異世界で、宿屋の受付は恋をする。〜モブですが、人生楽しみます!!〜

sora

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13.聖水

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「ふぅ。そろそろ交代の時間かな?」
 時計を見ると、ハンナと交代する時間になっていた。
『ルーナ、外食しよう!外食!!』
 ルカがパタパタと肩の上で飛ぶ。アルとよく行くお店が気に入ったようだ。『我は食べずとも生きられる。』なんて言っていたのに、一口食べさせたら感動したらしい。
 ドラゴンって、ご飯食べるんだな…とつくづく驚いた。
「ルーナさん、お疲れ様です。替わりますね!」
 ハンナが声をかけた。その時…

 入口から、フードを目深まぶかに被った人が入ってきた。
 下の服装を見る感じ、女性のようだ。
「こんばんは。」
 お客様だと思い、私は声をかけた。
「……。」
 彼女は無言で、ふらつきながら地面に崩れた。
「ちょっ……大丈夫ですか?!」
 私は慌てて近寄るが、
『待て、ルーナ!そいつに近づくな!』
 ルカが止めるが、私は彼女に駆け寄っていた。
「え?!」
 フードから見えた顔に驚いた。
 セラだ。目の前にヒロインのセラがいる……!!
「なんで、ここに?」
『水……』
「ハンナ、お水を持ってきて!」
 とっさにハンナに水をお願いした。ルカが止めるってことは、まだ中に悪魔がいる…。
 どうしたら……!?
 
「あ…」
 普段からポシェットを腰につけていた私は聖水が中にあることを思いだした。例の聖水だ。
 彼女は、自分では飲めなさそうだ。
 それなら……と、自分でも驚く行動を取っていた。
「ルーナさん!?」
『ルーナ!?』
 水を持って戻ってきたハンナとルカは一瞬固まった。
 それもそのはず、私は口移しでセラに聖水を飲ませていた……。
 ゴクンっ
「な、なにやってるんですか!!?」
 ハンナは驚きのあまり、叫んでいた。
「……えっと……人命救助…?」
 口を手で拭いながら、そう言った。
『はぁ!?』
 ルカも何をやってるんだと言わんばかりだ。

 聖水を飲んだセラはというと……
『うぅぅ……っなにを飲ませた!?……あぁ!!?』
 苦しそうに喉を押さえた。
 すると、口から黒い小さな丸い塊が出てきた。
「なに、何?!なんか出てきた?!」
 怖くなったハンナは奥へと隠れた。
 
『おのれ……人間め……許さん……力が戻ったら覚悟しなさい……』
 黒い塊から声がする。セラの中に入っていた悪魔のようだ。
「ル、ルカ!どうしよう、出てくるなんて想定外なんですけど!!!このままだと逃げられちゃう!!」
『……仕方ないな。』
 ピカッと ルカが光ったかと思うと、ドラゴンの姿がみるみる大きくなっていく。だが、人より少し大きいくらいのサイズだ。
 すると……
 ヒュゥッと黒い塊を吸い寄せ、
 バクンッッ
 ルカは、その黒い塊を食べた。
「は?、……えぇ?!た、食べちゃったの?!……ルカ、大丈夫?」
 驚きのあまり変な声が出てしまった。
 ゲフッ
 ゲップをしたルカはケロっとしている。そして、また元の小さな姿に戻った。
『……まずい。ルーナ、これで外食確定だな。早く行こう!』
「…………平気なら、いいんだけど…。あ!ちょっと待って!セラさんを私の部屋に運んで、ロイ様たちに連絡してからね!!」
「ルーナさん……?」
 ハンナが恐る恐るのぞきこんだ。
「ごめん、ハンナ!もう大丈夫だから、こっちに来て、セラさん運ぶの手伝って!!」
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