54 / 107
第二章 死ぬまでにしたい【3】のこと
54話 そうだ、魔女に会いに行こう!② イザベラファミリー
しおりを挟む
アルトメイアの兵士は途端に挙動不審になった。
わたくしが微笑むと、顔をそらした。
「ブリジット・バーナードと申します。以前お会いしましたかしら」
「い、いえ。バーナード伯爵令嬢でいらっしゃいましたか。とんだ失礼をお許しくださいませ。どうぞ、中へお入りください」
イザベラに追いつくと、それはそれは、巨大な扉がゆっくりと開く。
「お化け屋敷のホラー顔の逆バージョン魔法だ。あれを家でも使うと、兵にばれると思って、逆にめちゃくちゃ美人に見える魔法を試したけど、成功したみたいだな。どうだ、自分がキラキラ美人のご令嬢になった気分はよ」
「なんだか。落ちつきませんわ。とにかく突破できてよかったです」
門の中からローブを被ったちいさな女の子が出てくる。
「お姉ちゃん、おかえり」
イザベラに抱きつく女の子。
「元気だったか、ベアトリーチェ! 紹介するよ。私の妹だ」
顔をみたが、紫の髪、紫色で切れ長の目だが、イザベラほどするどくはない。イザベラを小さく、かわいくした姿だ。
「この人たちは奴隷? それとも、生け贄?」
ベアトリーチェがイザベラの背中に隠れ、聞いた。
「と……ととと、友達だ」
イザベラは目が泳ぎまくり、汗をダラダラと出ていた。
「お姉ちゃん……。とうとう、お金で友達を買ったんだね……お金で買ったものは友達じゃなくて、使用人っていうんだよ」
ベアトリーチェは目元をぬぐったあと、哀れな姉を見つめた。
「昔はなー。アルトメイアを横断できるほどの数の友達がいたんだぞ」
「家に友達つれてきたこと、ないよ」
「いや、この家、普通に怖いだろ! みんな怖がっちゃってな! だから、友達の家に遊びに行っていたんだよ! ベアトリーチェも友達きたら気を遣うだろ」
「お姉ちゃん。一度も友達の家に行ったことない。毎日家で魔法の勉強してた。えらい」
イザベラの白い肌がさらに白くなった。
「ウィンストン学園の長期休みに帰ってきた時、フェイト様をずっとライバルだと言っていた。1回も勝てなかったって、地団駄踏んでいた。ずっと無視されているって悲しがっていた。いまも無視してる? お姉ちゃん、フェイト様のこと好きだけど、素直になれなくて、嫌がらせして、ちょっかい出すしか人との付き合い方がわからないの。友達もいないから、仲良くしてあげて? お願いします」
わたくしは目尻をぬぐって、ベアトリーチェを抱きしめた。
「大丈夫よ。イザベラとは和解しましたから。心配いらないわ」
イザベラは白目になって、ガタガタと震えていた。見ていられなくて、わたくしたち三人は、そっと彼女の肩を叩いていった。
「同情すんな! 私だって色々あったんだ!」
肩を落とすイザベラにわたくしは言った。
「今日だってわざわざ連れてきてくれたではないですか。 わたくしたちはもう立派な友達ですよ。イザベラ」
「フェイト……おまえ……」
イザベラが涙目で抱きしめてくるのをひらり、とかわした。
「そこは抱きつかせろよ!」
「すみません。条件反射で、ついっ」
城内は暗く、階段の足下にのみランプが設置してあった。いったいどれだけの高さの天井なのか暗い内側からは計りかねた。
「ようこそ。照覧の魔女。久しいな。歓迎致しますよ」
地を這うような低い声。遠くから聞こえたようにも、すぐ耳元で聞こえたようにも思える。
中央の二階へと通じる大きな階段の踊り場に黒い人影が見える。
その影はふっと、消えた!
真横に巨大な影が突如あらわれた。
「っっっっっっっっっっ」
口を手で押さえた。
背が高い……ローブを着ていて正確なところはわからないが、2メートル以上あるのではないか。騎士のジェイコブにも負けない長身だ。
「驚かせて、ごめんなさいね。どうも。【黒闇の魔女】です。長旅、疲れたでしょう。食事の用意をしてあります……あら、2名ほど、多い。イザベラ、話が違うわ。イザベラとフェイトちゃんだけのはずよね。お呼びする人数が違うと、食事の準備がちゃんとできない。恥をかく。私が恥をかく。あああああ! 私が恥をかくの!!! 恥ずかしいいいいいい。 ねぇ、イザベラ。どういうことなの!」
「す、すみません。母さん。彼女たちが急に一緒にくるって」
「言い訳? ねえ。イザベラ。私に、いま、言い訳をしているの?」
イザベラがわたくしの背中に隠れ、震えている。
黒闇の魔女はじぃーと、巨大車椅子を見て、首をかしげた。
「ねえねえ。ねえねえねえ。どうしてどうしてどうして。貴方がいるの? なんのつもり? 答えて答えて?」
うわぁ! 急にマデリンが黒闇の魔女に絡まれています。
「……」
「マデリン、黙っていないで、なにかお話しください! 黒闇の魔女がお怒りですよ」
さすがのマデリンも恐怖で縮こまっているのでは?
