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第6話 潮音珠
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【幽世の壁】
その日、海は穏やかな呼吸を繰り返していた。正雪と、彼の相棒――否、渋々付き従う仙蛙、翠夏(すいか)は、波打ち際に沿って歩いていた。
「みどりちゃん。幽世の壁は、そろそろ破裂しそうだな」
正雪は、翠夏を「仙蛙」や「西瓜」という呼び方ではなく、ただの愛称「みどり」と呼んだ。当初、その呼び名を頑として拒否していた翠夏も、正雪の図太い精神力と諦めの悪さに根負けし、今では溜め息一つで受け入れている。
「そう簡単に破れやしないよ」
翠夏は、その緑色の体躯に見合わない、老成した声で応じた。
「世界と世界の境界、それは想像を絶する頑丈さで編まれているからだ。俺の推測では、完全に崩壊するには、まだ十数年はかかるのではないか」
海岸線に寄せる波音だけが、その推測の確かさを知っているかのように響く。
「でも、いずれ破れるだろう。すでに鬼や妖は、幽世から現世に来ているぞ」
正雪は、拾い上げた小石を海へと弾いた。水面で軽快な水切り音を立てる。
「来たのは、せいぜい下っ端の弱い奴らだ」
翠夏は鼻を鳴らした。
「強い大妖や鬼王の類は、まだ幽世の壁の強固な界面に阻まれ、こちら側へ来ることができない。これは、物の等価交換の法則である。ある世界からほかの世界に行く代わりに、等価の物質と交換しなければならない。大妖や鬼王の霊力は膨大で、簡単に交換できないからだ。もちろん、壁が破れば、等価交換の法則がなくなる。」
「そうか。みどりちゃんは凄いな。なんでも知っている」
正雪は、純粋な称賛の声を上げた……ように聞こえた。
「あ!騙された!」
翠夏は、地面を蹴り、飛び上がった。
「正雪!お前、わざと疑問形を使わなかったな!『知っているのか?』ではなく、『知っている』と断定することで、俺に知識を引けらかさせようとした!」
「あ。そう」
正雪は、袖で口元を隠しながら、狡猾な笑みを浮かべた。
【満月の夜と潮音珠の覚醒】
時は夜に移り、空には巨大な満月が黒い夜幕に登っていた。その光は、まるで漆黒の画布に描かれた白玉のように、海面を銀色に染め上げる。今夜は、海の水位が上がり切る大潮。
正雪は、いつものように胸の奥に鋭い痛みを覚えた。それは、彼が修仙の道を歩み始めてから、満月の夜に必ず襲い来る、原因不明の激痛だ。
毎回のことであるため、正雪は多少の慣れがあった。しかし、今回は違った。その痛みは、潮の上げに伴って、以前とは比べ物にならないほど強くなっていく。体内の霊力が、まるで海の波のように、制御不能なほどに上下動を始めたのだ。
やがて、その激痛は正雪の四肢の力を奪い、耐えきれず、正雪は砂浜に倒れ伏した。体は硬直し、動かせない。
「……ようやく見つかった」
その声は、海から響いた。
黒い波間から、女の姿が現れる。海水は彼女の頭から滝のように吹き出し、そのまま長く濡れた髪の毛となって、海へと落ちていった。彼女の肌は、月の光を受けて青白く光っている。
「潮音珠を返せ」
女は、一歩一歩、正雪の前に近づき、その巨大な満月の影が正雪の体を覆った。
「潮音珠……何だ、それ」
正雪は、激しい痛みに意識が朦朧としながらも、懸命に思い出そうとした。しかし、自分は珠らしいものを見た記憶がまったくない。だが、今は体が動かない。逃げる術は皆無。どうしようもない。
正雪は、かすれた声で「みどりちゃん」と相棒の名を呼んだが、応答はなかった。翠夏は、姿を隠している。
「ハハハ。分かった」
女は、正雪の苦悶の表情を見て、突如として楽しそうに笑い出した。
「潮音珠は、君の体の中で、発症したのだな。この満月の夜、大潮の霊力が増す時。だから、わたくしはその潮音珠の強烈な霊力の波動を、ここまで感じることができたのか」
女は顎に手を当てて考える仕草をした。
「だが、どうしよう。その潮音珠は、すでに君の体の中に溶け込み、一体化している。どうやって取り出せるのか。困ったな」
その言葉を聞き、正雪の脳裏に、焼き付くような鮮烈な記憶が蘇った。
故郷が、炎と血に染まれたあの日。自分が、絶望の海に沈みながら、必死に何かを掴んだ。それは、丸く、温かいもの。確かに珠のようだった。だが、その後、師匠に助け出された後、その珠はどこにも見当たらなかったのだ。
(体の中に入ったのか……)
正雪は理解した。そのせいで、この満月の夜の痛みは、潮音珠と自分の体内の霊力が、大潮の力に呼応して共鳴する現象だったのだ。
女は、口の端を釣り上げて続けた。
「潮音珠は、わたくしの霊力を生み出す源。それを無くしたせいで、わたくしの霊力は日々薄れていく。そうだ。潮音珠を取り出せないのならば――」
女の目が、飢えた獣のように光った。
「君を丸ごと食べてしまえば良いのじゃ。そうすれば、潮音珠も、そして潮音珠を得た君の体も、わたくしのものとなるのじゃ」
正雪は、もう一つの事実を悟った。自分には霊根がなかった。潮音珠を吸収することで、初めて霊根が生み出され、修仙できるようになったのだ。
しかし、もう遅い。女の巨大な影が覆いかぶさり、その口が開く。正雪は、死を覚悟した。
【仙蛙の取引】
「待って!」
その声は、突如として暗闇の中から響いた。正雪は、助かったと思ったその瞬間、声の主である仙蛙の翠夏が、女の前にぴょんぴょんと飛び出してきた。
「このまま食っちゃったら、もったいない!」
翠夏は、女の巨大な足元で、その小さな体を張って叫んだ。
「生の身をそのまま食ってしまえば、潮音珠の持つ、極めて純粋な霊力の最大限の効用を得ることはできない。特に、人間の体に染み込んだ潮音珠は、力が変質し、そのままでは吸収しにくいんだ」
翠夏は、その知識をひけらかすように、得意げに胸を張った。
「丹薬(たんやく)にすれば、その霊力を精製し、最大限の効用を引き出せる。わたくしが、この人間の体を材料にして、最高級の丹薬を作ってあげようではないか」
女は、興味深そうに翠夏を見下ろした。
「お。小妖か。お前は丹薬作りなどできるのか。このような小物が、人間の体を精製できるとは到底思えんが」
「もちろん、できるさ。わたくしは仙蛙だ。常世の国から来たんだ」翠夏は、少しも怯まなかった。
「わたくしは、ただの蛙ではない。薬草の知識、火の扱い、霊力の調整。全てにおいて、現世の修仙者よりも優れている。だが、条件が一つある」
女は、その緑の目を開いて、興味津々と聞いた。
「どういう条件だ」女は、獲物を前に、わずかな焦燥と興味を抱きながら尋ねた。
「こんなデッカイ人間だ。潮音珠の力もある。最低でも十個の極上丹薬が作れるだろう。そのうち、僕に五つをください!」
「は?ダメだ」女は、一瞬で拒否した。「欲を張りおって。一つだ」
「五つが無理なら、三つ!」
「二つ」
「わかった。では、成立だ」
女は、にんまりと笑った。タダで丹薬を作ってくれるなら、怪しいが、狙う物があれば、話別だ。しかもこんな小者だ。
「さて、丹薬作りには、三つのものが必要だ。まずは、丹炉だ。丹炉がない。大丈夫。竈がある。」
そう言いながら、翠夏は河童の壺から、一つの竈を取り出した。
「次は、薬草だ。主薬に、それを補助する薬も必要だ。」
蛙は、また壺の中に手を入れて、そこからいくつかの薬草を取り出した。
「三つ目は、火だ。火を熾さなければならない。」
翠夏は、女を仰ぎ見ながら言った。
「海辺には、当然ながら薪はない。あそこの山の麓に取ってきていただけますか、女殿」
女は、目を細めた。
「わたくしを雑用係にするつもりか。お前が取ってきな」
「あ。思い出した。霊木がある。霊木を使えば、良い火を起こせる。」
翠夏は、再び壺の中に潜り、霊力に満ちた大きな霊木を取り出した。
こうして、二人の妖は丹薬の作りを始めた。
その日、海は穏やかな呼吸を繰り返していた。正雪と、彼の相棒――否、渋々付き従う仙蛙、翠夏(すいか)は、波打ち際に沿って歩いていた。
「みどりちゃん。幽世の壁は、そろそろ破裂しそうだな」
正雪は、翠夏を「仙蛙」や「西瓜」という呼び方ではなく、ただの愛称「みどり」と呼んだ。当初、その呼び名を頑として拒否していた翠夏も、正雪の図太い精神力と諦めの悪さに根負けし、今では溜め息一つで受け入れている。
「そう簡単に破れやしないよ」
翠夏は、その緑色の体躯に見合わない、老成した声で応じた。
「世界と世界の境界、それは想像を絶する頑丈さで編まれているからだ。俺の推測では、完全に崩壊するには、まだ十数年はかかるのではないか」
海岸線に寄せる波音だけが、その推測の確かさを知っているかのように響く。
「でも、いずれ破れるだろう。すでに鬼や妖は、幽世から現世に来ているぞ」
正雪は、拾い上げた小石を海へと弾いた。水面で軽快な水切り音を立てる。
「来たのは、せいぜい下っ端の弱い奴らだ」
翠夏は鼻を鳴らした。
「強い大妖や鬼王の類は、まだ幽世の壁の強固な界面に阻まれ、こちら側へ来ることができない。これは、物の等価交換の法則である。ある世界からほかの世界に行く代わりに、等価の物質と交換しなければならない。大妖や鬼王の霊力は膨大で、簡単に交換できないからだ。もちろん、壁が破れば、等価交換の法則がなくなる。」
「そうか。みどりちゃんは凄いな。なんでも知っている」
正雪は、純粋な称賛の声を上げた……ように聞こえた。
「あ!騙された!」
翠夏は、地面を蹴り、飛び上がった。
「正雪!お前、わざと疑問形を使わなかったな!『知っているのか?』ではなく、『知っている』と断定することで、俺に知識を引けらかさせようとした!」
「あ。そう」
正雪は、袖で口元を隠しながら、狡猾な笑みを浮かべた。
【満月の夜と潮音珠の覚醒】
時は夜に移り、空には巨大な満月が黒い夜幕に登っていた。その光は、まるで漆黒の画布に描かれた白玉のように、海面を銀色に染め上げる。今夜は、海の水位が上がり切る大潮。
正雪は、いつものように胸の奥に鋭い痛みを覚えた。それは、彼が修仙の道を歩み始めてから、満月の夜に必ず襲い来る、原因不明の激痛だ。
毎回のことであるため、正雪は多少の慣れがあった。しかし、今回は違った。その痛みは、潮の上げに伴って、以前とは比べ物にならないほど強くなっていく。体内の霊力が、まるで海の波のように、制御不能なほどに上下動を始めたのだ。
やがて、その激痛は正雪の四肢の力を奪い、耐えきれず、正雪は砂浜に倒れ伏した。体は硬直し、動かせない。
「……ようやく見つかった」
その声は、海から響いた。
黒い波間から、女の姿が現れる。海水は彼女の頭から滝のように吹き出し、そのまま長く濡れた髪の毛となって、海へと落ちていった。彼女の肌は、月の光を受けて青白く光っている。
「潮音珠を返せ」
女は、一歩一歩、正雪の前に近づき、その巨大な満月の影が正雪の体を覆った。
「潮音珠……何だ、それ」
正雪は、激しい痛みに意識が朦朧としながらも、懸命に思い出そうとした。しかし、自分は珠らしいものを見た記憶がまったくない。だが、今は体が動かない。逃げる術は皆無。どうしようもない。
正雪は、かすれた声で「みどりちゃん」と相棒の名を呼んだが、応答はなかった。翠夏は、姿を隠している。
「ハハハ。分かった」
女は、正雪の苦悶の表情を見て、突如として楽しそうに笑い出した。
「潮音珠は、君の体の中で、発症したのだな。この満月の夜、大潮の霊力が増す時。だから、わたくしはその潮音珠の強烈な霊力の波動を、ここまで感じることができたのか」
女は顎に手を当てて考える仕草をした。
「だが、どうしよう。その潮音珠は、すでに君の体の中に溶け込み、一体化している。どうやって取り出せるのか。困ったな」
その言葉を聞き、正雪の脳裏に、焼き付くような鮮烈な記憶が蘇った。
故郷が、炎と血に染まれたあの日。自分が、絶望の海に沈みながら、必死に何かを掴んだ。それは、丸く、温かいもの。確かに珠のようだった。だが、その後、師匠に助け出された後、その珠はどこにも見当たらなかったのだ。
(体の中に入ったのか……)
正雪は理解した。そのせいで、この満月の夜の痛みは、潮音珠と自分の体内の霊力が、大潮の力に呼応して共鳴する現象だったのだ。
女は、口の端を釣り上げて続けた。
「潮音珠は、わたくしの霊力を生み出す源。それを無くしたせいで、わたくしの霊力は日々薄れていく。そうだ。潮音珠を取り出せないのならば――」
女の目が、飢えた獣のように光った。
「君を丸ごと食べてしまえば良いのじゃ。そうすれば、潮音珠も、そして潮音珠を得た君の体も、わたくしのものとなるのじゃ」
正雪は、もう一つの事実を悟った。自分には霊根がなかった。潮音珠を吸収することで、初めて霊根が生み出され、修仙できるようになったのだ。
しかし、もう遅い。女の巨大な影が覆いかぶさり、その口が開く。正雪は、死を覚悟した。
【仙蛙の取引】
「待って!」
その声は、突如として暗闇の中から響いた。正雪は、助かったと思ったその瞬間、声の主である仙蛙の翠夏が、女の前にぴょんぴょんと飛び出してきた。
「このまま食っちゃったら、もったいない!」
翠夏は、女の巨大な足元で、その小さな体を張って叫んだ。
「生の身をそのまま食ってしまえば、潮音珠の持つ、極めて純粋な霊力の最大限の効用を得ることはできない。特に、人間の体に染み込んだ潮音珠は、力が変質し、そのままでは吸収しにくいんだ」
翠夏は、その知識をひけらかすように、得意げに胸を張った。
「丹薬(たんやく)にすれば、その霊力を精製し、最大限の効用を引き出せる。わたくしが、この人間の体を材料にして、最高級の丹薬を作ってあげようではないか」
女は、興味深そうに翠夏を見下ろした。
「お。小妖か。お前は丹薬作りなどできるのか。このような小物が、人間の体を精製できるとは到底思えんが」
「もちろん、できるさ。わたくしは仙蛙だ。常世の国から来たんだ」翠夏は、少しも怯まなかった。
「わたくしは、ただの蛙ではない。薬草の知識、火の扱い、霊力の調整。全てにおいて、現世の修仙者よりも優れている。だが、条件が一つある」
女は、その緑の目を開いて、興味津々と聞いた。
「どういう条件だ」女は、獲物を前に、わずかな焦燥と興味を抱きながら尋ねた。
「こんなデッカイ人間だ。潮音珠の力もある。最低でも十個の極上丹薬が作れるだろう。そのうち、僕に五つをください!」
「は?ダメだ」女は、一瞬で拒否した。「欲を張りおって。一つだ」
「五つが無理なら、三つ!」
「二つ」
「わかった。では、成立だ」
女は、にんまりと笑った。タダで丹薬を作ってくれるなら、怪しいが、狙う物があれば、話別だ。しかもこんな小者だ。
「さて、丹薬作りには、三つのものが必要だ。まずは、丹炉だ。丹炉がない。大丈夫。竈がある。」
そう言いながら、翠夏は河童の壺から、一つの竈を取り出した。
「次は、薬草だ。主薬に、それを補助する薬も必要だ。」
蛙は、また壺の中に手を入れて、そこからいくつかの薬草を取り出した。
「三つ目は、火だ。火を熾さなければならない。」
翠夏は、女を仰ぎ見ながら言った。
「海辺には、当然ながら薪はない。あそこの山の麓に取ってきていただけますか、女殿」
女は、目を細めた。
「わたくしを雑用係にするつもりか。お前が取ってきな」
「あ。思い出した。霊木がある。霊木を使えば、良い火を起こせる。」
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こうして、二人の妖は丹薬の作りを始めた。
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