35 / 41
反転
35
しおりを挟む
「今帰りか」
「こっ……」
コウキ。
よりによって…
「な、何してんの?」
と、どもりながら尋ねる。
「じゅーくー。だりー」
「そっか……」
あまりに前と変わらなさすぎて、別れてないような気にすらなる。
「新しい彼氏とはどう?」
「いないよ」
「え?あいつは?あの感じ悪い童貞」
「よくそんな言い方できるね」
やっぱりコウキは変わらない。
ヘラヘラ笑って、人の神経逆撫でして、人の心に土足で入って。
「なーお。一緒にかえろ」
誘われて、帰るだけならって言っちゃったのが、間違いで……
高架下の、いつもコウキとしてた場所を通ってしまった。当たり前のように私を誘うコウキ。
「なお。来い」
「やだよ」
「いいから、何にもしねーよ」
って、絶対嘘。
ぐいっと顎を上げられて、唇が当たるけど、両手で払う。
「嘘つき!」
「好きなんだからキスしたいだろ!」
強気で言われて、ぐっ、と何も言えなくなる。
こういうときだけ真剣な顔しないでよ。
「好きだって言うなら、ちゃんとしてよ。嘘ばっかりでわかんないの。私、コウキのことがわからない」
「それはオレも同じだよ。全然わかんねえもん。お前が何考えてるのか」
手首をつかまれて、ぎりぎりと力を入れられる。
「痛い痛い、ちょっとコウキ!」
「好きなやついるなら最初から拒めよ!」
「痛い」
「もっと痛くしてやる」
コウキが切れたら本当に手がつけられなくなりそうで、心底恐怖を感じた。
手首が折れそうに痛いし、本当に殺されかねない。
ドンっと突き飛ばされて、壁にぶつかった。
そんなに痛くはないけど、よろめいたら、コウキは私の肩を壁に押さえつけてきた。
「ら……乱暴なことしないでよ。あんた男でしょ。体格も違うのに……」
「……逃げなければ乱暴しねえよ。逃げんな」
涙が出てしまう。
相変わらず自分勝手なコウキに。
そんなやつを見捨てられない私に。
押さえつけられた肩が痛い。
つかまれた腕が痛い。
コウキのアホ顔をキッとにらむと、唇にちゅっとキスをされた。
「いやっ!」
ごしごし唇を拭いたら、コウキが舌打ちをする。
「……じゃあ、どうすれば怒んねーの。どうすれば笑うの?別れたって好きなもんは好きなんだよ。それを否定すんな、アホ」
コウキの本音は、心の奥を簡単につかんでくる。
顔がまた近づいてくる。
両腕をつかまれて、動けない。
「逃げんなよ」
念押しされる。
「するなら、さっさとすれば?」
喧嘩腰のまま、不気味な高架下で、コウキは意外なぐらい優しいキスをした。
柔らかく唇が触れ合う。
この場にそぐわない優しいキスに涙が出た。
やり直したいとかそんな涙じゃないし、自分でもよくわからない。
「っ…うぅ…」
だんだん、唇が震えて、うめき声が漏れ出した。
「……そんな嫌?そこまで嫌い?」
さすがのコウキも鼻水までたらしながら泣いてる女に、それ以上は何もできなかったみたいで、やっと唇が離れた。
「だって私、さっき違う人とキスしたんだもん…」
涙を拭いて背を向けたら、コウキが後ろから覗きこむように近づいてくる。
「……どっちが良かった?」
「は?そんなの比べられるわけないでしょ」
「嘘つけ。比べただろ?」
「もう!帰るよ!話になんないしっ……」
「あいつとヤッてみてよ」
「はあっ?!」
コウキは、ニヤニヤ笑っている。
本気なのか、何がしたいのか読めない。
「あいつのセックスなんてつまんねぇと思うよ」
「別に……そんなの、面白くなくていいし」
「でもやるなら気持ちいい方がよくね?」
踏み込んでほしくないとこまで来るから、黙ってほしくて、一番の疑問を問い返した。
「コウキは……彩夏先輩は気持ちよかったの?」
すると、コウキはふっと鼻で笑う。
「なおは、オレの事全然信じてねぇんだなぁ…」
って言いながら、笑ってるけど、寂しそうで。
わけわかんないのはコウキの方なのに、罪悪感に苛まれた。
これ以上、コウキに掻き乱されるのはごめんだ。
そう思ってるのに、見捨てられない。
コウキと話してると、巻き込まれてぐちゃぐちゃになる。
「っ……信じたいって思えないから、もう無理なんだよ。私、帰る」
半ば逃げ出すようにしてその場を離れた。
追ってくるかと思ったけど、追いかけてこない。
別に、追いかけてほしいんじゃないのに、がっかりに似た気持ちが私を追い詰める。
すっきりしない…
「こっ……」
コウキ。
よりによって…
「な、何してんの?」
と、どもりながら尋ねる。
「じゅーくー。だりー」
「そっか……」
あまりに前と変わらなさすぎて、別れてないような気にすらなる。
「新しい彼氏とはどう?」
「いないよ」
「え?あいつは?あの感じ悪い童貞」
「よくそんな言い方できるね」
やっぱりコウキは変わらない。
ヘラヘラ笑って、人の神経逆撫でして、人の心に土足で入って。
「なーお。一緒にかえろ」
誘われて、帰るだけならって言っちゃったのが、間違いで……
高架下の、いつもコウキとしてた場所を通ってしまった。当たり前のように私を誘うコウキ。
「なお。来い」
「やだよ」
「いいから、何にもしねーよ」
って、絶対嘘。
ぐいっと顎を上げられて、唇が当たるけど、両手で払う。
「嘘つき!」
「好きなんだからキスしたいだろ!」
強気で言われて、ぐっ、と何も言えなくなる。
こういうときだけ真剣な顔しないでよ。
「好きだって言うなら、ちゃんとしてよ。嘘ばっかりでわかんないの。私、コウキのことがわからない」
「それはオレも同じだよ。全然わかんねえもん。お前が何考えてるのか」
手首をつかまれて、ぎりぎりと力を入れられる。
「痛い痛い、ちょっとコウキ!」
「好きなやついるなら最初から拒めよ!」
「痛い」
「もっと痛くしてやる」
コウキが切れたら本当に手がつけられなくなりそうで、心底恐怖を感じた。
手首が折れそうに痛いし、本当に殺されかねない。
ドンっと突き飛ばされて、壁にぶつかった。
そんなに痛くはないけど、よろめいたら、コウキは私の肩を壁に押さえつけてきた。
「ら……乱暴なことしないでよ。あんた男でしょ。体格も違うのに……」
「……逃げなければ乱暴しねえよ。逃げんな」
涙が出てしまう。
相変わらず自分勝手なコウキに。
そんなやつを見捨てられない私に。
押さえつけられた肩が痛い。
つかまれた腕が痛い。
コウキのアホ顔をキッとにらむと、唇にちゅっとキスをされた。
「いやっ!」
ごしごし唇を拭いたら、コウキが舌打ちをする。
「……じゃあ、どうすれば怒んねーの。どうすれば笑うの?別れたって好きなもんは好きなんだよ。それを否定すんな、アホ」
コウキの本音は、心の奥を簡単につかんでくる。
顔がまた近づいてくる。
両腕をつかまれて、動けない。
「逃げんなよ」
念押しされる。
「するなら、さっさとすれば?」
喧嘩腰のまま、不気味な高架下で、コウキは意外なぐらい優しいキスをした。
柔らかく唇が触れ合う。
この場にそぐわない優しいキスに涙が出た。
やり直したいとかそんな涙じゃないし、自分でもよくわからない。
「っ…うぅ…」
だんだん、唇が震えて、うめき声が漏れ出した。
「……そんな嫌?そこまで嫌い?」
さすがのコウキも鼻水までたらしながら泣いてる女に、それ以上は何もできなかったみたいで、やっと唇が離れた。
「だって私、さっき違う人とキスしたんだもん…」
涙を拭いて背を向けたら、コウキが後ろから覗きこむように近づいてくる。
「……どっちが良かった?」
「は?そんなの比べられるわけないでしょ」
「嘘つけ。比べただろ?」
「もう!帰るよ!話になんないしっ……」
「あいつとヤッてみてよ」
「はあっ?!」
コウキは、ニヤニヤ笑っている。
本気なのか、何がしたいのか読めない。
「あいつのセックスなんてつまんねぇと思うよ」
「別に……そんなの、面白くなくていいし」
「でもやるなら気持ちいい方がよくね?」
踏み込んでほしくないとこまで来るから、黙ってほしくて、一番の疑問を問い返した。
「コウキは……彩夏先輩は気持ちよかったの?」
すると、コウキはふっと鼻で笑う。
「なおは、オレの事全然信じてねぇんだなぁ…」
って言いながら、笑ってるけど、寂しそうで。
わけわかんないのはコウキの方なのに、罪悪感に苛まれた。
これ以上、コウキに掻き乱されるのはごめんだ。
そう思ってるのに、見捨てられない。
コウキと話してると、巻き込まれてぐちゃぐちゃになる。
「っ……信じたいって思えないから、もう無理なんだよ。私、帰る」
半ば逃げ出すようにしてその場を離れた。
追ってくるかと思ったけど、追いかけてこない。
別に、追いかけてほしいんじゃないのに、がっかりに似た気持ちが私を追い詰める。
すっきりしない…
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる