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落花
20 R18
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放課後、私は部活までの少しの時間、コウキは塾までの時間、部室裏で会う。
「おっせ」
「これでも終わってすぐだよ?コウキ、朝非常階段いた?」
「いねーけど?昨日、朝会えねって言ったよ?」
あ……そうだった?忘れてた……
「ドア鍵掛かってたんだよー」
「ふぅん…じゃあー、口でして」
時間はない。だから性急なのはわかるけど、会ってすぐそういうの頼んで来るっていうのは……断る選択はないから、するけど。
不完全に硬さを持ったそれを丁寧に口に含んだら、すぐに硬度が増すはず。
「んっ…ふっ…んっ……」
おかしいな。なかなか大きくならない……
顎が疲れちゃう……
「……ふぁんっ、んむっ……」
コウキが手を伸ばして、顔を揺らしながら奉仕している私の胸のふくらみを弄る。
何かが違うと思いながら、惰性に流されひとつになる。
おかしいなぁ……昨日ほど気持ちよくない。
昨日の高架下では、ぶっ飛んじゃいそうな快感だったのに。
何より気になるのは、コウキも同じことを思っていそうだった事。
「あんまり気持ちよくない」って、顔をしてるように見える。
ちょっとでもそう思ったら、どんどん悪い方にはまっていって。
ただ、コウキのそれが入って、腰振るだけの行為に思えて、むりやり動いて、出したような……そんな感じで……
「い…くっ」
コウキが出したのをティッシュで拭いて……
「好きだ」
「私も……」
ちゃんと甘い言葉をくれたから、違和感に気づかないふりしてキスした。
コウキの、「なおは自分の女」感が強くなってきた。
私が、浮かれた熱からさめたのか…いずれにせよ、熱が落ち着いたのは否めない。
好きな気持ちは継続中だけど、「なんであんたに言われなきゃいけないの」と思うこともちらほら。
コウキは釣った魚にエサやんないタイプだな。
私って、欲張りかな。もうちょっとエサがほしい。
練習後、ベンチにいた佐久間先生と目が合った。
「奈緒!今日も残れな。他にも、やる気ある人間は自主練していいぞー」
ぱらぱらと数名が残り、藍瑠と前田先輩も残ってた。
(ほら、佐久間先生。何もやましいことないじゃん。コウキは考え過ぎなんだよ。賢いのにバカなんだから……)
「おーい奈緒ー。バテんな。もうワンセット」
「はいっ」
ライトが映るプールの底は、キラキラして好きだ。
しっかり泳ぎ込んでプールからあがったら、もう誰もいなかった。藍瑠も前田先輩も帰っちゃったか……
佐久間先生に駆け寄り、挨拶をする。
「先生、ありがとうございました!」
「やればできるじゃん。最後だからシート掛け手伝ってくれな。ブラシは終わってる」
「はいっ」
佐久間先生は、体育系の学校の講師もやってると噂で聞いた。
逞しい体格でパンと張ったグレーのTシャツが少し汗ばんでて、首にかけたブルーのタオルでおでこを拭って。
体はさすがに筋肉質で肩幅が広い。水泳部はみんなそうだけど。
笑うと爽やか。コウキは、笑うと怪しい。
シートを掛け終わり、佐久間先生と目が合った。
「ありがとう。帰っていいよ」
「はいっ」
先生、全然普通じゃん。コウキに言ってやらなきゃ。
そう思って背中を向けたら、するっ…と背筋に生温かい感触がした。
「ひゃ……」
触ったっ……?
