【完結】旦那様は元お飾り妻を溺愛したい

春野オカリナ

文字の大きさ
14 / 31

愛したい夫と愛されたい妻

しおりを挟む
 コーネリアは、父にアメリアの実家クック子爵家のその後の様子を訊ねた。

 「クック子爵家は取り潰されるだろうね。公爵家と侯爵家を敵に回しては貴族としてはやっていけない」

 「それでは、彼女の幼い妹や弟はどうなるのです?」

 「いくら騙されたとしても罪は罪だ。弟妹については孤児院行きになるだろう」

 「彼女だって被害者なのに…」

 コーネリアは確かに結婚式を台無しにされたが、彼女も騙された被害者で、もう愛した人は死んでいて、形見になるはずの子供も流産した。一体彼女に何の関係があってこんな目に遭わされたのだろう。彼女はただ幸せになりたかっただけ。こんな理不尽な終わり方、納得がいかない。

 「コーネリア、僕から君にまたお願い事なんだが、事件が落ち着いたら、アメリアの弟妹をギャロット伯爵家の使用人に迎えようと思っているんだ。そこで教育を施して、独り立ちできるように手助けする事位なら、法にも障らない。このまま、何もしないよりずっといいと思うんだ」

 思いがけない提案に、コーネリアはやはり、アレクセイを夫に選んで良かった。改めてそう感じていた。

 「お父様、如何です?これなら貴族法に背くことなく支援できますよね」

 「確かに貴族法に被害者がやむを得ない場合、加害者の家族の更生を支援できるが、本当にいいのか?」

 「はい、私達が身元引受人になることで、彼女の犯した罪を彼女の家族に背負わせなくて済むなら、そうしたいです。それに私は末っ子なので、弟妹が出来るようで少し楽しみです」

 「そうか、なら君達の意志を尊重しよう」

 「ありがとうございます。侯爵、宜しくお願いします」

 この国には、下級貴族を守るための『貴族法』がある。今回の様に困窮した下級貴族を食い物にし、破滅させた場合、被害者が加害者の家族を罪に問わない様にできる処置。

 これにはいくつか条件があるが、概ねアレクセイとコーネリアの要望は通るとオルフェ侯爵は判断した。

 これからの事を話しあいながら、別れの時間が近づいてくる。アレクセイはコーネリアを抱きしめたいし、思いのまま愛したい。そんな気持ちでいっぱいだった。

 コーネリアも今夜ぐらいは一緒にいたいのだが、アレクセイの呪いを考えるとやはり躊躇われた。二人の様子を見ていた公爵からある提案をされた。

 「体に触れなければいいのなら、隣室で休むのはどうだ。同じ部屋だとアレクセイにとっては拷問だが、今晩一晩、隣同士の部屋なら耐えられるのではないか」

 二人は、この提案を喜んで受け入れた。新居では何かあった時に対応が困るだろうと、ギャロット公爵家にコーネリアが泊まる事になった。

 アレクセイとコーネリアは壁を挟んで、話し合った。途中アレクセイの苦しそうな呻き声が聞こえてきたが、直ぐに

 「大丈夫だから、もっと君の声が聞きたい。本当は君に触れたい」

 そう甘い声で囁くようにコーネリアに壁越しで愛を伝えていた。コーネリアも

 「早くアレク様と一緒に過ごしたい。顔を見て話したい。アレク様の腕の中で眠りたい」

 誘っているように言ってくるので、アレクセイは自制するのが精一杯だった。やはり興奮して蹲りながら、愛し愛されたい二人だけの一夜がこうして更けて行くのだった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜

紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。 しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。 私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。 近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。 泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。 私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。

〖完結〗私はあなたのせいで死ぬのです。

藍川みいな
恋愛
「シュリル嬢、俺と結婚してくれませんか?」 憧れのレナード・ドリスト侯爵からのプロポーズ。 彼は美しいだけでなく、とても紳士的で頼りがいがあって、何より私を愛してくれていました。 すごく幸せでした……あの日までは。 結婚して1年が過ぎた頃、旦那様は愛人を連れて来ました。次々に愛人を連れて来て、愛人に子供まで出来た。 それでも愛しているのは君だけだと、離婚さえしてくれません。 そして、妹のダリアが旦那様の子を授かった…… もう耐える事は出来ません。 旦那様、私はあなたのせいで死にます。 だから、後悔しながら生きてください。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全15話で完結になります。 この物語は、主人公が8話で登場しなくなります。 感想の返信が出来なくて、申し訳ありません。 たくさんの感想ありがとうございます。 次作の『もう二度とあなたの妻にはなりません!』は、このお話の続編になっております。 このお話はバッドエンドでしたが、次作はただただシュリルが幸せになるお話です。 良かったら読んでください。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

処理中です...