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アレクセイ
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僕の名前はアレクセイ・ギャロット公爵家の次男。文官で外務大臣を務める父と王太子殿下の執務官をしている兄がいる。
昔から出来のいい兄と比べられてウンザリしていると、叔父のギャロット伯爵が剣術の先生を紹介してくれた。
母は「危ない」と心配していたが、僕は楽しかった。
剣を振っている時は、余計な煩わしい事を忘れられたから。
学校も騎士学校に入れてもらって、寄宿舎に入った。騎士を目指す子は平民の子が多いからそういう子らと仲良くしたいと考えた。
でも現実は甘くなく、どんなに仲良くしようとしてもどこまでも『貴族』という足枷はついて回る。
僕が半ば諦めていた頃に卒業試験でアイゼンと初めて剣を交えた。この時の僕はかなり天狗になっていて、僕以上の剣術使いはこの学校にいないと思っていた。
直ぐに勝敗が決まると思っていたのに、試験最終の合図まで決着はつかなった。
お互いの決着がつかないまま二人とも騎士団に入団した。だがここでも身分の差を思い知ることになる。
僕は、王宮警備の第二騎士団で彼は、郊外警備担当の第五騎士団に入団させられた。
それは僕が名門ギャロット公爵家の次男だから、「バカバカしい。国を守る騎士の仕事に身分制度を導入するなんて」この国の騎士の在り方に僕が最初に持った疑問。
でもアイゼンは、そんな理不尽ともいえる処遇も笑ってメキメキ実力をつけて行った。
僕も負けられないと今まで以上に剣術の稽古に身を入れていった。
初めは反対していた家族もいつしか「自慢の息子だ」と褒めてくれるようになっていた。
兄の影に隠れていた僕は剣という特技でやっと日の目を浴びることができ、自分にも自信が持てる様になっていた。
そんな年のデビュタントで一人の少女が会場の廊下を妙な足取りで彷徨っているのを見かけて声をかけてみた。
「ご令嬢、こんなところで何かお困りでしょうか?」
「あのう、慣れない靴のせいで靴連れを起こしてしまい困っております」
「そうですか。では会場まで僕が送りましょう」
「でも、歩けそうにないのです」
そういわれ、僕は迷うことなく彼女を抱き上げた。ふわっと軽い彼女を見ると蒼天の青を思わせるような瞳と月の女神の様な銀色の髪が美しかった。僕の心臓は壊れた様に早鐘を打っている。
一体、僕の心臓はどうなってしまったのだろう?壊れてしまったのだろうか?
一目惚れなんて在りえないと思っていたのに、僕を見つめる彼女から目を離すことができず、その場に彼女を抱き上げたまま固まっていた。そんな僕を見ておずおずと
「あのう…」
彼女の愛らしい声で我に返った僕は、慌てて会場に向かった。
入口の所で彼女を降ろすと、どうやら家族もいなくなった彼女を探していたらしい。直ぐに合流できたようで安心したが、この日から僕の脳内は彼女に侵されていく。
夢にまで彼女が出てきて眠れない夜を何度も過ごすうちに、とうとう我慢が出来なくなり、彼女を探した。高位貴族の貴族年鑑をめくると直ぐに彼女がオルフェ侯爵令嬢だと判る。
父と母に事情を説明して彼女を妻に迎えたいと告げる。
父は渋ったが母は彼女の人柄を知っていたようで賛成してくれた。
暫くして、父から侯爵家に求婚の許し乞う為に、僕が訪問したい旨を記した手紙を持たせて侍従を先触れの使いに出した。返事が来るまでの時間は何年も経ったかの様に感じた。
早く彼女に会いたい。話したい。触れたい。
僕の中の欲望が頭を持ち上げそうになるのを我慢しながら、やっと彼女の家を訪問した。
「初めましてオルフェ侯爵」
「初めましてギャロット公爵令息。娘のコーネリアです」
「ごあいさつするのは初めてですね。あの日は仕事でしたので、名前を名乗らなかった無礼をお許しください」
「いえ、私こそ、助けて頂いてお礼も言わずに帰ったので、こうしてまた会える事は嬉しいですわ」
「ん、お前達は知り合いなのか?」
「実はデビュタントで助けて頂いたのが、ギャロット公爵令息なのです」
「そうか、では私からもお礼を、娘の難儀をお救い頂きましてありがとうございます」
「いえ、騎士として当然の事をしたまでです」
話は和やかに終わり、こうして交際が始まった。
昔から出来のいい兄と比べられてウンザリしていると、叔父のギャロット伯爵が剣術の先生を紹介してくれた。
母は「危ない」と心配していたが、僕は楽しかった。
剣を振っている時は、余計な煩わしい事を忘れられたから。
学校も騎士学校に入れてもらって、寄宿舎に入った。騎士を目指す子は平民の子が多いからそういう子らと仲良くしたいと考えた。
でも現実は甘くなく、どんなに仲良くしようとしてもどこまでも『貴族』という足枷はついて回る。
僕が半ば諦めていた頃に卒業試験でアイゼンと初めて剣を交えた。この時の僕はかなり天狗になっていて、僕以上の剣術使いはこの学校にいないと思っていた。
直ぐに勝敗が決まると思っていたのに、試験最終の合図まで決着はつかなった。
お互いの決着がつかないまま二人とも騎士団に入団した。だがここでも身分の差を思い知ることになる。
僕は、王宮警備の第二騎士団で彼は、郊外警備担当の第五騎士団に入団させられた。
それは僕が名門ギャロット公爵家の次男だから、「バカバカしい。国を守る騎士の仕事に身分制度を導入するなんて」この国の騎士の在り方に僕が最初に持った疑問。
でもアイゼンは、そんな理不尽ともいえる処遇も笑ってメキメキ実力をつけて行った。
僕も負けられないと今まで以上に剣術の稽古に身を入れていった。
初めは反対していた家族もいつしか「自慢の息子だ」と褒めてくれるようになっていた。
兄の影に隠れていた僕は剣という特技でやっと日の目を浴びることができ、自分にも自信が持てる様になっていた。
そんな年のデビュタントで一人の少女が会場の廊下を妙な足取りで彷徨っているのを見かけて声をかけてみた。
「ご令嬢、こんなところで何かお困りでしょうか?」
「あのう、慣れない靴のせいで靴連れを起こしてしまい困っております」
「そうですか。では会場まで僕が送りましょう」
「でも、歩けそうにないのです」
そういわれ、僕は迷うことなく彼女を抱き上げた。ふわっと軽い彼女を見ると蒼天の青を思わせるような瞳と月の女神の様な銀色の髪が美しかった。僕の心臓は壊れた様に早鐘を打っている。
一体、僕の心臓はどうなってしまったのだろう?壊れてしまったのだろうか?
一目惚れなんて在りえないと思っていたのに、僕を見つめる彼女から目を離すことができず、その場に彼女を抱き上げたまま固まっていた。そんな僕を見ておずおずと
「あのう…」
彼女の愛らしい声で我に返った僕は、慌てて会場に向かった。
入口の所で彼女を降ろすと、どうやら家族もいなくなった彼女を探していたらしい。直ぐに合流できたようで安心したが、この日から僕の脳内は彼女に侵されていく。
夢にまで彼女が出てきて眠れない夜を何度も過ごすうちに、とうとう我慢が出来なくなり、彼女を探した。高位貴族の貴族年鑑をめくると直ぐに彼女がオルフェ侯爵令嬢だと判る。
父と母に事情を説明して彼女を妻に迎えたいと告げる。
父は渋ったが母は彼女の人柄を知っていたようで賛成してくれた。
暫くして、父から侯爵家に求婚の許し乞う為に、僕が訪問したい旨を記した手紙を持たせて侍従を先触れの使いに出した。返事が来るまでの時間は何年も経ったかの様に感じた。
早く彼女に会いたい。話したい。触れたい。
僕の中の欲望が頭を持ち上げそうになるのを我慢しながら、やっと彼女の家を訪問した。
「初めましてオルフェ侯爵」
「初めましてギャロット公爵令息。娘のコーネリアです」
「ごあいさつするのは初めてですね。あの日は仕事でしたので、名前を名乗らなかった無礼をお許しください」
「いえ、私こそ、助けて頂いてお礼も言わずに帰ったので、こうしてまた会える事は嬉しいですわ」
「ん、お前達は知り合いなのか?」
「実はデビュタントで助けて頂いたのが、ギャロット公爵令息なのです」
「そうか、では私からもお礼を、娘の難儀をお救い頂きましてありがとうございます」
「いえ、騎士として当然の事をしたまでです」
話は和やかに終わり、こうして交際が始まった。
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