先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

bara10jisya

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先生はすごいの。

先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

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私はある深夜、父に地下室まで連れてこられ、絶対誰にも話してはならない、たとえ兄たちにさえも、と言われた上で、出生の秘密を知らされた。
 ほんの3ヶ月前だ。 
 そろそろ伴侶選びをしなければならないと。その夫が宰相となる。
 もちろん私に選択権はないが、父は出来れば好きな相手を伴侶に選ばせたいと思ってくれた。
 だから勝手に決められてしまう前にと、秘密を教えてくれたのだ。
 好きな相手は側室にということも出来ればさせたくなかったんだろう。
  
 でも、その父の優しさは私には裏目に出た。
 
 「どうして?そんな事、私、知りたくなかった!!ねえ、うそだよね?私、パパの子じゃなくなっちゃうの?!」
 「ごめんね。葵。大人の身勝手で。すぐと言うわけじゃない。葵が大人になるまでここにいていいんだ。どこにいたって葵はパパの子だよ?」
 「でも、そしたら葵のせいで、いつまでも本当の子に会えないんでしょ?!葵、悪者になっちゃうよ・・・うう・・本当はパパもママも葵のこと邪魔だったの?・・ううう・・いやだよ・・葵の事、嫌いにならないで・・・?」
 「嫌いになる訳けないだろ?!家族みんな葵の事大好きだって知っているはずだよ?」
 パパは抱きしめてくれたけど、涙が止まらない。私は邪魔者だ。
 『とりかえっ子』と言う伝説がこの世界にもある。
 本当に魔物がいるわけではないが、魔物が自分の子を人間の子とすり替え、人間には自分の子を育てさせ、攫った子供は食べてしまう。
 そして育てられた魔物の子はすくすくと育ち、育ててくれた人間を食べ子供を生みまた人間の子とすり替える。
 恐ろしい魔物。
 私は魔物の子だ。
 これがただ養子であったのなら、悲しみはしても、ありがとうと言えた。
 でも父は私を手放すのだ。
 文字通りの魔窟、王宮へと。 
 そして満面の笑みで迎えるんだろう、一度は手放し、取替えた最愛の我が子を。 
 そして、もう私は一生一人ぽっちだ。

 そう考えてしまう自分が大嫌いだ!!でも止まらない。

 私のために犠牲のなり、こんな優しい家族から離され親子と名乗り出ることも許されず、12年間暮らしてきた私と同い年の子供。
 あの両親のことだから、下手なところに実の子を里子に出したとは思わないが、どれほど心配し悲しんだことだろう。
 私が次期女王としてのお披露目が済んだら、その子と堂々と再会できるだろう。正真正銘の自分の子として―――――。
 「よかったね」と、言いながら顔を引き攣らせる自分が見える。
 ホッとするより先に、孤独と嫉妬心が首を持たげる。「よかったね」というより先に「私の家族を取らないで!」と私の犠牲となったその子に憎しみを感じる自分の醜くさにどん底まで落ち込んだ。
 やはり私は魔物の子だ。
 私はどれだけ黒い歴史を積み重ねたら気が済むんだろう?
 普通の黒さじゃない真っ黒だ!!
 すごく寂しくなって、3日間部屋に閉じこもって泣いた。 
 兄たちは私の異変に気付いてすごく心配してくれた。両親は黙って抱きしめてくれた。
 
 4日目の朝泣き腫らした目が開かなくて、ぼーっとしていたら、時期外れで入手困難な私の大好きな桃がドアの隙間からそっと忍ばされた。
 その桃を皮もむかずかじりながら、なんかちくちくするだの、皮むいてくれたらよかったのにだの、あんまり甘くないだの文句を垂れながら、全部食べた。
 なぜか涙が後から後から零れ落ちてくる。悲しくなんかないのに。

 でもそれで気付いたことがある。
 わたしが家族が大好きなんだって。そして家族も好きでいてくれるよね?いい子になるから・・・・。
 私は強くならなきゃいけない。
 心からごめんなさい、ありがとう、良かったねと言える人間になりたい!
 あんな優しい家族に育てられていっぱい思い出をもらったんだからそれでいいじゃないか。
 家族に恩返ししたい気持ちはある。
 だから最初、兄の意向を聞いて了承を得ることが出来たら兄と結婚しようと思った。
 それがわが子を手放してまで育ててくれた両親の恩返しになると思った。
 でももう兄とは結婚できない。
 ユーリウス・玲人・神埼という人に出会ってしまった。
 前世を思いださなかったら、何も考えず、彼と結婚していただろう。
 先生を一目見た途端、完全ロックオンで、放す訳がない!!

 ――――――先生の事など何も知ろうとしないで・・・・。

 でも思い出してしまった。
 前世を。 
 どうしてなんだろう?と疑問に思うことはある。偶然とするには余りにも暗示的で――――。

 難しいことを考えても3分で頭から煙が出て不具合を起こす私がそんなこと分かるわけもなく、
 でもはっきりしている事は、
 先生とは結婚できないが、ずっと好きでいたいってことだ。
 もう他の人なんて考えられないから、この国を出奔して、冒険者にでもなろうか。
 一人で。
 この世界を、廻ってみるのも悪くない。いろんな所を録画しまくって大好きなジジババ両親兄達に見せてあげるんだ!出来れば、私に家族を貸してくれたあの子にも。
 ―――――そしてほとぼりが冷めた頃皆に会いに行こう。いっぱいお土産を持って。




 「俺を一人にするのか?」


 え?と、思ったら、片手で軽々と抱き上げられていた。
 頬に手を添えられ不思議そうな顔を向けた時、私の唇を見つめている先生の暗い底の見えない眼差しにぐらりときた。
 先生の闇。
 気付いたときには唇を貪られていた。
 舌が深く差し込まれ口蓋を探られ舌を捏ねらせ絡めとられそのまま先生の口の中に引き摺りこまれ唾液を啜られる。
 くちゅくちゅと濡れた音が響く。喘ぐような呼吸音。
 大人のチューは実に奥深い。キスだけなのに18禁になってしまいそうだ。
 私は呆然としたまま、なすがままになっていたが気持ち良い事は確かだ。
 私はいつしか、なんだか分からない初めての刺激に下腹部に痛みが走り痙攣する。
 先生は、はっと、我に帰り唇を離し、傍らの長椅子に私を抱っこしたまま座りただ抱きしめる。

 私はまた先生が捨てられた子犬にみえてしまった。さっきは野獣だったが。
 先生のシルクのような髪を優しく梳く。
 何にもしゃべらずただ俯いて抱きしめる先生が愛おしい。
 気付いたら三つ編みにして遊んでいた。

 先生のほぼ片側がレゲエになった頃、
 先生がぽつっとつぶやいた。
 「怖かった?」
 「ううん。気持ちよかった!先生は何でもハイレベルなの」
 ぽっと染まった頬に手を当てはにかむ。
 「・・・・・・・」
 ほーーーっと安心するような息吹が聞こえたと思ったら、
 頭がむくっと起きて、
 「じゃあいつ結婚しようか?」
 と、憑き物が落ちたように、さっぱりした顔で訊ねてきた。
 「え?!」
 「あんなキスしたら結婚しなきゃ駄目だろう?」
 「そうなの?!」
 「もちろん」
 それは重大な失態を犯したものだ!そんな決まりがあったなんて!
 やはり私がしっかりしなくては、この子犬ちゃんは護れない!!
 「う~ん。う~ん。・・・十年後?」
 コテンと首を傾げる。10年あれば当初の計画通り、セクすぃダイナマイトばでぃでの、爆乳波状攻撃も可能だ。
 「・・・・・・」
 無言で、膝から私を降ろし、背中を向けてしまう。
 私は、焦って先生の顔を肩に手を掛け覗き込む。
 「・・・・七年?」
 「・・・・・・」
 まだ動かない。私は寂しくなって、涙ぐんでしまう。
 「五~ね~んっ!」
 先生の肩を揺らし叫ぶ。
 くるりと振り向き
 「うん、三年後にしよう。葵も一杯学ぶことがあるからね?」
 にっこりと輝くような笑顔を向けられる。ホントになんかお祓いでもしたかのようだ。眩しくて目が潰れる。

 嗚呼、もう決めちゃったんだ・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・。

 ――――――喜びの舞。踊ってもいいですか。 
「先生、先生!大、大、だ~~い好きだよ!!先生の事一人ぽっちになんか絶対しないの!何度生まれ変わっても何度でも先生の事見つけてみせるよ?たとえ18禁乙女ゲームに出演していたとしても!」
ぎゅーーーーっと抱きしめた。
  「先生、前世って信じる?」自分が乙女ゲームの中の人間なんて知ったら嫌かな?
  「信じるよ。俺には生まれたときから前世の記憶がある。」
  「え?」
  「といっても、病弱で、5歳で死ぬまでベッドでしか暮らしたことはなかったけどね。
  外に出られないから本ばかり読んでいてね。
 『カッコウの啼く丘で』っていう童話が特に大好きで、いつもそれを抱いて寝ていたんだ。
  その童話の主人公で、「葵」っていう、かわいくて、一途で、悲しみを胸に秘めた次期女王様が大好きでね。
  大きくなったら先生になって、その子に勉強を教えてあげるんだって息を引取るまで思っていたよ。」

  「・・・・・え?」
  私の顔色が変わった。 
  「勉?キョおっ?!」食いつくのはそこか?!私!
  「そ、勉強。」
  先生は悪戯っぽい瞳をしていった。
  「次期女王の夫候補の打診があって、正直戸惑ったよ。たった五年間の前世の記憶なんて24年間生きているうちに埋もれていったからね。でも一目だけでも逢ってみたかったのかもしれない。前世での初恋の相手に。」
  私は、パカッと口を開けた。
  「それにいままで周囲の期待もあって、言い出せなかったけど、ずっと人を教えてみたかった。まあ前世も含めて人とあまり関わってこなかった自分に教師という職がむいているとも思えなかったけどね。 
  でも思い切って、葵に逢いに来てよかった。君は最初から何故か俺の事を慕ってくれてるいようだったし、こんな俺を慕ってくれている君がどうしようもなく可愛くて、そして無邪気の中に時折見せる寂しげで大人びた瞳をする君にどうかしてると思うぐらい魅かれていった。事情も分かっていたしね。
  前世の記憶なんて何の価値も無いと思っていたけれど、初めて天の配剤めいたモノを感じたよ。
  ただ君を助けたい、そう、思ったんだ。でも俺が宰相候補だと教えるつもりはまだ、無かった。君の里親の強い要請で決定では無かったしね。でも葵のあの一言でたががはずれてしまったよ。」
  なんか思わぬ展開に頭がついてこないんですが?!
  「助けさせてくれるね?現女王はまだまだ現役だし、即位するのはもっと先になるだろうけど、いつになるかは、葵の帝王学の進み具合で決まると思う。勉強するなら早いほうがいい。大丈夫。俺が付いてるよ。
・・・・―――夜は葵だけの先生だよ?・・・」
  腰に来る美声。妖艶な潤んだ眼差し。
 先生のセクすぃダイナマイツが炸裂した!

 私は爆撃を食らいながらも、瀕死の状態で叫んだ。

   『 先、生・・・あた、ま・・・・半分レゲエ!・・・Death!』ガクッ。

 
 嗚呼。私の口からエクトプラズムが。
 そうなのである。四年後のゲーム開始時は先生結婚してたんでしたね・・・・。
 ・・・・ゲーム補正・・・・恐るべし!

 ―――――――3年後の未来が見える。
 周りには結婚を祝う人々。祭り。華やかな宴。
 そして花びらを撒き散らされ大歓迎を受けながら鳴り物入りで現れた私。
 唯一の次期女王。
 そして、2時間もしないうちに皆、一様に思うのだ。

  『うっそ~ん』と。

 ―――――・・・・真っ白な灰になってサラサラと遠い彼方へ飛んで逝きたい。




*****************

――――四年後ゲーム開始!
 「っっうそぉ―――……あ……!、や……ん、だんな、さま……っそこどうかなってるのぉっ・・」
 くちゅくちゅ・・・。
 「だめぇ・・青少年、健全、いくせいじょーれーに、違反するのぉ~」
 「そんな条例はないよ?」
 「うっそ~ん」

          私もイっていた。        

     おしまい。      

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