6 / 33
6.隠し通路
しおりを挟む
「と、言うわけで!仮パーティ結成!!!」
今、私の目の前には、ロイ様とアルがいる。
転移陣の前で、みんなで集まった。たまたま休みが合ったので、いっそ、みんなで!と思ったのだ。
「いや、なんでだよ!?」
アルは不服そうだ。
「……。」
ロイ様は、ふいっと向こうを見たが、どうやら笑いをこらえている様子。
「だって、みんなで行った方が楽しそうじゃない?」
「…お前なぁ。」
アルは呆れて黙ってしまった。
「あはは、ルーナさん、こんなキャラだったんだ?俺の考えの、斜め上を行くなぁ。」
「アルの前では、こんな感じです。がっかりしました?」
「いや、俺も そっちの方がいいな。タメ語で話さない?」
「いえ、ロイ様にタメ語は ちょっと…」
「そうですよ!こいつとは幼馴染なんで!!」
お?機嫌が ちょっと治った?
「では!三階層へ、出発!!」
元気良く私は歩きだした。
「「しゅっぱーつ。」」
テンションは低いが、意外とノリがイイ。しかも二人の声がハモった。
転移陣の光に包まれた。
一階層、二階層と進んで行く。さすがに二人も強い人がいると、楽勝だ。途中、私の作った回復薬を二人にあげた。
「飲みやすい…。ほんとにルーナさんが調合したの?」
「はい。まだ何本か持ってきているので、必要なら言ってください!」
「ありがとう。」
「薬屋やれば、儲かるのに。」
アルは そう言うけど、私は宿屋を辞める気はない。
「いいの、趣味だから。
そういえば、ジョンさんとは付き合い長いんですか?」
さりげなく聞いてみた。なんて答えるだろう?
「あぁ、昔パーティを組んでいたことがあって。今は解散して、あっちは騎士、俺は冒険者。」
騎士は護衛や王都・街を守る仕事だ。冒険者はギルドで討伐依頼を受けて、街の外やダンジョンで戦っている。ダンジョンはレベル上げや素材集めに適しているが、深い階層は まだ地図が出回らず、高ランクの人しか行けない。
「そうなんですか?!」
友人なのにも驚いたが、パーティを組んでいたなんて……知らなかった。
「なに?ジョンに惚れちゃった?」
いたずらっぽくいうロイ様。ゲームでは、こんなキャラじゃなかったはず。
今の言葉にアルは、ビクッと反応した。
「惚れてません。タイプじゃないです。」
「じゃぁ、どんな人が…」
「ほら、ここから三階層だ。その、行きたい場所ってのは遠いのか?」
ロイ様の言葉をアルは遮った。
「もう少し奥だよ。地図に書かれていない、隠し通路があるんだ。」
どんどん奥へと進んで行く。
「行き止まり??」
進んだ先は行き止まりだった。しかし、ロイ様は行き止まりの横の壁に手を当て、魔法を唱えると……道が現れた。
「!?隠し通路!?」
アルも知らなかったみたいだ。
「すぐに閉じるから、急いで。」
「はい!!」
「すっげぇ…。」
「うわぁ……!素敵…!」
進んだ先には、キラキラと光る泉と洞窟の中なのに木々が生えていた。地面も所々、キラキラと光っている。
幻想的な場所だ。
「この石、雷光石ですか?」
この世界の本で読んだことがある。もっとも、ゲームの中では登場しなかったが……。
「よく知ってるね?!さすがルーナさん。」
「いえ、見たのは初めてなんですが…。これ、少しだけ採取していっても大丈夫でしょうか?」
「少しなら大丈夫だと思うよ。」
リュックから、発掘道具を取り出す。素材採集には必要な道具はリュックに入れている。
「よく、こんな場所知ってましたね。」
アルも驚いている。
「ギルドには報告してないから、秘密だよ?」
せっせと作業する私を面白そうにロイ様は見ていた。
「ロイ様、今日は連れてきて頂き、ありがとうございました!!おかげで、いい素材を見つけられました!」
「良かった。ルーナさんなら喜ぶと思ったんだ。」
さあ、帰ろう!と思った矢先、何か声が聞こえた気がして、泉に近づいた。
「?今、何か聞こえませんでしたか?」
「え?」
バシャンッッ
二人が私の方を振り返った瞬間、何かに引っ張られるように、私は泉に落ちた────。
今、私の目の前には、ロイ様とアルがいる。
転移陣の前で、みんなで集まった。たまたま休みが合ったので、いっそ、みんなで!と思ったのだ。
「いや、なんでだよ!?」
アルは不服そうだ。
「……。」
ロイ様は、ふいっと向こうを見たが、どうやら笑いをこらえている様子。
「だって、みんなで行った方が楽しそうじゃない?」
「…お前なぁ。」
アルは呆れて黙ってしまった。
「あはは、ルーナさん、こんなキャラだったんだ?俺の考えの、斜め上を行くなぁ。」
「アルの前では、こんな感じです。がっかりしました?」
「いや、俺も そっちの方がいいな。タメ語で話さない?」
「いえ、ロイ様にタメ語は ちょっと…」
「そうですよ!こいつとは幼馴染なんで!!」
お?機嫌が ちょっと治った?
「では!三階層へ、出発!!」
元気良く私は歩きだした。
「「しゅっぱーつ。」」
テンションは低いが、意外とノリがイイ。しかも二人の声がハモった。
転移陣の光に包まれた。
一階層、二階層と進んで行く。さすがに二人も強い人がいると、楽勝だ。途中、私の作った回復薬を二人にあげた。
「飲みやすい…。ほんとにルーナさんが調合したの?」
「はい。まだ何本か持ってきているので、必要なら言ってください!」
「ありがとう。」
「薬屋やれば、儲かるのに。」
アルは そう言うけど、私は宿屋を辞める気はない。
「いいの、趣味だから。
そういえば、ジョンさんとは付き合い長いんですか?」
さりげなく聞いてみた。なんて答えるだろう?
「あぁ、昔パーティを組んでいたことがあって。今は解散して、あっちは騎士、俺は冒険者。」
騎士は護衛や王都・街を守る仕事だ。冒険者はギルドで討伐依頼を受けて、街の外やダンジョンで戦っている。ダンジョンはレベル上げや素材集めに適しているが、深い階層は まだ地図が出回らず、高ランクの人しか行けない。
「そうなんですか?!」
友人なのにも驚いたが、パーティを組んでいたなんて……知らなかった。
「なに?ジョンに惚れちゃった?」
いたずらっぽくいうロイ様。ゲームでは、こんなキャラじゃなかったはず。
今の言葉にアルは、ビクッと反応した。
「惚れてません。タイプじゃないです。」
「じゃぁ、どんな人が…」
「ほら、ここから三階層だ。その、行きたい場所ってのは遠いのか?」
ロイ様の言葉をアルは遮った。
「もう少し奥だよ。地図に書かれていない、隠し通路があるんだ。」
どんどん奥へと進んで行く。
「行き止まり??」
進んだ先は行き止まりだった。しかし、ロイ様は行き止まりの横の壁に手を当て、魔法を唱えると……道が現れた。
「!?隠し通路!?」
アルも知らなかったみたいだ。
「すぐに閉じるから、急いで。」
「はい!!」
「すっげぇ…。」
「うわぁ……!素敵…!」
進んだ先には、キラキラと光る泉と洞窟の中なのに木々が生えていた。地面も所々、キラキラと光っている。
幻想的な場所だ。
「この石、雷光石ですか?」
この世界の本で読んだことがある。もっとも、ゲームの中では登場しなかったが……。
「よく知ってるね?!さすがルーナさん。」
「いえ、見たのは初めてなんですが…。これ、少しだけ採取していっても大丈夫でしょうか?」
「少しなら大丈夫だと思うよ。」
リュックから、発掘道具を取り出す。素材採集には必要な道具はリュックに入れている。
「よく、こんな場所知ってましたね。」
アルも驚いている。
「ギルドには報告してないから、秘密だよ?」
せっせと作業する私を面白そうにロイ様は見ていた。
「ロイ様、今日は連れてきて頂き、ありがとうございました!!おかげで、いい素材を見つけられました!」
「良かった。ルーナさんなら喜ぶと思ったんだ。」
さあ、帰ろう!と思った矢先、何か声が聞こえた気がして、泉に近づいた。
「?今、何か聞こえませんでしたか?」
「え?」
バシャンッッ
二人が私の方を振り返った瞬間、何かに引っ張られるように、私は泉に落ちた────。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど
monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。
でも、なんだか周りの人間がおかしい。
どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。
これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
枯れ専モブ令嬢のはずが…どうしてこうなった!
宵森みなと
恋愛
気づけば異世界。しかもモブ美少女な伯爵令嬢に転生していたわたくし。
静かに余生——いえ、学園生活を送る予定でしたのに、魔法暴発事件で隠していた全属性持ちがバレてしまい、なぜか王子に目をつけられ、魔法師団から訓練指導、さらには騎士団長にも出会ってしまうという急展開。
……団長様方、どうしてそんなに推せるお顔をしていらっしゃるのですか?
枯れ専なわたくしの理性がもちません——と思いつつ、学園生活を謳歌しつつ魔法の訓練や騎士団での治療の手助けと
忙しい日々。残念ながらお子様には興味がありませんとヒロイン(自称)の取り巻きへの塩対応に、怒らせると意外に強烈パンチの言葉を話すモブ令嬢(自称)
これは、恋と使命のはざまで悩む“ちんまり美少女令嬢”が、騎士団と王都を巻き込みながら心を育てていく、
――枯れ専ヒロインのほんわか異世界成長ラブファンタジーです。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる