異世界で、宿屋の受付は恋をする。〜モブですが、人生楽しみます！！〜

12.戦闘

捕らえたかに見えたが、黒い煙と共にセラを縛しばった鎖くさりがパラパラと落ちた。
「！？ それなら、
　【氷結フロスト・ペイン】」
　俺は氷魔法を唱えた。セラの下から氷が現れ捕らえようとした。
　が、ことごとく避けられてしまう。
「厄介やっかいだな…」
　ロイが呟つぶやく。
「石になったとはいえ、村人だ。広範囲魔法は使うなよ。とくにディラン！」
　一応、釘を刺しておいた。
「了解！だが、捕らえるのは難しそうだ。弱らせてからでいいか？」
「あぁ。」
「【地獄弓インフェルノ・アロー】」
　ディランは炎攻撃魔法を放った。
　しかし、バリアを張はった為、炎の弓矢は吸収されるように消えてしまった。
　「【嵐刃ブリザード・ブレード】」
　ロイが氷の刀を創り出し、向かって行ったが、相手も黒い刀を創り出し、防がれてしまう。
　ザシュッ
　ロイの方が剣技が上のようだ。左腕に切り傷をつけた。
『くっ、邪魔をするなら、みんなと同じように石にしてあげる。
　【休息ブレイク】』
「ロイ、下がれ！」
　光の光線が空から降り注ぐ。ディランがバリアを張った。少しでも当たれば石になってしまうだろう。
　一瞬、攻撃が止まった。
　「【閃光水フラッシュ・フラッド】」
　そのすきに、俺は水魔法を放った。セラは水くらい なんともないと思ったのか、バリアを張らなかった。
　だが、ただの水魔法ではない。
『！！、何をした！？』
　セラがフラフラと、その場に膝ひざをつく。
「聖水。」
　空になったビンを見せて言った。
『たかが、聖水ごときで……！』
　そう、普通の聖水ではない。ルーナさんに貰った一本を使ってしまったけれど……もう一本あるし、なんとなるだろう。それにしても、かけるだけで悪魔を弱らせられるなんてルーナさんって何者なんだ？
「これなら、捕まえられそうだな。」
　ディランが言った瞬間、
『【爆煙えん】！！』
　咄嗟とっさにバリアを張る。
　ブワッッと村を覆おおうほどの黒い煙がセラを中心に一瞬で広がり、辺りは何も見えなくなった。
「くそっ、何も見えねぇ……ッ」
「お前ら無事か！？？」
「「ああ。」」
　俺の問いかけに二人が答えた。

　しばらくして、視界が見えるようになった時には、セラの姿は消えていた……。
「逃げられたのか……？」
「急いで確認を！！」
　俺たちは急ぎ、待機している部下の元へ急いだ。

「「「！？」」」
　入口と逆の方で待機していた部下が石化していた。
「こっちの方角は、街の方だ。急いで捜索を！！」
　（くそ、まさか逃がすなんて……！）
　最悪の事態に、俺は焦りを隠せなかった……。