みんなで、そぉーっと、車椅子の中をのぞき込む。
――寝てましたー! ぶれないお方ー! 暗いし、静かだし、まあ、寝ますよねー。貴方様なら。
「……。おお! 黒闇の魔女、久しいの! マデリン・シャルロワじゃ。以前妾が魔女研究でこの城を訪れて以来じゃの」
マデリンは相手がだれであろうが、まったく対応を変えず、清々しいほどの自分流を貫き通した。
「なにしにきた。私はもう、あんたの顔も見たくないし、話したくないし、面倒もごめん」
マデリンは楽しそうに寝転がって、あくびをする。
「よいよい。黒闇が妾を嫌っても、妾は黒闇を愛しておる。今日はフェイトの付き添いできた」
「おまえ。いまがどんな状態かわかっているのか? へらへらと車椅子でふんぞりかえって。癪に、癪に癪に癪に、さわる」
黒闇の魔女は巨大な手をわきわきさせて、怒りに打ち震えていた。
「だからこそ、妾は来た。妾はフェイトにずっと世話になっておる。もし、すこしでも出来ることがあるのなら、見届けたいと思ってな」
マデリンはわたくしの方に顔を向けて、うなずいた。
いつものゆるゆるの表情ではない。強い決意を秘めた、引き締まった表情だ。
マデリン、こんなにも頼もしい方だったのですね。
その凜々しい表情のまま、鼻提灯を出した。よだれもセットだ。気持ちよさそうな寝息さえ、添え物として追加された次第。
「いい。もういい。相手するだけ疲れる。食事にしましょう。こんなこともあろうかと多めに用意しておいてよかった。さすが私」
黒闇の魔女はぶつぶつと言いながら、ゆっくりと巨体を動かし、道案内してくれた。
わたくしが微笑むと、顔をそらした。
「ブリジット・バーナードと申します。以前お会いしましたかしら」
「い、いえ。バーナード伯爵令嬢でいらっしゃいましたか。とんだ失礼をお許しくださいませ。どうぞ、中へお入りください」
イザベラに追いつくと、それはそれは、巨大な扉がゆっくりと開く。
「お化け屋敷のホラー顔の逆バージョン魔法だ。あれを家でも使うと、兵にばれると思って、逆にめちゃくちゃ美人に見える魔法を試したけど、成功したみたいだな。どうだ、自分がキラキラ美人のご令嬢になった気分はよ」
「なんだか。落ちつきませんわ。とにかく突破できてよかったです」
門の中からローブを被ったちいさな女の子が出てくる。
「お姉ちゃん、おかえり」
イザベラに抱きつく女の子。
「元気だったか、ベアトリーチェ! 紹介するよ。私の妹だ」
顔をみたが、紫の髪、紫色で切れ長の目だが、イザベラほどするどくはない。イザベラを小さく、かわいくした姿だ。
「この人たちは奴隷? それとも、生け贄?」
ベアトリーチェがイザベラの背中に隠れ、聞いた。
「と……ととと、友達だ」
イザベラは目が泳ぎまくり、汗をダラダラと出ていた。
「お姉ちゃん……。とうとう、お金で友達を買ったんだね……お金で買ったものは友達じゃなくて、使用人っていうんだよ」
ベアトリーチェは目元をぬぐったあと、哀れな姉を見つめた。
「昔はなー。アルトメイアを横断できるほどの数の友達がいたんだぞ」
「家に友達つれてきたこと、ないよ」
「いや、この家、普通に怖いだろ! みんな怖がっちゃってな! だから、友達の家に遊びに行っていたんだよ! ベアトリーチェも友達きたら気を遣うだろ」
「お姉ちゃん。一度も友達の家に行ったことない。毎日家で魔法の勉強してた。えらい」
イザベラの白い肌がさらに白くなった。
「ウィンストン学園の長期休みに帰ってきた時、フェイト様をずっとライバルだと言っていた。1回も勝てなかったって、地団駄踏んでいた。ずっと無視されているって悲しがっていた。いまも無視してる? お姉ちゃん、フェイト様のこと好きだけど、素直になれなくて、嫌がらせして、ちょっかい出すしか人との付き合い方がわからないの。友達もいないから、仲良くしてあげて? お願いします」
わたくしは目尻をぬぐって、ベアトリーチェを抱きしめた。
「大丈夫よ。イザベラとは和解しましたから。心配いらないわ」
イザベラは白目になって、ガタガタと震えていた。見ていられなくて、わたくしたち三人は、そっと彼女の肩を叩いていった。
「同情すんな! 私だって色々あったんだ!」
肩を落とすイザベラにわたくしは言った。
「今日だってわざわざ連れてきてくれたではないですか。 わたくしたちはもう立派な友達ですよ。イザベラ」
「フェイト……おまえ……」
イザベラが涙目で抱きしめてくるのをひらり、とかわした。
「そこは抱きつかせろよ!」
「すみません。条件反射で、ついっ」
城内は暗く、階段の足下にのみランプが設置してあった。いったいどれだけの高さの天井なのか暗い内側からは計りかねた。
「ようこそ。照覧の魔女。久しいな。歓迎致しますよ」
地を這うような低い声。遠くから聞こえたようにも、すぐ耳元で聞こえたようにも思える。
中央の二階へと通じる大きな階段の踊り場に黒い人影が見える。
その影はふっと、消えた!
