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蕾
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コウキの唇は柔らかくて。私は緊張でがちがち……
「っ!」
下唇を軽く噛まれた。
「………もうっ」
「緊張してるみたいだから、ほぐしてやろっかと……」
「慣れてるんだね…」
「それは言えませんね~」
コウキがおどけて答えた。やっぱり、いろいろ経験あるんだね。
私は……
「私は、はじめて…なのに…」
あ、言っちゃった。
コウキは、私の肩を抱きしめて、じっとしてる。
「……はじめて?」
「うん……はじめてキスした」
「………オレも」
「そーなの??」
「うんー……だから、練習しよ」
ちゅ。
ちゅっ……
ぎゅーって抱きしめあって、通ってる人に顔が見えないようにして。
知り合いに見つかったら、ひかれるくらい、ぎゅってひっついて。
コウキも同じぐらい強く抱きしめてくれてて。
唇だけは優しく、何度も触れ合ってる。
がちがちから仲良しのキスに変わった。コウキも初キスだとは……
じゃあ、たぶん、そういう経験もない?
キスばっかりしていたら帰れないという話になり、コウキのほうから「送る」と切り出してくれた。
がっちり指を絡めてつないで、夜道を歩く。
いっつも背中丸めてフラフラ歩いてるコウキなのに、背筋正してて、いつもより背が高く感じる……
途中、ぐ~っと腹の虫が鳴き、何も食べずにキス練に励みすぎたねと反省した。
コウキが、彼氏になっちゃった……
コウキのこと、好きって言っちゃった。
つい言わせたくなって、甘えるように腕にしがみついた。
「ねぇ。コウキは言ってないよね」
「何が?」
「好きって……」
「あー………え?信じてねーの?チューしまくったのに?足りなかった?」
そういうわけじゃなくて~~~
コウキはぽかーんとしてたけど、その後ちゃんと言ってくれた。
二人で散々練習したキス付きで。
◆◆◆
家に帰った。
なんとなく、お母さんの前でご飯を食べられなかった。
彼氏ができたって、言いにくいな。藍瑠はなんでもお母さんに話してるらしいけど、私は無理そう……
恋バナできる家庭ってすごいなあ。
コウキは、おうちの人に話すのかなぁ。
寝る前に、昔大会の時に撮った写真を出してみた。
「悪そ~…」
落ち着きのない悪ガキコウキが、そこに。
これは高学年の頃で、私も今より小さくて。
はああ~。
これが、今……
今日のコウキは優しかったな。思ったより紳士で……
ん?違うか。
紳士があんなキスばっかりしないな。
これからどんどん、好きになってくのかなぁ……
楽しみなような、恐いような。
次の日の朝練では、またよく寝れなかったけど、変な脳内物質が出てるせいでナチュラルハイ。
怒涛の展開を藍瑠に言いたいのに来ない。
なにかあったのかな。
「うす」
「はざーっす」
部員も増えてきて、プールサイドでストレッチ開始。
最後にプールに上がってきたコウキと目が合うけど、みんなもいるし、特に絡みはない。
今日の号令係はコウキだった。動作を間違えた2年女子ににつっこみ入れてる。
……叩き返されてる。
「光輝先輩いじわるですよねっ」
周りも笑って。
昨日までよくある光景だったのに、胸がもやもや……
藍瑠はこないまま、朝練が終わった。
教室に戻っても来てない……。
おかしいなあ。
携帯を見たら、「2時間目から行く」って入ってた。
体調でも悪いのかな?
机の下で携帯を触っていたら、野原君が来た。
「おはよ」
「おはよ~」
朝から涼しげで素敵。
寡黙そうな雰囲気から、少し笑顔に変わる瞬間がいいな。
「……あ、波多野、うしろ…」
「ん?」
野原君が、私の背後を見ながら指をさす。
「…………嬉しそうだな。早速浮気か」
ひっ……!
コウキが教室を覗いていた。
「ど……どこが浮気なの」
「オレと喋る時と全然違うじゃん」
鋭すぎる。
「違わないよ、ちょっと外出ようよ」
ドアに手を掛けていたコウキを外に押しやり、廊下を歩いて行き止まりまで行く。
野原君の前で変なこと言わないでもらいたい。
「あいつだろ。昨日一緒にいたやつ」
「そうだけど、何にもないよ?」
「…………じゃあ何で嬉しそうにしてるんだよ」
「え笑」
だんだんにやけてくる。
やきもちは、さっきの私と一緒だね。
「てめーな…何で笑ってんだよ」
「だって、ここまで会いに来てくれたから。違うの?」
「………違わないけど……」
照れてる。
貴重だ。
廊下の行き止まり、二人で隣に並んでうずくまってる。
キスしたいな。
コウキはどうかな。
「っ!」
下唇を軽く噛まれた。
「………もうっ」
「緊張してるみたいだから、ほぐしてやろっかと……」
「慣れてるんだね…」
「それは言えませんね~」
コウキがおどけて答えた。やっぱり、いろいろ経験あるんだね。
私は……
「私は、はじめて…なのに…」
あ、言っちゃった。
コウキは、私の肩を抱きしめて、じっとしてる。
「……はじめて?」
「うん……はじめてキスした」
「………オレも」
「そーなの??」
「うんー……だから、練習しよ」
ちゅ。
ちゅっ……
ぎゅーって抱きしめあって、通ってる人に顔が見えないようにして。
知り合いに見つかったら、ひかれるくらい、ぎゅってひっついて。
コウキも同じぐらい強く抱きしめてくれてて。
唇だけは優しく、何度も触れ合ってる。
がちがちから仲良しのキスに変わった。コウキも初キスだとは……
じゃあ、たぶん、そういう経験もない?
キスばっかりしていたら帰れないという話になり、コウキのほうから「送る」と切り出してくれた。
がっちり指を絡めてつないで、夜道を歩く。
いっつも背中丸めてフラフラ歩いてるコウキなのに、背筋正してて、いつもより背が高く感じる……
途中、ぐ~っと腹の虫が鳴き、何も食べずにキス練に励みすぎたねと反省した。
コウキが、彼氏になっちゃった……
コウキのこと、好きって言っちゃった。
つい言わせたくなって、甘えるように腕にしがみついた。
「ねぇ。コウキは言ってないよね」
「何が?」
「好きって……」
「あー………え?信じてねーの?チューしまくったのに?足りなかった?」
そういうわけじゃなくて~~~
コウキはぽかーんとしてたけど、その後ちゃんと言ってくれた。
二人で散々練習したキス付きで。
◆◆◆
家に帰った。
なんとなく、お母さんの前でご飯を食べられなかった。
彼氏ができたって、言いにくいな。藍瑠はなんでもお母さんに話してるらしいけど、私は無理そう……
恋バナできる家庭ってすごいなあ。
コウキは、おうちの人に話すのかなぁ。
寝る前に、昔大会の時に撮った写真を出してみた。
「悪そ~…」
落ち着きのない悪ガキコウキが、そこに。
これは高学年の頃で、私も今より小さくて。
はああ~。
これが、今……
今日のコウキは優しかったな。思ったより紳士で……
ん?違うか。
紳士があんなキスばっかりしないな。
これからどんどん、好きになってくのかなぁ……
楽しみなような、恐いような。
次の日の朝練では、またよく寝れなかったけど、変な脳内物質が出てるせいでナチュラルハイ。
怒涛の展開を藍瑠に言いたいのに来ない。
なにかあったのかな。
「うす」
「はざーっす」
部員も増えてきて、プールサイドでストレッチ開始。
最後にプールに上がってきたコウキと目が合うけど、みんなもいるし、特に絡みはない。
今日の号令係はコウキだった。動作を間違えた2年女子ににつっこみ入れてる。
……叩き返されてる。
「光輝先輩いじわるですよねっ」
周りも笑って。
昨日までよくある光景だったのに、胸がもやもや……
藍瑠はこないまま、朝練が終わった。
教室に戻っても来てない……。
おかしいなあ。
携帯を見たら、「2時間目から行く」って入ってた。
体調でも悪いのかな?
机の下で携帯を触っていたら、野原君が来た。
「おはよ」
「おはよ~」
朝から涼しげで素敵。
寡黙そうな雰囲気から、少し笑顔に変わる瞬間がいいな。
「……あ、波多野、うしろ…」
「ん?」
野原君が、私の背後を見ながら指をさす。
「…………嬉しそうだな。早速浮気か」
ひっ……!
コウキが教室を覗いていた。
「ど……どこが浮気なの」
「オレと喋る時と全然違うじゃん」
鋭すぎる。
「違わないよ、ちょっと外出ようよ」
ドアに手を掛けていたコウキを外に押しやり、廊下を歩いて行き止まりまで行く。
野原君の前で変なこと言わないでもらいたい。
「あいつだろ。昨日一緒にいたやつ」
「そうだけど、何にもないよ?」
「…………じゃあ何で嬉しそうにしてるんだよ」
「え笑」
だんだんにやけてくる。
やきもちは、さっきの私と一緒だね。
「てめーな…何で笑ってんだよ」
「だって、ここまで会いに来てくれたから。違うの?」
「………違わないけど……」
照れてる。
貴重だ。
廊下の行き止まり、二人で隣に並んでうずくまってる。
キスしたいな。
コウキはどうかな。
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