ばっと振り返ったら、佐久間先生は普通な顔で。
「あ、ごめん。背中、痛そうで」
「あっ……」
コウキに咬まれたところ。
見えるよね、それは……内出血してるもん。
先生だけじゃなく、今日みんなにも見えてたんじゃ……。
「歯形?アザ?」
言いわけが見つからなくて目が泳ぐ。
おどおどしてる私に、佐久間先生は瞳を伏せてふっと笑った。
「女の子に傷つけちゃダメだなー」
ダメか……ダメだよね。
「……佐久間先生は、こんなことしない?」
つい…聞いた。
こんなこと誰にも聞けない。
コウキとしてることは、誰にも言えない。
藍瑠にさえ、こんなにエッチばかりしてることは、後ろめたくて話せていなかった。
佐久間先生は何も言わなかったけど、ちょっと驚いてた。
戸惑ってたの方が近いのかな。
沈黙のまま、プールサイドの階段を降りて、柵を閉める。
大きな南京錠に鍵を差し込んでる佐久間先生を待つ。
チャリっと音させて、佐久間先生は鍵で私の顔をぴしっと指した。
「着替えないと風邪引くよ。ロッカー残ってる子いたら、早く帰るように言ってやって」
「はい」
質問の答えはなかった。
更衣室をあけたら、藍瑠が一人で髪を乾かしていた。
「なおっおそーい!扱かれてたのー?」
「佐久間先生とシートかけてた」
「二人で?あ、廊下、前田先輩いた?」
「いなかったよ」
「じゃ自販機かなっ。待たせてるかもっ。ドライヤー使っていいよ!先帰るね、また明日ーっ」
「ありがと。ばいばい」
……急いで帰っちゃって、あとは私ひとりだけ。
シャワー使お……冷える。
「はぁーっ……気持ちいっ……」
首の付け根に熱いシャワーを当てる。背中にヘッドを落として、腕にも。
このシャワーブースができたのは最近のことらしい。先輩たちがいたら使いづらいけど、ひとりだから、全裸で浴びる。
今日も彩夏先輩来なかったな……
もう、やめちゃうのかな……
キュ。キュッ……
蛇口を締めて、バスタオルで体を拭いて。
いつもは制服だけど、今日はジャージでいいや。
ふーぅっ。帰んなきゃなぁ。
でもなーんか、躰が重くて……
やっと着替えて、鍵を締める。階段上がって体育教官室へと向かった。
コンコンとノックをする。
「水泳部、鍵返却に来ましたーっ」
ガチャっと開けても誰もいない。電気はついてるのに。不用心だなぁ……
入り口すぐ横に鍵を吊り下げてドアを閉めた。
さあ、帰るかーっ……
伸びをして階段を降りようとしたら、佐久間先生が上がってきた。
「あっ!まだいたんだ!更衣室まで見に行ったのに!おっせぇよーもう」
「すいません、遅くて……シャワー、浴びてて」
「さっき早く帰れって言ったのに、おまえが残っててどうするんだよ」
おっせぇー って コウキも言う…なぁ。
「すいませんです……」
「まぁー、いーや。帰り気をつけて。オレも帰る」
「先生は車ですか?」
「今日はバイク。車は荷物多い日とか、寒い日とか、雨とか……」
「バイク…」
「気持ちいーよー。危ないけどねー」
「佐久間先生も、帰り気をつけてくださいね」
「あはは。じゃあな。明日も来いよ」
先生は手を振ってバイク置き場へ。私は会釈をして門を出て駅へ。
やっぱり、先生は全然普通だよ。
背中触られた時は、えっ…て思ったけど、それはきっと誰に触られてもドキドキする。
「おっせ」
「これでも終わってすぐだよ?コウキ、朝非常階段いた?」
「いねーけど?昨日、朝会えねって言ったよ?」
あ……そうだった?忘れてた……
「ドア鍵掛かってたんだよー」
「ふぅん…じゃあー、口でして」
時間はない。だから性急なのはわかるけど、会ってすぐそういうの頼んで来るっていうのは……断る選択はないから、するけど。
不完全に硬さを持ったそれを丁寧に口に含んだら、すぐに硬度が増すはず。
「んっ…ふっ…んっ……」
おかしいな。なかなか大きくならない……
顎が疲れちゃう……
「……ふぁんっ、んむっ……」
コウキが手を伸ばして、顔を揺らしながら奉仕している私の胸のふくらみを弄る。
何かが違うと思いながら、惰性に流されひとつになる。
おかしいなぁ……昨日ほど気持ちよくない。
昨日の高架下では、ぶっ飛んじゃいそうな快感だったのに。
何より気になるのは、コウキも同じことを思っていそうだった事。
「あんまり気持ちよくない」って、顔をしてるように見える。
ちょっとでもそう思ったら、どんどん悪い方にはまっていって。
ただ、コウキのそれが入って、腰振るだけの行為に思えて、むりやり動いて、出したような……そんな感じで……
「い…くっ」
コウキが出したのをティッシュで拭いて……
「好きだ」
「私も……」
ちゃんと甘い言葉をくれたから、違和感に気づかないふりしてキスした。
コウキの、「なおは自分の女」感が強くなってきた。
私が、浮かれた熱からさめたのか…いずれにせよ、熱が落ち着いたのは否めない。
好きな気持ちは継続中だけど、「なんであんたに言われなきゃいけないの」と思うこともちらほら。
コウキは釣った魚にエサやんないタイプだな。
私って、欲張りかな。もうちょっとエサがほしい。
練習後、ベンチにいた佐久間先生と目が合った。
「奈緒!今日も残れな。他にも、やる気ある人間は自主練していいぞー」
ぱらぱらと数名が残り、藍瑠と前田先輩も残ってた。
(ほら、佐久間先生。何もやましいことないじゃん。コウキは考え過ぎなんだよ。賢いのにバカなんだから……)
「おーい奈緒ー。バテんな。もうワンセット」
「はいっ」
ライトが映るプールの底は、キラキラして好きだ。
しっかり泳ぎ込んでプールからあがったら、もう誰もいなかった。藍瑠も前田先輩も帰っちゃったか……
佐久間先生に駆け寄り、挨拶をする。
「先生、ありがとうございました!」
「やればできるじゃん。最後だからシート掛け手伝ってくれな。ブラシは終わってる」
「はいっ」
佐久間先生は、体育系の学校の講師もやってると噂で聞いた。
逞しい体格でパンと張ったグレーのTシャツが少し汗ばんでて、首にかけたブルーのタオルでおでこを拭って。
体はさすがに筋肉質で肩幅が広い。水泳部はみんなそうだけど。
笑うと爽やか。コウキは、笑うと怪しい。
シートを掛け終わり、佐久間先生と目が合った。
「ありがとう。帰っていいよ」
「はいっ」
先生、全然普通じゃん。コウキに言ってやらなきゃ。
そう思って背中を向けたら、するっ…と背筋に生温かい感触がした。
「ひゃ……」
触ったっ……?
ばっと振り返ったら、佐久間先生は普通な顔で。
「あ、ごめん。背中、痛そうで」
「あっ……」
コウキに咬まれたところ。
見えるよね、それは……内出血してるもん。
先生だけじゃなく、今日みんなにも見えてたんじゃ……。
「歯形?アザ?」
言いわけが見つからなくて目が泳ぐ。
おどおどしてる私に、佐久間先生は瞳を伏せてふっと笑った。
「女の子に傷つけちゃダメだなー」
ダメか……ダメだよね。
「……佐久間先生は、こんなことしない?」
つい…聞いた。
こんなこと誰にも聞けない。
コウキとしてることは、誰にも言えない。
藍瑠にさえ、こんなにエッチばかりしてることは、後ろめたくて話せていなかった。
佐久間先生は何も言わなかったけど、ちょっと驚いてた。
戸惑ってたの方が近いのかな。
沈黙のまま、プールサイドの階段を降りて、柵を閉める。
大きな南京錠に鍵を差し込んでる佐久間先生を待つ。
チャリっと音させて、佐久間先生は鍵で私の顔をぴしっと指した。
「着替えないと風邪引くよ。ロッカー残ってる子いたら、早く帰るように言ってやって」
「はい」
質問の答えはなかった。
更衣室をあけたら、藍瑠が一人で髪を乾かしていた。
「なおっおそーい!扱かれてたのー?」
「佐久間先生とシートかけてた」
「二人で?あ、廊下、前田先輩いた?」
「いなかったよ」
「じゃ自販機かなっ。待たせてるかもっ。ドライヤー使っていいよ!先帰るね、また明日ーっ」
「ありがと。ばいばい」
……急いで帰っちゃって、あとは私ひとりだけ。
シャワー使お……冷える。
「はぁーっ……気持ちいっ……」
首の付け根に熱いシャワーを当てる。背中にヘッドを落として、腕にも。
このシャワーブースができたのは最近のことらしい。先輩たちがいたら使いづらいけど、ひとりだから、全裸で浴びる。
今日も彩夏先輩来なかったな……
もう、やめちゃうのかな……
キュ。キュッ……
蛇口を締めて、バスタオルで体を拭いて。
いつもは制服だけど、今日はジャージでいいや。
ふーぅっ。帰んなきゃなぁ。
でもなーんか、躰が重くて……
やっと着替えて、鍵を締める。階段上がって体育教官室へと向かった。
コンコンとノックをする。
「水泳部、鍵返却に来ましたーっ」
ガチャっと開けても誰もいない。電気はついてるのに。不用心だなぁ……
入り口すぐ横に鍵を吊り下げてドアを閉めた。
さあ、帰るかーっ……
伸びをして階段を降りようとしたら、佐久間先生が上がってきた。
「あっ!まだいたんだ!更衣室まで見に行ったのに!おっせぇよーもう」
「すいません、遅くて……シャワー、浴びてて」
「さっき早く帰れって言ったのに、おまえが残っててどうするんだよ」
おっせぇー って コウキも言う…なぁ。
「すいませんです……」
「まぁー、いーや。帰り気をつけて。オレも帰る」
「先生は車ですか?」
「今日はバイク。車は荷物多い日とか、寒い日とか、雨とか……」
「バイク…」
「気持ちいーよー。危ないけどねー」
「佐久間先生も、帰り気をつけてくださいね」
「あはは。じゃあな。明日も来いよ」
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