真横に巨大な影が突如あらわれた。
「っっっっっっっっっっ」
口を手で押さえた。
背が高い……ローブを着ていて正確なところはわからないが、2メートル以上あるのではないか。騎士のジェイコブにも負けない長身だ。
「驚かせて、ごめんなさいね。どうも。【黒闇の魔女】です。長旅、疲れたでしょう。食事の用意をしてあります……あら、2名ほど、多い。イザベラ、話が違うわ。イザベラとフェイトちゃんだけのはずよね。お呼びする人数が違うと、食事の準備がちゃんとできない。恥をかく。私が恥をかく。あああああ! 私が恥をかくの!!! 恥ずかしいいいいいい。 ねぇ、イザベラ。どういうことなの!」
「す、すみません。母さん。彼女たちが急に一緒にくるって」
「言い訳? ねえ。イザベラ。私に、いま、言い訳をしているの?」
イザベラがわたくしの背中に隠れ、震えている。
黒闇の魔女はじぃーと、巨大車椅子を見て、首をかしげた。
「ねえねえ。ねえねえねえ。どうしてどうしてどうして。貴方がいるの? なんのつもり? 答えて答えて?」
うわぁ! 急にマデリンが黒闇の魔女に絡まれています。
「……」
「マデリン、黙っていないで、なにかお話しください! 黒闇の魔女がお怒りですよ」
さすがのマデリンも恐怖で縮こまっているのでは?
みんなで、そぉーっと、車椅子の中をのぞき込む。
――寝てましたー! ぶれないお方ー! 暗いし、静かだし、まあ、寝ますよねー。貴方様なら。
「……。おお! 黒闇の魔女、久しいの! マデリン・シャルロワじゃ。以前妾が魔女研究でこの城を訪れて以来じゃの」
マデリンは相手がだれであろうが、まったく対応を変えず、清々しいほどの自分流を貫き通した。
「なにしにきた。私はもう、あんたの顔も見たくないし、話したくないし、面倒もごめん」
マデリンは楽しそうに寝転がって、あくびをする。
「よいよい。黒闇が妾を嫌っても、妾は黒闇を愛しておる。今日はフェイトの付き添いできた」
「おまえ。いまがどんな状態かわかっているのか? へらへらと車椅子でふんぞりかえって。癪に、癪に癪に癪に、さわる」
黒闇の魔女は巨大な手をわきわきさせて、怒りに打ち震えていた。
「だからこそ、妾は来た。妾はフェイトにずっと世話になっておる。もし、すこしでも出来ることがあるのなら、見届けたいと思ってな」
マデリンはわたくしの方に顔を向けて、うなずいた。
いつものゆるゆるの表情ではない。強い決意を秘めた、引き締まった表情だ。
マデリン、こんなにも頼もしい方だったのですね。
その凜々しい表情のまま、鼻提灯を出した。よだれもセットだ。気持ちよさそうな寝息さえ、添え物として追加された次第。
「いい。もういい。相手するだけ疲れる。食事にしましょう。こんなこともあろうかと多めに用意しておいてよかった。さすが私」
黒闇の魔女はぶつぶつと言いながら、ゆっくりと巨体を動かし、道案内してくれた。
16
あなたにおすすめの小説
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―
七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。
彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』
実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。
ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。
口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。
「また来る」
そう言い残して去った彼。
しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。
「俺専属の嬢になって欲しい」
ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。
突然の取引提案に戸惑う優美。
しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。
恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。
立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる