っているシュウトの背に何かがぶつかった。
気配と足音で、近付いてくるのが誰なのかを把握していたシュウトはお茶を飲みながら振り向く。
小さなスイが、短い両腕を目一杯広げてぺったりと背中にくっついていた。
歩く事が出来るようになり、何処に行くのも楽しい時期であるスイは、よく屋敷内を歩き回ってはこうして誰かしらに突撃していた。
翡翠と燐灰石の眼が、皿に積まれている不揃いおにぎりに釘付けになっている事にシュウトは気付く。
形の悪い物をあげて良いのかと躊躇ったが、自分が握ったのだから毒は無いし、腹を空かせているならばあげない方が良くないかとシュウトはスイを膝に乗せて、皿からひとつおにぎりを取った。
一番小さい物を選んだが、それでもスイの小さな手には有り余る大きさだ。ついでに、形がぼこぼこしている。
シュウトが持ってスイの口許に近付けると、シュウトの大きな手に自身の小さな手を重ねてスイはおにぎりに齧り付いた。
丸い頬を更に丸くして、もぐもぐと口を動かしている様子は、さながら小動物の様だ。
そんな事を考えていると、一口目を飲み込んだスイが『あー』と声を出して口を開けていた。
期待の眼差しで見上げてくるスイに、シュウトも微笑っておにぎりを差し出す。時々、喉に詰まらせない様にお茶も飲ませてもらいながら、スイは半分程食べたのだった。
「ほっほっほっ、大変微笑ましい光景でした」
『………………』
ソウジロウはにこにこと笑っているが、スイは無言でおにぎりを口に含んだ。目尻が赤いのは泣いたからかもしれないが、頬が赤いのはそれを理由には出来ないだろう。
ソウジロウが十年前の事を話し終えた時、スイは嗚咽を堪えて泣いていた。落ちた涙が服を叩き、ぱたぱたと音を立てる。
明かされた真実が、母の真意が、スイの心の深い所まで浸透していく。
「……もっと早く、お話すべきでした。申し訳ございません、スイ様」
シュウトからも、スイが当時何があったかをよく覚えていないとは聞いていた。
まだ三歳と幼過ぎた故に異常事態を認識しきれていなかったのではないか。また、成長の過程で記憶が薄れたのではないかと思っていたが、その認識は大きな誤りだったとソウジロウは自分を責める。
あの時のサクの願いに応え、セイはスイの記憶に干渉したのだろう。しかし、それは理由は不確かだが完全ではなかった。
唯一覚えていた当時の記憶にどれだけ苦しんでいたのかを、ソウジロウはスイの表情を見て思い知った。
『……わ、私は……っ、捨て、捨てられて、なかった……!』
アサシンレオウルフの親子と同じ様に、サクはスイを守る為に手放した。あの怒声は、スイにではなくイズモへの怒りだった。
三年前、シュウトの言っていた通りだったのだ。
「えぇ、捨てるなど有り得ません。サク様はスイ様の事を心から愛しているのですから。昔も、今も変わらずに」
『私は……わた、しは…………っ!!』
母に嫌われていたのではなかった。
捨てられてもいなかった。
本当は。
『ごめんなさい、ごめんなさい、母様……』
本当は、想われていた
『うわぁぁぁぁ……母様ぁ……!』
十年越しに知った真実に、スイは母を呼び、泣きながら謝る。
マリクとレイラに拾われた時と同じ様に。
けれど、あの時とは違う感情で。
ずっと母の事を勘違いしていた罪悪感と、母の愛を知った安堵と喜び。膨らみ続ける感情を抑えきれず、胸の辺りをぎゅっと握った。
十年感じ続けた傷が癒え、痛みが消えていく。胸の辺りにあった澱みが、涙と共に流れていく。
止まらない涙に、舐め取るのを止めたコハクがそっと寄り添うと、スイはコハクを抱き締めた。縋り付く何かを求めて力が込められた腕を、コハクは一切抵抗せずに受け入れてスイの肩に顎を乗せる。
そうして時間が経ち、漸く泣き止んだ頃、スイはぽつりと呟いた。
『……目が開かない……ほっぺ痛い……』
泣き腫らした両瞼と、ざらざらの舌で何度も舐められて赤くなった左頬。
申し訳なさそうな顔をしたコハクが謝罪のつもりでうっかり頬を舐めようとして、ソウジロウに視線で咎められて萎縮した。
「どちらも腫れましたなぁ……。まずは冷やした方が良いですな。スイ様、此方へ」
スイを椅子に座らせると、ソウジロウはアイテムポーチから出した二枚のタオルの内、一枚を水魔法で濡らしてスイに渡し、瞼を冷やさせた。
次に桶と火の魔石を取り出し、洗面台で桶に水を貯めて戻ってくると火の魔石で水を湯にし、そこにもう一枚のタオルを入れて固く絞る。
「次はこちらを瞼にお使いください。頬は私めが冷やします」
『……ソウジロウさん……』
「はい」
『ひとつ、訊きたい事があるんです』
「なんでございましょうか」
『……私がセイに連れられた後、母様と、姉様と兄様は……大丈夫だったんでしょうか……? 怪我は……』
視界を塞ぐ温タオルの向こうで、ソウジロウがホッと表情を緩めた事にスイは気付かない。
「はい。あの後も、そして今も、御三方は無事にございます。我等従者一丸となって、その身をお守りしております故、ご心配には及びません」
『……良かった。ありがとうございます』
強ばっていた声が和らぐ。安心したのと、泣き疲れもあるのだろう。温タオルを瞼に押し付け、頬に冷タオルを当てられているスイは椅子に完全に背を預けて脱力した。
すると、室内に「きゅうううう」と小さく軽い音が広がった。
耳をピンと立てたコハクと、ソウジロウが丸くした眼を見合わせる。ふたりの眼が、この場にいるもう一人へ向いた。
『………………』
タオルで目元は隠れているが、恥ずかしげに下唇を噛んでいるスイはタオルを持ってない方の手を腹に当てている。
その甲斐無く、もう一度同じ音が鳴り、腹を押さえる手に力が入った。
「スイ様、よろしければこちらをお召し上がりくださいませ」
『……ふぇ?』
頬から冷たいタオルが離れ、そろりと温タオルをずらしたスイは、テーブルの上に置かれた皿を見た。山型に米を固めた物が二個乗せられている。
『これは……』
「長い話になるだろうと思い、お夜食を用意しておりました。スイ様は、数ヶ月前から三食では足りておられないでしょう?」
ぎくりとスイは顔と身体を強ばらせた。ソウジロウの言う通り、リーディンシャウフを出る前からやたら空腹になる様になったのだ。
復興地であるリーディンシャウフでおかわりをするのは憚られたので我慢していたが、東大陸へ行く為に町を出てからは三食の量を少し増やしていた。
それでも足りず、間食として携帯栄養食と牛乳も摂っていた。時々、こっそり夜も。
「ほほっ、それを咎めるつもりはございませんとも。身体が栄養を欲しているのでしょう。我慢をしては身体に悪影響を及ぼします。遠慮無くお召し上がりくださいませ。お茶も温かいものをお淹れしましょう」
ソウジロウに促されて、スイはそれを手に取った。見覚えのあるその食べ物に名前は何だったかと考えて、リーディンシャウフで思い出した記憶の中から引き出す事に成功した。
『……おにぎり、だったかな……?』
「そうです。覚えておいででしたか」
嬉しそうに笑ったソウジロウの目尻の皺が深くなる。それを見てスイの表情も明るくなった。
昔の話をし始めてから、ソウジロウがずっと笑顔とは遠い表情をしている事を、スイはずっと辛く感じていたからだ。自分がそんな表情をさせてしまっていると罪悪感を覚えていた。
いつも穏やかでいるイメージが強いのもあるが、ソウジロウはスイにとって大事な存在の一人になっている。
悲しんだり辛そうにしているよりも、笑っていてほしいのだ。
『いただきます』
「えぇ、どうぞ」
山の天辺を齧り、咀嚼する。塩と、米の味。米粒の食感。懐かしさに、記憶の中から浮かんだ光景に色が蘇った。
『……小さい時に、誰かとおにぎりを食べた事があった様な……これとは別の形だった気がしますけど』
「よく覚えておいでで……確かにございました。山型ではないとなると……ふむ、シュウト様がまだ料理に不慣れな時ですかな」
『え?』
「スイ様がお産まれになる前から、シュウト様は既にハンターとして大陸と島を行き来しておりました。ですが、食生活が乱れる様になりましてな。スイ様が一歳になるか否かの頃でしたか、身体に不調を来し自炊をするようになりました」
身体は食べた物で作られる。ソウジロウやイズミとの手合わせで不調を見抜かれたシュウトは不摂生を白状し、二人に叱られた。
そして、イズミに提案された事もあって台所頭やサクに教わりながら料理を勉強するようになったのだ。
「最初、おにぎりを綺麗に握れなかったのです」
『この形にするの、難しいんですか?』
「手が小さいと難しいようです。成人男性であれば難なく握れる形だと思いますが……慣れれば、と付け足しておきましょう」
大きさはバラバラ、形も歪。丸型になれば良い方で、凸凹になったり何故か四角くなったりしていた。
山型に苦戦した結果である不揃いおにぎりの山が盛られた皿を傍に起き、縁側で小腹を満たすのと消費を兼ねてそれらを頬張っているシュウトの背に何かがぶつかった。
気配と足音で、近付いてくるのが誰なのかを把握していたシュウトはお茶を飲みながら振り向く。
小さなスイが、短い両腕を目一杯広げてぺったりと背中にくっついていた。
歩く事が出来るようになり、何処に行くのも楽しい時期であるスイは、よく屋敷内を歩き回ってはこうして誰かしらに突撃していた。
翡翠と燐灰石の眼が、皿に積まれている不揃いおにぎりに釘付けになっている事にシュウトは気付く。
形の悪い物をあげて良いのかと躊躇ったが、自分が握ったのだから毒は無いし、腹を空かせているならばあげない方が良くないかとシュウトはスイを膝に乗せて、皿からひとつおにぎりを取った。
一番小さい物を選んだが、それでもスイの小さな手には有り余る大きさだ。ついでに、形がぼこぼこしている。
シュウトが持ってスイの口許に近付けると、シュウトの大きな手に自身の小さな手を重ねてスイはおにぎりに齧り付いた。
丸い頬を更に丸くして、もぐもぐと口を動かしている様子は、さながら小動物の様だ。
そんな事を考えていると、一口目を飲み込んだスイが『あー』と声を出して口を開けていた。
期待の眼差しで見上げてくるスイに、シュウトも微笑っておにぎりを差し出す。時々、喉に詰まらせない様にお茶も飲ませてもらいながら、スイは半分程食べたのだった。
「ほっほっほっ、大変微笑ましい光景でした」
『………………』
ソウジロウはにこにこと笑っているが、スイは無言でおにぎりを口に含んだ。目尻が赤いのは泣いたからかもしれないが、頬が赤いのはそれを理由には出来ないだろう。
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